アイズの独り言

2019.09.12

ランドナーで走るPBP2019 ①

こんにちは、スタッフの前野です。8月18〜22日にフランスで開催されたパリブレストパリ1200km(以下PBP)に参加してきました。
PBPと言えば、ブルべをやっていれば一度は耳にしたことがある言葉でしょう。PBPとはParis-Brest-Parisの略語で、パリと大西洋沿いの港町ブレストを往復する1200㎞ブルべです。その歴史はツールドフランスより古く、現在は4年に1度開催の世界中からランドヌールが集うブルべの祭典です。
今回、自分はビルダーの競技会CONCOURS DE MACHINES 2019(以下CDM)にエントリーしたグランボアのライダーとしてPBPを走りました。PBP出場の経緯に関しては少し特殊ですが、普段は普通に働きながら休日を使ってブルべやサイクリングを楽しむ一般的なランドヌールです。そんな自分が見たPBPを紹介します。

 

【コース】
現代のPBPのスタートはパリではなく、パリから少し西に位置するランブイエです。ランブイエと大西洋に面する港町ブレストを往復する1219kmです。(下のマップは実際に走ったGPSのログです。)

【出走時間について】
普通のブルベは制限時間が一律に決められていますがPBPの場合は80、84、90時間から参加者が選択します。制限時間が短い80時間は18日午後16時から順番にスタートし、その後に90時間組がスタート、84時間組は翌朝のスタートとなります。

今回、自分もこの写真の特別車両枠(CDM参加車両、タンデム、リカンベント、ベロモービル等)90時間F組で17時15分にスタートするはずでした。しかし、事前に日本で本登録する際にCDM主催者側からCDM参加チーム出走時刻変更がこちらに伝わっておらず、80時間E組17:00スタートになりました。1200㎞の制限時間が80時間と90時間では時間の使い方が大きく変わってきますが、CDMで得点を稼ごうと思うと80時間以内のフィニッシュは必須だったので走行計画に影響はありません。(CDMは80時間を境に15分刻みで速い場合は加点、遅い場合は減点)

 

 

【現地での試走 8月15、16日】
フランスにはスタートの4日前に到着。15,16日は時差ボケ解消と身体を慣らすために計200kmほどランブイエ近郊を走りました。
ランブイエに到着した15日は18~20時過ぎまで70㎞程走行。写真のように見通しの良い道路が続き、往路は西からの向かい風であまり速く走れませんでしたが、復路は追い風となり、ものすごい速さで帰ってくることが出来ました。実際にPBPのコースを走ってみると風向きは大きな要素であることを実感した次第です。試走以降、18日からの風向き予報から目が離せなくなりました。


16日は前回2105年までのスタート地点サンカンタンのナショナルヴェロドロームへ。今回のスタート地点は牧歌的な雰囲気のランブイエですが、パリに近いサンカンタンは高規格道路が通り、ショッピングモールがあったりして街の雰囲気が異なります。実はヴェルサイユ宮殿もこの近くにあるので行きたかったのですが時間の都合で諦めました。

【PBPの路面状況】
路面の状態は比較的良好ですが街中には石畳や舗装の割れが散見され、細いタイヤで走るには少しリスキーな場所もあります。CDM号も予備車もエアボリュームに富んだ650×38Bタイヤを履いているので試走もPBP1200㎞もパンクとは無縁でした。

実はタイヤの選択は直前まで親方と悩んだ部分で、今年完走したブルべのほとんどをチューブレスで走った自分は試作品の650×38or42BチューブレスレディタイヤでPBPを走ることを希望していました。しかし、飛行機でチューブレスレディタイヤを空輸することで生じるリスク(空気を抜くことでビードが落ちる可能性、ビードが落ちなくてもシーラントの気密保持層が壊れることで空気圧が安定しなくなる可能性がある、チューブレス空輪の経験が無いのでトラブルの予測がつかない)とCDMの得点で重要な重量面で試作チューブレスレディタイヤ+シーラントの組み合わせと超軽量タイヤ650×38Bグランボアエキュルイユ、SOYO製試作650B用ラテックスチューブ、パンク対策シーラント少量の組み合わせに重量面で大きな差がなかったことから信頼性を重視して試作チューブレスレディタイヤ+シーラントではなく、超軽量650×38Bタイヤ+シーラント入りラテックスチューブの組み合わせに決まりました。
同時にリムも他社製品のチューブレスレディ対応のものからグランボアパピヨンWアイレット28Hに組み替えています。ホイール単体での重量はパピヨンWアイレット28Hに組み替えたことで増加しましたが剛性感に優れ、荒れた路面でも安心して突き進める信頼性の高いパピヨンリムに、前述の超軽量タイヤシステムを組み合わせたことで信頼性と乗り心地、軽やかさを併せ持った足回りが出来上がりました。特に乗り心地と転がり抵抗はチューブレスレディタイヤと同等かそれ以上に好感触で、パンクに対してはラテックスチューブ内に注入したシーラントが対応してくれるのでパンクに対する不安も少ないです。万が一シーラントで防ぎきれないパンクが発生した場合は普通のチューブと同様にパッチで修理するかチューブの交換で済むのでチューブレスのトラブルに比べたら煩わしさも少ないです。

 

 

【PBP走行計画】

8月18日17時ランブイエをスタート、翌朝到着するPC2まではサポート無しで走行。ブレスト手前のタンティアックからサポートを受けつつ走り、21日午前5時までにゴールする計画でした。尚、睡眠に関してはどこで取るかは決めておらず、眠くなったら1~2時間程度寝ることにしました。
トータルの目標は60時間。60時間に目標タイムを設定した理由はGWに走ったBRM502京都1000kmのタイムが59時間台でこれは補給や休憩に多めに時間を割いた上でのタイムでした。高い峠が無く、参加者が多いPBPでは他者と協力し合うことで巡航速度が上がり、PCではサポートを受けられることが決まっていたので自分にとって無謀でない目標時間だと考え60時間としました。

【17日】
前日はPBPの車検と事前受付、CDMの車検と展示。
車検と事前受付は混雑が予想されたので早目に受けられるように午前8時過ぎに会場に到着。この時はまだ列も短く、殆ど待つことなく車検とフレームバッジ等の受け取りを済ませることができました。30分も経つと列は3倍近くに伸びていました。
詳細はこちらの記事で。

 

【18日】1200㎞ブルべが始まる

午前中は宿でリラックスして過ごす。昼頃まで眠りたかったがベッドで横になっても興奮からか深い眠りにつくことは出来なかった。昼食は稲荷寿司とちらし寿司。やっぱりお米を食べるとホッとするし元気が出る。

こちらはスタート時に携行する補給食。計画では400㎞弱約18時間をサポート無しで走るため、そこまでの食事は日本から持ってきた補給食で補う予定だった。そのため1本200kcal前後のバーを多めに携帯した。今回使用するフロントバッグは6月のJBTで使用した試作モデルの進化版。BRM622紋別600㎞での雨中走行などを経てバッグの生地は防水仕様に変更されている。そしてJBT版で既に使いやすかった上蓋の補給食ポケットは、ジッパーの開け閉めがより簡単なものに改良されており今回も補給食の管理に役立った。メインの荷室にウェアや手袋と一緒に補給食を入れると走行時の振動や衝撃で小さい補給食が底の方へ移動してほしい時に見つからなくなることが多々ある。このバッグの補給食ポケットはそういったストレスから解放してくれる。

昼食後15時過ぎに車で会場入りし自転車を組み立てて最終チェック。何せこれから1200㎞を共に走る相棒だ。スタート前から不安要素があっては困るので念入りにチェックした。前日のCDM展示の際にチェーンオイルをふき取っていたので念入りに塗布する。今回も使用するチェーンオイルはフィニッシュラインセラミックウェットルーブ。今年に入ってからすべてのブルべで使用していて滑らかにチェーンが回り、雨に当たらなければ600㎞差し直す必要がないところが気に入っている。

 

スタート待機場所に到着。たくさんのランドヌールと自転車で埋め尽くされている。そこで2月のBRM216小倉300㎞でお世話になったAJ福岡のBさん(いちごオレの方)と会うことが出来た。お話を聞けばなんとモンサンミッシェルに寄り道するそうだ。コースを外れてモンサンミッシェルまで往復80㎞の追加!やっぱりこの会場に来てる人たちは普通じゃない。スタート時刻が近づくとE組の待機列に並び、出発を待った。

最初のテントでブルべカードにランブイエのスタンプを貰う。

スタートゲートの前で17時にを待つ。

17時、E組のスタート時刻だ。1200㎞の旅が始まる。

スタートすると大集団が形成され周囲の流れに乗って進んでいく。1車線をフルに使って走る集団でブルベを進めるというのは国内ではあり得ない状況だ。まるでTVのツール・ド・フランスで見るプロトン。参加者間の間隔がかなり近いので周囲の動きに同調して走り続ける。今ここで変な動きをして前輪をハスったり追突されれば自分だけでなく後ろを走っている大勢の参加者を落車に巻き込みかねない。

スタート直後は緊張してかなりナーバスになっていたが、徐々にリラックスして走れるようになり集団での走行を楽しむ余裕が出てきた。ただ、集団のペースは速く、とても1200km保つとは思えないスピードだ。流れに乗っていれば付いていけるスピードなのと集団から離れて一人になった場合、この日は西風が強く吹いていたのでスピードがかなり落ちることは確実だった。なのでこの時は多少速くても集団の中で過ごすことを選んだ。

118km地点のMORTAGNE-au-PERCHEに到着。グロスアベレージは29kmhを超えていた。

ここはスタンプを貰う必要があるPCではなく、補給食や水などが調達できるサービスポイントだ。ここまでオーバーペース気味の集団についてきたので自転車を降りると体が悲鳴を上げた。乗車中は気が付かなかったが無理をしていたようで屈むことすらままならない。ここで必要な動きは水の補給だけだったが強い疲労感から10分以上動けなかった。15分後にスタートしたF組のタンデムや弾丸のようなベロモービル、そしてコンクールマシンに参加しているRossmanCyclesのハーンさんが早くも追いついてきた。自分も水を汲んでようやく再スタート。こんな所でのんきに休憩していられない。まだ100㎞しか走っていないのだ。

118㎞地点MORTAGNE-au-PERCHEから217㎞地点VILLAINES-la-JUHELまでの約100kmもノンストップで走行するつもりだったが、眠気覚ましのためバーでコーヒーを飲んだ。まだ一晩目だが前走者のテールライトを見ていると吸い込まれるように眠くなる。自分は完走することが最優先事項なので多少のタイムロスはあってもリスクは消していかなければならない。そんな訳でバーの灯りに寄せられたのだ。
結局ここではコーヒーのオーダーや地元の人と話したりして10分ほど使ったが価値のある時間だった。

 

【19日】

約8時間で217㎞地点のPC1VILLAINES-la-JUHELに到着。時刻は深夜1時過ぎといったところだ。ハイペースで走り続けてきたのと眠気で既に疲労感がにじみ始めている。夜は本当に辛い。

まだ残り1000㎞。とんでもないブルべに参加してしまったと思いながら椅子に座って缶ジュースを飲んだ。
 

②に続く…

まえの

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