アイズの独り言

2014.10.27

ポリージャポン 2014

親方と私は10月18日-19日に開催されたポリージャポンに行ってまいりました。今回はレポートが少し遅くなってしまいましたので出展させていただきました自転車を中心に紹介致します。

ポリージャポンとは年に1度開催される自転車エンスーによる集会イベントです。そのメインイベントにコンクールがあります。コンクールではテーマ部門、レストア部門の2つの部門が設けられ、参加者によって各3台の優秀車が選定されます。今年のテーマは長距離旅行車でした。グランボアは1935年製グロリアと1950年製ルネエルスのタンデムの2台をコンクールレストア部門に出展致しました。

 

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グロリアは戦前から存在するイタリアのメーカーであり、エルネストコルナゴが弟子入りした工房であるといわれています。特筆すべきはフレームの表面処理であり、全体はニッケル鍍金ですがラグとエンドはクローム鍍金になっています。つまり1本のフレームに2種類の鍍金が使い分けられており、常識では考えられない鍍金処理が施されています。またヘッド周辺はラグ部分とヘッドチューブが一体構造になっており、当時としては非常に高い工作技術を得ていたと考えられます。グランボアでは不可能とされた鍍金処理を独自の手法により再現し、グロリアのレストアに成功しました。

 

 

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今回のグロリアはイタリアで塗装によって修復された車体を輸入し、レストアした車です。変速機はビットリアマルゲリータにモデファイしました。逆転式のマルゲリータはテンショナーレバーでチェーンのテンションを緩め、ペダリングを逆回転させている間にレバー上部のノブを左右に動かすことで、チェーンステーに装着した羽根を振って変速します。そして再度レバーでチェーンのテンションをとります。

非常に味わい深いグロリアは他にカンビオコルサ仕様などバリエーションがあり、グランボアでも数台のレストアを手掛けました。仕様によって一味違う雰囲気に仕上っていますので、是非ギャラリーページもご覧ください。

 

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エルスタンデムはフレーム状態でフランスから輸入されました。フレームは塗装されていましたが、当店で2ヶ月の歳月を掛けてフレームの下地処理を行い鍍金を施しました。オール鍍金の状態の事をフランス語でトゥークロメと呼びます。入手困難なオリジナル部品やボルト類、キャリアは車体に合うようにレプリカを作成しました。ボルト1本までオリジナルを使用しているルネエルスは「パリの宝石」と呼ばれるにふさわしい調和の取れた自転車です。それ故にレストアの際は特に注意を払う必要があります。

レストア技術のご紹介」にこのエルスのレストアにまつわる記事が途中までですが紹介されています。こちらも是非ご覧ください。

 

コンクールの出場車は特別な工作が施されていたり、希少な部品が装着されるなど目をみはる自転車ばかりでした。特に各部門の優勝車は磨きも素晴らしかったですが、それぞれに素敵なエピソードがありオーナーの方々の自転車に対する情熱がうかがえました。ポリージャポンでは日常の店内とは異なる雰囲気の中で先輩方から学ぶことが多く、充実した2日間を過ごしました。お世話してくださいました皆様ありがとうございました。

 

大介店長 (2018年退職)

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