アイズの独り言

2017.06.17

ハブ~12 DAYS before Concours de Machines~

今回、コンクールに向けてアイズの工房で製作したハブはこちら。


グランボアのスペシャルラージフランジハブ、カセット仕様です!

・・・?

フランジが大きい分、重くなるのではないかという疑問が湧いてきたので親方に尋ねてみました。すると、コンクールのルールのなかにこんな項目があるんだ、とのこと。

 
・パーツ100gの軽量化につき20ポイント加点
・ハンドメイドパーツは50ポイント加点、モディファイには20ポイント加点

 
つまり、パーツを軽量化したり新しく作りだしていくための技術力に対して、これらのポイントが与えられます。ハブは、この技術点で勝負しようという作戦を立てました。今までのアイズの工房の設備では、スペシャルラージフランジハブは36Hしか作ることができませんでした。それを今回のコンクールに向けて、32Hの、しかもカセット仕様とすることに力を注ぎました。

 

 

ハブの製作にあたったのはたくみ君です。

すでに何セットものビンテージ特製ラージハブを作ってきた彼も32Hのラージハブは初めてでした。元ネタになるグランボアのラージハブを加工することから始めます。


先日の生爪はこのために使ったのです。旋盤加工でフランジを削り落としてしまうのですが、フランジを削る途中で生爪がないと削ることができなくなってしまうのだそうです。

 

 

そうしてグランボアのラージハブを加工したものにジュラルミンの板に孔を空けたフランジをリベットで取り付けています。

 

 

 

じつは、このラージフランジハブは20年ほど前にフランスの老舗自転車店Alex SiNGERの当時の当主エルネストさんから作り方を教わったそうです。当時、お客様のぶんも含めた複数台の自転車をオーダーにフランスへ渡った親方に、「このハブは一つ作るのに8時間もかかるんだ。自分で作れ」とその場で図面を引いた紙を渡してくれたのだとか。その貴重な指示書は今もアイズの工房で大切に使われています。だけど、エルネストさんも最新のカセットハブでもこの指示書が使われているなんてビックリされるでしょうね。

今回のコンクールに搭載するハブは、エルネストさんが伝えてくれたスペシャルラージフランジハブをカセット仕様でも使えるようにしたものです。そのお披露目の舞台がフランスなのですから、なんだか不思議ですね。

 

 

歯数が大きくて金色の派手なカセットが付いたコンクール用のランドナー。その派手さに負けない存在感のあるハブが出来上がりました。

 

なっぱ (2021年退職)

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