船でゆく北海道 ~網走・知床・サロマ湖~
DAY 6
苫前~網走、そしてウトロへ。
距離にして概ね400キロ。
車だと苫前から4時間ほどで網走の道の駅に着くことができます。そうすると、午後はマルっと観光に充てることができたので思い切ってこの日は自転車はオフ。
網走の観光施設は網走湖東側に集中していますのでウトロへ向かう道中で効率的に回れました。
グリーンランドから北欧まで、アイヌ文化を含めた北方民族の文化とオホーツク文化を紹介する日本で唯一の博物館です。特に衣食住を中心にした展示品は充実しているうえに、各自のスマホでQRコードを読み取ると展示品の説明が聞けるようになっています。ビデオ展示も各所にあり、道具の使い方や作り方なんかをわかりやすく伝えています。
毛皮だけでなく、魚の皮やアザラシやトドなどの海獣の腸を使った靴や衣服には驚きました。腸は薄く半透明で防水性もあり、縫製の仕方を工夫して雨具として利用していたそうですよ。
・一般 550円
・高校生・大学生 200円
・小中学生・65歳以上・障害のある方及びその引率者などは免除になります。
【網走刑務所(博物館)】
明治時代から実際に網走刑務所で使用されてきた建物を保存公開している野外歴史博物館です。
博物館の前まで行って入館料の高さにちょっと引き返そうかとも迷いましたが、一回くらいは話のタネにと見学してきました。観光客も多かったですし、見るべきポイントもあるようで少ない、でも、お庭も広くて散歩にはいい感じでした。人気漫画の「ゴールデンカムイ」を読んでおられる方は特に面白いんじゃないかな。私はここを訪れてから泊まった宿でゴールデンカムイを初めて知ったので逆でしたけど。。
・大 人 1,500円
・高 校 生 1,000円
・小・中学生 750円
【小清水原生花園】
オホーツク海と濤沸湖に挟まれた約8キロメートルの細長い砂丘の上に形成された原生花園です。6月は良いですね。花も咲いてますし、鳥も賑やかです。また、遠くに藻琴山や知床連山を望み、オホーツク海や濤沸湖に挟まれた中をJR釧網本線が走るという、ロケーションそのものもユニークです。
あれに見えるは知床半島。山々もくっきりと綺麗です。
そんな中、花かと見紛う白いものは、、、。
エゾシロチョウ
清楚でガラス細工のようですね。
北海道にしかいないそうですが、幼虫の時期は果樹の葉を食い荒らすので農家さんからは嫌われちゃってるみたいです。
ハマナスとホウアカ。
大きな虫を咥えています。
結構遠くにいる小鳥をこっそり撮影しているつもりでも、割と高い確率で目が合っていたりします。
彼らもこちらを警戒してるんですよね。
ここは自転車でも、車でも、立ち寄ると楽しいです。
*****
DAY 7
知床岬と知床五湖 網走泊
【知床岬 -遊覧船-】
個人ではトレッキングかシーカヤックかでしかアクセスできない知床岬。
そのどちらもできそうもない私たちが利用したのが知床観光船です。
ウトロと羅臼からいくつかの観光船が就航していますが、船会社によって得意とするところや、所要時間や出発時間などが異なります。私たちは午後からは自転車で知床五湖へ行く予定にしていたで、唯一、朝9時出発の船を就航していたゴジラ岩観光の船で知床岬巡りをしてきました。
*
ウトロ港、良いお天気です。
同乗者は10人くらいかな。
それに対して船のスタッフは船長含めて4人はいたと思います。安全に対する配慮はもちろん、双眼鏡を無料でレンタルしてくれたり、とてもきめ細かく案内してくれました。
私たちが船に乗った目的は知床岬巡りはもちろんですが、もう一つは今回の旅の目的であるケイマフリを見る事です。それが、、、油断しました。。。出発して間もなくが営巣地付近をだったらしく、一瞬で通過してしまったのです。。。今回利用した船の目的は知床岬巡りで、ケイマフリももちろん案内してくれましたが、この時期、そのポイントに行けば必ず会えるケイマフリはさらっと終わってしまい、どっちかというとヒグマに重点が置かれていました。たぶん会える確率が低いからでしょうね。乗船中、スタッフたちはずっと双眼鏡でヒグマが海岸に出ていないか探していて、チラッとでも見つけると「ヒグマ、いました!」「あの木の陰です!」なんて懸命に案内してくれるのです。
みんな、そんなにヒグマに会いたいの??
知床のケイマフリには確かに会えました。でも撮影できたのはこのピンボケ一枚だけ。。。
(残念。。)
オジロワシ
まあね。2羽ね。
でも、これなら一昨年に走った釧路から厚岸までのルート上の方がたくさんいたんだよね。
(モノタリナイ。。)
ヒグマに至ってはチラッと見えたそうですが写真はありません。。。
(ワカラナカッタ。。)
*
それより今回感動したのはこれ。
是非、画像をクリックして大きくして見てくださいネ。
ミズナギ鳥の渡りに遭遇したのです!!
帯状になって海面すれすれを行く鳩くらいの大きさの鳥の群れ。
岬に近づくまでずーっと延々と小鳥の帯が続いています。
「水薙ぎ鳥」の名の通り、海面すれすれを切るように飛んでいく。
ガイドの話や資料によるとタスマニアからオホーツク海域までオキアミを求めてやってくるとのこと。その距離何と往復2万5千キロ!!! 更に北極圏迄行く個体もいるそうで、そうなると3万キロを超えるようです。渡をする鳥の中では最大のスケール。そんな距離を飛ぶために少しでも浮力を得るための彼らの飛び方なんですね。
すごいですねぇ。もう、感動しかない。
大人の握り拳分くらいしかない体でそんな旅をしているのです。
たぶん、彼らにはそれに適した翼があって、歴々と続いてきたノウハウがあって、厳しさも知っているけど、その楽しさも知っているんじゃないかな。そして、たぶん、その旅が好きなんだ。1度でも経験すると苦しいけど、また行きたくなる。
なんだか自転車の旅に似てる、かな。
中でもこの鳥は超ロングコースが得意なブルべライダーですね。
一か月前からこの観光船に乗り始めたという若いスタッフの方も初めて見る規模だとか。
すごいですねぇ。
すごいねぇ。
他にも船から見る断崖絶壁や、滝の写真もたくさん撮りましたが、なんだかどれもしっくりこない出来栄えです。。
やっぱり現地で見たあの圧倒的なスケールには全然及ばない。
知床岬
書いとかないと分からないよね。
【知床五湖】
観光船の後は知床自然センターに車をデポしました。
フレペの滝の断崖にもケイマフリが営巣しているとの事でしたが、この日は朝から熊が出没したとかで滝に通じる遊歩道は閉鎖されていました。ヒグマの活動期でもありますし、時間的にも無理して走らなくても良かったんだけど、でも、やっぱり、自転車に乗りたいんだよね。ここからだと知床五湖まで距離は往復で20キロほどです。
念のため、匂いのするような食べ物はバッグから出して、大きな鈴をそれぞれ付けてと。
知床連山、バッチリ。
知床五湖でも雲一つなく、澄み渡っていました。
復路でアオジがきれいな声で歌っていました。
熊はいませんでしたが、、、。
狐が2匹。
びっくりした!
*****
Day 8
網走~能取岬~サロマ湖
【呼人探鳥遊歩道】
網走湖のほとりで一泊した翌朝、早々にチェックアウトしてすぐ近くの遊歩道を散歩しました。
散歩といっても、全コースを歩くとなると往復14キロもあるので、2時間程度と時間を決めて、1時間歩いた地点で折り返すこととしました。結果、この地図でいうと西湖畔あたりで折り返してきてきたのかな。良い季節だというのに出会った人は道中たったの2人。その代わり、鳥にはまあまあ出会いましたよ。
遊歩道に入ってすぐ出迎えてくれたのが何かの幼鳥。
うーん、アオジかな。。この尾羽。
これも赤ちゃんぽいけど。
エゾムシクイかな。
家の近所では見ない鳥ばかりです。
こちらはアカゲラ。頭の先が赤いのでこれも幼鳥なのかな。成鳥のオスは後頭部のみ赤いそうです。
とにかくすばしっこくてなかなか撮影させてもらえませんでした。
そしてこれはアカゲラのメス。
特徴的な赤い頭はオスと子供だけなんですって。
エゾリスは興味津々で私たちを観察していました。
リスの耳って毛が長いだけで丸いのね。(笑)
なかなかワイルドな遊歩道でした。
虫刺されに気を付けてね。
【オホーツク流氷館】
流氷とオホーツク海の生き物をテーマとした観光施設です。
散歩の後、あまりの暑さに立ち寄りました。マイナス15度の流氷体感ルームは体のクールダウンにぴったり!? 名物の流氷ソフトが期待以上に美味しくて今も心に残っています。レストランもあるようですがこの日はお休み。結局、道の駅でラーメンを食べたのでした。
あと、高台にあり展望が良いです。
・大 人 770円
・高 校 生 660円
・小・中学生 550円
***
午後からは網走の道の駅に車を置いてサロマ湖まで1泊ツーリングです。
往路はケイマフリの目撃情報がある能取岬経由でサロマ湖畔の宿まで約60キロ。
復路はワッカ原生花園の散策に自転車を使ってサロマ湖サイクリングロードとオホーツクサイクリングロードを使って車をデポした網走の道の駅まで戻ります。その後、車で苫小牧まで移動して23時発敦賀行のフェリーに乗る予定です。
この季節だったら1泊の荷物は2人分でもパニアバッグ1セットで収まりました。親方が持ってくれるというので私はフロントバッグ一つです。
能取岬に向かう道。
海岸線をずっと上る道のはずですが、意外にもしばらくは森の中のような道でした。展望はありませんが快適でしたよ。
岬へと向かう道。
広々してますが、この先は行き止まり。
岬は確かに断崖ですが、ケイマフリは残念ながら見つけられませんでした。
もしかしたらもう北へ渡ってしまったのかもしれません。
もう、暑いですしね。
ケイマフリを追いかけるとしたら、たぶん、6月上旬がベストなのかな。
いくつもの映画のロケ地として使われている場所のようです。
能取湖側におりてきたところ。
能取岬の様子がよくわかります。
【網走常呂自転車道線】
別名「オホーツク自転車道」、昭和62年に廃⽌された国鉄湧網線跡を利⽤したサイクリングロードです。勾配はほとんどありません。網走市内の中央公園を起点に、網走湖・能取湖・オホーツク沿岸を経て、サロマ湖畔に至る全長40.2Km。
オホーツク総合振興局が発行しているこのマップが良く分かります。
湖畔と森の中を行く道はとても快適。
なのに、6月という最高の季節にもかかわらず、サイクリストに一人も出会わなかったという、、、。
ここにも小鳥がたくさんいました。
ほとんどがノビタキでしたが、私たちの近隣では見かけない鳥なので嬉しかった。調べるとこれらも渡り鳥で、夏は北海道で子育てをして、冬は南下して越冬します。中にはロシアを経て中国内部からインドシナ半島へ渡る個体もいるそうです。本州は通らず、直接大陸に渡るんですって。もう、肉量にして唐揚げ一個分もないくらいの小鳥ですよ。
凄いですねぇ。
ノビタキのメス。
頭に筋がいくつも残っているので巣立ったばかりの幼鳥かもしれません。
こちらはキリッとしたメス。
こちらがノビタキのオス。ヨモギのうえで仁王立ち。カッコいいですね。
いろいろ寄り道しながら走ってると日が暮れてきました。
ホテルに着いた時にはきれいな夕焼け。
旅の最後のお宿はちょっと奮発しましたがとても良かったですよ。
DAY 9
ワッカ原生花園~サロマ湖サイクリングロード~オホーツクサイクリングロード~網走~苫小牧フェリー乗り場
いよいよ最終日。
でも、こんなに遊んで大丈夫?
網走からは車ですし、フェリーの出発は23時。
なんとかなるでしょ!
*
朝4時。
もう、すっかり明るくて、しかもいい天気です。
朝サイクリングへレッツゴー!
目指すはワッカ原生花園の西側ルート。
地図で見るとこんな感じ。
D地点まで竜宮街道を往復です。
マップは北見市のレポートからお借りしました。
早朝サイクリングは気持ちいい。
北海道といえど、この日の最高気温は30度を超える予報が出ています。
ハマナスとエゾニュウ
ノビタキはもう、あちこちにいて、それにもまして目立っていたのが喉元が鮮やかなノゴマ。
良い声で歌っています。
とても開放的な景色の中、鳥の声があちこちから競うように聞こえてきます。
橋を渡ると赤土の道。そして、砂洲の中の森へと向かいます。
目的地到着。
ワッカの名前の由来になった水の湧き出るところがあります。竜宮街道の終点地でもあります。
とても砂洲の森とは思えない豊かさです。
草原とは違う、鳥なのか、虫なのか、独特な声で満ちていました。
お腹もすいてきたので10分ほど森を散策して引き返します。
サロマ湖第2湖口にかかる橋からは知床まで見えるとのことですが、、、。
この日はうすぼんやり。でも見晴らしはとても良いです。
左がオホーツク海、右がサロマ湖。
やっぱり、流氷が着くころ来てみたいな。
あー、お腹すいた。
ホテルに戻ったのは6時半。
朝ぶろ浴びて、
バイキングの朝ごはん。
そして、再び8時半にはチェックアウトして網走に向かったのでした。
*
ワッカ原生花園の東側はそのままサロマ湖サイクリングロードに繋がっています。
というか、ワッカ原生花園の竜宮街道がサロマ湖サイクリングロードなのかな。。帰ってからも色々調べてみたのですが、はっきり区別がつきませんでした。
とりあえず再びワッカネイチャーセンターを訪れ、早朝に走った方向とは逆へ向かいます。
既に気温が上がり始めています。
ヨシキリの声がひときは賑やかです。
とても珍しいピンクの鳥。
鳥の前の枝がとても邪魔~。
オホーツク海を背に走ります。
サロマ湖から離れるにつれ、木立の中へと入っていきます。
うまく日陰を作ってくれてとても気持ちの良い道です。
路はアカシアの花でいっぱい。
で、数キロも行くとその道も行き止まります。
カルビーのポテト倉庫の脇から道道442-国道239-道道1033へと道なりに進むとオホーツクサイクリングロードの看板が見えてきます。
これで網走まで車道を走ることなく能取湖沿いを行くことができます。
前の日に走った道ですが、また違う発見があり楽しい道でした。
ノコギリソウ。
アキレア、またはヤロウとも言って、古くから薬用植物として利用されています。
セイヨウナツユキソウ
別名メドウスイート。
世界ではじめて合成されたアスピリンはこのメドウスイートのつぼみから採れたサリチル酸が原料となったそうですよ。
ルピナス
この辺ではあちこちで自生している姿を目にしました。
陽が高くなるとますます気温が上がります。
日差しを遮ってくれるものも少なくなってお腹もすいてきました。
え、輪行ですか?
廃線跡を利用したサイクリングロード上にはかつての卯原内駅跡に網走市鉄道記念館があります。
この施設は喫茶店を兼ねています。
行きも帰りもここで休憩させていただきました。
暑かったので助かりました。
オムライス、美味しかったです。
*
*
*
この後、網走の道の駅には13時頃戻り、大慌てで網走湖荘で日帰り温泉に入ってから帰路につきました。途中、お土産にメロンを買いたくて、夕張の道の駅に寄りたかったのです。
網走から夕張まで4時間ではギリギリ。それでもなんとか閉店間際に駆け込んで美味しいメロンを買うことができました。5個も買ったんですよ。だって車ですから。最後の最後まで目一杯のスケジュール。ここに寄る予定がなければもう少しゆっくり温泉に入れたんだけどね。
とにかく、ずーっとお天気も良く、サイクリングも、ドライブも、船旅も、大いに満喫した旅になりました。何か皆さんの旅のヒントになるかな。なれば嬉しいです。
***
帰りも新日本海フェリー。
港は敦賀行ですので東港です。苫小牧には西港と東港があるので要注意。
帰りの船は実は結構揺れて2人ともほとんど何も食べることができない状態で過ごしました。ですが、逆にそれが良かったかも。お風呂とトイレ以外はずっと寝ていたので敦賀に着くころにはすっかり疲れも取れて翌日から仕事に復帰できました。
帰りのフェリー(すずらん)にはなんと露天風呂もあったんですよ!
船旅サイコー。
新日本海フェリー、8月中はマイカープランでお得なセットもあるようです。
この夏の旅行にいかがですか?
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