グランボア カーボンブラシシステム
電装のカーボンブラシ工作は、私にとって憧れの機構でした。
ヘッドチューブ内に接点を設けることで、回転するフォークとフレームを通電させることができるこの仕掛けは、ヘッドラグ付近からピロンとコードが露出せずスマートな印象を与えます。
そもそもカーボンブラシとはルネエルスの工作の名称であり、その名の通りコラムに組み込まれたカーボンの芯をヘッドチューブ内の真鍮のバンドに接触させることにより通電させました。
ルネエルスの機構 1946年ルシクル紙
ルネエルスカーボンブラシのユニット
コラムへ組み込まれたルネエルスカーボンブラシ(珍しいトップチューブ仕様です)
現在、日本ではカーボンの芯を破損しにくい真鍮などで製作することが多いですが、この機構の事を「カーボンブラシ」と呼ぶのが一般的です。
カーボンブラシはフォークコラムに接点を設けヘッドチューブの内側に真鍮のバンドを圧入する方法(ルネエルス)とフォークコラム銅板を巻き付けダウンチューブに接点を設ける方法(東叡社)の2つの手法が主流ですが、グランボアではフォークコラムに接点を設ける前者の方法を採用しました。
グランボア工房での製作手順を紹介します。
まずフレーム側バンドをフレーム内径に合わせて調整し、バンドにコードをハンダ付けします。
塩ビの絶縁バンドを巻いて慎重に圧入します。
圧入後ハンダ付け部分はコラムに接触しないようにダウンチューブ側に折り返します。
次にコラムへ組み付けるパーツを旋盤で削り出します。
右から真鍮製接点、塩ビ製絶縁パイプ、コラムに溶接する本体パイプです。
フォークコラムにパイプを銀ロウでロウ付けします。
スプリングにコードと接点をハンダ付けし絶縁パイプに通します。
コラムに組み付けました。
フレームに装着後、テスターで通電確認をすれば完成です。
横からの図です。
メンテナンス性とフォーク抜き輪行時のフォーク着脱を容易にするために接点の出っ張りを最小限に抑えています。
カーボンブラシは基本的にフレーム制作時にオーダーするもので後付け加工が困難でしたが、グランボアでは後付け加工が可能です。
電装でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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