サイクルモード幕張 予告4
今日はプジョーとビアンキ、2台のレストア車をご紹介します。どちらも今でもよく耳にする名前ですが、さてどんな自転車なのでしょうか。
【Peugot roadracer 550mm 1960s】
1962年製のプジョーPX10。この自転車はサンプレ初のパンタ式変速機「エキスポール61」が組みこまれた当時の最高級モデルです。
時が経つうちに、ちぐはぐになってしまった他のパーツを、エキスポール61にふさわしいパーツで再構成しました。
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ストロングライト57のチェンホィールとLJ23のフロントメカはオリジナルのまま。
ハブは初期ノルマンディのルックスコンペティション注口付きに。
サドルはイデアル52プロフェショナルへ。
また、フレームはフルタッチアップで塗装面をきれいに仕上げ直しました。
再塗装としなかったのは、当時のままのオリジナルデカール(フレームに貼られたロゴ等のシール)がきれいな状態で残っていたので、それをそのまま活かしたかったからです。塗装をやり直すには、デカールを全部はがしてしまわないといけません。可能なかぎりオリジナルの状態を活かしてレストアした一台です。
【Bianchi Promenade】
フレームとヘッド小物が一体になった特徴的なこの造りから、これがビアンキのルパルトコルサで作ったものだとピンとくる方もいらっしゃるかもしれません。
コルサというのは競技という意味。この自転車はもともとビアンキのロードレーサーでした。
イタリアでは、競技の世界から引退した選手たちが、選手時代の自分の愛車を街乗り仕様に組み換えて乗るということがよくあったそうです。今回はそれにならって、散歩が楽しくなりそうな自転車に組み直しました。
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フラットハンドルにチェンケース。
とくに面白いのがここです!
シートステーに沿って伸びる2本の棒。これは、カンパ初期の変速機です。今回は、街乗り仕様なのでカンビオスポルトという棒が長いタイプの変速機を装着しました。最も一般的だった棒式変速機カンビオコルサと比べて棒の長さが長いので、上体をあまりかがめずに変速できます。これを街で操作しながら走っていたら自転車に乗っている本人はもちろん、偶然見かけた人もなんだか楽しい気分になりそうですね。
こんなところにも、親方や店長はおもしろがっていました。
「カンビオコルサ用のエンドに外装の変速機のためのブラケットが後付けされてるなんて、前の持ち主が棒式変速機をはずしてカンパのグランスポルトなんかを組み付けていたんじゃないかな。」と親方。そんなふうに想像しながら自転車を見るとおもしろいですね。
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じつは、この2台の自転車には、レストアのための最新パーツが使われています。それがこのブレーキアウターです。
日泉ケーブルさんと開発したこのブレーキアウターは見た目だけではもちろんありません。ライナー入りブレーキアウターなので、ブレーキの引きがぐんと軽いんですよ。
オリジナルを大切に考えレストアをするためにどうしても必要だったこのパーツ。それまでは国外でデットストックが出た際に買いためておかないといけませんでした。時間を経て、ちぐはぐな状態でアイズの工房へやってくる自転車たちを、可能なかぎりオリジナルに復元しようとするレストアの視点に立つと、こういう小さなところへの配慮が欠かせないのだなぁと感じます。
プジョーとビアンキ、完成車になった姿はぜひサイクルモードでご覧ください!
サイクルモード幕張 予告3
開催まであと1週間を切りました!
どんなふうに展示する?ハイエース一台に収まるの!?とバタバタしながらも全員でサイクルモードに向けて準備に取り組んでいます。
この週末、アイズバイシクルは通常営業です。来週の土日はサイクルモードで親方不在。また、11月3日の祝日はアイズラリーでお店はお休みとなります。ですので、親方へのご相談ごとなどある方はぜひ”今日”お越しくださいね。
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今日はこちらの自転車の紹介です。
【Goeland Randonneur 650B 1962】
かつてパリ2区に工房を構えていたGoeland(ゴエラン)、今はもう、その工房もありません。
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アイズの工房へやってきたときはこんな状態でした。
一見すると完成された自転車のように見えます。ですが、通常車体に入る工房のロゴが見当たりません。。普通でしたら一体どこの工房の自転車か判りません。
クランクとヘッドパーツには珍しいTAクリテリウムがついています。
1962年ごろ発売され、かつ発売期間の短かった当時最先端最高級の部品です。
オリジナルと思われる個々のパーツ構成、工房の特徴を色濃く残すフレームの造り、完成車としてのまとめ方。
そういった細かな、だけど雄弁なその自転車本体から得られる情報から、親方はこの名前をなくした自転車がゴエランのものだと鑑定し、おおよその年式も特定します。今までにレストアして蓄積してきた知識や経験、資料がそれを可能にしているのです。
これは、親方が見せてくれたゴエランのカタログです。
おそらくこの自転車の部品構成からこの自転車の製作年は1960年代初頭あたりで、その後再塗装され、リアキャリアも後から取付けたのでしょう、と話をしてもらいました。
こうして自分の手元に来るまでに、この自転車の持ち主がどんなふうに乗っていたのかを想像すると、ぐんと自転車の背景に奥行きが広がります。これがヴィンテージ自転車の楽しみのひとつなんですね。
さて、この自転車がどのようにレストアされたかというと、、、
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当時の資料や、年式の合うオリジナル塗装を残した別のゴエランのフレームから手書きのダウンチューブのロゴマークを再現しました。
後付けされていたリアキャリアもまた当時の資料を基にアイズの工房で一から製作。
また、フロントバック用のバックサポーターはステム側金具のみがオリジナルのまま残っていました。ですので、欠品していたバック側金具ももちろんそれに合わせて再現しています。
あと、 この自転車は当時のままに戻すだけではなく、新しいオーナーの使い方に合わせて仕様変更したところもございます。
新しいオーナーのコンセプトは「ヴィンテージパーツで作る長距離快走ランドナー」。
ゴエランでは標準仕様としてスティラップ付でマハックのブレーキが使われていましたが、直付け仕様にフレームを加工することで、実走指向の強い個性的な一台となっています。
そうそう。このゴエランというのはフランス語で「カモメ」という意味だそうです。自転車にも愛嬌のあるカモメが付いていますよ。ぜひ見にきてくださいね!
サイクルモード幕張 予告2
当店の最も得意、かつお奨めできるブランドがフランスの「ルネ・エルス」です。すべてのランドナーのお手本といってよい名車中の名車。
【Rene HERSE Mixte CAMPING 1950’】
1950年代製造の婦人用キャンピング車をご用意しました。
当店にやってきたときはかなり錆が出ている状態でしたが、塗装状態は良かったのでリペイントではなくタッチアップで補修することとしました。可能な限り当時の雰囲気をそのままに、貴重なオリジナルの手書きロゴや線引きを生かすレストアとしています。
変速機は1950年代にツーリング用に最も多く使用されたヘリコイド式ディレイラー「シクロランドナー」です。単純な構造ですが、実はセッティングはとても大変です。日本では重厚感のある650×42B仕様のランドナーの変速機というイメージですが、こうして700Cで使ってもスッキリします。
オリジナルのチェーンホィールの仕様はフロントシングルでしたが、本格的ご婦人用キャンピング車ということで当店にてフロントダブルに変更いたしました。そしてこの自転車に合うよう選んだ変速機はこれまた希少なシクロのリジド(ロッド式)です。
ブレーキはエルスのオリジナルカンチ。リア用カンチアーチは出っ張りの少ないミキスト用のスモールタイプが使われています。
リムは50年代のマビック・クリテリウムが使われておりましたが、再生不可能なほど変形しており交換しています。グランボアのビンテージ特別仕様リム「パピヨンビンテージ」で本格的ツーリングにもお使いいただけます。
出来あがりの詳細はサイクルモードの会場でお確かめください。
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本日キムラのバッテリーライト再入荷いたしました。それと、IRIBEさんのボトルゲージも今なら両方ともありますよ。お待たせいたしました!(専務より)
サイクルモード幕張 予告1
来週末に幕張メッセで開催される「CYCLE MODE International2016」の準備で大忙しのサイクルグランボア。これまで出展してきたツーリング車メインの内容とは違い、今回は新しい企画の「ヴィンテージコーナー」での出展になります。展示する内容、レイアウト、段取りなど決めなくてはならない事がまだまだたくさんあるのですが、ドキドキ、ワクワク、バタバタしながら進めていますよ。
グランボアが得意とするフランス、イタリアの名車を中心に、今のところ7台、すべて工房内でそれぞれに応じたレストアを施したものを持参する予定です。お客様にはそれらを通してヴィンテージ自転車だけでなく、グランボアのレストアもご覧いただければと思っています。そして、特に今回面白いのは、この「ヴィンテージコーナー」ではお客様はその場で展示品をお買上いただく事ができるんです。すごいですね。。。どれも一点物ばかりですので争奪戦にならなければいいのですが。。。
折角なので、アイズのブログを愛読してくださっている皆様には「予告」として今日からこのブログでできるだけ紹介していきますね。皆様にもワクワクドキドキが拡がりますように!あ、出展するまでに興味のある方はどうぞ直接ご連絡くださいませ。「欲しい!」と思ってくださる事が何より最高の評価ですから。
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【MARASTONI Promenade 1960’】
レストア前。
塗装の痛みはもちろん、各所に錆が見られ、使い込まれているパーツだけでなく、欠品しているパーツもありました。
チェーンケースの蓋は紛失しており、ケースがあるのにチェーンが丸見えの状態。
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それが、
フレームとチェーンカバーは再鍍金後オリジナルカラーで再塗装して新車時の輝きをとり戻しました。更に各パーツ類はすべて分解し、再鍍金後組み直しています。ホィールは実用に耐えられるよう、新品のリム(NISI)とスポークを使用して組み替え、タイヤサイズは650Aでしたので、グランボアルナール32A に交換しました。入手時に欠品していたチェーンカバーの蓋は、親方が何度もイタリアとやり取りして入手した物で一番近いサイズのものをゴム製のスペーサを使用して固定することで再生しました。
泥除けのステーが印象的な大変雰囲気の良い自転車に仕上がりました。このような自転車で街を散歩してみたいものです。
(大介店長より)
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こちらのマラストーニは毎年秋に開催されるポリージャポンのレストア部門で、今年の第一位を受賞いたしました!国内でもトップクラスのエンスーたちが集うポリーで最高の評価を頂いたマラストーニ、ぜひ見に来てくださいね。
セール期間
昨日、出来上がったレストアのお仕事。
フレームと同色のラインが入ったピカピカの泥除け。小ぶりでかわいいテールライトはキレイに再メッキが施され、泥除けのステーにたった一つのダルマネジで固定されています。しかも、親方が早朝から美山のアトリエで単3電池でも使えるようにアダプターの加工をしていたのでちゃんと実用に耐え得る仕様になっているんですよ。
もう少しお見せすると、
Hさんのルネエルスのデモンターブル。
クィックレリースが多用されており、工具を使わずに分解組立てができる仕組みとなっています。特殊工作は数えればきりが無く、全容と共にギャラリーページへ譲りますが、何十年も以前に既にこんな自転車が出来上がっていたのですから驚きです。T社やP社のデモンターブルもここから始まったんだそうですよ。
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ヴィンテージの自転車はその車体の魅力だけでなく、その自転車が作られた時代の背景や過ごしてきた時間などを思うと、ドキドキするようなロマンがあります。ましてや自分のサイズや好みにドンピシャの自転車に出会えるなんて奇跡のようなもの。良い状態のものは高価だし、ボロボロだと後でかなりの費用を要する場合がほとんどです。出会うタイミングも重要ですね。
一生のうち何度そんな出会いがあるのかな。
思い切ってオンラインストア掲載中のヴィンテージ自転車すべて2割引とさせていただいてましたグランボアブランド20周年記念セールもそろそろ一月が経とうとしています。かつて無い、今後もまず無い値引率でしたが、そろそろセールも終了です。
今回、運命の出会いが無かった自転車たちはセール終了後は一旦サイトから下りる事となります。どうぞ、後数日、よろしくご検討ください。
セールの期日は8月31日(水)18時までとさせていただきます。