津軽から江差へ~その3
4日目。距離91.4km/獲得標高868m
知内温泉(自転車) — 福島 — 白神岬 — 松前城 — 上ノ国 — 民宿宮寿司/上ノ国原歌
朝、6時過ぎに「風呂に行こう。」と起こされる。
少し体は重かったのですが、折角なので朝風呂へ。北海道最古の温泉といわれる知内温泉は自然湧出の源泉かけ流し、浴室は絶えず流れ続ける硫黄泉で独特の雰囲気を作り出しています。朝の気温7度。路面は全体的に濡れており、霧雨がまだ残っていました。
出発してすぐは新芽が出始めたばかりの産毛に包まれたかのような森の中を上ってゆきます。昨日までのことを思うと少し気温は低いものの、風が無く、体が軽い。あっと言う間に最初の峠を越え、再び海辺へと向かいます。気付くとすっかり雨は止み、晴れ間も見えてきました。ところが、海岸線では再び強風との戦いが。。。千代の富士のふるさと福島町、北海道最南端の白神岬、桜がまだ残る松前城下の松前を越え、さぁ、その後はただひたすらに海岸線を北上です。目指すは江差の少し手前、上ノ国の民宿です。
森からはいろんな鳥の声が競うように聞こえてきます。
誰もいないのでこちらも大きく「ピロピロピロピローッ!」なんて鳴き真似てみたり。
福島町を出たところ。
小舟の傍で細かく水面が揺らいでいます。その上空には無数のカモメ。
白神岬。
かなりの強風でしたが、前日の風を思えば余裕です。だって、立って歩けましたから!
ゴツゴツとした海岸線。好奇心旺盛なカモメが私たちを偵察に来ました。
松前城。
あれに見えるは大島。
【追分ソーランライン】
函館から小樽まで日本海側の約500㌔を結ぶ、国道228号、国道229号、国道5号の愛称だそう。
私たちが走った福島から上ノ国までは国道228号線。今も点在する小さな漁村の傍らを大小の橋で結び、ほぼ一直線の道でした。ふと、見下ろした立派な橋の下には昔の道の名残が。かつての若者はあの路で旅をしたのでしょうか。。
国道を外れて集落の中を通ったほうがこの日は風がましでした。だけど、行けども行けども、上ったり下りたりの繰り返し。一日中です。
風に押し返されながら、坂道を繰り返し上りながら、一つの思いが自然と浮かんできます。
「これは、現実?」
毎日毎日、寸暇を惜しんで「何かしら」に追われていた自分の生活とはあまりにかけ離れたここ数日の時間の使い方に、ふと、我に返り、ただただ自転車を漕いでいる自分が幻のように感じられて仕方がありません。
「これは、実際に私の人生で起こっていることなのだろうか。。」
「なぜ、私はここで、こんなにも自転車を漕いでいるの!?」
目指すお宿はあの岬の先端。
海岸線の風景も優しいものへと変わったころ、あれだけ苦しんだ風も凪いでいました。
*****
5日目。距離48.9km/獲得標高415m
民宿宮寿司/上ノ国原歌(自転車) — 夜明けの塔展望台/夷王山 — 道道5号線 — 木古内(輪行) — 函館(自転車) — 函館グランドホテル/函館
やっと、文句なしの晴天。だけど体がずっしりと重い。。。
朝食を終えて宿の庭に出ると、奥尻島がクッキリと見て取れました。風もなく、この旅一番のサイクリング日和です。宿のおかみの勧めもあって、まずはすぐ近くの夷王山に登ってみることに。最初は勧められた神社までのつもりでしたが更に上がある事に気づきました。上ってみると素晴らしい絶景が ここを素通りしなくて本当によかった。いつまでいても立ち去りがたい程の場所でしたが、しぶしぶほどほどで下山し、道道5号線(江差木古内線)を進みます。あまり期待していなかった道だったのですが、走ってみると勾配もそれほどきつくなく、とても走りやすい。それに、かつてのJR江差線に沿うように作られた道で、ところどころ廃線後の趣ある風景に出会えました。更に、道端には水芭蕉の群生箇所があちこちに!
昼過ぎには木古内駅に到着し、昼食を近辺で済ませた後、函館まで輪行。函館駅から再び自転車を組み上げて駅から2キロほどの最後の宿へ向かいました。
お宿の庭からの絶景。あれに見えるは奥尻島。
手前が江差。奥は松倉山でしょうか。
絶好のロケーションの民宿「宮寿司」
下りてきたところで見つけた看板にうなずく。道立自然公園の一部だったんですね。
道道5号線(江差木古内線)
再び木古内駅。輪行しようと思ったら、こんなとこや、
こんなとこが錆びていて、折り畳み工具では往生しました。親方が持参していた工具でなんとかなりましたが、やっぱり、ちゃんとした工具が必要なんですね。。
函館までおおよ1時間。
旅もそろそろ終わりです。
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