アイズの独り言

2017.06.15

14 DAYS before Concours de Machines

いよいよConcours de Machines(コンクールマシン)まで14日となりました。「今年の夏はコンクールに出るぞ、フランスに行くぞ」と親方が私たちに告げたのはちょうど春ごろだったと思います。フランスに行く?世界の舞台でグランボアの自転車を競わせる?なんだかよく分からなくて、その話を聞いたときにはまだ夢見心地でした。
 
 
 
以前にも少しご紹介しましたが、グランボアはこの夏、フランスはクレモンフェラン近郊の街アンベールで開催されるコンクールマシンという自転車のレースに出場します!

2016年が第一回目のこのレースは、まだ始まったばかりの新しい大会です。そこにはフランスをはじめ世界各国の自転車ビルダーが集まり、6月30日~7月2日の3日間にわたり、合計400kmをひとりのライダーと一台の自転車で走り切ります。400kmの行程には舗装路やダート、峠道も含まれたヴァリエーションに富んだコースとなります。そして、レースの3日間が終わったときに最も優秀だった自転車が賞されます。そう、このレースの本質は、自転車そのものの性能を競い合うことなのです。

現在、スポーツ自転車のレースというのは乗り手が競い合って勝敗が決まるレースを差します。もちろん勝てば表彰されるのは選手ですので、いかに強い選手を育てるかというところに一番力が注がれています。一方、コンクールマシンで競われるのは自転車そのものの性能です。いかに軽量で、なおかつ3日間のハードなレースを走りきることができる耐久力のある自転車を作れるかということが、このレースで競われるポイントです。
 
 
「かつてのサンジェやエルスがそうだったように、世界のビルダーたちと競い合いながら、ありとあらゆる工夫を凝らして自転車を作っていくことが今後の自転車業界全体の技術の向上につながっていくだろう」と親方は話してくれました。そしてこれが、グランボアがこのレースに挑戦する目的です。
 
 

サンジェ本の表紙にもなっている、1947年のコンクールマシン優勝車。実は、かつて自転車の性能を競うコンクールがフランスで開催されたことがありました。それは、第二次世界大戦を挟んで開催され、たった5回で終わってしまったそうですが、今なおハンドメイド自転車の最高峰とされるサンジェやエルスもしのぎを削り、フランスの自転車産業における技術の革新をもたらした伝説のコンクールだったそうです。当時のコンクールで優勝した自転車をよく研究すると随所に軽量化のヒントが隠されていて、そこからアイデアを思いつくことがあると店長が話していました。
 
 
*****
 
 
2017年のコンクールは6月29日から始まります。レースを前日に控えたこの日は各チームがそれぞれ自転車のプレゼンをします。審査員のほかに参加者とオーディエンスもこのプレゼンの聴衆となります。そして翌日6月30日から3日間のレースが始まります。採点はポイント制で、レースが終わった時点で、自転車の車体重量+レースでの平均速度+レース中のマシントラブル+審判・参加者・オーディエンスによる投票の総合得点でポイントが加点・減点され、その年のコンクール優勝車が決まります。

具体的には、

①自転車の車体重量・・・10.5kgを基準とし、それより重いか・軽いか。
②レースでの平均速度・・・レースでの平均時速を22.5kmとし、それより速いか・遅いか。
④レース中のマシントラブル・・・マシントラブルが起こると減点。
③審判・参加者・オーディエンスの投票・・・プレゼンとレースを総合判断し、優れた自転車へ投票。

という点が評価の基準となり、最終的に最も高いポイントを持っている自転車が優勝となります。
 
 
ほかにも、コンクールにはいくつかの規定があります。たとえば、①で述べた車体重量とは電装・キャリア・泥除け・バック・中身の荷物も含めた総重量のことを指します。また、レース開催中の3日間、自転車のメンテナンスはライダー本人がしなければならならず、故障によるメカの交換はできないというルールがあります。

そのため、軽量化と耐久性のバランスをいかにとっていくかということが、コンクールで良い結果を出すために必要な鍵になります。軽量化していくことの基本は、いらないものを削り、いるものを最小限だけ残すということですが、この「いるものの最小限」を見極めていくことができないと、耐久性のない自転車になってしまい3日間のレースを世界と競い合いながら走りきることは困難です。また、自転車そのものの軽量化を考えるとともに、バックのみならず携行する荷物の最低限もよく考えて準備をする必要があります。オーダーメイドで軽いバックを作ってもらったり、軽量工具を作ってもらったりと、お店を越えて様々な方に協力していただきながら準備を進めています。

 

 

コンクールまであと14日。アイズの工房では通常業務と平行してコンクールのための自転車作りも大詰めを迎えようとしています。去年の優勝車の車体重量は9.3kg。グランボアは9kgに目標を定めて自転車を作ってます。そして昨日、コンクールの予備車となる親方フレーム3号車が完成しました!!!

しかも、グランボアの新しいオリジナルパーツ、葉っぱモチーフのチェンリングも搭載しているんです!

 

 

こちらの予備車でまずはテスト走行を繰り返し、ブラッシュアップしながら本戦用の自転車を作っていく予定です。

軽さ、耐久性、そしてグランボアがずっと大事にしてきた自転車の美しさ、すべてを兼ね備えた自転車を作って本戦に臨みたいと思います。これからコンクールまでの間、少しづつ自転車の詳細をご紹介していきますね。チームグランボアの挑戦、応援よろしくお願いします!

なっぱ (2021年退職)

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