こんにちは、店長の野田です。
本日サイクリングクラブの女の子の納車がありました。
フロントキャンピーを装着したサイクリングクラブ仕様のランドナーです。
旅の相棒を手に入れた彼女はとても嬉しそうで、私たちもワクワクしてきます。
大切にしてくださいね!
さて、私事の報告となりますが、
7月1日の業務をもちましてサイクルグランボアを退職させていただくことになりました。
ご来店のお客様にはお話ししていましたが、突然の報告となってしまいまして申し訳ございません。
私は19歳の時にアイズでアルバイトを始めて今年で10年目となりました。
造形的な美しさだけでなく旅の道具として本質的な美しさをもつランドナーの魅力に引き込まれ、今日まで勤務してきました。
奥の深い趣味の自転車の世界で、アイズのお客様をはじめ先輩方には、数えきれないほどの多くのことを学ばせていただき、また沢山の素晴らしい経験をさせていただきました。
特にランドナー製作におけるノウハウやアイデア、またツーリングの技術には心酔するばかりで、
日々の勉強が必要であることを身にしみて感じております。
私はアイズに入門しこのお仕事に携われたことを光栄に思っております。
本当にありがとうございました。
今後は、今までの貴重な経験を活かして、
故郷の福岡にてランドナーを扱うショップを開業することを決意しました。
まずは、来年の春の開業を目指して準備に専念したいと考えております。
まだまだ未熟で勉強が必要ですが、より多くの方にランドナーに乗っていただける店を目指すために、日々精進したいと思っておりますので、
今後ともより一層のご指導とご厚情を賜りますようお願い申し上げます。
かねてよりの目標である開業準備の為とは言え、アイズを離れることは寂しい思いがございますが、
残りの期間も精一杯やらせていただきますのでご来店お待ちしております!
なお、後任の店長には親方が兼任というかたちで就き、
親方不在時は「なっぱ」こと古市が店長代理として務めてまいりますので、
今後ともアイズバイシクルをご愛顧賜わりますようお願い申し上げます。
電装のカーボンブラシ工作は、私にとって憧れの機構でした。
ヘッドチューブ内に接点を設けることで、回転するフォークとフレームを通電させることができるこの仕掛けは、ヘッドラグ付近からピロンとコードが露出せずスマートな印象を与えます。
そもそもカーボンブラシとはルネエルスの工作の名称であり、その名の通りコラムに組み込まれたカーボンの芯をヘッドチューブ内の真鍮のバンドに接触させることにより通電させました。
ルネエルスの機構 1946年ルシクル紙
ルネエルスカーボンブラシのユニット
コラムへ組み込まれたルネエルスカーボンブラシ(珍しいトップチューブ仕様です)
現在、日本ではカーボンの芯を破損しにくい真鍮などで製作することが多いですが、この機構の事を「カーボンブラシ」と呼ぶのが一般的です。
カーボンブラシはフォークコラムに接点を設けヘッドチューブの内側に真鍮のバンドを圧入する方法(ルネエルス)とフォークコラム銅板を巻き付けダウンチューブに接点を設ける方法(東叡社)の2つの手法が主流ですが、グランボアではフォークコラムに接点を設ける前者の方法を採用しました。
グランボア工房での製作手順を紹介します。
まずフレーム側バンドをフレーム内径に合わせて調整し、バンドにコードをハンダ付けします。
塩ビの絶縁バンドを巻いて慎重に圧入します。
圧入後ハンダ付け部分はコラムに接触しないようにダウンチューブ側に折り返します。
次にコラムへ組み付けるパーツを旋盤で削り出します。
右から真鍮製接点、塩ビ製絶縁パイプ、コラムに溶接する本体パイプです。
フォークコラムにパイプを銀ロウでロウ付けします。
スプリングにコードと接点をハンダ付けし絶縁パイプに通します。
コラムに組み付けました。
フレームに装着後、テスターで通電確認をすれば完成です。
横からの図です。
メンテナンス性とフォーク抜き輪行時のフォーク着脱を容易にするために接点の出っ張りを最小限に抑えています。
カーボンブラシは基本的にフレーム制作時にオーダーするもので後付け加工が困難でしたが、グランボアでは後付け加工が可能です。
電装でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
お預かりしていましたY様のランドナーのオーバーホールが完了しました。
この自転車はオーナー様が学生時代に当店でオーダーされたランドナーですが、部品の劣化により自走不可能な状態になってしまっていました。
今回は転勤先の北海道の大地で、再びサイクリングを楽しめるようにオーバーホールのご依頼を承りました。消耗部品と破損した部品を交換し、学生時代の思い出のランドナーが甦りました。
フロントキャンピー仕様のオーソドックスなランドナーです。
車輪はハブをオーバーホールして新しいスポークで組み直しました。スポーク交換は5000kmが目安です。破れたサドルも新調しましたよ。
破損したブレーキレバーは現行品を装着し、ブレーキシューとケーブルも交換しました。
ケーブルはグランボアではヴィンテージケーブルを標準的に使用しています。ライナー入りのこのケーブルは容姿が良いだけでなく、レバーの引きも軽くなるのでブレーキのアッセンブルに欠かせない存在となっています。
マッドガードは丸型のH50から亀甲パターンのH50Cに変更して、クラシカルな雰囲気に生まれ変わりました。ガードのパターンを選んで遊べる事もランドナーの魅力ですね。
グランボアではご予算に応じて、簡単なオーバーホールのご依頼も承っております。
ご自宅で眠っているランドナーはございませんか。暖かくなる前の今がチャンスです。
ご相談お待ちしてます!
本日は第二日曜日の朝サイクリングデーでした。お集まりいただきました皆様ありがとうございました!
コースは花園駅から保津峡駅まで輪行して、帰りは六丁峠を越えてアイズバイシクルまで戻るコースです。走行距離は10㎞程ですが手軽に輪行ツーリングを楽しんできました。京都もずいぶん涼しくなりましてとても爽やかなランでしたよ。
ベテランサイクリストのF様とK様。長年の経験から随所に工夫が施されたランドナーで見事な輪行を披露してくださいました。
フォーク抜き輪行は組み合わせ方にコツが要りますがコンパクトになります。
次回の朝サイクリングは10月15日(日)。アイズスタート現地解散で秋の訪れを感じられるコースを検討中です。ご参加お待ちしております!
Ⅰ.概要
コンクール本戦第一日目、約200km地点にてリア変速機が破損し、修復不可能な状態となりました。パイロットチョコ君はチェーンを切断し、シングルギアにさせることによって残りの18kmの行程を走破しました。
本項では変速機が破損した要因について究明すると共に、私の見解を申し上げたいと思います。
Ⅱ.変速機のモデファイについて
変速機はマイクロシフトR47をベースに当店で加工を施したスペシャルモデルを使用しました。
加工点について説明します。まず可能な限り分解して、肉抜き箇所はケガキを入れてから穴を空けました。更にボデーを削り込んで全体的に丸みを帯びたフォルムへ成形しました。成形することによっては軽量化だけでなく他のパーツとの(雰囲気を合わせるという意味での)釣り合いを取りました。
ケーブルのアジャスターボルトはボデーのネジを切り直すことによってダイアコンペのアルミ製に変更し、ストッパーボルトはチタン製のキャップボルトに交換しました。
最も大きな改造箇所はピポットです。肉抜きによって露出したスプリングはエンドに空けた穴に直接掛けています。これによりスプリングのテンション調整金具を省略しました。往年の変速機であるカンパニョ―ロスポルトも同様の機構を設けており、ここからヒントを得ました。
プーリーは、オリジナルをベースに加工しました。まずコンクールのみの使用を前提としてブッシュを軽合金製に交換しました。更に両サイドのプレートを省略し、代わりに防水対策としてプラスティックのシールを装着しました。
以上がモデファイした内容です。これを踏まえて破損した変速機を分析したいと思います。
Ⅲ.所見
先ず、破損した時の変速機の状態を確認しましょう。肉抜きしたピポット部分は破断し、本体は後輪ガードステーに巻き込まれていました。この状態から肉抜きに伴うピポットの強度不足による破断が原因のように見受けられますが、プーリーケージ(以下ケージ)を観察しますとケージは左右に広がっていることが確認できます。
パイロットの証言によりますと、第五チェックポイント(190km地点)で下車した際にケージが広がりチェーンがテンションプーリーから脱線していたようです。その為この地点でチェーンを掛けなおし、ケージを補修しています。
つまりプーリーとケージに何らかの異変が起こっていることが考えられます。
Ⅳ.考察
そこで持ち帰った変速機を確認しますと、プーリーにガタツキが確認できました。(元来多少のガタはあるものですが、破損後は大きくなっていました。)
ではプーリーガタツキの原因について究明したいと思います。
持ち帰ったプーリーを分解してみるとブッシュには異常が認められませんでしたが、プーリーの内径が僅かに広がっていました。
チェーンは変速によってローギヤに入れた時、内側によじれると同時にプーリーはチェーンによって外側に引き寄せられます。特に可動範囲の大きい10S 以上の場合、チェーンのよじれは大きくなるでしょう。今回のコンクール1日目のようなロー側のギヤの使用頻度が高いコースの場合、傾いた状態で回転するプーリーへ甚大なストレスがかかったと想像できます。またプーリーを安定させる為のサイドプレートを省略したことは、ガタツキを助長させる一因となったと考えられます。
Ⅴ.結論
以上より考えられる変速機の破損の要因は、プーリーのガタツキによって脱線したチェーンが、プーリーとケージの間に詰まり変速機を後方に巻き上げ、その結果ピポットに大きな負荷が生じ破断したことであるでしょう。
多段化した今日の変速機事情において、当問題の主たる解決策はプーリーとケージにあると思われます。例えばベアリングプーリー等、性能を重視した部品の採用や或いはプーリー自体の構造の研究が必要でしょう。またケージについても適性の寸法や、強度についての吟味、脱線等のトラブルが起きた際の二次的なトラブルを引き起こさないような構造等、変速機計量化において模索すべき課題を残しました。
コンクールマシンへの参戦で実戦的な軽量車を製作することにあたり、ほぼすべての部品にトライアル的な試みを採り入れました。その中でランドナーに必要とされる強度とそのバランスについてより深く考えさせられると同時に、ランドナーの新たな可能性が見えてきたように思います。このコンクールでの挑戦で得ることができた様々な課題を今後の自転車製作に繋げられるよう一層努力したいと思います。
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