アイズの独り言

2023.07.05

船でゆく北海道 ~天売・焼尻島~

DAY 2

船から見る小樽港。

終日とってもいいお天気で、月もきれいでした。

新日本海フェリーの舞鶴‐小樽間は23時50分発の翌日の20時45分着。

21時間の船旅は長いようであっという間。それにとても快適でしたよ。

 

 

 

 

【小樽】

入港後は21時は回っていましたが、お寿司屋さんはまだ何軒か開いていました。

朝はコメダ珈琲でモーニング。コメダ珈琲って北海道にもあるんですね。朝は7時から開いていたので助かりました。あとはプラプラお散歩。旧国鉄手宮線跡が枕木もそのままにプロムナードとして開放されていて散歩にはちょうど良いです。

この時期はご覧の通りの花盛り。楽しめましたよ。

 

 

 

【天売島へ】

この時期の天売島行き羽幌沿海フェリーは高速船と合わせて4‐5便あって、私たちは14時発のオロロン2に乗船しました。乗船時間は概ね1時間半です。時期によって船の発着時間が変わるようですので要注意ですよ。車で移動した小樽-羽幌間は距離にして230km。去年自転車で走った道をたどりたくて下道を使いました。でも、小樽でウロウロしすぎたみたいで、ちょっとギリギリでドキドキしました。

 

車を羽幌のフェリーターミナルの駐車場にデポして、2泊3日の準備をリュックとフロントバッグに詰めて船に乗り込みます。自転車はそのまま預けられます。ただし、特殊手荷物として870円必要なのと、事前予約も必要です。注意事項、よく読んでね。

 

船内は2等席と1等席があります。

2等は座敷、1等は椅子席。数百円の差額でしたので帰りは奮発して1等席を利用しました。


お天気も良く、去年見れなかったこの場所からの利尻島もしっかり見えました!

 

 

*****

DAY 3 – DAY 5

【天売島】

さて、いよいよ天売島上陸です。

マップは羽幌観光協会のホームページから使わせていただいてます。

実際に島の周回に使う道は10キロ。その内、概ね2キロが平坦、4キロが上り、4キロが下り、って感じ。標高差は177メートル。勾配は平均7-8%くらい?10%越えてそうなところもあったりして、短いけれど走りごたえはありますよ。私たちは着いたその日にまず1周して、翌日は2周半、焼尻に移動する日にも1周して、合計4周半! 海鳥の繁殖地になっている島の北西側は、この時期は時計回りに一方通行となっているので概ねそれを守りながらウロウロしてました。

 

【黒崎海岸】

港の近辺の宿をスタートして時計回りに回ると、町の中心地である島の南東側から黒崎海岸あたりから道の様子が一変します。なだらかな上りが始まるとともに、賑やかな鳥の声。そして、道端にはたくさんの子連れのウミネコが現れました。

さすがに自転車で近付くとパッと逃げるのですが、またすぐ舞い降りて同じ場所で過ごしています。

 

どうやら親鳥がつきっきりで、しかも集団で子育てをしているようです。

大きく育ったイタドリの向こうを覗くとリラックスした親子の姿がありました。

 

海岸はウミネコの親子やウミウなどで一杯です。

「うわー、すごーい。」

初っ端からあまりの光景にびっくりしてしまいました。

 

 

矢印の下が赤岩展望台です。そこまでは結構な上り坂が続きます。

 

 

 

 

【赤岩展望台】

この辺りまで来ると子連れのウミネコの姿はありません。

その代わり、ひときわ大きく育ったイタドリが一面に広がっています。しかもその下は穴だらけ。と、いうのもこの辺りはウトウという海鳥の営巣地になっているのです。

その数何と80万羽!(2023年ガイド説)

日中は巣穴に雛を残して親鳥は100km先の海原まで漁に出かけているそう。

 

 

自転車の高さをはるかに超える大きさまで育ったイタドリ。

 

 

それがこんな一面に広がっています。

日中はとても静か。本当に雛がいるのかな??

 

*

*

 

日没前。

細かい点々がわかるでしょうか。

餌を咥えた親鳥が子供に与えるために一斉に帰島するのです。

それを待ち構える大セグロカモメやウミネコたちとのバトルが空や巣穴近くで繰り広げられます。

もう、すごい迫力です。

19時から20時でこの時期はナイトツアーが企画されていますので私たちもそれに参加しました。自転車で行けなくもないのですが、いろいろ保護活動をされている方に配慮してツアーに参加した方が良いかと思います。

 

 

 

巣穴を隠してくれる大きく育ったイタドリは彼らにとって安全な高級住宅地。翼の大きなウミネコや大セグロカモメなどは入ってこれません。

ペンギンのように潜りも上手な彼らの翼は少し小ぶりで離着陸が少々苦手です。かなりのスピードで飛び込んできては急ブレーキをかけてボトッと落ちるように着陸します。この日は良いお天気だったのできちんと巣穴に戻れてるようでしたが、天気が悪い時などは目標を見失い街の中心地あたりに着陸してしまうウトウも結構いるのだとか。

 

うまく巣に戻れたウトウたち。

本当なら口いっぱいにイカナゴやイワシを加えたウトウを撮影したかったのですが、今回は撮れませんでした。でも、餌を加えたままなかなか子供に食べさせず、逃げ回っている親鳥を目にしましたよ。そろそろ雛に巣立ちを促す目的で、じらしたり、あえて餌をとってこない親鳥もいるのだとか。

 

 

***

赤岩展望台からもう一種珍しい鳥の子育て風景を見ることができました。

美しい天売ブルーの海に映える赤い脚。

そう、あのケイマフリが巣を構える崖が見下ろせるのです!!!

 

どうですか?

赤い脚。かわいい。

え、小さすぎる?

 

ではもう少し大きく。

1羽が巣を守り、1羽がせっせと何かを運んでいます。

 

 

そしてこちらは巣立ち前の若鳥。


ぼんやり海を眺めてるけど。

 

あ、気づかれた。

 

「お母さーん」

と、鳴いたかどうかは定かではありませんが、この後ひょいと飛び立っていきました。彼にとっての初フライトでは無さそうでしたが、この時期ならではの良いもの見ました。

 

こんな具合に、この場所は鳥好きにとってはいくらでも佇んでいられる場所でした。気候も寒くなく暑くなく快適そのもの。

ここへのアプローチは、一応、島のレンタサイクルもあるのですが、アシスト付きでないとちょっとしんどい。それ以外だと島のハイヤーを頼むことになります。それだと時間の制限がありますし、原付バイクで回られていた方もおられましたが、どうしてもエンジン音が露払いになってしまい、小鳥などはサッと姿を隠してしまいます。

私たちはランドナーだから何度でも、それほど苦も無く来ることができましたし、朝6時に来ることもできました。それこそ朝飯前! (でも、もっと早く来るべきだった。夜明け前の3時30分に来られた方はウトウが巣から飛び立つシーンを見ることができたそうです。)

自転車ツーリングの良いところです。

 

 

【千鳥が浦園地・野鳥観察小屋】

展望台から更に上ると最高地点を超えたあたりから見晴らしの良い原っぱに出ます。

海へ向かう道を降りてゆくとそこは野鳥観察小屋。

 

そこにはニコンの高性能望遠鏡があって崖で営巣するウミウやヒメウ、ハヤブサなどの観察ができます。

 

 

私のカメラではこれが精一杯でしたが、その望遠鏡はもっと大きくはっきり見れましたよ。

 

 

【観音崎展望台】

野鳥観察小屋から小さなアップダウンをいくつかこなすと観音岬園地。

エゾカンゾウが可憐でとても素敵なアクセントになっていました。

ところどころ異様に大きな白い花はエゾノシシウド。

どちらも咲いているのは初めて見ました。

 

 

ここの展望台ではそれほど鳥は見かけませんでした。

親方は自転車を前に次のプランでも練っているの?

 

 

今回は私はいつもの親方2号車ですが、親方はステンレスフレームのJBT号です。

このJBT号、フレームサイズは私のより大きくて、ホィールはハブダイナモを採用してるのに、私の自転車より軽いんですよね。自分の自転車が気に入らないわけではないけれど、自転車を持つたびに「あ、私のより軽い」って気が付いてしまう。そろそろ新しいの作ってもらおうかな。。

いやいや、お客さんのが最優先。わかってます。

 

 

観音崎展望台から北側。

連なる大きな崖の先にはフェリーターミナル近くの灯台が見えました。

崖の茶色い部分はほとんど穴ぼこだらけ。ようするにウトウの巣というわけです。

 

ここも日没近くになると景色が一変するんでしょうね。

なんといっても、80万羽ですもんね。

 

*

*

さぁて、ここからは気持ちのいいダウンヒル!

 

 

でも、逆回りすると結構な上り坂。(><)

焼尻島、その先には北海道が見えます。

 

 

 

【天売の森】

天売島の中央部には豊かな森が広がります。

道も整備され、ランドナーに程よい未舗装路だったりします。その道も海岸線同様、とてもご機嫌で走ってきたわけですが、京都に戻ってきて調べてみると、江戸時代から明治時代にかけて島の森林がほぼ消滅した時代があったとのこと。深刻な水不足に陥った一時期を、森を育てることで乗り超えてきたそうです。

参考にした資料はこちら

興味のある方は是非。

 

 

休憩舎

無人ですが、入れます。

大きな座敷で休憩も可能。トイレはバイオトイレでした。

 

 

自転車で行けなくもないですが、散歩も楽しい。

小鳥もいろんな種類がいましたよ。

森も育ち、そろそろ干ばつも必要なようです。

 

 

【オロロン鳥】

正式名ウミガラス。

「オロローン」と鳴くのでオロロン鳥と呼ばれるようになったとどこかで読みました。西側から宗谷岬を目指すサイクルツーリストなら必ず走るオロロンライン。巨大な黒白のペンギンみたいな鳥のオブジェを目にした方も結構おられるんじゃないかな。羽幌町のシンボルなのです。

でも、この鳥には悲しい歴史があります。

戦前は4万羽ものウミガラスが天売島に繁殖に来ていたそうですが、戦後の鰊の乱獲(餌の減少)や、サケマスの流し網漁(網に絡まる)などで激減。更に天敵となるカラスやウミネコの増加に伴い、なんと2008年にはたったの13羽まで減ってしまったそう。

その後、いろんな方の努力によって今年は104羽まで数を戻してきたそうですが、4万羽が13羽ってすごくないですか。

そんな鳥を海から見てきましたよ。

 

 

船頭兼ガイドが1人とお客が6人で満席。

島の北側から崖下に向かいます。

 

海に浮かぶケイマフリ。

 

崖で子育てをしているのはヒメウ。

この一枚に7羽とその雛が映っています。

こうやって片親がつきっきりで面倒を見る雛は生存率が高いそうです。

 

 

緑から濃紺、紫。ホント、美しい。

成鳥の足元に雛のくちばしが見えていますよ。

 

波の向こうに白黒の鳥。

ウミガラス。オロロン鳥です。

20羽近くの群れのようで、104羽の内、5-6分の1が集結しています。

ガイドさんもちょっと興奮気味。

少しづつ近寄ってくれるのですが。

 

あ、気づかれた!

「うわー、待ってー。」

鳥もあわててるけど、船内も大騒ぎ。

利尻をバックに飛び立っていくオロロン鳥たち。

 

さようなら~。

一瞬の出来事でしたが、貴重な一瞬でした。

ありがとう。

写真を見返してみると、ウミガラスだけでなく、ウトウまで1羽混ざって飛んでいました。こんなことがあるから写真にとるのが楽しい。

 

 

天売島だけでずいぶん長くなってしまいました。

小さな島ですが、本当に見どころ一杯です。

特に5月から7月がお勧めです。

 

 

 

*****

 

【焼尻島】

天売から焼尻までは距離にして4キロ、フェリーで30分程。
島の大きさは天売より少し小さいようですが、周回距離は天売とほとんど変わりません。概ね平坦で、ところどころ急な坂道があります。
険しい崖が島の半分を占め、命の循環を肌で感じる天売島が男島、島の大半が草原と原生林でふんわり優しい焼尻島が女島、2島合わせて夫婦島なんて言われています。

 

焼尻島でもかつてはニシンの加工のために木の伐採が行われたそうです。でも、天売ほどではなかった。今も残る原生林はイチイとミズナラの混生で他で見たことのない雰囲気です。そして、島の西南に位置する高台「鷹ノ巣園地」からは360度の眺望が望めます。

 

あと、日本で唯一の羊だけの牧場があるのですが、後継者がおらず、とうとう今年の11月で牧場を閉めるそうです。残念ですね。

 

 

 

***

あれに見えるは天売島。

 

 

 

オンコの荘

国の天然記念物にも指定されている焼尻島の自然林は、この島の中央部からほぼ東半分に広がっています。風の強いこの地で長年生き抜いてきた広葉樹と針葉樹が混然一体となって、独特の樹形へと成長し不思議な雰囲気を作り出しています。

 

 

森を抜けると島を横切る「オンコ海道」へ。草原の中の一本道です。

遮るものも無くて利尻島まで見えました。

 

ずーっとフラワーロード。

6月、最高。

 

 

 

鷹ノ巣園地

北海道も天売島も利尻島も全部見えました。

写真に納まらないスケールでした。

 

 

復路

 

 

 

たった10キロを1時間半ほどかけて島を一周しました。

まだ、時間があるのでフェリー乗り場近くの喫茶店で一休み、って閉まってますよ。

ちょっと分かりにくい場所にあるこの茶店、「クローズだけど、ママがいればコーヒーくらい飲ませてくれるよ。」との情報を貰っていたので恐る恐るノックをしてみる。

横浜からのアイターンさんでとてもユニークなマダムがオーナーでした。

楽しく過ごさせていただきました。

 

 

*****

この後、羽幌で車に乗り換えて苫前で一泊。

翌日は知床まで400キロのドライブ移動です。ちょっと早めに着いて網走で観光できるかな、とまだまだ盛りだくさんで旅のプランは続きます。

 

 

つちやはるみ

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