2019コンクールとパリブレストパリ 3
【コンクール走行会=パリブレストパリ】
7月18日(日)
7000人近い人数のライダーたちをスムーズにスタートさせるのはなかなか大変です。どのようにしているかというと実績と完走目標タイムと申し込み順で細かくグループに分けられて時間差でスタートしていくのです。ですが、7,000人ともなると200-300人づつに分けたとしても20-30以上のグループになります。実績のあるライダーたちが集まるAチームが最初で午後4時スタート。それから15分おきにアルファベット順のグループに分けられて流れるようにスタートして行きます。夜間は無いとしてもそのスタートは翌日まで続きます。
グランボアのスタート時間はEグループで午後5時。これは事前に打合せがあって「コンクール参加チームは5時スタートで一緒にしましょう」と聞いていたのですが、実際は5時15分スタートに変更になっていました。私たちは既に5時で登録を済ませていたのでそのまま一足早くスタートすることとしました。
Eチームの集合場所。
そこにはすでにGPSをスタートさせるためにコンクールのスタッフが待機していました。
JBTで使ったものに比べると少し大きいですが、フレームに固定してしまえば邪魔にはなりません。これがあったおかげでサポートもライダーの位置を常に把握できるので大変助かりました。JBTの時は回線が早々にパンクしてしまいましたが、今回のコンクールではそういったことはありませんでした。ただ、やはりそれぞれの更新時期がまちまちで順位を正確に把握するのは難しかったです。グランボアではこのGPSとグーグルの位置情報サービスをライダーと共有して2重で位置確認をしながらサポートしていました。
スタート
【サポート】
事前に打ち合わせた予定では前野の目標タイムは60時間。だとすると18日午後5時にスタートすると予想ゴール時間は21日の未明ということになる。これは大変!それにペッタリくっついてサポートしていたのではこちらが参ってしまう。ライダーが疲れる後半のサポートに重点を置くためにも、私たちは午後5時のスタートを見送ってからいったん宿泊地に戻って仮眠をとってから約360キロ地点にあるコントロールポイント(Tinteniac)で最初のサポートをすることとしました。その次はドライバーをもう一人確保するべくルートをそれてサポートに合流してくれるJPを迎えになんと160キロ先のAnjouへ南下。それから300キロ先の次のサポート予定地(CARHAIX-PLOUGUER)へ向かったのでした。今回のサポートで車は恐らくトータルで2000キロ近く走りましたよ。。。
-360km TINTENIAC- 19日の未明から朝にかけて待機したタンテニアックコントロール。
日本ではほとんど見かけることのないベロモービルが結構PBPを走っていました。しかも速いんですよ。ビックリしました。
-521km CARHAIX-PLOUGUER- 19日の夕方、カレ・プルージェコントロール。
車を飛ばして何とか一足先にコントロールに到着していた前野に会うことができました。
そて、次はいよいよ折り返し地点のブレストですが、町が大きく複雑なこともあり、フランス人の友人のアドバイスからブレストでのサポートはせず、次のサポートは再びこのカレ・プルージェですることとしていました。ですが、一応念のためブレストでもホテルを確保していたのでサポートもブレストに向かい、夕食と3時間ほどの仮眠をとることとしました。
車でもこの海が見えたときは感動です。自転車ならなおさらでしょうね。
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-693.5km CARHAIX-PLOUGUER- 復路のカレ・プルージェコントロール。
夜明け前の4時前から前野の到着を待っていましたが、予定より少し遅れ始めていました。ブレストへ向かう人、パリへ戻る人、いろんな自転車、様々な国籍の方、老若男女、絶え間なく行きかう交差点に立っているとちょっと不思議な感覚。あれ?ここってどこだっけ。。
-783km LOUDEAC- ルディアック、町が動き出す前。
カレ・プルージェからルディアックまで90キロほど。自転車だと4-5時間ほどかかりますが、車だと1時間で移動できます。ですのでルディアックには早めに入って車で仮眠をとりながら前野を待っていました。ブレストへ向かう人、パリへ戻る人、ここでリタイアしてしまう人。ずっと、夜明け前の街を眺めていると自転車だけでなくこのような2台ペアのバイクを時々見かけるのに気が付きました。自転車の小さなグループを見つけてはそれらを守るように追走するそうです。他にも間違いやすい交差点などにも始終ボランティアが立って道案内しています。参加人数も桁外れですが、このボランティアの数もすごい数なんでしょうね。
-869.5km TINTENIAC- ライダーと会えなかった復路のタンテニアック。
明るくなって調子が上がった前野はサポートが昼食をとっている間に先に行ってしまいました。
-923.5km FOUGERES- 美しい古都、フージェール。
ALOUETA(FR)
ROSSEMAN CYCLES(USA)
CYCLES GRANDBOIS(JP)
昼間は前野の走りはとても良い。夜間に先んじていた他チームに追い付く勢いです。食欲もあり、トラブルもなく順調に距離を伸ばしていました。
-1012km- VILLAINES-LA-JUHEL ここから先は未知の領域。ヴィラネラジュエル。
ROSSEMAN CYCLES(USA)とCYCLES GRANDBOIS(JP)一緒にコントロールにやってきました。
18日にランブイエを発ち、1000キロを51時間ほどで走ってきました。ここから先は前野にとっても初めての距離になります。しかも3回目の夜が迫っていました。あと200キロ。これまでのペースだとほぼ目標通りの61時間でゴールできるはず!一緒にコントロールにやって来たロッスマンサイクルのハーンが早々にこのコントロールをスタートするのを見送りながら、夜に向けて少し長めの休憩(1時間ほど)を取り、日が沈んだころ次のコントロールに向けてスタートして行きました。ただ、スタートする前にトイレに行った前野が30分経っても戻ってこない、アタフタと戻ってきた彼に聞くとトイレで寝てしまったとの事。後から思えばここでもう少し、数時間でも仮眠をとるべきでした。目標タイムに届く走りができていただけにライダーもサポートも無理を選んでしまいました。よーく考えれば3日間も寝ずに走りとおせるわけが無いのですから。
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このコントロールではAグループでスタートしたCYCLES VICTORにも会うことができました。今回はそれほど飛ばしてはいないようでしたが、2015年のPBPでは1200キロを50時間以内で走り切った実績を持っています。今回、彼からサポートのコツなどをイロイロ教えてもらいました。彼らはまだまだ元気でまだ明るいうちに次のコントロールに向けてスタートして行きました。
目を引く華やかなウェアと自転車のコーディネイトがとても素敵でした。
ウェアといえば。。。
Rossman Cycles のハーンが着ているこのウェアのモチーフは自国のアメリカの国旗とパリブレストパリが開かれるブルターニュ地方の紋章のミックスになっているパリブレストパリの特別デザインです。そして、その一部に来日した時の日本の思い出が盛り込まれているというとても複雑で面白いデザインになってるんですよ。写真?その部分撮れてないんだよね。。。答えは熊。ブルターニュの紋章とアメリカ国旗、そして熊。あー、、ますます見たいよね。スミマセン。
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-1097km- MORTAGNE-AU-PERCHE 待ち続けた10時間。モンタンオーペシェ。
ヴィラネラジュエルからモンタンオーペシェまで85キロ。普通だったら5時間もかからないはずなのですが、サポートにとってもライダーにとってもこの区間が最も辛い区間となりました。車での移動は1時間ほどですのでずっと車内やコントロールの中の休憩所で待っていたのですが、GPSを見ていると40-50キロほど進んだところでパッタリと動かなくなってしまったのです。夜中の気温は数字は確認していませんが、持っていたダウンのジャケットを着ていてもまだ寒いくらい。「まずいなぁ。」と親方と話してリタイア覚悟で迎えに行ってみるか、と思った矢先にGPSが動き出す。そして、また止まる。そうかと思えば、「あ、道が違う。間違ってる。」と親方。なかなか近づいてこないその点をただただ祈るような気持ちで夜通し見つめていました。先にも少し書きましたが、サポートカーとして登録した車はコントロールポイント周囲5キロまでしかコース上に入ることはできません。やっとその点がコントロールまで2.4キロとなった時、また動きを止めたので車で見に行きました。ですが、草むらや人家の庭先などをのぞいてみましたが姿はなく、そうこうしている内に夜明けを迎え、前野は私たちが探しに出ている間にコントロールにたどり着いていました。ホッとしました。やっと会えた時、ちょっとボーとした様子でしたが、怪我も無く、しっかり食事もとれました。ですが、この区間のことはほとんど覚えていない、断片的なシーンしか覚えていないと彼は言いました。
-1174.5km- DREUX ここを過ぎればゴールまで45キロ!
前の区間で意図せず眠ることができたおかげですっかり調子を取り戻しました。それ以上にこれまでで一番足が回ったとのこと。驚きます。26歳の回復力はすごいですよね。。あとはゴールのランブイエ迄45キロ。油断せずに走るだけです。
-1219km- Rambouillet ゴール 69時間16分
やったー。
【走行後車検】
ゴールして間髪いれずにコンクールの最後の課題です。1200キロ走り終えて、手がしびれたりしていないかをチェックするために新品のピクルスの蓋を開けるよう指示されます。
問題なし。
さらに硬いサラミを薄ーく切るよう命じられます。
もちろん問題なし。しかも、前野は手がしびれないことをアピールするためにゴール100キロ手前から手袋を外していたそうです。グランボアに乗っていて「手なんかしびれた事は無い」ですって。フランスならではのチェックで楽しかったです。
そして、車検。
まずは、GPSをはずして。。。
ちゃんと変速するか、ライトはつくか、ブレーキは利くか、各所にガタはないか、タイヤに問題は無いか、ひやひやするほど念入りにチェックしていただきました。
結果はペダルに少しガタがある程度との事で問題無しでした。すごいですよね。走行中も自転車はパンクも無ければトラブル無し。全くノーメンテナンスで走りきったのですから。
ところで、この車検係の方たちも各チームが走っている間は同じようにコースに出て、撮影したりして、同じように大変だったはず。お疲れさま!
さて、翌日に発表されたそのコンクール結果は。。。
1位 VICTOIRE CYCLES(FR)
2位 PECHTRAGON(FR)
3位 ROSSEMAN CYCLES(USA)/CYCLES GRANDBOIS(JP)
めでたくロッスマンサイクルとシェアする形で総合3位を頂きました。ただ、得点などは公表されませんので詳細は不明です。親方が後ほど解説してくれるはずですのでそちらをお楽しみに!
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こちらはコンクール終了後に製作されたショートムービーです。残念ながらグランボアは最後の0.1秒くらいのカットに入ってるか入ってないかというくらいしか登場していませんが、6分ほどでとても良くできていますのでぜひご覧下さい。
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