大介店長の投稿記事一覧

2018.05.27

グランボア カーボンブラシシステム

電装のカーボンブラシ工作は、私にとって憧れの機構でした。

ヘッドチューブ内に接点を設けることで、回転するフォークとフレームを通電させることができるこの仕掛けは、ヘッドラグ付近からピロンとコードが露出せずスマートな印象を与えます。

 

そもそもカーボンブラシとはルネエルスの工作の名称であり、その名の通りコラムに組み込まれたカーボンの芯をヘッドチューブ内の真鍮のバンドに接触させることにより通電させました。

 

 

ルネエルスの機構 1946年ルシクル紙

 

ルネエルスカーボンブラシのユニット

 

コラムへ組み込まれたルネエルスカーボンブラシ(珍しいトップチューブ仕様です)

 

 

 

現在、日本ではカーボンの芯を破損しにくい真鍮などで製作することが多いですが、この機構の事を「カーボンブラシ」と呼ぶのが一般的です。

カーボンブラシはフォークコラムに接点を設けヘッドチューブの内側に真鍮のバンドを圧入する方法(ルネエルス)とフォークコラム銅板を巻き付けダウンチューブに接点を設ける方法(東叡社)の2つの手法が主流ですが、グランボアではフォークコラムに接点を設ける前者の方法を採用しました。

 

 

グランボア工房での製作手順を紹介します。

まずフレーム側バンドをフレーム内径に合わせて調整し、バンドにコードをハンダ付けします。

 

 

塩ビの絶縁バンドを巻いて慎重に圧入します。

圧入後ハンダ付け部分はコラムに接触しないようにダウンチューブ側に折り返します。

 

 

次にコラムへ組み付けるパーツを旋盤で削り出します。

右から真鍮製接点、塩ビ製絶縁パイプ、コラムに溶接する本体パイプです。

 

 

フォークコラムにパイプを銀ロウでロウ付けします。

 

 

スプリングにコードと接点をハンダ付けし絶縁パイプに通します。

 

 

コラムに組み付けました。

フレームに装着後、テスターで通電確認をすれば完成です。

 

 

横からの図です。

メンテナンス性とフォーク抜き輪行時のフォーク着脱を容易にするために接点の出っ張りを最小限に抑えています。

 

 

カーボンブラシは基本的にフレーム制作時にオーダーするもので後付け加工が困難でしたが、グランボアでは後付け加工が可能です。

電装でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

 

 

大介店長


2018.02.08

ランドナーのオーバーホール

お預かりしていましたY様のランドナーのオーバーホールが完了しました。

 

この自転車はオーナー様が学生時代に当店でオーダーされたランドナーですが、部品の劣化により自走不可能な状態になってしまっていました。
今回は転勤先の北海道の大地で、再びサイクリングを楽しめるようにオーバーホールのご依頼を承りました。消耗部品と破損した部品を交換し、学生時代の思い出のランドナーが甦りました。

 
フロントキャンピー仕様のオーソドックスなランドナーです。

車輪はハブをオーバーホールして新しいスポークで組み直しました。スポーク交換は5000kmが目安です。破れたサドルも新調しましたよ。
 
 
 

破損したブレーキレバーは現行品を装着し、ブレーキシューケーブルも交換しました。
ケーブルはグランボアではヴィンテージケーブルを標準的に使用しています。ライナー入りのこのケーブルは容姿が良いだけでなく、レバーの引きも軽くなるのでブレーキのアッセンブルに欠かせない存在となっています。
 
 
 

マッドガードは丸型のH50から亀甲パターンのH50Cに変更して、クラシカルな雰囲気に生まれ変わりました。ガードのパターンを選んで遊べる事もランドナーの魅力ですね。
 
 
 

グランボアではご予算に応じて、簡単なオーバーホールのご依頼も承っております。

ご自宅で眠っているランドナーはございませんか。暖かくなる前の今がチャンスです。

ご相談お待ちしてます!

大介店長


2017.09.10

輪行朝サイクリング!

本日は第二日曜日の朝サイクリングデーでした。お集まりいただきました皆様ありがとうございました!

 

コースは花園駅から保津峡駅まで輪行して、帰りは六丁峠を越えてアイズバイシクルまで戻るコースです。走行距離は10㎞程ですが手軽に輪行ツーリングを楽しんできました。京都もずいぶん涼しくなりましてとても爽やかなランでしたよ。

 

ベテランサイクリストのF様とK様。長年の経験から随所に工夫が施されたランドナーで見事な輪行を披露してくださいました。

 

フォーク抜き輪行は組み合わせ方にコツが要りますがコンパクトになります。

 

 

 

次回の朝サイクリングは10月15日(日)。アイズスタート現地解散で秋の訪れを感じられるコースを検討中です。ご参加お待ちしております!

 

大介店長


2017.07.27

コンクールマシン参戦記 各部品に関する...

Ⅰ.概要

コンクール本戦第一日目、約200km地点にてリア変速機が破損し、修復不可能な状態となりました。パイロットチョコ君はチェーンを切断し、シングルギアにさせることによって残りの18kmの行程を走破しました。

 

本項では変速機が破損した要因について究明すると共に、私の見解を申し上げたいと思います。

 

Ⅱ.変速機のモデファイについて

変速機はマイクロシフトR47をベースに当店で加工を施したスペシャルモデルを使用しました。

加工点について説明します。まず可能な限り分解して、肉抜き箇所はケガキを入れてから穴を空けました。更にボデーを削り込んで全体的に丸みを帯びたフォルムへ成形しました。成形することによっては軽量化だけでなく他のパーツとの(雰囲気を合わせるという意味での)釣り合いを取りました。

 

ケーブルのアジャスターボルトはボデーのネジを切り直すことによってダイアコンペのアルミ製に変更し、ストッパーボルトはチタン製のキャップボルトに交換しました。

最も大きな改造箇所はピポットです。肉抜きによって露出したスプリングはエンドに空けた穴に直接掛けています。これによりスプリングのテンション調整金具を省略しました。往年の変速機であるカンパニョ―ロスポルトも同様の機構を設けており、ここからヒントを得ました。

プーリーは、オリジナルをベースに加工しました。まずコンクールのみの使用を前提としてブッシュを軽合金製に交換しました。更に両サイドのプレートを省略し、代わりに防水対策としてプラスティックのシールを装着しました。

以上がモデファイした内容です。これを踏まえて破損した変速機を分析したいと思います。

 

Ⅲ.所見

先ず、破損した時の変速機の状態を確認しましょう。肉抜きしたピポット部分は破断し、本体は後輪ガードステーに巻き込まれていました。この状態から肉抜きに伴うピポットの強度不足による破断が原因のように見受けられますが、プーリーケージ(以下ケージ)を観察しますとケージは左右に広がっていることが確認できます。

パイロットの証言によりますと、第五チェックポイント(190km地点)で下車した際にケージが広がりチェーンがテンションプーリーから脱線していたようです。その為この地点でチェーンを掛けなおし、ケージを補修しています。

つまりプーリーとケージに何らかの異変が起こっていることが考えられます。

 

Ⅳ.考察

そこで持ち帰った変速機を確認しますと、プーリーにガタツキが確認できました。(元来多少のガタはあるものですが、破損後は大きくなっていました。)

ではプーリーガタツキの原因について究明したいと思います。

 

持ち帰ったプーリーを分解してみるとブッシュには異常が認められませんでしたが、プーリーの内径が僅かに広がっていました。

チェーンは変速によってローギヤに入れた時、内側によじれると同時にプーリーはチェーンによって外側に引き寄せられます。特に可動範囲の大きい10S 以上の場合、チェーンのよじれは大きくなるでしょう。今回のコンクール1日目のようなロー側のギヤの使用頻度が高いコースの場合、傾いた状態で回転するプーリーへ甚大なストレスがかかったと想像できます。またプーリーを安定させる為のサイドプレートを省略したことは、ガタツキを助長させる一因となったと考えられます。

 

Ⅴ.結論

以上より考えられる変速機の破損の要因は、プーリーのガタツキによって脱線したチェーンが、プーリーとケージの間に詰まり変速機を後方に巻き上げ、その結果ピポットに大きな負荷が生じ破断したことであるでしょう。

多段化した今日の変速機事情において、当問題の主たる解決策はプーリーとケージにあると思われます。例えばベアリングプーリー等、性能を重視した部品の採用や或いはプーリー自体の構造の研究が必要でしょう。またケージについても適性の寸法や、強度についての吟味、脱線等のトラブルが起きた際の二次的なトラブルを引き起こさないような構造等、変速機計量化において模索すべき課題を残しました。

 

コンクールマシンへの参戦で実戦的な軽量車を製作することにあたり、ほぼすべての部品にトライアル的な試みを採り入れました。その中でランドナーに必要とされる強度とそのバランスについてより深く考えさせられると同時に、ランドナーの新たな可能性が見えてきたように思います。このコンクールでの挑戦で得ることができた様々な課題を今後の自転車製作に繋げられるよう一層努力したいと思います。

大介店長


2017.07.26

コンクールマシン参戦記 各部品に関する報告

Ⅰ.概要

コンクールに参加するにあたって、グランボアでは極限への軽量化に挑戦しました。帰国後出走車を分解し、各部品の状態について調査しましたので、ここでコンクールによって生じた各部品への影響について報告したいと思います。

 

Ⅱ.異常が生じた部品

 

表はコンクール出走後の各部品の状態についてまとめたものです。破損した変速機に関しましては、別項にて改めて考察を深めるものとして、その他の部品について報告いたします。

変速機以外では、カセットのセカンドギアに一ヶ所の欠けが発見されました。これはダート走行時での小石等の巻き込みが起因していると考えられます。

 

マッドガードにつきまして、今回試みました潰し加工によるステーのエンド固定方法には問題はありませんでしたが、ブリッチへの取付金具の固定ボルトが僅かに緩んでいました。

使用ボルトはチタン製M5の皿ネジで、緩み対策として菊座ワッシャーを挟みました。特に振動を受けやすいマッドガード周辺はボルトの選択を含めて緩み止め剤の塗布等、更なる対応が必要であります。

 

ホイールについては変速機破損時の巻き込みで後輪に多少の振れが生じましたが、その他でのダメージは無く問題はなかったと考えています。

また軽量タイヤ(リエール650×36B EL)と軽量チューブ(レール650×32-42AB)を採用しましたが、パンクは夜間走行での一回のみでした。つまりこのタイヤの組み合わせでは、ライン取り次第でパンクのリスクを減らせることが実証されました。

 

Ⅲ.グランボアパーツについて

 

既存のグランボアパーツを加工したものの一つにブレーキがあります。

ギロチン金具とシューを軽量化したシュエットモダンは、マハックブレーキレバーと共に過酷な状況下での使用に耐え抜群の制動力を発揮しました。

 

また唯一軽量化を無視して製作したスペシャルラージハブも自転車全体のバランスを確保しつつスムースな回転を得ました。カセットハブ仕様のスペシャルラージハブは、今回の研究によって製作技術が確立されましたので、グランボア製品の新たなラインナップに追加されました!注文製作にて受注を承っております。

コンクールの為に特別に製作されたキャリアやハンドル、ステムについても全く問題はありませんでした。

 

Ⅳ.新たに採用した部品について

 

フロントシングル構想によってTA CARMINAとチタンシャフトBBが採用されました。組み立て時はチタンBB が従来のスクエアシャフトであることから、チョコ君は剛性に不安があったようですが彼の脚力をもって使用しても問題はありませんでした。 葉っぱのチェーンリングも大好評でしたよ。

べロジカルダイナモと砲弾ライトは出国前に何度か試験走行はしたものの、途中で切れてしまわないか心配していました。幸いトラブルはありませんでしたが暗闇のダート道ではやや光量不足だったようです。最近は大変性能の良いランプが多く登場してますが、軽量でランドナーに似合うものが少なく悩まされた部品の一つでした。

 

使い慣れたはずの既存の部品であっても改めて吟味することで新しい発見があり、それぞれの部品の特性について考えさせられました。今回異常が生じた部品だけでなく、異常が無かった部品についても更なる研究が必要だと痛感しました。

大介店長


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