2月28日 沖縄本部~沖永良部伊延港~田皆崎~沖永良部和泊・コチンダホテル
3月1日 沖永良部島和泊港~与論島
フェリーで沖永良部島へ。
朝の7時に那覇を出たフェリーは本部港に9時に入港、9時20分に出港するスケジュールです。乗船手続きは1時間前までに済ましておく必要があるので、港には8時20分には着いてチケットを購入し、乗り込み場所で待機することになります。今回はそれほど混んでは無かったのですが、混雑時は事前予約が必要な時期もあるようです。要注意ですね。
前夜のホテルから港までは6キロ程度ですので8時にチェックアウトしても間に合います。
思っていたより大きな船でちょっとビックリしました。
日常の足として利用される方や、貨物の運搬など、島々をつなぐ欠かせない交通手段なんですね。これだと揺れも少なくて快適そうです。
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でも、そもそも、なんで沖永良部?
当初の親方が立てたプランでは沖縄2泊、与論島3泊だったのです。
でも、周回して20数キロしかない島に3泊??
私「3泊も何するの?」
親方「たそがれるの。」
少し前に見た映画の受け売りで答えが返ってきました。
その映画を一緒に見ていた私も島のイメージが偏ってしまっていて、「これはまずい。。」と内心思いました。実際に地図を何度見ても、自転車ですべての名所・観光地を回ったとしても1日もあれば十分な規模のように見えたのです。
絶対に退屈のあまり仕事をしだすか、最終的にケンカになる!!
実際はそんなことは全然なかったのですが、なんだかもったいない気がして与論島の北に位置する少し大きな島にも立ち寄ることとしたのです。沖永良部島は周回しても60キロありません。しかも、予約が取れた宿は別館で「島のサイクルズ」として島内サイクリングにも力を入れている様子です。
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さぁて、沖永良部島までは与論島経由で5時間の船旅です。
今年のラリーグランボアの記念品の「旅する手帳」に旅の記録をしたため、海と空を見ながらオーディブルで物語の世界に浸れるなんて、本当に贅沢な時間でした。
20-30代のころは人並みに読書も楽しんできて大好きだったのに、振り返ればここ何年もの間、こんなに没頭して本を読むことが無かったなぁ。今となっては実際に細かい文字を追い続けたりできないし、大きなハードカバーの本は手に持った時点で読むことを断念してしまうことが多かった。それが、「聞く」という作業で長編作を読破することができるのです。しかも、この時に聞いていた「宝島」は沖縄の方言がセリフに多用されていて、沖縄出身のナレーターの読み聞かせがとても有効でした。
オーディブルなどの「朗読ツール」は私にとって、今や日常の救世主的なツールです。通勤時間や家事、仕事場での単純作業、お風呂タイムに欠かせない物となりました。スピーカーを使うことで同じ本を同じタイミングで共有できるのも良いですよ。この数ヶ月で何冊も読むことができました。
オーディブルで読んだこの本があまりに面白くて思わず実際の本も買ってしまった。買ったと言っても中古書店で192円。
さて、そんな有意義な5時間を過ごして沖永良部島に着いたのですが、なんと、予定していた太平洋側の和泊港ではなく、東シナ海側の伊延港に着くとのアナウンス!!
私たちはこの伊延港の存在すら認識しておらず、ちょっと慌てました。でも、お天気や潮の流れで割と頻繁に着く港が変わるようで、ほとんどの方は平然とされています。まあ、そうですよね、この2つの港は最短距離で3キロほどで、車だとなんてことない距離ですから。でも、自転車旅では要注意事項です。特に乗船時もどちらの港から出るのかは当日の数時間前じゃないと分からないそうですから。
船を降りて走り始めたのは2時すぎでした。
当初の予定では港の近くの宿に荷物を置いてから適当に往復しようと思っていましたが、島の南側をぐるっと走ることになりました。
結果的にこの方が良かった。翌日の午前中に島の北側を走ればちょうど一周できます。
いきなり南国感満載の植生が迎えてくれました。
芭蕉の木。バナナ?
鳥も違いますよ。
日本の里山のお友達、トビは1羽もみませんでした。その代わり、、、
日頃見ない鳥を見られるだけで嬉しくなってきます。
走りはじめてすぐに気が付きましたが、島のメインの県道を走っていたのでは肝心の海が見えない。来たからにはやはり海沿いを走りたいので脇道から浜へ向かおうとすると畑作業されていた地元の方がウミガメがいるという浜を教えてくれました。
うーん、どれどれ。
目を凝らしてしばらく眺めていましたが、見つけられません。
それにしても見たことない海の色。
後から聞くにはカメは満潮時に藻を食べにこの場所までやって来るんだとか。当然ですが、行けば必ず会えるものではありません。右端に唯一写っているのはウミウ。
半崎
ヤギ一家、放牧中?
田皆岬の灯台が見えました。
折角目的地に着いたのに海の写真がありません。。。
というのも、本当の岬へはここから歩いていく必要があり、時間的に諦めました。でも、今思えば行けばよかったな。
島の西側。
サトウキビ畑は正に収穫の真っ最中でした。
親方の自転車は去年のJBTで前野店長が乗ったステンレス車。最近は好んでこれを乗っているような気がする。
この日はここで17時30分くらい。宿に入れたのは18時を回っていました。
やはり、観光しながらだとちょっと余裕がなかったな。。
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翌朝。
まずは展望台へ。
眼下に見える公園の花壇にはユリの苗がびっしり。
街のあちこちで見かけたものと同じです。調べると「えらぶユリ」と呼ばれる沖永良部島の特産品だそうですよ。
花の時期は素晴らしいでしょうね。
沖永良部空港
手前の畑には田芋が植えられています。
このお芋を原料にしたお菓子はとても美味しかった。古くから沖永良部島と与論島で先祖供養や神事でも使われてきた特産品だそうです。
前日の夕食で入った串カツ屋さんで、最近は近くにクジラの親子がいて割と頻繁に目撃されているという情報を貰いました。で、期待に胸を膨らませ向かうことに。
子供がいるので30分に一度は息継ぎに上がってくるよ、と教えてもらったのでしばらくいましたが、結局クジラには会えませんでした。海次第で東シナ海と太平洋を行ったり来たりしているそうです。
ただただのどかできれいな海。その海の向こうの島影は徳之島。
クジラもウミガメも見れませんでしたが、なんだか満足して港へ向かいました。その道中に日本一のガジュマルの木があると言うので立ち寄りました。
現役の小学校の敷地内ですので、職員の方に許可を取って中に入らせていただいてます。
子供たちもいましたが、みんな元気で、キチンと挨拶してくれて、ガジュマルの木と共にそんな事にも心が温かくなりました。
ざっと駆け足で巡った沖永良部島。
2-3泊すればクジラにもウミガメにも会えたんでしょうね。
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【宿泊情報】コチンダホテル
「コチンダ」って「東風平」って書くようです。「ひがし風」「はるかぜ」を意味する沖縄の言葉。
赤い瓦屋根の長屋風のコテージ。中央にはガジュマルの木。食事は朝食のみ。喫茶やアメニティーグッズなどはコテージの共有スペースにまとめられています。
宿のチェックインとチェックアウトは「島のサイクルズ」で。
気さくなご主人が食事の場所や島の見どころなど教えてくれますよ。
レンタサイクルもあり〼。
次は与論島編です。
こんにちは、3月に入りすっかり春を感じる毎日ですね。
ただ、今年の花粉の飛散がいつもの10倍以上だとか。。いつもは大丈夫な親方までくしゃみをしています。皆さんは大丈夫ですか?
さて、今年も春のツーリングに行ってきましたよ。
いやー。楽しかったぁ。
旅のコースは下の通り、昨年の旅の最終日に行き先を決めた与論島を含むコースです。自転車で走った総距離で200km足らずでしたので自転車旅というよりは船旅かもしれませんね。でも、自転車だから楽しいと思えるところはいくつもありましたし、意外と低予算で南の島まで旅ができることが分かりました。今回はそんなところもご紹介できればと思います。
【プラン】
2022年2月27日~3月4日 (5泊6日)
2月27日 沖縄県本部 (もとぶ) 泊
2月28日 鹿児島県沖永良部島和泊 (わどまり) 泊
3月1日 鹿児島県与論島百合が浜前泊
3月2日 連泊
3月3日 沖縄県那覇泊
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2月27日 京都~沖縄那覇~沖縄本部~美ら海水族館~マリンピアザオキナワ
まず、いつものように車に輪行状態の2台の自転車とバッグ類を積んで関西国際空港まで向かいます。車は旅の間は関空の駐車場に置きっぱなし。KIX/ITMカードをあらかじめ作っておくと駐車料金は正規料金から25%引きとなり、今回のように6日間ずっと駐車したとしても7,850円。1日1,300円ほどです。
で、那覇空港までは8時5分発のピーチを使いました。早朝の便は日の出前に家を出る必要がありますが、道も空いているし、何より午前中に沖縄に着くことができ、しかも最安です。なんと、大人一人と自転車一台で那覇まで1人15,750円、復路はなんと13,100円!!
ただし、この料金はキャンセル不可。コロナにかかったから延期、なんてことになっても返金/変更できません。でも2,000円ほどの追加料金でチケット保険に加入できるのでそういった心配にも対応できるようになっています。他にも追加の手荷物1,950円、座席指定1,090円、クレジットカード払手数料などなど、ひとつひとつに料金が加算される仕組みです。
飛行機に預けるときの輪行もいつもとほぼ一緒です。ただ、エンド金具をしっかりはめ、タイヤの空気を抜き、荷物の真下になるリアメカを外しておきます。
LCCですのでターミナルは少し離れて昔ながらのタラップで乗り込むことになりますが、こんなのどうってことないですよね。むしろ旅情感が増すように感じてワクワクします。離陸すれば那覇空港まで2時間半。11時前には到着です。
那覇空港から本部港まではやんばる急行バスで移動しました。予定では11時30分の本部港行きに乗れればと思っていましたが、20分ほど離陸が遅れたのと、荷物が出てくるのが予想外に遅く、ギリギリになってしまいました。ですので1時間遅らせて12時30分のバスを利用。おかげでゆっくりと空港でお昼ご飯を食べることができました。
でも、12時30分の次は14時30分までバスが無いので要注意です。
バスは86kmほどの移動で2時間かかりますが、料金は1人1,850円。自転車は無料です。料金は乗車時に運転手に支払い、自転車などの大きな荷物はバスのサイドの荷物入れに自分で入れるシステムです。道中、パラパラと雨が降ったり、自転車で移動するには交通量も多く辛そうな道が続きますが、バスなら大丈夫。道の駅での休憩もあって快適に移動できました。それに、バスで移動することで沖縄の町並みや、基地の占有率の高さを少しですが肌で感じることができましたよ。
今回の場合、与論島だけを目的としたら、那覇から飛行機を乗り継ぐか、那覇港から船で与論島に向かうかの2パターンがあるかと思いますが、飛行機は高いし、那覇の鹿児島行きの船は朝の7時発しかありません。結局1泊することになるのです。でも、那覇市内は交通量も多く、自転車ではちょっと走りたくない。で、自転車で走るにはまだ楽しそうな本部までバスで移動して、翌日の9時20分発の船に乗ることにしたのでした。
移動中はオーディブルで沖縄が舞台の「宝島」を聞きながら過ごすのであっという間です。
本部港についたのは14時30分くらい。
港の待合所の前で自転車を組みあげました。
パニアバッグの荷物はバッグと共に1つのリュックにまとめてあります。
手作りですが、最新のパラシュート生地で作ったバッグはとても軽くて、こんな風にまとめることができるのでとても重宝しています。何より洗濯できるのも良いところ。
荷物を自転車にセットするまで30分ほどかな。
ここまでの時間が予定より1時間遅れていたのでその日に予定していた水族館までは直接行くことにしました。距離は6キロほど。
きれいな海の向こうに見える島は伊江島。小さな島ですが、そこにも米軍基地があるそうです。
まだ2月だというのに花盛り。
水族館前の広場は伊江タッチュー(城山-ぐすくやま)が借景になっていてとても印象的。大学生かなと思われる若者が結構いました。春休みですね。
美ら海水族館のチケットはこの日のホテル料金にセットされていたものです。しかも入館が16時を過ぎてしまったのでなんとひとり440円返金してくれました。なので旅行補助や地域振興券なども活用してこの日のお宿は朝・夕食+水族館のチケット付きで一人9,500円。
沖永良部島も与論島も夕食付きの宿がほとんど無く、朝食だけの提供で1泊7,000円~8,500円。
フェリー料金も本部港から沖永良部島まで3,400円、沖永良部から与論島まで1,310円、与論島から那覇まで3,510円。自転車を輪行せずに乗船させる場合は別途1,000円程度の料金が必要ですが、飛行機に比べて船旅はお財布に優しくていいですね~。
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それにしても、水族館の中の大水槽は聞きしに勝る迫力でしたよ。
17時から18時頃までの1時間程度で、駆け足見学でしたがとても楽しめました。でも、欲を言えば、せめて半日は欲しい。。敷地内の散策やウミガメ館やマナティ館など他の施設も充実しています。更には近くには植物園や民俗資料館もあるので、次があるとしたらぜったい2泊はしたい。そして島の北側のやんばるにも足を延ばしてみたいものです。
そうそう、その日の食事ですが、とっても豪華なうえ、沖縄色も適度にあってとても良かったです。
沖縄の柑橘、タンカン尽くしのコースメニューを出していただきました。画像はタンカンソースのスペアリブと茶碗蒸し。美味しかったです。
しかも、貴重な沖縄野草がバイキング形式で取り放題!
好きなんですよ~。こういうの。
もう、嬉しくて小躍りしました。💛
つづく
ニュースです!
長らく欠品していましたサンエクシードのクランクの167.5mmのみ、僅かですが入荷しました。ショッピングサイトの在庫も変更しましたのでご入用の方はお急ぎください。
今回入荷したものは167.5mmのみです。
少量につき大変申し訳ありませんが、他店への販売はできません。
よろしくお願いします。
冬の寒さが身に染みる毎日、でも明日は節分ですね。
季節の分かれ目、冬から春へとまた季節が進みます。
親方はすでに春の旅の計画を始めてますよ。
さて、今日はいつもと少し違う商品のご紹介。
フランスのベルトゥサイクルで作ってもらっているグランボアのフロントバッグとサドルですが、スペックが少し異なって入荷してきました。
・グランボア フロントバッグ スペック違い
両サイドのポケットがスリットタイプではなく、3センチほどのマチと蓋の付いたモデルです。
大サイズと中サイズのみですが、価格は通常モデルの価格から1割引きで税込36,630円とさせていただきます。
・ベルトゥサイクル サドル アスパン 穴あきモデル
お取り寄せ品ですが、色間違いで入荷したモデルです。
価格は税込み38,500円のところ、こちらも1割引きで34,650円です。
いずれも一点限り、「これが欲しかった!」という方は是非お早めにどうぞ。
ご希望の方はメールでお問い合わせくださいネ!
そうそう、明日は2月3日。
3の付く平日ですので、アイズバイシクルはお休みです。
東京から京都に戻ってから、京都は思わぬ大雪です。
特に24日の夕方から降り出した雪は今まで経験したことないほどで、見る見るうちに降り積もり、お店の近所の路上でも何台も車が立ち往生する事態を引き起こしとても大変でした。
皆さまは大丈夫でしたか?
さて、ハンドメイドバイシクル展ではたくさんの方にグランボアの最新作の自転車たちをご覧いただけてとても有意義な週末となりました。会場まで足をお運びいただいた皆様、ありがとうございました!
この展示会はコロナの最中もオンラインで開催したり、昨年は通常通り開催され、親方とアトリエ長が出展に出向いたりしていましたが、私にとっては3年ぶりの東京。久しぶりの懐かしい方々に直にお会いできてとても嬉しいひと時でした。たとえマスク越しであっても直接お会いしてお話しするのは本当に大切ですね。直接会うことによって、長いと感じていた3年という月日が気持ちの中ではグッと縮められる気がします。
運営される側も毎年大変なご苦労があったと思います。本当にご苦労様でした。そして、ありがとうございました。
昨年から物販も可となりましたのでいろいろ持っていきましたよ。
この写真は親方の先輩にあたるUさんが撮影してくださっもの。私の写真はこの一枚しか手元なかったので嬉しいです。ありがとうございました!
そして、今回は前野店長も接客担当です。
入り口から一番遠いブースでしたが、2日間とも間断なくお立ち寄りいただきました。
さて、今回の出展車両はこちらの3台。
いずれもオーナー様がいて、ご注文でお作りしたものになります。ですが、偶然にもすべての自転車が42B仕様で、グランボアの亀甲泥除け、GB650MLの仕様となりました。ハンドルもすべてランドナーバー。それでも3台ともとても個性的で、フルオーダーの醍醐味を感じていただけたのではないかなと思っています。
まずはこちら。
前野店長のオーダーで、アトリエ長が初めてフルオーダーフレームの製作に取り組んだ一台です。
前野店長の自転車ですのでもちろんブルべで使用することが大前提。
セミカスタムフレームのように各寸法が決まっているわけではありませんので、使用するパイプから吟味し、話し合いながら各寸法を決め、CADで設計し、完成車に仕上げなくてはなりません。
彼らのこれまでの経験と、小さな挑戦がミックスされた一台となりました。
こちらはアイズバイシクルが開業して間もないころからのお客様からのご注文です。メーカー車を含めると、もう、何台の自転車をお納めさせていただいたことやら。親方フレームの自転車もとても気に入っていただけてこれで2台目となります。それに、今回の出展に際し、わざわざ京都から東京まで応援に来てくださいました!
Aさん、ありがとうございました!
毎回、いろいろなコンセプトの下、自転車をお作りするわけですが、今回のコンセプトは「手持ちの部品で作る一台」。まさしく今の時代にピッタリ!?
以下は今回のカタログ用に親方が書いた一文です。
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現代のロードバイク・マウンテンバイクは、すべてがパーツメーカーによって企画構成され、素晴らしい性能を発揮するように作られた「コンポーネント」によって組み上げられています。しかし反面、それらはそのコンポーネントという縛られたパーツ構成の中でしか使用する事ができなくなってしまっています。かつての自転車部品はそれぞれが独立していて、たとえメーカーが異なっていたとしても、組み合わせて楽しむ事ができました。ところが今は、一つの部品が壊れた場合、同じもので補修するしかなく、そのパーツが型式遅れになっていれば、すべてを入れ替えなければならないようになってしまいました。
もう今や、使い捨ての時代ではありません。SDGsが叫ばれている現代において、趣味として自転車を楽しむ私たちも時代に即した行動をとらなければなりません。もちろん地球環境を大切にするために、既に自転車を選択される方はたくさんおられます。だからこそ、もう一歩踏み込んだ考えの元、私たちサイクリストは永く自転車を楽しむための新しいフォーマットを求める事が必要なのだと思います。
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自転車に限らず、今の多くのものは「丈夫で長持ち」よりも、「定期的に買い替える」ことを暗に求められているように感じている方は少なくないと思います。半世紀以上も愛され続けてきたランドナーは、その計算された経済活動と流行の波に翻弄されながらも、淘汰される寸前のところでそれらとうまく折り合いをつけながら今も踏ん張っています。
今回お作りしたAさんの自転車は、そんな使い捨て時代に抗うひとつの道を示した一台だと思います。
そして、最後の一台はステンレスフレーム+クロモリメッキフォークで組み上げた、大変豪華でグランボアの新しいチャレンジに満ちたランドナーです。
620mmと大きなフレームにスラムの電動メカセット。ステンレス製のキャリア一式。
一見、先にご紹介したSDGsの自転車に反するかのように見えるかもしれませんが、鍍金をご所望するお客様に新しくご提案できるひとつになるかと考えています。研磨やメッキの作業工程で出る廃液が環境に悪いとされているのは周知の事実で、自転車部品がシルバーから黒に代わってしまいつつあるのも、生産国である台湾での規制が厳しくなり、研磨メッキ屋の多くが廃業に追い込まれてしまったことにあります。だからと言ってカーボンが環境にいいのかは大いに疑問が残るところではありますが、グランボアではステンレスという素材は今後の一つの選択肢になりうると考えています。
アトリエ長が製作したステンレスキャリア。パニアバッグ仕様です。
タイヤはこの春から発売予定のエキストラレジェプリュ(Extra Leger Plus)の試作品。
ブレーキの台座やフレームエンド、ワイヤーリードなどの小さなダボ、特徴的なシートステーの蓋のパーツまでも、クロモリとは異なりステンレス製です。
ここまでくると、このダイレクトマウントのツーピースタイプ”ONEbyESU”のチェーンホィールもピカピカに磨きたいところ。。。
はい、もちろん、すでにいったんばらして磨きに出しました。
そして、再度組み上げて、この自転車はアメリカのお客様へお届けの予定です。
いつも、素敵なオーダーに恵まれて有難いです。
ありがとうございます。