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2019.10.31

2019コンクールマシンのディテール

今回のグランボアのコンクールマシンのスペックを解説してゆきます。

 

フレーム

使用しましたフレームパイプはカイセイの4130Rです。無茶苦茶軽い訳ではありませんが、0.7/0.5/0.5のパイプは十分に軽く充分な剛性があって硬すぎず実用的なランドナーにはピッタリ合っていると思います。現在グランボアでは標準パイプとして使っています。

ラグはエルスカットを台湾ラグメーカーのパターンレスラグから削り出しています。ただしラグの角度はかなり立ち気味のフレームに合わせてありますので、加工前に角度合わせの処理をしなければなりません。実際のエルスのフレームを前において削り出していると、シンプルなデザインの中に合理的な法則のあることがわかります。

エンドは一台一台最適な角度でレーザーカットで製作しています。またフロントフォークエンドはSONのコネクターレスハブダイナモ用の端子埋め込みエンド用に加工・製作しています。

 

塗装はせずフランスのハイエンドランドナーに多くみられるトゥークロメ(総メッキ)にしました。ただトゥークロメには弱点があります。それはパイプが集まっているシートラグやBB周りはクロムメッキの乗りが悪く、下地メッキのニッケルが露出してしまい錆びやすくなってしまうことです。そうした部分には専用の電極を用意してメッキをすれば大分軽減されるのですが、普通のメッキ屋さんではそこまでは対応していただけません。そもそもフレーム研磨はメッキ屋さんでは受けてくれません。そのため研磨はアイズ工房内にて手作業での研磨になりますので大変な手間仕事になります。これがかなりのコストとなり最大の弱点かもしれません。

 

塗装の代わりに線引きをしています。濃い緑と金色で函を2つ組み合わせる形になっています。これもフランスの古典的な手法です。現在グランボアのフレーム塗装は京都市内の専属の塗装屋さんにお願いしています。もともとは線引きをお願いしたことから始まったので線引きには十分な経験と技術があります。

 

コンポーネント

まずメインコンポにはスラムのレッドeTapAXSという最新の電動ワイヤレス12速のシステムを用意しました。これは何といっても変速ケーブルも給電ケーブルもなく、組み立ても調整も極めて簡単なシステムです。まさしくフェザータッチのスイッチによるストレスフリーの変速は、ガラガラガッシャーンの骨董品の変速システムに慣れ親しんだ身からしますと、自動車のマニュアル車とオートマ程の差になりますでしょうか、さらにというか当然ブレーキレバーと一体ですので、パドルシフトになるのでしようか。しかも携帯アプリが用意されていてシフトの設定を変えることができます。スラムレッドeTapの場合、左右のレバーにそれぞれ1つのスイッチがついていてリアメカをシフトする際には右レバーでシフトアップ、左レバーでシフトダウンとなります。左右同時のシフトでフロントメカが作動してアウターからインナーまたはインナーからアウターへ変速するようになっています。この12速化したAXSではさらにフロントメカをオート化して単に右でシフトアップ、左でシフトダウンさせ、あとはギアレシオに従ってメカ側が勝手に動いてフロントシングルと同様に扱うことができます。フロントメカを意識して変速する必要がなくなっています。これを実際に操作してみますと上り14段、下り15段で変速することがわかります。

またギアレシオもリアの最小スプロケットを10Tとしてチェンホイールのコンパクト化して46×33とロードバイクとしてはかなり小さくなっています。このフロント46/33に対してリア10/11/12/13/14/15/17/19/21/24/28/33となっています。これをギアテーブルで古典的なランドナーのレシオ48/44/28の14/16/18/21/24と比較しますとトップ側に3枚、ロー側に1枚追加されている状態です。私の実際のツーリングではトップ側3枚は使うことはまずありません。私の場合は実質11速になってしまいます。でも実際に使用するととにかくラクチンで、トルクをかけた登り坂での変速でもスムーズにチェンジしてくれます。人間が退化してしまう使い勝手の良さになっています。

 

チェンホイールは先に挙げた通りスラムレッドの12速対応ダブルギアにカーボンクランクのセットなのですが、このギアはアルミの一体削り出しになっています。今どきの軽量リアカセットはアルミや鉄のインゴットからの削り出しで軽量化が図られているのですが、このアルミ製ダブルリングもアルミの一枚板からの削り出しとなっています。

変速機に使用されているバッテリーは前後共通の小型リチウムイオンバッテリーで一回充電しますと私のツーリングでの使用程度でほぼ1日半は使用可能です。やはりリアの変速回数が多いのでリアの方からバッテリー切れとなりますが、ツーリング終盤での電池切れの時は前後バッテリーを入れ替えることによってしのぐことも可能です。

 

ホイール

今回使用したホイールですが、フロントハブにはSONdeluxワイドボディSL28Hを、リアにはグランボアの試作品のスラム12速対応カセットXDRボディモデルの28Hを使用しています。

SONのハブダイナモはブルべの世界では定番的な存在ですが、ちょっと価格が高めなのが欠点です。それでも生産が追い付かないほど売れているという噂があるから不思議です。最近いろいろとバリエーションが増えていますが、基本は「28」と「delux」の2種類です。違いは「28」は回転数が上がらない、ゆっくりとしたスピードでも効率の良い発電をするのに対して、「delux」は内部抵抗を減らす代わりに発電効率のピークが回転数の高いところに設定してあって、要は早く走る人もしくは小径車用ということになります。

SONのSL(コネクターレス)ハブはホイールの着脱時の煩わしいコードの抜き差しがなくとても楽です。ただ専用のフロントフォークエンドが必要ですので、ただ純正品はとても大きく重いのです。グランボアでは通常のグランボアエンドをわずかにサイズアップして製作して、電極端子の絶縁体が収まる凹みを付け、フォーク鞘との角度に合わせてコードを半田付けで接続します。手間はかかりますがお陰でフロントエンド周りはスッキリします。

 

リアハブのカセットはスラム12速専用のXDRボディです。まだXDR自体発売したてのカセット形式のため、とりあえずグランボアのハブを製作していただいている台湾メーカーがすでに生産しているXDRボディの中から組み合わせが可能と思われるものをハブごとサンプルとして送ってもらい、スルーアクスハブ用に大穴の開いたカセットボディをスリムなグランボアハブに合わせられるようにアダプターを製作しました。何とか12速のカセットを取り付けることが出来まして、ハブだけはシルバー仕上げになりました。

 

スポークは今回28Hのハブとリムが用意できましたので、決戦ホイールの定番であるDTの最軽量スポーク「レボルーション」にアルミニップルの組み合わせです。

リムは昨年ダブルアイレット化したことによって製品化した28Hのリムでアイレットのない36Hリム(パピヨンビンテージ)よりは22gほど重くなってしまいますが、スポーク数の減少の軽量化が29gでわずかにアドバンテージがあります。

タイヤは650×38Bのエキュレイユ。このタイヤは前回の2017年のコンクールの際に試作を重ねてほぼスペックを確定していたものですが、前回のコンクールのコースは未舗装率が高くパンクの可能性が高くなるので使用しませんでした。その後舗装路専用ということで製品化したもので、今回のパリプレストパリのようなロングの舗装路コースにはうってつけのタイヤとなりました。重量も240gと700×26Cのタイヤ並みの軽さです。何よりもケージングを補足しなやかな素材にすることによって得られる振動吸収性の向上はとても大きいものです。

チューブはソーヨータイヤさんが開発中の650B用のラテックスチューブです。すでに700C用のチューブは市販されていますが、最近のマスメーカーの27.5インチタイヤの採用拡大に対応するように650B用のチューブを研究開発しています。ラテックスですから軽いことはもちろんですが、超軽量タイヤのしなやかさをスポイルすることなくさらにソフトな乗り心地をもたらしてくれます。

 

ペダル

ペダルはシマノのA600です。実物を見るととても原型をとどめておりません。塗装を剥がして走行に不要な部分はすべて削り落としてしまいました。

ペダルシャフトは中国製と思われるサードパーティのチタンシャフトのものにしましたがこのチタンシャフトが直にボールを受ける構造で、ものの60kmも走ると使い物にならなくなってしまったのです。そこでこのチタンシャフトを削って適合するシールドベアリングを用意して対応しています。

 

ブレーキ

ブレーキはカンチアーチのグランボア「ミラン」です。最近はMTBのみならずロードの世界でもディスクブレーキにあらずんばという風潮ですが、ディスクにはメンテナンス性の悪さ故に、耐久性と修理の簡便さを必要とされるツーリング自転車には適さないという欠陥があります。さらにはマウント方式によるフレームやドロヨケへの制限もあり、ランドナーには組み入れるのには不向きなシステムです。最も問題なのはスルーアクスル方式対応のエンドによりフレームそのものも一般普及のものとは互換性がなくなってしまい、旅先での重大なトラブルに対応できないのです。またスルーアクスルではホイールの着脱が手間のかかり、クイックレリーズならぬスローレリーズになってしまっています。

グランボアではセンターブレーキ「シュエット」をまず開発しました。これは半世紀以上にわたりツーリング車に使用されていたマハックのレーサー・ライドのディメンションをそのままに、現行パーツとの組み合わせにも合うようにデザインをモダナイズドして製作したものです。ただ太めのタイヤにはやはりブレーキ開放時のホイール取り扱いが楽なカンチブレーキも必要と考えセンタープル「シュエット」に続けて開発したものです。ベースになったのはフランスのドロヨケメーカー・レフォール社の作っていたカンチブレーキですが、これをブレーキ台座もマハックとは異なり、またそのままのディメンションでは全く効かないブレーキでした。そのディメンションを様々に変更した末に導き出した数字をもとに製作しましたのが「ミラン」です。私の使用感ではセンタープルシュエットより制動力は上と思います。重要なのはフレーム側のブレーキ台座の位置で、特にピポットのピッチがマハック・クリテリウムと同様に75mmである必要があります。現行の市販フレームのカンチ台座は今世紀になってシマノが作ったシクロクロス用カンチに準拠しているためピポットピッチが82mm前後と拡がってしまっています。そのためミランのパフォーマンスを発揮させることはできません。でもピポットピッチ75mmで作られたフレームではあれば遺憾なくそのパフォーマンスを感じていただくことができます。

今回のCdMではさらに軽量化を進め、本体・ブレーキシュー・ギロチンダルマの肉抜き加工を施し、トーイン調整機構の省略とボルト・ナット・ワッシャーのチタン置き換えを行っています。

ブレーキケーブルは日泉ケーブルのSP31のインナーケーブルに、フレンチビンテージのアルミ版アウターです。丸線構造のアルミアウターは平線のアルミアウターよりわずかながら軽量になっています。

 

ドロヨケ

使用したドロヨケ本体は本所工研のH50Nという、極々普通の丸型断面のモデルです。これをグランボアのER輪行で使用しているフレームへの着脱金具を取り付けて、輪行時の手間を簡単に済ませることができるようにしています。ただ今回はライトを前ドロヨケの先端に持ってきていますので、その電装コードの処理で悩んで出した結論がこれです。

ドロヨケ側には通常のクラウンで使用する大きなゴムのワッシャーを絶縁体として使用してそこに大きな平ワッシャーを乗せて接点としています。これに対してクラウン裏にはカーボンブラシと同様にバネで伸び縮みする接点を埋め込んでいます。これでドロヨケを外すのにいちいちコードを取り扱うこともなく、また組み立て時もそのまま取りつければ給電状態になるようにすることができました。

 

サドル

今回のサドルはイデアル90チタンベースです。現在製作されているイデアル90ですがとても革質が良くなって旧いイデアルの劣化した革を張り替えて新品にすることができます。当然昔のアルミベースやチタンベースのサドルの革の張替えを希望されるロングユーザーの要望に応えているうちに、チタンパーツやアルミクロワッサンの再生産を行いチタンベースが活することになったのです。今回はさらなる軽量化を求めて革を固定するリベットもアルミでとリクエストしたところ、イデアルが答えてくれて金属部分はアルミとチタンで作られた超軽量イデアル90が出来上がりました。

シートピラーはヨシガイさんのグランコンペENEピラーです。このピラーは私が初めて台湾の自転車産業の中心地「台中」を訪れた際にお世話になったダイヤコンペ台湾のK氏にこんなシートピラー捜してますとお話ししたところ見事にぴったりのピラーを捜して、ポリッシュ仕上げにという無理な希望を聞き届けていただいて商品化されたものです。このピラーのお陰でピラーのヤグラを隠してスマートなサドルの取り付けができて本当に助かっています。サンエクシードのクランクやディレイラーもそうですが、こうした皆さんの協力あって今なおランドナーのスタイルは維持されているのです。今回はCdM用としてセンターのボルトはTi製に交換、フレームに隠れる部分も最低限の5㎝と短くしてあります。

 

ハンドル

グランボアのハンドルはかつてフランスで使われていた代表的なハンドルを復刻したものです。フランス型マースバーは1960年代から70年代に作られていたフィリップ・プロフェッショナルを模しています。リーチが長く作られているこのハンドルはステムの突き出しを短くしてフロントバッグとサイクリストとの位置関係を良好なものにしてくれます。最近のハンドルはやたらにリーチが短くその分ブレーキレバーのボディを大きく前へ伸ばす形にしています。乗車姿勢に変わりはないように見えますが、フロントバッグを取り付けますと前輪の中心より前へ飛び出る形になってしまい、ハンドル操作にも影響します。ステムの突き出しは短く、リーチのあるハンドルでポジションを確保するのがランドナーの姿と思います。そのフランス型マースバーにエアロ形状のブレーキレバー・・・ちょっと最近聞かない言葉かも・・・を取り付けるのであればやはりエアロレバーが登場してきたときのように、ハンドルにブレーキケーブルを添わす溝が必要ということで、今回新たにバージョンを増やしました。ううう、在庫が増えていく・・・

ステムはスイッチを取り付けるために従来品のグランボアクロモリステムを改造しています。引上げ棒の入るコラム部分を単なるパイプにしてそのトップにプッシュ式のライトスイッチを嵌めてフォークコラム側の電装コードとは樹脂コネクターを使って接続できるようにして、ハンドルを分離することも可能にしています。これでフォーク抜き輪行も可能になりました。

バーテープはフランスランドナー伝統のニス仕上げです。改めて説明しますと普通の白色コットンバーテープの上に、シラックニスというバイオリンなどにも使われる伝統工芸的なニスを塗ります。2日間程かけて塗っては乾燥させてを20回ほどは繰り返して塗って仕上げます。綿のバーテープは通常1年ほどで巻替えの必要がありますが、このニスの塗布によって10年以上持つほどに強度アップします。私の1996年製のグランボア1号車は10年ほど前に追加塗りをしてまだまだ使えます。特にセーム革のグローブを嵌めて使い込むとシットリとしてとても良い感じになります。

 

キャリア

フロントキャリアは今回のCdM用に5mmパイプで製作したものです。さすがに5mmで作ると強度的には大分落ちますが、私がフランスでもっとも野心的かつ実用的なランドナーと敬服している初代サブリエールのランドナーのキャリアが5mmパイプで作られています。私の手元にあるサブリエールの5mmキャリアはかなり曲がってしまっていますので、やはりどちらかというと決戦用のキャリアでしょうか。クラウンへの固定はフォークコラム内に電装のための仕掛けを入れているため、クラウンサイド留にしています。

バッグ

今回のフロントバッグは登山用のザックの素材を使って強度アップと軽量化を図りました。昔の登山用のキスリングは自転車同様帆布で作られていて雨に降られると水にぬれて重くなり、長いこと使っていると擦り切れて穴も開いたものでした。いま登山用品店に並ぶザックは色とりどりで、本当に軽く丈夫になっています。また薄い生地なのにとても丈夫です。これを自転車で使わない手はないとまずは生地をネットで捜して、グランボアのアイディアを盛り込んで使い勝手を考えたバッグとなりました。手作りですが、幾度となく作り直しても生地が傷むことなくサイド縫い合わせることができるので本当に丈夫な素材であることがわかります。

今回はブルべ用に走行中の食糧補給を考えてマップケース直下のポケットに厚みを持たせてチャックでの開閉を使って中身を取り出しやすくしてあります。また着替えなどは巾着式の小型スタッフバッグに入れて後ポケットの位置に紐で固定できるようにして、走行中に脱落することがないように巾着の紐を本体と一体のバッグサポータへ縛ってつけてあります。

バッグサポータの受金具は現在販売していますクロモリステム用をそのまま使っています。今回はフロントバッグを全オリジナル化して製作していますので、それに合わせてバッグ側の形を大きく変更してバッグのサイドまで支えるようになっています。

 

ライト

ヘッドとテールのライトはハブダイナモからの給電により点灯します。

ヘッドには1950年代のフランスのシビエ製の小型砲弾型ライトのボティを使いました。径40mmのこのライトはエルスやサンジェも好んで使っていたデザインと機能がマッチした一品です。このライトからレンズ部を取り外して、JBT号に使用したシマノ製のシティ車用のLEDランプの回路及びレンズを嵌めこんでいます。このLED用レンズをシビエのボティへ嵌め込むための枠を挽き物で製作してあります。

テールライトもLEDでキムラ製TL-06Aです。このテールは数年前にフルオーダー車用に製作しておいたもの。今回フロントのLEDランプに合わせての選択です。

 

更に今回は日本のブルべの規定に対応するようにバッテリー時のライトも前後に用意しています。フロントにはキャットアイの吊り下げ式のライトの新製品G VOLT70をフロントキャリアサイドに吊り下げました。ライトスイッチがボディ後部上方に移動していて、キャリアに下げた時のライトのオンオフの操作がとてもやり易くなっといます。

テールライトはキムラのTL07を軽量加工してもらったスペシャルモデルです。レンズは直付けシートテールTL06A用に作った専用品になっています。9gの軽量化です!

 

リフレクターにはバランスの良いサイズの軽量リフレクターはほぼ14g程度の横並びです。手持ちの中からちょっと昔のフランス製の角型プラモデルのバスタというものを選びました。トゥークロメとスラムのカーボンの黒色とのバランスをとって黒色のリフレクターです。

 

小物

ボトルケージは今年の5月に亡くなられたフレームビルダー入部氏の作品です。3mmのステンレスパイプを器用にロー付けして製作したもので、最初に手にしたのは私が学生時代の40年ほど前でした。20年ぐらい前フレームの修理をお願いするようになってから製作を依頼したところ、復活製作していただけました。その後バネ付きの新しいバージョンも作ったのですが、やはり昔から作っていたこのスタイルが一番です。もはや入手することができなくなってしまってとても残念です。今回は前回のCdMの時に使ったものの使い廻しです。

 

最後にベルは東京サンエスさんの「スプリングベル」をグランボアで加工した品です。単に丸い穴を開けるのではなくデザインを考えて楕円と円を組み合わせて作っています。これでもちゃんとした警報音が鳴ります。これも前回のCdMの時に当時スタッフだつた野田君(今春福岡で独立開業しました)の製作したものです。今は後輩スタッフの伊藤が作り方を引き継いで製作しており、なかなかの価格ながら海外のお客様に売れています。

 

以上とりとめもなく書き綴ってきましたが、部品のひとつひとつ語り出すときりがなく、まだまだ書き足らないのですがひとまずの報告とさせていただます。今週末の幕張でのサイクルモードには実車を展示します。ご来場いただければ直接解説をさせていただきます。皆様のご来場をお待ちしています。

 

親方


2019.10.21

ポリージャポン2019

 

10月の第3土日はポリージャポンの日です。以前は店を休んでの参加でしたが近年は店の若いスタッフを連れて参加して、店は専務に留守番をお願いしています。

1993年以来27回目となるこのイベント、すでに4半世紀を越えて続ているかなりディープな自転車マニアの集まりです。今回32名の参加者のうち半数近くが皆出席か1回の欠席したただけという具合なのですから・・・ただし4半世紀も続くと当然その分皆さん歳を取りまして、当初は30代半ばだった私でもすでに還暦を越えてしまっています。それでも飽きることなく参加を続けられるのは参加する皆さんの相変わることのない自転車に対する情熱と、極めて日本人的なエンスーアジャステックな自転車に対しての探求心だと思います。

ポリージャポンのメインイベントとしては、テーマに沿って作られた自転車を競うテーマ車部門と、車種関係なくレストアの技術・蘊蓄を競うレストア部門でコンクールデレガンスが行われます。これはカルフォルニア・ぺブルビーチでの自動車のコンクールデレガンスに倣い、純粋に美しく優美な道具としての自転車そのものを楽しむ場として行われます。

さて今回のテーマは「重そうに見えて軽く走る自転車」でした。実際に軽いか重いかということよりは、その自転車の製作思想や技術的な特徴を持ってその軽さを強調することができるかということになります。平たく言ってしまえばいかにテーマにこじつけてプレゼンするかということなのですが、近年どんどん抽象的になってくるテーマに対して、ネタ元になるジテシンャを用意することができるかがポイントになります。

 

今年の第一位は東京のU氏のトーエイの軽キャンピング車でした。かつて出版されたトーエイ写真集の表紙になった緑のトーエイです。重々しいイメージがあるキャンピング車をライトキャンピング用に仕立て上げたコンセプトが評価されています。自転車自体もクラッシックキャンピングの定番と言えるビンテージフレンチパーツをふんだんに使用して、さらには東叡社製の様々なオリジナルパーツが満載された一台です。中学生の頃から半世紀以上ビンテージパーツの収集を続けて、筍デモンタや超軽量車など歴史に残る名車をオーダー製作したオーナーの面目躍如の一台です。

第2位は初参加された東京のo氏の戦前の英車「パラゴン」、そして3位には私が製作した今年のConcours de Machineグランボア出走車が選ばれました。

 

レストア部門ですが第一位は大阪のK氏夫妻のエルスのタンデムでした。素材になったこのエルスタンデムの元々のオーナーはかの鳥山新一氏で、有名なトゥークロメのシクロ仕様のシャンテルーとは別に欧州走行用にフランスにおいていたタンデムなのです。80年代に日本へ持ち帰り、その後はあまり乗られることもなく最近K氏のところへ譲られたものです。K氏の何も引かない、何も足さないという完全オリジナル思想でレストアされたシャンテルーは新品の時以上に輝きを取り戻していました。

 

さてポリーはこれだけではありません。必ずコンクールとは関係なく持ちこまれる自慢の愛車のお披露目があります。ことしはトーエイ製の折り畳み自転車でした。これは1957年頃に初代東叡社社長打保梅治によって製作された折り畳み車を復元製作されたものです。

 

パーツ構成等はオーダーされた方々の細かな注文に対応したスペックになっていて、それぞれ面白い自転車になっています。

 

実際にどのように折りたたむのか東叡社の山田社長に実演してもらいました。

お折りたたむとこんな状態になります。

オーナーの趣味により小物も凝っています。ヘッドバッヂは1964年のトーエイの東京五輪バッヂ、ロックは現行品の馬蹄錠を加工しています。

この折り畳みトーエイですが、限定5台の製作だったそうです。あとの3台も見てみたいですね。

 

帰り支度でエルスのタンデムデモンタを分解している京都のK氏です。このエルスも半端なくすごいタンデムでした。何よりもK氏のタンデムデモンタ機構についての解釈とエルスの技術的問題点の解決へのアプローチに説得力がありました。

 

ひとずじ縄では行かない面々の持ち寄る自転車の数々、本当に飽きることがなく、もっと精進しなければと思います。

来年のテーマは「色にこだわりのある自転車」です。さてはてどんな自転車が持ち込まれるのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

親方


2019.10.01

2019 Concours de Macheine

 

Concours de Machine=コンクールドマシーン は2016年にフランスで始まった自転車の製造技術を競う大会です。4回目の開催となる今回の大会は日・米・英・独からの海外5チームとフランスのビルダーによる24チームの合計29チームによって競われました。このコンクールで問われるのは競技スピードではなく、自転車の持つ独創性とさまざまな環境に対応するポテンシャル、そして機能美の追求なのです。コンクールはそうした抽象的な課題を具現化して、なおかつ実用性を見せる場となります。

この6月に開催したジャパンバイクテクニークは2017年のコンクールに参加した経験に基づいて、日本でもこんな大会を開催することができたならばという思いから始まりました。

さて今年のテーマはパリブレストパリ。7000人近くのサイクリストがパリから大西洋に面した港町ブレストまでの往復1200kmを昼夜兼行で走り切るという、世界でも最大級のサイクリングイベントです。エントリーした29チームが製作した自転車をこの大舞台で走らせて、その性能をチェックしようという試みなのです。

今回のコンクールはまず今年の1月に審判長から以下のような課題が提示されました。

それはRêveur(仏語で夢想家)氏という架空のお客様の注文に応じて自転車を製作するというものです。以下の10項目がRêveur氏の要望になっています。翻訳ソフトをつかっての翻訳でぎこちない日本語ですが、それなりに意図するところはわかっていただけるかと思います。

1、 この自転車は、1891年に始まったパリブレストパリの歴史に関連する審美的または技術的な証言となるもの。

2、 この自転車が80時間に渡って走りつづける彼の指と手を救いますように、これはパリ・ブレスト・パリによるある種の病気です。Rêveur氏は、それを知っています。2015年PBPの後、多くの参加者と同様に、彼は数週間、小指の感度を失いました。 これを二度と起こさないように。 どうやって? それはあなたの仕事です。 あなたはなんでも再発明することができます

3、 彼のコックピットは、彼を混乱させるケーブルを取り除きます。照明、携帯、およびGPSを充電するためにケーブルを切り替える時間を少なくすること。

4、 彼のブルべカードはすべてのコントロールでチェックで素早く処理できること。それは雨からも守られている-衣服のいくつかの層に覆われているためアクセスできないジャージの後ろポケットからそれを取り出したとき、ふにゃふにゃになったカードにうんざりしています。彼はまた、必須である彼のナンバープレートがうまく取り付けられ、彼を悩ませることがないことを望んでいます。

5、同様に、彼は、自分が乗る食べ物にアクセスしやすく、リスクなしで走行中の食事をできることを望んでいます。

6、ダウンのシェラフとエアマットそれにビバーグテントを積んで銀行の金庫の中のように静かな夜を過ごせるようにすること。

7、Rêveur氏の自転車は、照明に関してPBPの規則を順守します。Rêveur氏は、自転車から降りることなく、フロントライトとリアライトのオン/オフを切り替えたり、強度やモードを変更したりしたいと考えています。

8、Rêveur氏は、パンクした後、できるだけ簡単に解体し、特に後輪を再組み立てできるようにしたいと考えています。

9、Rêveur氏は、雨が降った時ほかの参加者に水をハネ上げることを嫌います。

10、Rêveur氏は、彼の自転車を折り畳み可能にし、Blablacar*のトランクに入れたいと考えています。

*Blablacar(ブラブラカー)とはお金を支払う自動車の相乗りシステムで、アプリやPCから予約して利用します。長距離移動が非常に安価に行えます。

以上の課題をクリアすることによってポイントが得られます。ただそれらも一部でポイントの全貌が次のように一覧表となっています。

直訳すると

検車によって判定される項目(CT)と審判のジャジによるポイントそれに一般および参加ビルダーの投票による得点の比率が明記されています。検車の部分は標準重量が10kgで250g毎に50ポイントずつ加減されたり、80時間の走行時間で15分短縮するたびに2.5ポイントもらえて15分遅れると7.5ポイントの減点のこと、走行後フレームや部品に問題なければそれぞれの得点がありますよというあたりはわかりやすいのですが、審判に判断される部分のなかには「フォルダー」「人間工学」といったよくわからない項目もあります。

いずれにしてもPBPを完走しなければこれらの得点を結果として残すことはできません。そのためにはパイロットに対しては、絶対に走りきることを第一にアシストしなければなりません。

6月にジャパンバイクテクニーク後にすぐ取り掛かったのは、2ヶ月後に開催されるコンクールマシーンの出品車の製作でした。

今回はパリブレストパリを完走するための自転車を製作するというテーマです。
まずはRêveur氏の依頼に沿って、グランボアなりの解釈で製作することにしました。

1.  まずは「パリブレストパリの歴史に関連付けての審美的であり技術の証言」というかなり抽象的な注文ですが、私の中のパリブレストパリでの自転車はかつてのアルティザンと呼ばれる自転車職人によって輝くばかりに美しく仕上げられたランドナーの姿です。その姿完全に再現して、その美しさを損なうことなく最新の機能を盛り込んだ新しいランドナーを作ることでした。

果てしなく起伏のつづく、但し大きなクライマックスのないブルターニュ地方の田園地帯をいつまでも走り続けるための自転車。

直進性を優先させたジオメトリーの線を引き、細身のスチールパイプを組み合わせ、美しく均整の取れた形にカットされたラグを組み合わせてその骨格を作ります。そしてトゥークロメ(オールメッキ)で仕上げます。

 

2. 1200km80時間にも及ぶ走行中の振動対策ですが、細くしなやかなケージングで作られたグランボアの650×38Bの太いタイヤは路面から際限なく伝わってくる振動を吸収してくれます。タイヤが路面からのストレスを大きく減少してくれるのです。しかも1本230gと700×26cクラスの一般的なロードバイクタイヤよりも軽く作られていることで、走行のための負荷を軽減しています。さらにはソーヨータイヤさんから提供された現在開発中のラテックス製の650B用チューブもとても軽くそしてソフトな乗り心地の一助となっています。

 

3. ハンドル廻りのケーブル類の整理ですが、ワイヤレス電動変速システムSRAM eTap AXSを導入することによって変速ケーブルはなくなります。
ブレーキケーブルは従前のハンドルに沿う形になっていますので、そのためのハンドルにブレーキケーブルのための溝を加工した試作品を用意しました。

そしてライトのためのケーブルですが、国内ではバッテリー式のライトが広く普及していますが、長時間のライドではバッテリーライトは電池の交換を必要となるため、欧米のPBPの参加者の多くがそうであるようにハブダイナモを使って前後のライトに給電する方式を採っています。

今回使用した独・SON社のハブダイナモにはフロントフォークエンド内側に接点を埋め込んで仕様するコネクターレス仕様のSLというモデルがあります。そのための小型専用エンドを製作しているグランボアではこのダイナモからコードは外部には露出させないで、ガードの先端のフロントランプとシートチューブのうしろ側に専用台座で取付けたテールライトを点灯させています。

更に日本の400km以上のブルべではフロント2系統の電装を義務付けられていますので、フロントにはキャットアイの新製品で吊り下げ式のライトGVolt70をキャリアサイドに用意しています。このVolt70は本体後方上部にスイッチが設けられていて、こうしたキャリア取付に適した形になっています。

テールにはこのコンクール用にキムラ製TL07の軽量バージョンを製作して左チェンステーに直付けしました。CR2のバッテリーでも80時間は点灯する計算でした。ところがこのテールは現地で組み立てみると分解梱包した段ボールで見つけることができず、京都の店にも電話して積み残してないかどうか問い合わせてみたのですが、結局のところ最後まで見つけることができませんでした。

4. ブルべカードの出し入れは普通のランドナーであればフロントバッグをしているのでのバッグの上面のマップケースで事足ります。でもマップケースのない、フロントバッグのない、GPSをハンドルにマウントしている今のロードバイクにとってはちょっと不便な点なのです。

ゼッケンプレートもトラディショナルなた専用ダボを付けることで解決です。ただし取り付け位置はボトルの出し入れを考慮する必要があります。

 

5. 補給食へのアプローチの課題。これは新たなフロントバッグの製作が必要でした。バッグの軽量化が必要と考え素材を軽量なものに置き換えることはもちろんのこと、構造についても充分に吟味して扱い易さを追求したものになっています。パイロットの意見は、普通のフロントバッグでは走行中の振動によりメインコンパートメントの中で食料のような重いものはバッグの下方へ、軽い衣類等はバッグの中で上の方に移動してしまい、走行中に食べたいものを捜すのが大変とのことです。これを解決するためにマップケースの裏に厚みのあるポケットを設けて走行中の補給食はそこから供給して、そこが空になれば休憩ポイントでメインコンバートメントから移動させて補填するということにしました。

 

6. パリブレストのコントロールポイントには仮眠の施設が併設されていて、有料ですがちょっとした休憩をとることができます。また多くのライダーがコントロールポイントのレストランの隅で横になっていました。また車でのサポートには多くのキャンピング車が使われていて車の中で寝ることもできます。中にはコントロールポイントの敷地にある芝生にテントを張っている人もいました。かなり気持ちよく寝られそうでした。今回はそうしたサポートの無いことを前提としているので自らがそのシェラフなどを持って走ることを課題にしているのです。
今回はパイロットの前野が普段使っている軽量シェラフとネット検索によって調べた超軽量のエアマットを用意してそれを入れるための専用のサドルバッグを製作しました。それで使う予定のないシェラフとマットを1200km運んでもらいました。

 

 

7. ライト類のスイッチの設定は最も悩んだところです。PBPの規則では前後それぞれの明るさの規定があり、点滅を禁止しています。

まずフロントライトですが、街路灯の全くない真っ暗なフランスの田園地帯を夜間走行するためには、可能な限り明るさを確保しなければと考えました。キャリアサイドのマウントではホイールによって光の一部がケラレてしまって、前方への照射面積が減ってしまいます。グランボアではドロヨケの先端に取り付けることによってすべての光で前方を照射することが必要と判断しました。そしてそのスタイルを第一の課題の歴史的な美しさを兼ね備えたものにするために、1950年代の仏・シビエの小型砲弾型ライトのボディに、最新のシマノの高輝度LEDライトのユニットを埋め込むことにしました。このシマノのユニットは必要充分以上に明るいことをJBTによって確認済みです。

テールライトも以前からグランボアのカスタムオーダー用に用意していたダイナモ給電のキムラ製小型LEDテールを使用しています。

スイッチは操作性を考えステムトップに埋め込むことにしました。アメリカにはステムトップの回転式のサイクルスイッチがいくつか存在します。今回グランボアが使用したスイッチは乗用車用のライトスイッチです。点灯中はスイッチ自体が青色に点灯してくれます。プッシュ式ですので、PBPのように極限まで疲労していても走り続けなければならない状況でも確実にオンオフを決めることができます。

ただスイッチをステムトップに設定するためには通常のステム引上げボルトは使えません。引上げボルトはまたかなりの重量がありますのでこれを省略することは軽量化につながります。そこで採ったのがステムをフォークコラムで固定する方式です。これは戦前のイタリアのロッド式ブレーキが内蔵された旧い街乗自転車によくみられる方式で、日本では神田のアルプスさんのクイックエースの特徴的な仕様だった仕掛けです。これによってステムのコラム内部を空洞化してスイッチと配線を収納することができました。

 

8. ホイール着脱については最近のディスクブレーキの普及に伴ってスルーアクスルのエンドが採用されるようになり、ホイールの着脱がクイックレリーズより手間が掛かってしまい、クイックではなくなったことが問題視されていると思います。昔ながらエンドで軽量化のため4mmの六角レンチで着脱できるTririg Styx Areo Skewersという米国製のチタン芯を採用しました。ブラックアルマイト仕上げを研磨して使用しています。

9.ランドナーにかかせないのがドロヨケです。十二分にタイヤをカバーしてほかのライダーに水滴を浴びせることのないものを取り付けるのはあたりまえのこと、特にPBPのような幾日も走るライドでは途中で雨が降ることも充分に考えられます。今回使用したのは本所工研のH50という丸型の普通のモデル。ただしアクセントとしてフレームに入れる線引きの緑を中央に8mm幅で入れて金線囲いをして引き締めています。これもフランス車の典型的な手法です。

10.ここは小型乗用車でも分解して乗せることができる、つまり輪行できるかという課題です。

もちろん輪行できるのは当たり前なのですが、グランボアではドロヨケの着脱方式に工夫をして、より簡易な輪行ができますということでER輪行を提唱しています。クラウン・フロントキャリアリアブリッジ部分ではドロヨケに雌ネジを埋め込み、ドロヨケの外側から取り外しが可能になっています。ただドロヨケの先端にランプを取り付けていますのでコードの処理を簡便にする必要がありました。そこでクラウン裏に接点を設けてコードに触ることなくドロヨケを取り付けるだけで大丈夫な仕掛けを組み込んでいます。

もちろんそれでも車が小さいと乗せられないこともあります。さらにハンドルを外してフォークも抜けるようになります。

電動ワイヤレスの変速システムのため変速ケーブルはありませんので、ブレーキケーブルをアーチ側から外せるようにフレームのアウター受には割加工をしてあります。あとはステムのスイッチとフレーム側のコードの抜き差しを可能にさせるだけです。

以上のようにRêveur氏のご要望をいかにクリアしていくかを検討して、グランボアからの提案ができたと思います。

あとはそれをRêveur氏つまり審判の方々がどう判断するかになります。

実際の審判によるの審査風景です。

そしてこちらは審査前の車検です。

その重さはというと

重量ランキングは見事1位となりました。

 

マシンのディテールの解説に続きます。

親方


2019.06.30

ようやく梅雨入りして

ようやくの梅雨入りです。このまま夏になってしまうかと思われるほど遅い梅雨入りでした。今日も朝方はげしい雨でした。通勤の道が通行止めにならないように願っています。

最近はJBTにかまけてゆっくりとランドナー向けのパーツをチェックする間もなく過ごしていましたが、その合間にヨシガイさんが控えめに良いものを出してきてくれていました。

その一つJBT用のマシンを最終組み立てしていた時にポッと届いたのがCushyCottonBarTapeです。こちらは表面は粗目のコットンで裏打ちにクッションバーテープを使った複合素材のバーテープ。複合素材といっても決して最新の無機質なものでなく、ハンドルを握った時の感じがあっさりしていて心地よい、コットンというよりリネン(麻)に近い感触のバーテープです。梅雨のこんな時期にはピッタリですし、夏のカンカン照りの中を大汗かいて走るときも適度な手のひらへの刺激があってそれでいて滑りにくいそんな感じです。

もう一つはアメ色のブレーキレバーパッド、米国風に言うとレバーフードです。こちらは元々あった144204のレバーパッドの新色で、昔の天然ゴム製のアメパッドにかなり近い発色で透明感があります。もちろん素材は合成ゴムなので昔のパッドのように溶けてしまうことはありませんし、たいへん丈夫です。今までブラウンと比べますとかなり良い雰囲気です。

 

 

親方


2019.06.19

ジャパンバイクテクニークを終えて

二日間にわたって開催されたジャパンバイクテクニークを無事終えることができました。協力をいだきましたボランティアスタッフ・審判の方々、そして何よりも参加いただきましたチームの皆さんに感謝します。

このジャパンバイクテクニークを通じて、私が2017年のConcours de Machineで体験した「自転車を作って走って競うことの楽しさ」を多くの自転車人にお伝えすることが出来たかと思います。

私はフランスでの体験から、自転車を作る一人の自転車業界のはしくれとして、閉塞感のある今の業界に多少なりともインパクトを与えることができたらとの思いから、このジャパンバイクテクニークを開催する決心をし、ハンドメイド展に参加されているビルダーの皆さんに声を掛けました。はたしてこの呼びかけにどれだけのフレーム製作者の人が答えてくれるのかは大いに不安でしたが、いざふたを開けてみると、17チームものエントリーがありました。

この大会への参加の困難さ、それは自転車の基本要件としての軽さや走行性能の指標としての多様な路面を走るためのフレーム設計はもちろん、輪行や荷物の積載、夜間走行などツーリングのための自転車という条件を満たすための課題があり、さらにはデザインや製作技術、実用性など複雑な要素に対して、5名のジャッジにより評価されるという複合的な課題解決へのアプローチなのです。

これに対して今回エントリーされた自転車に盛られた興味深いアイディアや加工に道具としての自転車に対する真剣な接し方が大いに反映されていると感じた次第です。それは私の想像していた通りであり、それこそが日本において娯楽的スポーツとしてのサイクリングが発展し培ってきた独自の自転車文化の現れであると思います。

私は本大会をオーガナイズしたものとしてこの結果に大いに満足しています。もちろん参加されたチームの皆さんにはまだまだ大会の在り方に対して、不十分であると感じられる部分も多々あったと思います。私はこの大会に多くの批判・提案をいただき、モノづくりの競技としての質をさらに高めていきたいと思います。

来年あるいは再来年またジャパンバイクテクニークを開催できるかどうかはまだわかりません。ただ参加されたチームのみなさんのさらなる熱意と、そしてこの大会を知って自らエントリーをしてみようと思われるビルダーの方が数多く現れれば、それは難しくないと思います。

私はこの大会の再度の開催を目指していることを表明します。今回グランボアは他のチームと同様のエントリーをしておりましたが、最終的にはオープン参加とさせていただきました。それはポイントの設定において私のランドナーへの思いが前に出すぎて、個別ポイントの指向性に偏りがあったようにも感じたからです。今回グランボアは順位の列からは外れましたが、次回は同じスタートラインに立って他のチームと渡りあえるような大会を作って行きたいと思います。エントリーチームの皆さん、そして多くのビルダーのご意見をお待ちしています。

photo by S.Akifusa

親方


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