アイズの独り言

2019.10.21

ポリージャポン2019

 

10月の第3土日はポリージャポンの日です。以前は店を休んでの参加でしたが近年は店の若いスタッフを連れて参加して、店は専務に留守番をお願いしています。

1993年以来27回目となるこのイベント、すでに4半世紀を越えて続ているかなりディープな自転車マニアの集まりです。今回32名の参加者のうち半数近くが皆出席か1回の欠席したただけという具合なのですから・・・ただし4半世紀も続くと当然その分皆さん歳を取りまして、当初は30代半ばだった私でもすでに還暦を越えてしまっています。それでも飽きることなく参加を続けられるのは参加する皆さんの相変わることのない自転車に対する情熱と、極めて日本人的なエンスーアジャステックな自転車に対しての探求心だと思います。

ポリージャポンのメインイベントとしては、テーマに沿って作られた自転車を競うテーマ車部門と、車種関係なくレストアの技術・蘊蓄を競うレストア部門でコンクールデレガンスが行われます。これはカルフォルニア・ぺブルビーチでの自動車のコンクールデレガンスに倣い、純粋に美しく優美な道具としての自転車そのものを楽しむ場として行われます。

さて今回のテーマは「重そうに見えて軽く走る自転車」でした。実際に軽いか重いかということよりは、その自転車の製作思想や技術的な特徴を持ってその軽さを強調することができるかということになります。平たく言ってしまえばいかにテーマにこじつけてプレゼンするかということなのですが、近年どんどん抽象的になってくるテーマに対して、ネタ元になるジテシンャを用意することができるかがポイントになります。

 

今年の第一位は東京のU氏のトーエイの軽キャンピング車でした。かつて出版されたトーエイ写真集の表紙になった緑のトーエイです。重々しいイメージがあるキャンピング車をライトキャンピング用に仕立て上げたコンセプトが評価されています。自転車自体もクラッシックキャンピングの定番と言えるビンテージフレンチパーツをふんだんに使用して、さらには東叡社製の様々なオリジナルパーツが満載された一台です。中学生の頃から半世紀以上ビンテージパーツの収集を続けて、筍デモンタや超軽量車など歴史に残る名車をオーダー製作したオーナーの面目躍如の一台です。

第2位は初参加された東京のo氏の戦前の英車「パラゴン」、そして3位には私が製作した今年のConcours de Machineグランボア出走車が選ばれました。

 

レストア部門ですが第一位は大阪のK氏夫妻のエルスのタンデムでした。素材になったこのエルスタンデムの元々のオーナーはかの鳥山新一氏で、有名なトゥークロメのシクロ仕様のシャンテルーとは別に欧州走行用にフランスにおいていたタンデムなのです。80年代に日本へ持ち帰り、その後はあまり乗られることもなく最近K氏のところへ譲られたものです。K氏の何も引かない、何も足さないという完全オリジナル思想でレストアされたシャンテルーは新品の時以上に輝きを取り戻していました。

 

さてポリーはこれだけではありません。必ずコンクールとは関係なく持ちこまれる自慢の愛車のお披露目があります。ことしはトーエイ製の折り畳み自転車でした。これは1957年頃に初代東叡社社長打保梅治によって製作された折り畳み車を復元製作されたものです。

 

パーツ構成等はオーダーされた方々の細かな注文に対応したスペックになっていて、それぞれ面白い自転車になっています。

 

実際にどのように折りたたむのか東叡社の山田社長に実演してもらいました。

お折りたたむとこんな状態になります。

オーナーの趣味により小物も凝っています。ヘッドバッヂは1964年のトーエイの東京五輪バッヂ、ロックは現行品の馬蹄錠を加工しています。

この折り畳みトーエイですが、限定5台の製作だったそうです。あとの3台も見てみたいですね。

 

帰り支度でエルスのタンデムデモンタを分解している京都のK氏です。このエルスも半端なくすごいタンデムでした。何よりもK氏のタンデムデモンタ機構についての解釈とエルスの技術的問題点の解決へのアプローチに説得力がありました。

 

ひとずじ縄では行かない面々の持ち寄る自転車の数々、本当に飽きることがなく、もっと精進しなければと思います。

来年のテーマは「色にこだわりのある自転車」です。さてはてどんな自転車が持ち込まれるのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

親方

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