アイズの独り言>

最終日はレースではありません。

親睦を兼ねたサイクリングを参加者とそのメンバーで楽しみました。

金曜日の晩からグランボアのチームに合流していろいろ手伝ってくれたジャンフィリップ。

Thank you, Jean Phillipe!

フランス在住のSさん。一度お店に来てくださったことがあるとのことでグランボアがコンクールに出るのであればと、地元で懇意にされているショップさんの応援も兼ねてアンベールまでいらしてました。色々教えてくださってありがとうございました。

 

こちらはスウェーデンから参加のアンダース。グランボアとは実は長いお付き合いです。

 

若い方たちが多かったです。

 

 

途中のカフェで一休み。

 

カフェの中では今回の反省点と今後について話し合いがもたれていました。これだけのイベントの準備は大変だったでしょうね。また、きちんと運営し、続けていくことも大変です。それはもちろん運営側だけでなく、参加者側も。ですので2年に1度という案が出ていた事はとても理解できます。

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さて、本部近くのイベント会場は。。

土曜日曜と来場者のためにコンクール出場車の展示ブースが設けられました(青いテント)。また、様々な物産品などのスタンドのほか自転車関係のスタンドも立ち並び賑やかです。

 

グランボアのスタンド。

フランスでの取引先にお手伝いいただきました。

奥には元気に接客してくださってるUさんも写ってます。スタンドではコンクールの予備車とUさんのグランボア、それに大介のER700、私のeTapデモンターブルを展示。eTapデモンタは特に注目を集めていました。

 

 eTapデモンターブルの実演に人だかり。eTapは5m離れていても電波が届く!

 

こちらはオリビエの奥様のカトリーヌですね。後ろにはオリビエも見えます。

Thank you for your help, Catherine and Olivier!

 

 

急遽、出発前にお願いした縁さんのキャップも好評でした。

Merci! INCREVABLE!

 

珍しくはしゃいでる親方に巻き込まれたチョコ。

 

 

チョコはAlex SiNGERの店主、オリビエから労いのプレゼントをいただき大感激。Arigato!

 

こちらはコンクールマシンコーナー。

投票箱。イベントへの一般参加の方と今回参加したチームに投票権があります。

 

 

 

 

 

 

 

夕方からは表彰式にと会場に呼ばれました。

生演奏つきで賑やかです。

総合の表彰式。

1位 PECHTREGON

2位 JP Weigle

3位 Cyfac

 

こちらはグランボアが頂いたBelle Finitionの表彰式。

おまけに地元の新聞にも紹介していただきました。

 

 

後から送られてきた成績表はこちら。

 

 

審査員 6位

プレゼン 12位

重量 1位

一般参加者の投票 8位 (228人中28票入っていました。1位に選んでくれた方が11人。)

ビルダーの投票 10位 (3位の1票は親方が間違えて書いてしまったものです。ですので1票のみ。誰か1位に選んでくれていますね。嬉しい。)

技術 3位

レース1日目 7位

レース2日目 棄権

総合順位 なし

 

参加者の中で一番軽く仕上げたのは我がチームだったのですが、レースが完走できず総合順位から外れてしまいました。そんな中、Belle Finitionは嬉しい賞でした。一番軽くて美しい自転車。光栄です。

 

4日間のイベントの流れとしてはこんな感じでした。

コンクールについては後は店長と親方からの報告もある予定。それらはまた後日。

まだまだ続く~。

 

 

 

****ここからは翌日のお話****

アンベール最後の日、やっと私たちもサイクリングを楽しむことができました。お天気も文句なしの晴れ。ご褒美を頂いたかのような一日でした。

大介店長が履いているのがCCPの ハーフパンツ。よく似合ってますよね。これからの暑い夏のツーリングにお勧めですよ。

 

この日のベール峠からの稜線はすっきりとクリアです。中央に見えるのがあの日チョコの行く手を阻んだ軍用無線基地。

峠に着いたのはちょうどお昼。前の日にチョコが暖をとった峠の茶屋を当てにしていたのですがこの日は閉まっていました。というわけで、皆お腹も空いてましたので早々に峠を後にし、麓の町のレストランへ。

チョコ君、リベンジはまた今度ね。

 

 

 

 

****入荷のお知らせ****

イタリアンフェンダーのモダンバージョンのご用意が整いました。大変お待たせしました。こちらのステーもアイズの工房内で曲げてるんですよ。

あと、そのヴィンテージバージョンを装着した親方秘蔵のフレームが蘇りましたよ。カンビオコルサ仕様のマラストーニ、サイズが合う方は是非ご検討ください。

 

つちやはるみ

こんにちは、スタッフのチョコです。6月30日~7月2日にフランス、アンベールで開催されたコンクールマシン2017にグランボアのテストライダーとして参加しました。ライダーとして感じたことを本記事でお伝えしたいと思います。
コンクールは自転車の耐久テストとして3日間のテクニカルトライアルが課され、グラベルを含む計450㎞の走行が予定されていました。実際は初日コースの変更、2日目に途中リタイアしたので3日間の走行距離は約270㎞となりました。「3日間トラブル無く完走しました!」とご報告出来たらよかったのですが、マシンのトラブルと自分自身の経験不足から思うようにいきませんでした。
雨にも負けず風にも負けず…(運命を分けた2日目、ベール峠南方尾根)

 
 

さて、コースには多くの未舗装区間が含まれていますが、ランドナーのような太めのスリックタイヤで難なく走れるような砂利、石畳、あぜ道から、MTBでも苦労しそうな石が散乱したダブルトラックまで多種多様です。昨年のコンクールは650×32Bタイヤを履いたランドナーや700Cのタンデム車が出走しており、未舗装区間も写真では太めのタイヤを履いたランドナーで走るのが気持ちよさそうな砂利道でした。そんな昨年の様子や、主催者側が設定した基準平均速度22.5㎞という数字から、ハイスピードな舗装路中心のロングライドを想定して準備を進めていました。後から聞いた話ですが昨年のコースではほとんどの自転車がトラブルなく完走しており、今年はマシンをふるいにかける意味もあって難易度を上げたようです。

昨年の写真からイメージしていた固く締まったグラベル。

コース東側、尾根沿いに走る緩やかな下り基調のダートはスピードを出しやすい。

ダート走行の振動でフロントバッグ内の補給食(サンドウィッチ)が滅茶苦茶に。(試走時)

丈のある草地は抵抗が大きく車輪をとられやすい。

 

コンクールの3日前から現地で未舗装区間の試走を始めたのですが、実際のコースはMTBで走るのも大変そうなガレたトラック、泥でぬかるんだあぜ道。整った砂利道を想像していた自分は、あまりにもイメージとかけ離れた未舗装路の連続に完走できるのか不安になりました。
本番前の試走を終えて難関区間などを地図で確認。
 
 

本番に着用したウェアについて。前日の天気予報では曇り後雨。しかし、アンベールに来てから天気予報はことごとく外れています。じつは試走の二日間も雨予報だったのですが、雨雲は何処へやら。試走二日目に遭った通り雨以外は雨具を出さずに済みました。アンベールの街は標高が500m、現地入りすると気温20度前後で高くありません。事前に日本でアンベールの天気予報を確認していた時は最高気温が30度近くあり、ツールドフランスのような暑い7月のフランスを想像していました。しかし実際はゴールデンウィークくらいの気候、山の天気と思って対処するしかありません。メリノウールの長袖アンダーを急きょUさんよりお借りしてルイゾンボべジャージの下に重ね着し、下はルイゾンボべのビブショーツ。雨に降られてもよほど気温が低くない限り脚は寒くならないので、フロントバッグにはレインジャケットのみを入れました。

本番前日に届いたグランボア×ルイゾンボベジャージ。メリノウールと化繊の混合生地で、レース終了後に洗って室内干しでも翌朝には乾く。

 

 

 

6月30日、初日は224㎞を走ります。午前4時にライダーは2人ずつ、2分間隔で順次出走し、コース上に設けられた全6カ所のチェックポイントを周ってゴールを目指します。設定された基準速度は22.5㎞。2日間の試走で判明した過酷な未舗装区間、獲得標高約4000mと舗装路のみでも過酷なコース設定から自分には基準速度を上回ることは困難だと判断し、マシントラブルが起きないように走ることを最優先としました。スタート、ゴール地点となる貸倉庫の前には各チームのライダーがズラリ。ビルダー本人が走るところもあれば、パリブレストパリ48時間台の猛者まで、いかにも速そうなライダーがそろっています。同時スタートのライダーが乗る自転車には、パイナップルのマークが至る所にマークされていたのでそれを話題に談笑。緊張も少しほぐれてスタートを切りました。
午前4時、アンベールの街をスタート。
 
 
さて、スタートして15㎞程登り続けるのですがここで分かったことが一つ。みんな登りは想像していたほど速くありません。しばらく舗装路の登りなのであっという間に取り残されてしまうのでは無いかと思っていましたが、むしろ僕の方が先行しています。当時は少しでも早く前へ進もうと単独で先行していました。しかし今になって振り返ると、フランス人ライダー達は後からスタートした人と合流して協力体制を作っていたのだと思います。日本でブルベを走る時は大半が単独走。ましてフランス語でまともにコミュニケーションが出来ないので、他のライダーの考えていることを理解するのに苦労しました。
コースは224㎞、序盤の60㎞をクリアするのに4時間近くかかりました。このスタートから4時間の間にいくつかトラブルが。まず、パンクです。夜明け前の暗いダートを下っている時に路面がよく見えず、サイドカット。幸い1㎝程切れただけなので裏からタイヤブートを当て、チューブ交換して10分程度で復帰。コンクール前から2年近くエキストラレジェタイヤを未舗装路で使っていますがパンクしたのは今回が初めて。路面が見えなかった事と緊張して焦っていたのだと思います。
午前5時頃、最初のトラブル。パンク修理をしている間に6人ほどの集団に追い越される。

 

次にボトルの紛失。パンクした場所から5㎞程、牧場の脇を通るダート区間通過後にダウンチューブに目をやると、まだ飲んでいないボトルが消えていました。この区間も凹凸が激しくバイクコントロールに夢中でボトルが飛んでいくのに気が付きませんでした。まだ200㎞以上距離を残している状況でボトルが1本無くなるのはまずいです。日本ならば山中の集落でも自動販売機でペットボトル飲料を入手することが出来ますが、フランスの山村に自動販売機なんてありません。結局、飛んで行ったボトルは見つかりませんでしたがペットボトルの水を入手して解決しました。フランスのサイクリストの多くが満タンのボトルを2本携行している理由がわかりました。家を出ると日本のように簡単に飲料水が手に入らない場合があるからです。コンクールのマシンには3本携行している例もありました。
3つ目のトラブルは落車です。はい、恥ずかしながら落車してしまいました。約40㎞地点のウェットな未舗装区間走行中、フロントを泥にとられて転びました。幸いスピードが出ていなかったので、自転車と体は無事でした。わずか40㎞の間にトラブルが3回。この区間は他のライダーもパンクが頻発していました。

もともと設定されていたコースは藪漕ぎ。試走で通過困難なことが発覚。迂回路に設定された下りも過酷だった。
予想通りコースは変更になり、迂回路に設定されたのはMTBコース?!
迂回路通過後に泥区間で落車。左肩から落ちたが幸いケガは無かった。
コース上のわかりにくい場所にはガイドが設置されていた。

 

起伏に富み、未舗装路を多く含む初日のコースではフロントシングルのドライブトレインが活躍しました。フロント41T、リア10S 11‐36Tの組み合わせは、必要十分なギア比を提供し、フロント変速の煩わしさから解放してくれます。舗装路のみで効率よく走るのであればフロントは2枚、リアはクロスレシオな構成のものが扱いやすいです。しかし、未舗装路を走る場合はチェーン落ちのトラブルが少なく、操作がシンプルなフロントシングルは非常に有効だと感じました。

本戦用は41T、予備車は37T。

 

電装関係も軽さ重視で、ドイツ製のべロジカルとグランボアの完成車に多く使っているサンヨーの砲弾型LEDランプを使用しました。べロジカルのダイナモは駆動時の抵抗がわずかで、リムが濡れていても安定して作動します。サンヨーの砲弾型ランプは明るさの点ではシュミット等の高価なライトに劣りますが、ボディが樹脂製ので非常に軽量です。ただ、想定外だったのは未舗装路の割合が高く、暗い時間帯に荒れた林道を下ったこと。この状況下ではより明るいライトが必要だと強く感じました。もちろん、舗装路のみで普通のツーリングをするには十分な性能ですよ。

べロジカルとサンヨー製砲弾型ランプの組み合わせは非常に安定していた。

コース中盤、道を見失い他チームのライダーと共に森の中をさまよった。
コース南側のチェックポイント3は町のパン屋さん。
クッキーとジュースを補給。ジュースは炭酸入りを選んだつもりがそうでは無かった。
初日終盤のダート区間。走りにくそうに見えるが650×36Bのリエールなら大丈夫。

 
 

さて、コンクール前から注目を集めた徹底的に肉貫きされたRメカ。ご存知の方も多いと思いますが、初日の終盤に壊れてしまいました。

ダート区間が終わるまではトラブル無く作動していたが…
 

197㎞地点のチェックポイント5に到着したとき自分は先頭から6番目くらいに位置していました。到着して他のチェックポイント同様にスタンプを貰おうとしたところ、主催者から「全参加者が想定外に時間がかかっているからこの先のコースは無し。最短ルートでゴールのアンベールへ帰るように。」と通達されました。ここまで序盤に3つ起きたトラブル以降、問題なく走ってきたのでゴールまでの舗装路はウイニングランのようなものです。気持ちも軽くなって出発しようとしたところ、ペダルに体重を乗せるとクランクが回りません。Rメカ周りを見るとガイドプーリーからチェーンが脱落してプーリーゲージとの間に挟まり、チェーンに引っ張られてRメカが上を向いています。周りにいたコンクール関係者はRメカが壊れて走行不能になったと思ったのか、「チェーンカッターあるか?シングルスピードにしたら完走できるぞ。」と工具を差し出してくれました。「コンクールのルールはどうなったの?」と思いながら「まだ丈夫!」と言ってRメカを観察。幸いこの時点でRメカは破断していなかったのでチェーンを掛けなおし、少し広がったプーリーゲージを手で治しました。どうやらクランクを逆転させるとチェーン落ちが再発するので、ここから先はそれに気を付けてRメカの機嫌を窺いながらアンベールに向けて下っていきます。
チェックポイント5到着。ここまで一緒に走ってきたライダーと共にゴールへ向かおうとしたが問題発生。
 
下りで回している最中も歯飛びが起き、嫌な予感がしてきました。一度路肩に停まってRメカを確認。この時は目に見えた異常はありませんでした。「ここまで来たんだから言うこと聞いてくれ…」とぼやきながら緩やかな勾配を下っていきます。ちょうど下り勾配が登り基調に変わり、T字路になっているところでクランクがいきなりロック、前転しそうになるのをこらえて停まりました。サドルに跨ったまま後ろに目をやると、Rメカがチェーンに巻き上げられるようにして千切れています。ガードのステーも巻き込まれて曲がってしまいました。
プーリーゲージにチェーンが詰まり、引っ張られる形でピボット部分が破断した。
 
 
チェーンカッターは携行していないのでミッシングリンクを解除することは出来ても短く切ることは出来ません。「終わった。」思わず独りで呟きました。追い打ちをかけるように雨が降り始め勢いを増していきます。途方に暮れ、リタイアするつもりで親方に電話。アンベールの町まで18㎞、大きな登りはなく下りと平坦ですが何時にゴールできるかわかりません。雨の中30分程立ち尽くしていると親方たちが乗ったバンが到着。親方は車を降りるなり「チェーンを石で切ってSSで完走しろ!」と一言。「石で?!」と訳が分かりませんでしたがどうやら2.5㎜の六角レンチをチェーンのピンに垂直に当て、石で叩いてピンを押し出すとのこと。大介店長は実際にやったことがあるそうです。ミッシングリンクを解除してチェーンを地面に寝かせ、万力を込めて工具を叩きました。何度もトライしたのですが、雨で濡れて手元が滑り上手くいきません。結局、たまたま(?)近くに落ちていたチェーンカッターを見つけ、チェーンを短くしてミッシングリンクで繋ぐことが出来ました。
そこから先は雨を切るようにダウンヒルをこなし、アンバールの町まで続く直線道路を時速20㎞ほどで踏み続けます。スムーズに回るチェーンとスプロケットの組み合わせがなかったのでペダルから伝わる感触は非常にぎこちないです。ゴールまで残り2㎞程でしょうか、追いついてきたライダー2人が「ついて来いよ」とハンドサインを出してくれたので後ろに付きました。そこからゴールまでは競輪のようにペダルを回してくらいつきました。何せ先頭を引いているライダーのギアはアウタートップ。ゴールまであっという間でした。
雨に背中を押されるようにダウンヒルをこなす
 
 
どうにかゴールできましたが「Rメカが無いから明日以降のステージは走れないな。今日でリタイアか…」と思っていました。しかし、検車時に主催者から驚きの一言が。「Rメカ交換して明日も走っていいよ。交換作業はライダーじゃなくても良し。」明日も走れるので嬉しいのですが複雑な気持ちでした…
ゴール後の検車風景。この後、Rメカ交換OKの通達を受ける。
 
 
 
 
初日でRメカが破損してしまいましたが、収穫はあったと思います。まず、グランボアのコンクール用バイクは3日間のテクニカルトライアルに耐えられるギリギリを狙ってカーボンパーツを使わずに軽量化を行いました。(携帯ポンプのみカーボン製です。)結果的にRメカが破損、SSにしてどうにか完走出来ましたがコンクールのルールを厳密に適用すれば初日リタイアです。次回も同様のコースで開催するのであれば、より耐久性の高い部品を使って走るのが完走につながると思います。フロントシングルは軽量化にメリットがあると書きましたが改善点はあります。軽量なサンプレ製シフトレバーは引きが重く、レバー本体が華奢なので慎重な変速操作が求められました。予備車にはヨシガイ製11S用シフトレバーが付いていたのですが、こちらはフリクション式でありながら引きが軽く、シマノ製チェーンとカセットの組み合わせで快適な変速ができました。起伏の多い未舗装路を走り続けるのであれば楽に変速できることは数十グラムの軽量化よりもメリットが多いと感じました。
サンプレのシフトレバーは軽量化に貢献しているが、慎重な扱いを要する。
 

 

 

2日目は並行開催されているサイクリングイベントのヒルクライムレース参加と、地図を元にチェックポイントをまわるオリエンテーリングのような課題でした。初日と同じスタート地点をモトの先導で出発、一般参加者と共にヒルクライムのスタート地点まで集団走行です。密度の高い集団走行はさながらツールドフランスのようでした。

ベール峠ヒルクライムスタート地点。コンクールのライダーは一般参加者の後にスタート
ヒルクライム開始後は自分のペースで淡々と上りました。心拍計を使ったことがないのですが、7割くらいの心拍数をイメージしてペースをコントロール。それにしてもコンクール用軽量車はよく登ります。普段乗っているtypeERと比べ物にならないくらい登坂が楽でした。typeERでブルべを走っているとロードバイクに比べて登坂が苦手だったのですが、この軽量車はそうではありません。
標高を上げるつれ濃い霧に包まれましたが、気分よくペダルを回しているうちに峠につきました。峠で課題の荷物を選択。一度は丸太を選びかけたのですが、かなり大きかったので煉瓦とチェーンのセットに変更。フロントバッグに入れるとずっしりと重く感じました。ベール峠へのヒルクライム。シビアに淡々と走るライダーもいれば、会話を楽しみながら登る人もいる。
 
 
煉瓦をフロントバッグに入れて意気揚々と再スタートを切りました。僕が選んだCP2へのルートは最短かつ起伏の少ない尾根を行く未舗装路。積み荷を選んでいる間に同じ方向へ行くライダーがいたのでどうやら僕だけでは無さそうです。煉瓦を入れて重くなった自転車で尾根を登っていきます。雨脚は強まり、心なしか足取りも重く感じます。先程までの軽快感はどこへやら、ペースが落ちているのは荷物のせいだけではなさそうです。。ここに来てレインパンツも持ってくるべきだったと軽く後悔しました。それでも登り基調なので脚を回していれば耐えられなくはありません。吹き付ける雨の中、ジリジリと進んでいくと20~30m先に行く手を阻むように門が見えました。そうです、前日の下調べで確認していたレーダーサイトです。予定では今来た道をそのまま直進するはずでしたが、どうやら道は門の奥へと続いています。軍関係の施設のようで近寄りがたい雰囲気です。ここで直進をあきらめ、来た道を下って引き返します。引き返せばレーダーサイトの西方を迂回する小道があるはずでした。下り始めると急激に体が冷えてきました。打ち付ける雨に指先の感覚がなくなり始めます。寒さに震えてレーダーサイトの迂回路を探すことは眼中になく、下り続けてベール峠まで戻りました。
霧と風雨の中突如現れたレーダーサイト。ここで一旦来た道を引き返す。
リタイア直前、稜線上の道路で撮影。風雨の中走り続けるには装備が足りなかった。
 
 
峠に戻るとこれから荷物を積んで走り出すライダーのグループが残っていました。話しを聞くと、僕と同じコースでCP2を目指すようです。雨の吹き付ける稜線へ戻るのは嫌でしたが、一人で別ルートを走る余裕がなかったのでグループに入れてもらうことにしました。下ってきた道を再び登ります。ベール峠のヒルクライムは飛ぶように登れたのに、今は他のライダーについて行くことが出来ません。結局、10分程行動を共にしましたが体がもたないと判断し、近くのライダーに「寒くて動けないから引き返す。ここまでありがとう。」と伝えて再びベール峠へ戻りました。
ベール峠に引き返しレストハウスで新聞紙を貰って暖をとる。
 
 
峠に戻るとヒルクライムイベントも終了し、大会関係者がゴールアーチの片づけをしています。撮影で先回りしていたはるみさんと大介店長がいないか探しましたが、寒い峠に長居しているはずがありません。コンクールのライダーも最後尾は行ってしまったようです。震えながら峠のレストハウスに入り、新聞紙とコーヒーを貰って椅子に座ってこの先どうするか考えました。体の震えを止めようと、新聞紙で濡れた足を拭きますが改善せず、この状態で再びサドルに跨ることは不可能に思えました。しかし、これが個人的に参加しているブルべなら判断は容易いのですがグランボアのライダーとして参加している以上簡単に諦めるわけにはいきません。新聞紙を腹に入れ、再びドアを開けて自転車に向かいました。雨はまだ止んでおらず、少し前まではヒルクライムイベントの関係者が峠付近にいたのですがその人影もまばらです。サドルに再び跨ったものの、体は震え続けて脚は動きませんでした。このままだとコンクールのコース完走はおろか、自力でベール峠を降りることも難しいと考え、ヒルクライムイベントの関係者に訳を話して回収車に乗ってアンベールの街へ帰りました。

リタイアを決めた時のベール峠。約1時間前に通過したゴールアーチは畳まれ、雨が降っている。
 
 
二日目のリタイアは自転車の問題ではなく、ライダーである僕自身が環境に耐えられなかったことが原因です。標高1400m、気温6度、稜線場を風雨の中進み、体が凍えて動けなくなってしまいました。フロントバッグの中に長袖のジャージと膝下までおおうレインパンツ、長指グローブがあれば2日目の完走は容易だったと思います。周囲のフランス人ライダーは暖かい服装で雨の中を進んでいたので2日目の感じ方は大きく違ったことでしょう。日本でも山岳地帯を走るときは装備にマージンを持たせて挑むもの。この時は荷物の軽量化を優先し、その姿勢が欠けていました。フロントバッグの中は煉瓦を入れてもまだ余裕がありました。悔やんでも仕方ありませんが、サポート無しの自己完結が求められるサイクリングでは”万が一”を想定することが重要だと痛感した次第です。もし、次回参加することがあれば今回の経験を活かして余裕を持った走りをしたいです。

まえの

7月1日(日曜日) 曇り。

この日は予定されていた8時からの20kmほどの走行テストはキャンセルとなり、同時開催中のイベントと一緒にスタートするベール峠を巡る走行テストも距離が短縮されました。

 

前日に渡されたチェックポイントが記された地図。

コース短縮のため、3番目のチェックポイントは無しになりました。ベール峠の1番と、その南東に位置するクロワ峠の2番の間を独自でルートを決め、走行します。そしてこの日の課題として1と2の間か、2と4の間でスタッフから渡される3.3kg程度の荷物を次のチェックポイントまで運びます。渡される荷物の内容は未だ知らされていません。

幾つかルートはありそうです。ベール峠から北へ向かう舗装路のルートは迂回路となり、ずいぶん距離が伸びそうです。またはベール峠をもう一度下り、逆方向からシューペール峠に向かうか。。。チョコと親方が事前に決めたルートはベール峠から稜線沿いに最短で2番に向かう、ダートを含むルート(ピンクの線)でした。

 

スタートは予定通り9時45分。

一般の参加者と一緒に本部前からスタート。

 

 

この日、親方とKさんは同時に申し込んでいたブースに立つべく、本部で待つことになりました。私と大介店長は金曜日の晩から合流したフランスの友人ジャンフィリップの車でチョコを追いかけ、写真を撮る算段です。今日はそれほど距離も長くないし、ダート区間も少ないはず。前日の走行後、リアメカの交換も含め、最低限の整備はできていたので自転車自体も万全です。

誰もが楽しい一日となることを信じてワクワクしていました。

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ライダーたちのスタートを見送ってから、しばらくしてから車で追いかけます。

 

あ、チョコ発見。

良い顔してます。

 

中腹あたりはまだ下の景色もきれいに見えていました。。。

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標高を上げるにつれ、だんだんと雲の中へ。冷たい雨も降ってきました。

登りの途中にもかかわらず寒く感じるのか、上着を羽織ろうとするライダーもいます。峠まではあと少しです。

 

すっかり雲の中のベール峠。

 

峠で待つコンクールのスタッフも寒そうです。

ん、あれに見えるのは。。。

 

本日の課題の荷物!

薪ですか。。レンガもあります。

早く着いたライダーにはどちらか選択できるようです。この2つだと当然レンガのほうが積みやすそうです。薪は形も重心も均一ではないですからね。

 

 

 

さて、元気に峠に着いたチョコ君は、

 

え、薪ですか???

これは写真のみ。このあと、レンガに変えてもらいましたよ。

 

 

そして、その後、予定通り稜線を行く最短コースに向かいました。少し前に同じ道に向かうライダーを確認していたチョコは何のためらいもなくその道に入っていきました。

チョコが峠を後にしてからも続々とライダーたちがやってきます。

そう、チョコはここまではとても速いペースで来ていたのです。

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そして、私たちは2番のチェックポイント付近のダートの出口でチョコを待つことにしました。う回路と合流するポイントでもありました。

ところが待っても待ってもチョコがやってきません。多くの地元のライダーたちが距離が延びるう回路を選択しており、時折目の前を通り過ぎていきます。。。

大介店長は「1時間から1時間半くらいで来るはずです。」と言うのですが。。

 

気温は7℃。峠では6℃を指していたのを記憶しています。

そうこうしているうちにチョコより先に最短コースに向かったライダーが目の前を通り過ぎてゆきました!

 

 

よし! もうすぐだ!

だけど、チョコの姿は見えません。

小雨降る中、コースを辿り撮影ポイントを探したりしていましたが。。。

 

「これは、おかしい。」

先に出てきたライダーから3分も経たずしてチョコもスタートしています。こんなに遅れるのは何かあったんだ。

親方に電話を入れ、状況を確認してもらうよう伝えました。

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ほどなく、親方から電話があり、チョコがすでにリタイアした件が伝えられました。

「もう、チョコはバスに乗ったから。まっすぐこっちに戻ってきて。」

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2日目のリタイアは誰も想定しておらず、呆然としてしまいました。この日の途中リタイアは間違いなく総合順位から外れることを意味します。

何があったのでしょう。

転んだのでしょうか。。

自転車のトラブルでしょうか。。

 

結局、チョコが向かったルートの先にはレーダ基地があり、道はその中へと続いていて閉ざされた門扉で行き止まりとなっていたそうです。右に迂回すればルートはあったはずなのですが、雲の中、チョコはその道が見つけられず、いったん峠まで引き返してしまいました。いったん上った稜線の道を下ってくる間、遮るもののない風と雨で体が芯まで冷え切ってしまったようです。それでも峠の茶屋で温かい飲み物をもらい、新聞紙などで濡れた体をふいて、小さな集団について再度同じルートに向かったそうなのですがその集団にも遅れるほど体が動かなくなっていたそうです。親方に電話を入れようにも電波はなく、自身の判断でリタイアを決め、回収車で本部まで戻ることとなりました。

 

 

この日に関しては私たちが皆がそれぞれの立場で反省すべき点があり、チョコはもちろん、親方も私たちもみなそれぞれで悔やんでいました。

「もっと前の日にちゃんと一緒に地図を見てやればよかった。。。」

「温かいものでも用意しておけば良かった。。」

「峠の状況でルートの変更も考えるべきだった。。」

「もっと、緊張して、いろんなことを想定して準備しておくべきだった。。」

 

ちょっとしたことでクリアできた事なだけに残念ですが、仕方ありません。唯一良かった点はチョコが無事に戻ってきたこと。それが何よりなんですけどね。良い経験となりました。

#concoursdemachines2017

つちやはるみ

6月30日 コンクール2日目

朝2起床、4時のスタートに間に合うよう出発し、前の日に車検をした倉庫へと向かう。未だ暗い中、たくさんの人が既に集まっています。この日は事前に登録したチームメイトたちも走る事ができるので参加チームの人数よりも多くのライダーが準備に集中しています。グランボアチームからはチョコとUさんの2名が参加しました。

パイロットたちはそれぞれ緊張した面持ちで自転車のチェックをしたり、ライトのチェックをしたり、GPSを合わせたり。

試走をして、ある程度ルートを把握している2人はこの後の一日が過酷なものになることは既に分かっています。先日、問い合わせたルートはどうなっているんだろうか。。初めてのフランスで暗いうちからのスタート。ちゃんと完走できるだろうか。パンクや機材トラブルにちゃんと対応できるだろうか。不安でいっぱいだったと思います。

そんな中、スタートは予定通り始まり、2分おきにコンクールマシンのパイロットたちから2人づつ暗闇に消えていきました。

 

チョコはペアとなったパイロットと何だか談笑しながら和やかにスタート。

こちらはチームメイトで参加のUさん。少し硬い感じ。

無事スタートを見届け、私たちは次のポイントまで車で先回りです。

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ここで最初にお見せした走行予定ルートをもう一度ご覧下さい。

私たちが最初に待っていたポイントは23-24キロ地点のD996から分岐するところ。向かいの小山の中腹あたりからやってくるライダーたちのヘッドライトがちらちら見えます。

最初に暗闇から現れたのはこの3人でした。

 

そして、ポツポツとライダーたちが通過していきます。明るく見えますが、まだ牛たちも起き出す前です。私たちがしゃべってたりするとちょっと迷惑そうな顔でこっちを見てるんですよ。

 こちらは昨年の優勝チームVictor Cycles。

 

空が白々と明るくなった頃、チョコがやってきました。相変わらずニコニコしてますねー。元気そうです。

「暗くて最初のダートでパンクしちゃいました。あとボトル1個飛んでっちゃいました。。。」

おぉ、序盤から大丈夫ですかね。。。

 

こちらは小さな集団となってやってきました。先頭の白いウエアの方はFee du Velo の女性のビルダーさん。自身3本目となるフレームを組上げて自らパイロットとなり参加されています。かわいくて、カッコ良い方でしたよ。

 

 

そして、Uさん。チョコから少し遅れてやってきました。

「いやー。皆、パンクしていたおかげでいくらか追い抜けたよ。」と。

ちょっとキツそうですがUさん自身はパンクは無かったようです。それにしても後から聞くとこの序盤の暗闇のダートのセクションで多くの自転車がパンクしてしまったようです。チューブレスでパンクして大変な目にあったライダーもいたと聞きました。50キロ走るのに5時間かかったとか、この日の難関は序盤にあったようです。

 

Uさんは60歳+α。古くからのお客様で、チョコのブルベの記事を目にされてブルベに興味を持たれたんです。このコンクールにグランボアが参戦すると聞いて即「同行したい!」と強く希望され、ご一緒することとなりました。そして、どうせ行くんだったら走ったほうが良いでしょう、と、このチームメイトの枠があることを知った親方がUさんにお勧めしたんです。2日間で400km近く走ると聞いて最初は驚かれたUさんでしたが、お仕事の合間を縫って練習され、体も絞られて、この日に臨まれました。結果、十分距離はこなせるようにならたのですが、こんなにダートが多いとは。。。ダートはあまり経験がありません。なんとかマイペースででも走り遂げられますように!

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*

ところが、Uさんが通過するのを見届けて次のポイントへ移動する途中、道中にあるアンベールでの我が家に立ち寄っている時に電話が入ったのです。

「良くない知らせです。」と電話の応対をしてくださったKさんはUさんがダートで転倒されて救急車で搬送されたそうだと私たちに告げました。

コーヒーでも飲んで一服しようとしていた私たちは慌ててまた車中に戻り、知らされた場所に向かいました。今はほんと便利ですね。場所を知らせるのに地図情報がGPSを通して送れますから辺鄙な場所でもとても正確に相手の居場所がわかります。ですが、土地勘がない私たちは大きめの車でなかなかうまくたどり着けません。結局1時間ほどを費やしてたどり着いた場所には救急車が2台と7-8名ほどの救急隊員、そして、レース中にもかかわらず付き添ってくれていたグルノーブルのショップ、Edel bike のパイロットとそのチームメイトが待機していてくれたのです。私たちに連絡してくれたのも彼らでした。私たちが到着したのを確認してすぐにレースに復帰していきましたが、レース中にもかかわらず付き添っていてくれた彼らにはホント感謝です。

そして、Uさんはというと搬送されずに待っていたという事は重症ではなさそうです。ひとまずホッとしました。救急車でアンベール唯一の病院に向かい、私たちは後を追いました。

検査の結果、骨折などはなく、肩~肩甲骨部にかけての打撲でした。それに、幸いなことに自転車もほぼ無傷だったのです。

「いやー。レントゲンのお姉さん、かわいかったなぁ。連絡先聞いとけばよかった。」なんて冗談を言っておられましたが、心も体もかなり痛かったことと思います。ダートの下りで前輪がバーストしてしまい、飛ばされてしまったそうです。スピードも出ていたようなので大怪我にならなくてホント良かった。疲れていたのと、試走ではまったくパンクしなかったので少し油断されたのかもしれません。

 

*****

ところで、フランスで救急車呼ぶと治療費はどうなるんだろ。。

フランスでは救急車は現場で処置が出来るドクターが同行する救急車を呼ぶと10万円程度請求されるそうですが、それ以外は基本的に無料だそうです。外国人の場合はパスポートの提示を求められ、今回のケースは恐らく検査と診察の費用が1月後くらいに本人宛に請求がいくとの事。お薬は痛み止めと筋肉の緊張をほぐす塗り薬が12日分ほど処方され、院外薬局で2000円弱ほどでした。海外で医者にかかるとすごい額の請求が来る話は良く聞く話ですが、今回はそれほどでもないようです。

*****

 

診察を終え、お薬をもらってUさんを家まで届け、サポートに復帰したのがお昼ごろだったと思います。先頭は一体どこにいるのでしょう。チョコは? コースは牧場の中や森の中、峠の尾根伝いのダートなど、車でトレースできない道ばかりです。走り始めて8時間以上が経過していることを考え、170km地点あたりで昼食をとりながらしばらく待っていましたがコンクール関係の人と出会えません。

来たら撮影しようと待ち構えていたのですが。。。

 

 

 

おかしいなぁ。遅れてるのかな。。

120km地点の第3チェックポイントのパン屋さんへ行ってみることにしました。すると、それらしき人たちがチラホラまだこの地点をまだ走っています。パン屋さんで聞いてみると、

「プティジャポネは随分早く通過したわよ。(仏語)」とのこと。

あー。完全に行き違ってしまいました。とりあえずもう、ゴールに行ってみよう。

 

 

 

誰も到着していないゴールで待っていると親方の携帯が鳴りました。いやな感じ。こんなときの電話は大抵悪い知らせです。1日に2度は最悪だ。

 

電話の相手はチョコでした。

「ゴールまであと18kmの地点でリアメカが壊れてしまいました。。。」

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*

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確かに悪い知らせではありましたが、チョコが見つかったのと、怪我をしたわけではない連絡で皆ホッとしました。駆けつけてみると、

リアメカが完全にもぎ取られてしまった自転車としょんぼりしたチョコが待っていました。。巻きこんでしまったのでしょうか。。。ステーも大きく曲がっていますが、こちらは修正すれば何とかなりそうです。それに、あと残りの18kmは下りベースのほぼ平坦なのは来る道中に確認済みです。。

親方 「リアメカ外してシングルにするぞ。」

チョコ 「でも、チェーン切が。。」

一応、ルールでは競技中は申告した工具しか使う事ができません。しかもパイロット本人が修理に当たる必要があります。

大介店長がした事があるとの事で、平らな石と2.5mmの六角でチェーンのピンを外そうともしましたが、チェーンが壊れたのではどうしようもありません。仕方なく、ポケットのチェーン切をチョコの足元に誰とも無く置きました。チョコはそれを使ってチェーンを繋ぎなおし、コースに復帰することとなりました。

 

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厳密に言えばこの時点で我々はリタイアなのですが、結果は1日目は7位と順位がついていました。それに、この日終わってからも修理、交換が認められ、2日目も走る事が許されました。何度も書きますが、コース上はサポート車がトレースすることは難しく、パイロットたちがどんな風に走っていたのか確認する事ができませんでした。チェックポイントでなくした水の補給を受けたり、スタッフの方から工具使うかと聞かれたり、割とゆるーい感じでルールの運営がされていたようです。コースにしてもショートカットしようと思えば出来る箇所はいくつもあり、抜かれた覚えの無い人が前にいたりなんてこともあったとか。

今回は特に予想以上の厳しいコースにトラブルが相次いでいました。後半の峠ひとつ分は早々にキャンセルとなったのですが、16時前後で170km地点にいる人もいれば未だ120km地点にいる人もいる状態。苦肉の策でしょうが、最終的には時間がかかりすぎていることを理由にそれぞれがいる場所からショートカットしてゴールまで帰ってくるようにと指示が出ていました。そして、それによる順位や平均速度が変わったとしてもペナルティは課さないとの通達です。????

*****

 

何はともあれ、リタイアを覚悟していたチョコ君はまた走れる事が分かると水を得た魚のようです。しばしチョコ君のカッコいい姿をご覧下さい。

ゴールは17時15分くらい。

集まっている人たちはゴールした人もいれば途中リタイアの人もいるようです。途中、Uさんを助けてくれたEdel bike のパイロットの姿も見えますが、リタイアしてしまったようですね。ただでさえきついコースなのに気温も上がらず途中雨が降ったりしていましたから。

下はチョコが実際にこの日走ったログです。

道に迷ったあともありますが、忠実に予定コースをトレースしているのが分かっていただけると思います。チョコは190km地点の最終チェックポイントで最短コースでゴールするよう言われたそうです。

実際に走ったチョコのレポートはまた後日。

すごい長編になりますね。

#concoursdemachines2017

つちやはるみ

2日目のレースのお話の前に少しできていなかった自転車のお話を。スミマセン。レースの話を早く知りたいですよね。ですが、今回のグランボアのコンクールマシンの軽さの秘密は自転車だけではありませんから。それにバッグやツールも重要な役割を持っています。

 

 

【フロントキャリア】

形は丸みを帯びたデザインがかわいいグランボアのTypeER用と一緒です。6mmのパイプを使った小さめデザインのERキャリアはそれだけでも軽量なのですが、今回作ってもらったコンクール用は特別にパイプの厚みを通常の1mm厚のものから0.8mmと薄いもので作ってもらいました。昔の蔵王用のパイプがわずかに残っていたのですね。
ちなみにERキャリアのこの形状はER輪行(フォークを抜かずに輪行)をするとき邪魔にならない、だけどバッグはシッカリ支える絶妙な大きさなのです。

 

 

 

【フロントバッグ】

コンクールでは、自転車の重量だけではなく、バック+工具・スペアパーツを含む総重量が10.5kgを基準にして、重いか軽いかという点でポイントの加点・減点があります。さらに、それだけではなく、コンクールのレース2日目では、事前に知らされていないコントロールポイント間を主催者から渡される荷物(3.3kg)を運ぶというルールがあるのです。昨年の荷物は3.3kgの雑誌だったそうです。今年はどんな形の荷物を運ぶことになるのかはその場ではじめて知らされる仕組みになっています。昨年同様雑誌サイズの荷物を運ぶことも想定してバッグも自転車同様デザインしなければなりません。グランボアのこだわりは全体の雰囲気を壊さないデザインと重量です。

 

今回、どこで作ってもらうかいろいろ考えましたが、日頃グランボアのカスタムバッグを作ってもらっているBACCHAUS(バコーズ)さんにお願いすることとなりました。自転車のことでかかりきりでバッグの事に取り掛かれたのはコンクール1か月前を切っていました。こちらの趣旨をよく理解してくださり、すごく短期間で親方の考えるバッグを具現化してくださったのがバコーズさんだったのです。最初の試作に、手直しに、更にもうひとつ本番用と、何度も快く対応してくださいました。しかもわざわざ東京から状況確認のためにお店まで来てくださったんですよ。ありがとうございます。

最終的に採用が決まったバッグがこちら。一見普通ですよね。


クラシカルな雰囲気。コンクール用にサイドポケットやキャリー用のD環などは省いていてすっきりしています。でも、帆布×レザーだとナイロンのバックに比べて重たくなるのでは・・・?

気になる重量はというと・・・

289g!!!

従来のジルベルトゥ製のグランボアのフロントバックの800gと較べますとかなり軽く仕上がりましたね。帆布、ハンドルに固定するベルト、縁取りのレザー、内側の補強などすべての素材、サイズなどを見直してこんなに軽いフロントバックが出来上がりました。

 

そして、3.3kgの雑誌をどうやって積むのかというと・・・

なんと上蓋がストレッチするんです!!!
引っ掛けるゴムを出す位置が2か所設けられていて、たくさんの荷物でバックが膨らんでしまったときは下側からゴムを引っ張る(上の写真の状態)と上蓋の面積が広がる仕組みです。親方が思いついたこのゴムの掛け方は最小限の工夫で大きな効果を生み出すこととなりました。使い方は是非実物をご覧いただきたいと思います。簡単な仕組みですが画像や言葉で説明するのは少々野暮な感じです。

 

強度も充分。

試走でチョコに3.3kgの荷物を入れて走ってもらいましたがとても安定していたそうです。

 

【工具/補修パーツ】

これらもグランボアは手を抜きません。レースだけを取れば必要ないものもあるかもしれません。ですが、ツーリングの際は必ず必要です。そして、何のためのコンクールかと考えればここでも手を尽くす必要があると考えます。

チューブとニップル回しは普段からグランボアで使用しているものです。

ポンプはチョコがネットで探してきたものですが、国産で非常に軽量で良くできています。

チタンのキーセットは今回RUNWELLさんでお世話になりました。通常、3/4/5/6mmのセットのところ、グランボアでは3mmを2.5mmに代えて貰いました。チドリがちょうどそのサイズなのです。

 

つちやはるみ

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