アイズの独り言

2022.07.14

JBTマシーンあれこれ その1ステンレス車

ジャパンバイクテクニークからもう1ヶ月が過ぎ来ました。ようやく滞留がちだった仕事もスムーズに流れるようになり、落ち着いて振り返ることができます。

今回のJBTはコロナの影響で前回に比べてエントリー台数は少なくなってしまいしたが、全体的な質のステップアップがなされたと思います。

 

グランボアではステンレスチューブを使ったランドナーと前回2019年のJBTにオープン参加ながら出走した車体に後付けの電動アシストユニットを搭載したebikeランドナーで参加しました。

 

まずはステンレスチューブをつかったグランボアのランドナーですが、ステンレス製のランドナーフレームはほとんど聞いたことはありません。大分以前からステンレチューブは存在するのですがなぜでしょうか。コロンバスXCRやレイノルズ953といった老舗ブランドのステンレスチューブも存在するようなのですが、ほとんど入手は困難な状況になっています。今回使用したチューブは現在唯一と云ってよい米国のステンレスチューブメーカーKVAのMS3というチューブセットです。06/0.4/0.6とかなり肉薄ながらステンレスらしく固くしっかりしたチューブです。これを今回仕入れて分かったのですが、ステンレスチューブがそもそも高額すぎます。普通のクロモリチューブの7~8倍ほどの価格がします。その割にはチタンのように大きく軽量化ということにはなりません。やはり素材のコストがフレーム製作者に嫌われてしまって市場から消えつつあるようです。

チタンやステンレスなどの非クロモリ素材のチューブは一般的にはTig溶接で組上げていくのですが、ステンレスは専用の銀ローを使用すればフィレット(ラグレス)で製作することもできます。ただフィレットであればこれまた高価な銀ローも相当量使うことになります。

 

 

ラグやクラウンなど必要なステンレス部材も見当たりません。グランボアではエンドやクラウンも普段ERモデルで使用しているものと同じデータで304ステンレスからレーザー加工で製作しました。ロードバイクでしたら必要のないカンチブレーキ台座も作る必要があります。通常のカンチ台座をばらして広げて、展開図を起こしこれもステンレスの板からレーザーで抜き、折加工をするための切削を施してから箱型の台部分を用意して、さらにステンレスの丸棒から削りだした円柱部分と組み合わせ、銀ローでしっかりと固定して仕上げます。

 

 

すべての直付け小物をステンレスで用意したところでフレームの製作に取り掛かれるのです。

ステンレスはクロモリに比べて熱による延びが大きく、低温で素早くローを回す必要があります。またちょっとでも加熱しすぎてしまうと表面が酸化してしまって銀ローがのらなくなってしまいます。そしてトーチの取り回しには注意が必要です。固いステンレスではチューブ同士を接合した後で芯だしなどのための修正することもできません。正確で均等な火入れを要求されます。

銀ローは柔らかくステンレスのチューブは固いので仕上げのために削っていくことは真鍮ローよりは容易です。ただ塗装しないで鏡面仕上げの状態にしようとするとかなりの手間を強いられてしまいます。今回もまずチューブ状態でバフ掛けを行って、フレームになってから再度磨いてみましたが、鏡面と呼べるまでには至りませんでした。次は知り合いのステンレス加工屋さんに訊いてから鏡面仕上げを実現したいと思います。

ステンレスチューブの大きなメリットとして塗装しなくても錆びないということがあります。確かにステンレスは錆びないのですが、銀ローは経年による変化として黒ずんでくると聞いています。確かに昔の100円銀貨は黒っぽくなっていたと思います。実際銀の含有量がどの程度なのかは知りませんが、1ヶ月ではまだ変化はありません。

 

 

今回はフロントフォークもステンレスで製作しましたが、これがとてつもなく硬くて、普段クロモリφ23のブレードで製作しているフォークであれば冷間でも簡単に曲げられるのですが、まったく曲げることができませんでした。そこで以前あるビルダーさん聞いたことのある熱間での曲げにチャレンジしてみました。そのビルダーさんによると熱間でバケツをR合わせに使って曲げることができたというのです。グランボア特製の2本曲げベンダーにセットしたままトーチで炙って素早く曲げてみたところ、確かにあっさり曲がってくれました。ところが今度は曲がりすぎてしまい失敗です。やむなくクラウンを炙ってブレードを外して、新しいブレードを用意しての再チャレンジで狙い通りのRを出すことができました。こう書くと簡単にリカバリーできたように見えますが、1本1万円以上するブレードを2本ダメにして、さらには新たに入手したステンレスブレードは当初のブレードよりかなり短くギリギリのところでものにすることができたので、今回の一番の難所でした。

 

 

こうしてフレームとフォークが形になったのがJBT開催の10日ほど前でした。さらにキャリア製作担当の伊藤君が初めてのステンレス製ながらほぼ2日でパニアキャリアを製作しました。パーツ構成は今回延期開催となっていたためすでに昨年のうちからほぼ用意しており、フレームの仕上げ担当且つ今回のライダーでもある前野君がせっせと作業を進めてくれてギリギリの9日に彼による試乗ができました。私としてものその乗り味に大変興味がありJBT前に試乗してみたかったのですが、私自身が今度はグランボアebikeのライダーとして参加するため、前日にはヒルクライム部分だけでも試乗をするために前日に現地入りして後日の楽しみとしました。

 

 

走りについてはヒルクライムセクションをグランボアebikeに続いて2番目にクリアすることができましたので、健脚ライダーにも十分にこたえられるフレームであると思います。それより気になったのはダートでの下りでチューブの硬さ故に振動吸収が十分にできるかどうかで、特に今回の課題のペットボトル4本をそれぞれ左右のフロントサイドに積載しての走行でしたので、フロントフォークにかかるストレスの大変大きくなっていました。結果としてライダーの感覚としても堅いけれどもしっかり振動吸収してくれるということでした。このことはJBT後に私が乗っ見て確認しましたが、身体に帰っ来るようなストレスになる振動は感じられず、ステンレス車の独特の乗り味であると判断できました。

このステンレスグランボアJBT号は私自身の主力ツーリング車として使用していきます。すでに数台のバックオーダーをいただいており、さらなるフィードバックのご意見を聞きながら製作していくことになります。オールメッキのクロモリフレームの製作が困難になっている現状で錆びないステンレス車でポリッシュ仕上げにしてモノトーンの自転車を製作することは魅力的な選択肢であると思います。

 

 

親方


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