レストア技術のご紹介

タンデムには前後2つのボトムブラケットがあります。そしてキャプテンとストーカを繋ぐチェンのテンションをとるためにエキセントリックハンガーという仕掛けが使用されています。一方のBBを大き目に作られたハンガーの中で回転させて前後に位置をずらしてチェンの長さにアジャストする仕掛けです。
このフレームの場合キャプテン側のBBにその仕掛けがついていて、エキセンハンガー本体だけが残されていました。勿論このハンガーはエルスオリジナルのSKF製シールドベアリング仕様で、ボトムブラケットも専用になります。

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まずはエルスオリジナルの50年代タンデムクランクセットをイーベイを通じて確保しました。

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これに対応するBBですが、キャプテン側はレストア用のストックからトリプルに使える120mmのセットを確保しました。

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問題はストーカ用のシャフトです。これは作るしかありません。運よく店のストックにストロングライトのタンデム用の134mmのシャフトがありました。これを普通のワンを使ってガムテープでストーカ側のハンガーに固定します。そしてキャプテン側にもBBとチェンホイールを取り付けて、チェンにストーカの右クランクが支障しないことを確認してからシャフト寸法を決定しました。このストロングライトのシャフトとエルスのオリジナルシャフトを見本にして、昔からお世話になっている加工屋さんへ外注しました。

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加工の途中でシャフトを持ってきてもらい、現品クランクとのテーパーの嵌め合いを確認します。入りが浅かったのでもう少しテーパー部を削ってもらい、最後に焼き入れをしてシャフトは完成しました。

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ベアリングはフランス製のSKFがまだ入手できます。

これでBBはOK。

親方


スペックは決まりましたがパーツ集めは大変です。
まずはヘッドパーツ。

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希望スペックではストロングライトとしましたが在庫のストロングライトのタンデム用ヘッドセットを調べてみると

 

 

 

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上下ワンとも34mmの上、クラウンレース部の内径は30mmです。

今回のエルスタンデムのフレームは上ワン部が30mmで下ワンは34mm、クラウンは31.5mmなのでまったく合いません。

 

 

 

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ヘッド小物は元々ついていたメーカー不詳のセットを再メッキして使用することにします。ただロックナットはストロングライトのカニ目タイプに変更です。

 

 

 

 

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今日はここまで。

親方


2014.07.06

スペックは

フレームナンバー12550。この50年代のエルスのタンデムフレームを完成車の状態に戻すとなると、パーツ構成はおのずと決まってしまいます。

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ヘッド小物      ストロングライト タンデム
ボトムブラケット   ルネエルス タンデム
チェンホイール    ルネエルス 旧型 タンデム
ハブ           マキシカー タンデム グランフランジ
リム           グランボア パピヨンビンテージ 650B
ウィングナット      ベル
タイヤ          グランボア 650×42B
フリーホイール      モエン 5V
リアディレイラー     シクロ ランドナー 5V
フロントディレイラー ルネエルス ロッド式
チェンジレバー      ルネエルス
チェン        レノルド
ペダル        リオター 460D
ブレーキアーチ    ルネエルス
ブレーキレバー    マハック
サドル         イデアル 60 アルミベース
シートピラー      エルスレプリカ
ハンドル        グランボア 平行マースバー
ステム         キャプテン:エルスレプリカ ストーカ:ルネエルス
バーテープ      ニス
マッドガード      本所 H80
ヘッドランプ      JOS 663CV
テールランプ      JOS FCC ウロコ
ダイナモ        JOS TypeS

オーナー様からのご要望を入れて出した見積もりでのパーツ構成はざっと以上のようなことになります。ハンドル・サドルやランプ類はオーナー様の好みですが、主要パーツはほとんどルネエルスのオリジナルパーツです。

ヘッド小物とエキセンのBBシェルだけはついて来ましたが残りのパーツをすべて揃えなければなりません。フレームを入手したときに手元にあったのはオリジナルのカンチアーチだけ、当店のコネクションを通じてそしてebayも使いつつパーツを集め始めました。

親方


2014.06.28

今年の一台

今年も昨年同様にタンデムのレストアを行っています。今年はエルス、それもフレームだけでやってきました。

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赤く塗り込められたフレームを塗装屋さんで生地に戻してから、

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今年も2ヶ月を費やして磨きあげました。

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親方


2014.06.21

トゥークロメ

トウークロメとはフランス語でオールメッキのことです。全身キラキラと輝く自転車は美しいものです。エルスやサンジェなど多くの名車と呼ばれる自転車で使われています。でもその再生のためにはとてつもなく手間のかかる作業が必要です。

新車の場合はフレームを作る前にパイプ状態であらかじめピカピカに磨いておいて、さらにフレームになってから隅々まで磨き上げなければなりません。それはそれで手間のかかることなのですが、古くなってブツブツと錆びたオールメッキフレームを元通りのピカピカにするのは半端な作業ではありません。

まずはもともとのメッキを剥離することから始まります。これはメッキ屋さんで処理していただくのですが、この時点で多くフレームはメッキの下で腐食が進行して想像以上にダメージを受けていることが判明します。錆がひどい場合はパイプを押しただけでへこむほど錆が広がってしまっていて、パイプの差し替えをしなければならない場合もあります。そこまでいかなくてもブツブツの穴は深く拡大していることが多く、なめらかな表面を取り戻すためには一つひとつの小さな穴をローで埋めていく作業が必要になります。ブツブツの穴はとても深く一度埋めたと思っても再メッキをかけると浮き出てくることもあり、それが広範囲に広がっている場合はとても厄介な作業になります。

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パイプの錆が補修できたら後はひたすらに研磨です。自転車のフレームのようなパイプの集合体は機械を使うことができない部分が多すぎて、その作業のほとんどは布ヤスリを使った手作業になってしまうのです。粗い番手から徐々の番手を上げていきますので手作業でフレームを磨くと最低1ヶ月はかかります。ですから研磨を職業とするメッキ屋さんでも引き受けてはもらえません。当店では研磨作業に従事する学生アルバイトを確保できるようになりました。おかげでかなりの数のフレームの再メッキを手掛けております。

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昨年レストアを行ったアレックス・サンジェのタンデムはパリの本家サンジェでも断られたものを当店で再メッキしたもので、これはその春に就職が決まったアルバイト学生が卒業までの約2ヶ月をかけて研磨したフレームなのです。まさしく出色の出来栄えでした。

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その他のトゥークロメレストア

ルネエルス ミキスト 40年代

ルネエルス 700C

親方


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