なっぱの投稿記事一覧

2017.05.18

富士山は見えなくとも!

朝サイ、そして山梨で開催されるエロイカとイベント盛りだくさんな5月の第2日曜日。私なっぱは親方、チョコ君とともにエロイカに出店しにいってきました。
ヴィンテージ自転車の祭典エロイカ。みなさんの乗っておられる自転車も歴史を刻んだものばかりでした。自転車とマッチしたウェアも素敵で、他の自転車イベントとは一味違うとても華やかな雰囲気が感じられました。ご参加のみなさま、主催スタッフの方々、楽しい時間をありがとうございます。

朝7時に会場に着くとすでにもう出走のみなさんがスタートの準備をされておられました。エロイカはショート・ミドル・ロングと3種類のコースから自分の好きなコースにエントリーして走ります。どのコースにもダートが含まれていて走りごたえは十分だとか。アイズに遊びに来てくださる方もご参加されておられました。少しだけ写真を撮ることができたので、その雰囲気をお伝えします。





ロングコースはなんと100キロも走ります。
先日納車したばかりの自転車で無事ロングコースを完走なさったNさま。ずっと調子よく走ることができたとおっしゃっておられました。

Fachleitnerというイタリア生まれの自転車選手の名前が付いたこの自転車はフランスのプロヴァンスで作られたフレームのようですが、かなり希少なフレームで当時の資料がほとんど残っていませんでした。そんななかで、Nさまが構想を練って集められたパーツをお持ち込みいただき、アイズバイシクルでレストアをさせていただきました。フレームの状態が大変良かったことと、スパスパ変速するサンプレの戦前のディレイラー・ツールドフランスを搭載したことで100キロのライドにも耐えうる自転車へとよみがえったんだと親方が話してくれました。おつかれさまです!

名古屋の老舗カトーサイクルのカトーさんも100キロコースで出走されておられました!


途中フリーのトラブルで走行不能となってしまったそうですが、サポートカーに積んであった代車で完走されておられました。トラブルに備えてサポートカーが出ているので万が一のときも安心です。

せっかくの機会だからとチョコ君も65キロのミドルコースにカンビオコルサでエントリー。午前中で帰ってきて午後から店番しますから!と言ってスタートしましたが、本当にお昼に帰ってきたのでびっくりしました。


お気に入りのルイゾンボベのウェアでキメているチョコ君。手の平が真っ黒なのは、きっと変速するときに何度かチェーンが落ちてしまったのでしょう。道中にはエイドステーションがあり、地元の方の協力で温かいおでんやおにぎりを食べられるそうです。また、道案内の矢印サインが必要なところに配置されていて、それを見ながら走れば道迷いの心配もないようです。自転車で走ることを存分に楽しめるよう、細やかな配慮がなされているんですね。

走り終えてゴールをなさったときの皆様のお顔はなんともいえない良い表情をされておられます。誰かがゴールテープを切ってゴールすると、まわりのショップや観覧の方、先に走り終えた方から自然と拍手が起こりました。富士山は見えなくとも晴れ晴れした気持ちになりました。

グランボアブースではルイゾンボベのジャージ、ビンダのストラップ、そしてレニアーノのロードレーサーと街乗り車が注目されていました。


山音製輪所さんの2wayサコッシュ型バックがこれまた街乗り車によく似合っていますね。

エロイカで実物をご覧いただいたレニアーノのレーサー街乗り車をオンラインストアにもアップしました。こちらもぜひチェックしてくださいね。

なっぱ (2021年退職)


2017.05.07

イタリアンフェンダー製作秘話・ステー

グランボアのイタリアンフェンダー“ヴィンテージ”GB700IT-V。最後の製作秘話はステーについてです。

グランボアのイタリアンフェンダーGB700IT-Vには付属パーツとしてステーが4本、袋ナットが8個、マイナスネジが4個付いてきます。これをパッキングするのはとてもややこしいのです。なぜなら、ステーは4本とも長さを微妙に変えて作ってあるからです・・・!フロント左用、フロント右用、リア左用、リア右用が決まっているんですね。

一般的に、泥除けの装着というのは現物合わせをしながら装着します。その自転車の一番恰好いいクリアランス(横から見たときのタイヤと泥除けの隙間)は自転車によって異なります。自転車毎にステーの長さが変わってくるので、アイズの工房でも自転車に合わせて現物合わせをしながらステーの長さを削って変えています。

・・・・?

なぜイタリアンフェンダーはステーの長さが一手に決まっているのでしょう?という疑問が湧いてきたので親方に教えてもらいました。

イタリアンフェンダーGB700IT-Vはヴィンテージのイタリアンレーサーのための泥除けです。今回ステーの長さを一手に決めてあるのは、ヴィンテージのイタリアンレーサーのほとんどがカンパのエンドを使っていることに由来します。カンパのエンドを使っていない自転車のほうが珍しいくらいの割合なのだとか。アイズではこのカンパエンドにぴったりと合うステーの長さを研究し、ステーの長さを一手に定めました。

 

 


親方に見せてもらったパンフレットの一部です。コッピの自転車として紹介されている自転車にもGB700IT-Vと同じく典型的なイタリアン泥除けが付いています。車の代わりに馬を使って物や人を運んでいた時代、道には“馬の落としもの”だらけだったそうです。選手たちはその落としものから身を守るため、泥除けをつけて練習を重ね、本番では泥除けを外してレースに臨んだそうです。

 

このステーと小物、アイズの工房内で1本ずつ製作しています。

ただ泥除けを留めるためだけではなく、美しさにも妥協せず作りました。美しいステーにするために細部までこだわり、エンドにステーを取り付ける部分は枕頭式のマイナスネジ仕様にすることにこだわりました。また、ガード側もグランボア特製の袋ナットを使って留めています。


 

最も時間をかけたステーの製作。作業中の写真もたくさん残っていました。
先端が鍵穴のような形をしたこのステーは、もともと細い鉄の丸棒を曲げただけのステーでした。マイナスネジで留められるように、ロウを盛って先端部分を一体化させます。金色になっているところがロウ付けした部分です。そのあとで、マイナスネジで留められるようにザグリます。ザグリをしておかないと、沈頭式になりません。

 
ステーのロウ付けをしているたくみ君。たくみ君が左手に持っている金色の棒状のものがロウです。

ロウ付けしたあと、そのままでは形がいびつなので削って整えます。

 

 
そしてマイナスネジも、ステーのザグリとマイナスネジの頭がぴったり面が合うように、既製品のネジから頭が平らになるように頭を削っています。削ったぶん、マイナスネジの溝が浅くなってしまうのでまた溝を掘り足してメッキしました。左が既製品、右がグランボアで作り直してメッキしたマイナスネジです。

 

 
ステーの先端は袋ナットで留められるようにネジ山を作ります。この袋ナットもネジ屋さんにオーダーメイドで作ってもらった特注品です。出来上がった袋ナットのうち、半分はさらにアイズの工房で加工をします。頭を貫通させて、エンド側のねじ山を半分だけ削り落とします(写真)。こうすることで、組みつけたときにステーのねじ山をきれいに隠すことができるのです。

 

 
すべてのパーツが出来上がりました。最後にきれいにメッキをします。

 

*

*

てまひまかけて作ったナットとこだわりのマイナスネジで、とても雰囲気の良いステーになりました。

 

そんな渾身のイタリアンフェンダーGB700IT-Vを装着した自転車がちょうど売りに出ています。

1970年代製のTOEIロード。オリジナルの塗装に合わせて泥除けもペイントして組み付けました。それだけでも華やかで目を引くこと間違いないのですが、70年代製、126mm幅エンドでありながらエルゴレバーで手元変速。アイズならではのアイデアでドンドン乗っていただくための自転車に仕上がっています。570mmと比較的大きめなサイズですが、サイズが合えば間違いなくお買い得品ですよ。

そして、他にもただ今ショッピングサイト掲載中のヴィンテージ完成車はお買い得品がいくつかあります。たとえば先日の京王閣で一旦ご予約いただいたのですが、残念ながらサイズ違いで戻ってきてしまったTOEIフル内蔵スポルティーフとか、レストア前ではありますが状態の良いグランボアのデモンターブルとか、そうそう、エルスのミキストは少し値段が下がりました!

 

どれも良いものばかりです。次の良いオーナー様が見つかるといいのですが。。

 

 

 

さて、イタリアンといえば、グランボアは来週末に開催されるエロイカに初出店します!こちらにもグランボアのイタリアンフェンダーがついた自転車を持っていきますので、ブースに遊びに来てくださいね!

*****

そして、、
カンパエンドを使っていない現行の自転車でも使えるように、イタリアンフェンダー“モダン”GB700IT-Mの製作も進めているところです。アイズバイシクルで展示車に装着してありますので、ご来店の際にはぜひご覧ください!

なっぱ (2021年退職)


2017.05.05

イタリアンフェンダー製作秘話・鳩金具と...

前回グランボアの新製品イタリアンフェンダー“ヴィンテージ”GB700IT-Vのリベットについてを記事にすると、カンザシとハト金具もこだわってるんですよ!とアイズのメカニックからお話を聞くことができました。
 
 
カンザシとは泥除けに付いているステーを留めるための金具です。普通は、小さなギロチンダルマを使ってステーを留めるのですが、グランボアではナットでステーを留めることにこだわりました。ヴィンテージのイタリアンフェンダーにどこまでも近づけるためです。

そのため、カンザシは一から型を起こす必要がありました。本所工研さんで作ってもらったグランボアのオリジナルカンザシです。

 
 
泥除けをフレームに取り付けるとめのL字型の鳩金具は、フロント-前とフロント-後で首の長さを微妙に変える必要があったので、アイズの工房で製作しました。首の短い方(左)がフロント-前で、長い方(右)がフロント-後です。

 
 
最初の状態はまっすぐ。

このままではイタリアンフェンダーに装着できず、二段階の加工をしていきます。最初の状態(右端)から、差込み口に入れる部分に角度をつけて(中央)、泥除けの内側のアールに沿うように両端を曲げます(左端)。

 
 
アイズではこのために、専用の治具を新しく3台つくりました。
まず、この治具で鳩金具の首を曲げます。上から重しで圧力をかけて曲げます。

首を曲げたら、次は泥除けの内側のアールに沿って両側を曲げます。泥除けの内側と同じアールの治具に鳩金具を乗せて、上から重しを乗せて圧力をかけて曲げます。

泥除け本体にも差込み口を開けます。この治具は先端が刃になっていて、間に泥除け本体を挟み、穴をあけます。

リベットを付ける穴も開けて、ひとつずつ丁寧にかしめていきます。

 
 
やっと完成!小さなパーツですが、これだけの手順を経て作られているんですね。。

 
イタリアンフェンダーGB700IT-V制作秘話、最後はステーについて書きたいと思います!

なっぱ (2021年退職)


2017.05.01

新チャンピオン誕生!

アイズバイシクルの4月29日は毎年恒例のカンパ初期の棒式変速機を搭載した自転車だけで競うちょっと変わったレース、棒式変速機優勝杯・コッパデカンビオバケッタ。2017年は新チャンピオンが誕生しました!
 
 
レースはまず予選があり、1周1キロのコースを3周回ってタイムを競います。1キロのコースにはダート、登り坂があり、加えて変速ポイントが2回設定されています。変速ポイントを変速せずに通過してしまうとペナルティでタイムが加算されてしまうルールになっています。そして、上位3名によるマスドスタートでの決勝戦でチャンピオンが決まります。チャンピオンになるにはスピードと変速テクニックどちらも必要なレースなんです。
 
 
 
予選はくじ引きで順番が決まります。
第一走者はYさま。スターターはYさまを永遠のライバルと称するKさまです!

Aさま。開催地の美山はまだ桜が少し残っています。

大阪からお越しのSさま。ダートもなかなか走りごたえがあります。うまく変速できていないと、このダートの振動でチェンが外れる魔のスポットでもあります。

Sさま。奥様であるMさん専属コーチでもあります(!?)。コーチはもちろん変速ポイントもノーミスでクリアです。

アイズ店長。本気でこんなに速く走ることがないので、思ってる以上に疲れたそうです。

スタッフたくみ君は、この日に間に合うように作ったアイズのカンビオコルサで参戦!坂を登りきったところでチェンがはずれてしまいました。。

福井県からお越しのIさま。過去2回のレースでは決勝戦に進出された実力者です!

Nさまの変速はいつもスムーズ。トラブルなく3周走られます。

親方も参戦!一番ドラマチックなシーンが見られるので、審判のいるチェックポイントが一番の観覧席になります。


 
 
 
今年の決勝戦は、去年の大会でも速い速いと皆さまから言われていた初出場Mさん、おととしぶりに決勝進出となったKさん、そして同じく決勝戦初出場となるスタッフのチョコ君。過去2回の決勝戦の顔ぶれとメンバーが違います。ちなみに決勝戦出走者3名様はいずれも予選タイムが6分台(Mさま6’43”、Kさま6’34”、チョコ君6’15”)です。決勝戦に出るには、6分台で走ること+変速ミスをしないことが重要なポイントになってきます。
予選が終わったとたんに遠くで雷がゴロゴロ。。決勝戦は嵐の予感です・・・!
 
 
決勝戦はMさまが一番にスタート、次いで10秒後にKさま、40秒後にチョコ君の順でスタートします。Kさんのスタート時間を基準に、女性のMさんには-10秒、パワーが有り余っているチョコ君には+30秒のハンディキャップとしました。Kさんとチョコ君は3週目でMさんを追い越す作戦だったそうですが・・・




Sさま奥様。登り坂にさしかかってから失速せずに変速されています。その後ろにはKさんが迫ってきています・・・!






 
 
とうとう追い越せず!2017年チャンピオンはMさん!かっこいいです!

ご主人Sさまはカンビオコルサに乗って通勤されるほど変速が上手!レース前にも試走しながら奥様に失速せずに変速するタイミングをアドバイスされておられました。おふたりで掴んだ栄光、おめでとうございます!
 
 
 
今年のレース参加者はスタッフ含め13人。観覧のみとして遊びに来てくださった方が4名の全部で17名でした。ご参加いただいた皆様ありがとうございます!

このレースは毎年4月29日に開催しています。棒式変速機仕様の自転車をお持ちの方、ご興味のある方はぜひ来年ご参加くださいね。来年のレースが今から楽しみです!

なっぱ (2021年退職)


2017.04.27

イタリアンフェンダー製作秘話・リベット

アイズの工房では、一緒に働いているにもかかわらず驚くことが時々あります。今日も驚いたことがひとつありました。これです。


これはグランボアの新製品、イタリアンフェンダーGB700IT-Vのモチーフとなったオリジナルのチネリの泥除けです。よくご覧になりますと、リベットの形が先端と真ん中で異なっていることに気づかれますでしょうか。先端部分のリベットは丸みのある頭の形を、真ん中のリベットは先端部分のリベットよりも頭の形が平らになっています。
 
 
リベットは、穴のあいた部材に差込み、反対側から胴体部分を叩いて広げ(これを「かしめる」と言います)、部材を固定するために使います。ディテールにこだわることが大事!というのは親方の言葉ですが、オリジナルに限りなく近づけるため、このリベットにもグランボアのこだわりが凝縮されています。
 
 
どういうことかというと。。

元々の形(右端)から、使う部位に合うようにリベットの頭の部分を削って作り直しているんです(中央、左端)。しかも、削り具合を変えてリベットを2種類に作り直しているとのこと・・・!!!
 
 
 
そんなグランボアのイタリアンフェンダー、こだわりのリベットがこちらです。


 
 
 
このリベットはスタッフのチョコ君がすべて削ったそうです。「まず一種類作って、あぁ~ぜんぶ終わったと思ったときにもう一種類作ることが分かってびっくりしました!」と語ってくれました。また、泥除けを裏側から見たときもきれいなように、専用の当て金具を用意してひとつひとつかしめています。かしめる係はスタッフのたくみ君。泥除けのアールに沿わせてリベットをかしめるのは難しかったそうです。


お客さまの大事な愛車のために作るのだから、どこまでも忠実に復刻したいとの思いを持って製作しています。グランボアのディテールへの大きなこだわり、ぜひ多くの方に実物をご覧いただきたいと思います。
 
制作秘話は一話で完結する予定だったのですが、記事を書くためにこの泥除けのこだわりポイントを親方やメカニックのスタッフに聞きにいくと、溢れるようにたくさんの話を聞かせてもらいましたので、第2話に続けようと思います!
 
 
 
***

そして本日、32Aルナールのエキストラレジェが入荷しました!32Aのタイヤはこれまでスタンダードしか製作しておりませんでしたが、サイクリストの皆様からのご要望がとても多く、今年初めて製作に至りました。今年はゴールデンウィークまでにすべてのエキストラレジェタイヤが揃いました。この機会にぜひエキストラレジェの走り心地を試してみてください!

なっぱ (2021年退職)


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