アイズの独り言

2016.11.22

BRM1008大津600km

こんにちは、スタッフの前野です。

少し前の話ですが10月8~9日に開催された大津~新潟を走る600㎞ブルベに参加してきました。

前回のブルベは単独での参加でしたが、今回は初600㎞の友人(以後友人Sと呼ばせていただきます)も一緒です。彼とは大学時代同じサイクリングクラブに所属し、九州一周、四国一周を共にした仲です。今年からブルベに参加し、グランボアのランドナーで200、300㎞のブルベを完走しています。

コースは大津を出発して琵琶湖の湖岸を北上し、関ヶ原を抜けて岐阜から高山へ。高山から野麦峠で松本へ抜け、妙高高原を越えて上越へ。上越から先は日本海を左手に新潟まで走ります。このコースを40時間以内に走り切るのです。前半約300㎞は上り基調で、野麦峠を越えてしまえば峠はあるものの下り基調。後半約150㎞は海沿いの平坦路です。獲得標高は4800m、野麦峠を越えてしまえば完走が明るいコースプロフィールなので、2人揃って完走できると考えていました。

 

 

大津駅をスタートするのは午前6時、眠い目をこすりながら4時過ぎに自宅を出発して大津駅へ向かいます。
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まだ暗い大津駅前には既に多くの参加者が。天気予報は曇りのち雨。天気予報を見て友人Sはなんだか弱気です。「自分は松本まで行ければ十分だ」とまで言っています。「どうにかして友人のやる気を引き出さねば!」と思いますが僕自身も、深夜に超える予定の野麦峠の気温、天候が心配でした。とりあえず友人Sが行けるところまでは一緒に走って、もし何かあったらその時決めることにして肌寒い大津駅をスタートしました。

 

 

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【装備紹介】

フロントバッグの中にはゴール後に着る衣類、レインジャケット、防寒用のウールインナー、手袋、シューズカバー、予備チューブ2本、モバイルバッテリーなどが入っています。8月の北海道600㎞に比べると防寒具、輪行時の着替えなど荷物が多いです。携行するボトルは一本にして、空いたケージにはレインパンツを入れています。雨予報だったので、普段は使わないクロスカントリー用のチェーンルブを使用しています。

8月の600kmでは上下ルイゾンボべを着て走りました。今回の600kmは寒暖差が激しい10月開催のため、ウェアも異なっています。まず上はルイゾンボベの半袖ジャージゾーリンゲンとメッシュのアンダーウェア、アームカバーを基本とし、夜間に気温が低下した場合はメリノウールのアンダーウェアを着用します。ルイゾンボベのジャージはメリノウールが含まれているので、化繊のみのジャージに比べて快適に着用できる気温帯が広いです。下半身は荷物削減のため、1枚のビブブショーツで乗り切れるよう、裏地フリースの七分丈ビブショーツを着用しました。夜間、想定よりも気温が下がったらレインパンツを履きます。

ブルベは昼夜、天候を問わず走行するのでウェア選択はとても重要です。特に気温が低くなる秋~春の峠では遭難に繋がりかねないので自転車選び以上にウェアの選択が成否を決めます。

 

 

 

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スタートしてしばらくの間は幹線道路を走行するので黙々と走ります。友人Sも調子が良さそうで、30km/h前半を維持しながら距離を稼いでいきます。関市を抜けるまでの約140㎞は交通量が非常に多く、とても気を使う区間でした。

 

 

関を抜けると山間を縫うようにして下呂方面へ向かいます。

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ダム沿いを他の参加者と共に走ります。写真では確認出来ませんが、ダム対岸の斜面には民家が点在しています。普段走っている京都北山の景色とは異なる雰囲気で、旅情を感じます。

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こちらは約190㎞地点の岩屋ダム。ダムの壁が岩で敷き詰められています。ロックフィル式ダムというもので粘土質のコア、砂や砂利で構成されるフィルター材、そして外側の岩から成るロック材の3層で構成されているそうです。なかなか見ることがないタイプのダムだったので友人と写真を撮りながら休憩します。ダムカードをもらってこなかったのが少し悔やまれます。

ここまで雨の勢いは弱く、レインウェア無しで進んできましたが、雨脚が強まりレインジャケットを羽織ります。この時点で午後3時、この先さらに雨が強くなる予報です。景色を眺めている僕の横で友人はリタイア後のことを考え、天気予報や帰りの電車を調べ始めました。

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岩屋ダムの上から馬瀬川を臨む。

なかなか足を運ばない場所に来られるのも、ブルベをやっていて楽しいと思うポイントです。普段はダムを目当てにツーリングコースを組むことがありません。こんな景色を見ると、淡々と通り過ぎるのが惜しくて脚を止めてしまいます。

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岩屋ダムを後にして交通量の少ない山道を進みます。走りながら今後の進退について話し合い、体調不良と天候悪化で友人SのDNF(Did Not Finish)が濃厚になりました。この時、僕は友人Sと別れて走り続けるか否か決めかねていました。

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道の駅馬瀬美輝の里で足湯につかります。岩屋ダム以降、友人Sは体調不良で走りに覇気がありません。この先、別れて一人で進みことも考えましたが、折角予定を合わせて走っています。今回はブルベの完走にこだわらず、楽しく走ることを優先して自分もDNFすることにしました。

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DNFを決めて鉄道や宿がある町に着くまでは自分の脚で進みます。ブルベではリタイアした人を回収するためのサポートカーは用意されていないので、リタイア後も自己完結しなければなりません。

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下呂の市街地に到着し、DNFの連絡を主催者に入れて急いで宿探しです。時刻は16時過ぎ、3連休初日ということもあって、空室を見つけるのに難儀しました。
10軒近く電話して部屋を確保。布団と風呂で英気を養い、明日以降の行程を計画します。下の地図は1日目の走行ログです。

 

友人Sも宿に入って体調が回復したようで、2日目は下呂から高山へ抜けて天生峠を越え白川郷へ。白川郷で茅葺集落を観光し、五箇荘から砺波、金沢まで走ることに決めました。金沢で輪行してその日のうちに京都に帰る計画です。


 

 
2日目は飛騨までブルベとほぼ同じ道を走って高山へ抜けます。途中に野麦峠への分岐がありました。もしDNFしていなかったら深夜に大雨の中、同じ場所を通過していたかもしれません。写真はトンネルを迂回して走った旧道です。交通量ゼロ、川沿いの静かな道を満喫しました。ブルベ中と比べて頻繁に立ち止まって写真を撮り、走るペースもスローになりました。友人と他愛もない話をしながら景色を満喫し、のんびりペダルを回していい気分です。まだ午前中で、時間に余裕があって気楽でした。のんびりサイクリングが後半に響くとは思いもせず…

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2日目のメイン、天生峠です。飛騨から合掌造りで有名な白川郷へ抜ける標高1289mの峠で、国道360号線上に位置しています。登りの飛騨側は細かいヘアピンが多く、路面は比較的きれいです。下りの白川郷側は落石、落ち葉が路面を荒らし、全体的に頭上は樹木で覆われており薄暗い道でした。

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序盤は九十九の急こう配が続きます。

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標高を稼いでいくと勾配は緩やかになり峠に近づいていきます。紅葉シーズンに行ったら絶景が期待できます。峠には天生湿原と籾糠山への登山口が設けられ、車とバイクの往来も少なくありません。

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峠に到着して少し休憩した後、ウインドブレーカー代わりにレインジャケットを羽織って白川郷へ下っていきます。この白川郷側の下りが落石と大量の落ち葉、枯れ枝でスリリングなダウンヒルになりました。

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天生峠を下ると白川郷の入り口に合流します。実は以前もブルベで白川郷に来たことがあったのですが、その時は深夜に通過しただけ。暗闇の中、茅葺集落のシルエットがぼんやりと見えただけだったので、今回初めて白川郷を見学することが出来ました。ここで昼食をとります。

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午前中のまったりサイクリング、天生峠と白川郷見学で時間が押してきました。白川郷を出た後は前日のブルベと同じか、さらに速いペースで先を急ぎます。何せこの日のうちに京都へ帰ると決めたので、終電金沢駅発20:30に間に合わせなければなりません。実は2日目の走行距離は天生峠を含んだ約180㎞、午前中にまったりサイクリングをしていられるほど短い距離ではなかったのです。

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僕たちが先を急いでも登り坂が平らになってはくれません。「昨日のブルベよりもしんどいな~」と嘆きながら坂を上っていきます。

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南砺に到着したあたりで日没を迎え、2時間ほどナイトランをして金沢駅に到着しました。初日は日没前にDNFを決めて宿に入ったので、ナイトランをした2日目の方がブルベの雰囲気があったかもしれません。

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金沢駅に到着したのは19時過ぎ。急いで輪行すれば終電より1時間早い電車に乗れそうだったので10分ほどで輪行、急いで特急に乗り込みました。京都まで約2時間、友人と乾杯して今回のブルベの反省と思い出を語り、帰路に着いたのでした。

 

今回はDNFに終わりましたが、楽しくツーリング出来たので結果オーライ。完走にこだわる事も大事だと思いますが、楽しく走って無事に帰ってくるのが一番です。

今年はエントリーしたブルベが少なく、スーパーランドナー獲得を逃しました。来年は出走回数を増やして、スーパーランドナー獲得+1000kmブルベに挑戦しようと思います。

まえの

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