アイズの独り言>

こんにちは前野です。

「ランドナーで峠へ」の2回目は京都府南丹市と福井県大飯郡おおい町の県境に位置する堀越峠を紹介します。

前回紹介した旧花背峠は京都北山の峠でしたが今回取り上げる堀越峠は京都の市街地から遥か北、京都府南丹市と福井県大飯郡おおい町の境にある標高510mの峠です。

花背峠を取り上げたので次も北山の峠にしようと考えていたのですが、堀越峠に3週連続で走りに行く機会がありましたので記憶が新しいうちに紹介させていただきます。

 

花背峠と堀越峠、位置関係からして2つの峠に共通点は無さそうですが、実はどちらも福井県嶺南地域と京都を結ぶ鯖街道に含まれる峠なのです。
花背峠が小浜市と京都市を結ぶ針畑越えの峠であるのに対して、堀越峠は西の鯖街道と呼ばれる鯖街道の中で最も西側を通るルートの一部であります。
鯖街道について調べてみると国道367号線を通る若狭街道、琵琶湖の湖西を通る近江路、花背峠やおにゅう峠を含む針畑越、そして堀越峠が含まれる西の鯖街道とバリエーションに富んでいるいことが分かります。こちらWikipediaの記事ですが鯖街道についてまとめられています。

 

 


さて、堀越峠ですが1974年に堀越トンネルが開通し峠は未舗装の旧道として通行可能な状態で残っています。今回はその旧道を楽しみに京都から走りに行きました。

.
.
.

南丹市美山町和泉から国道162号線への分岐

京都市内を午前6時に出発して御経坂峠、栗尾峠を経由して京北へ。国道162号線は山間の道ながら交通量が多いので土日や通勤時間帯は避けるようにしているのですが、朝早くなら交通量も少なく快適です。
京北で一旦国道162号線を離れ神楽坂トンネルを経由して美山町和泉へ。ここでまた国道162号線に合流します。
和泉の丁字路を堀越峠へは小浜名田庄方面へ左折します。右折すると九鬼ヶ坂峠を越えて道の駅美山、かやぶきの里方面になります。

 

綺麗に整備された国道162号線を北上する

堀越峠までは綺麗に整備された2車線の道が続きます。途中通過する集落もバイパスされているので最短距離で進むことが出来ますが、自転車なら旧道の集落内をゆっくり通過するのが土地の空気を少しでも感じられていいのではないでしょうか。

 

堀越峠区間の標識

峠区間標識の後も勾配が緩いままなので峠を登る実感が無いままダラダラと登っていきます。

 

 

堀越峠旧道入り口の看板

小さいですが西の鯖街道の案内板もあります。後述しますが、福井県側の路肩が一部崩れている箇所があったので自動車が入れないように三角コーンが置いてありました。

 

京都府側堀越峠旧道入り口

京都府側の旧道入り口にはわかりやすい目印がありません。堀越峠区間に入ったら右側に気を向けて走っていれば見つけられるはずです。堀越トンネルの約1㎞手前になります。

 

左に国道162号線、右手に棚野川

旧道入り口からしばらくは川沿いに走りやすい砂利道が続きます。序盤はかつて国道であったことを感じさせる物はありません。

 

国道162号線から見た旧道

 

未舗装路とガードレール

1つ目のヘアピン付近から路面は荒くなり、ロードバイクでも走れるような砂利から写真のような粒の大きい石が目立つようになります。トンネル開通以前のものかは不明ですがガードレールが残っています。

 

緩やかな勾配のままコーナーを繰り返して登っていく

路面状況は標高を上げるにつれ改善していきます。今回もランドナーのタイヤは650×42Bに軽量650Bチューブレールの組み合わせ。未舗装路対応且つ舗装路での走りが良いのでお気に入りの組み合わせです。

 

 

堀越トンネルに延びる自然歩道

堀越トンネルに下りる自然歩道が整備されています。担ぎになりそうなので今回はパスしました。

 

木陰が多いので峠近くの路面は湿っている

登りの中盤辺りまでは乾いた路面が続いていましたが峠近くになると泥濘が現れました。この辺りもガードレールが設置されています。

 

泥除けとマッドフラップ

落ち枝の多い林道ではフルサイズの泥除けとマッドフラップはトラブルの原因になる場合もあるのでダート走行に特化するのであれば付けないという選択肢もありますが、自分の場合はブルべなどで天候問わず走ることもあるので泥除けとフロントのマッドフラップは外せません。

雨が降っていなくても山間部の路面は湿っていることが多いので路面からの飛沫を防げますし、前輪が巻き上げる砂粒や埃などがチェーンに付着するのを軽減し潤滑を長持ちさせる効果もあります。付着する汚れが少ないので帰宅してからの掃除もロードの半分以下の時間で済みます。

 

マッドフラップは市販品ではなく、厚さ2mmのゴム板から切り出しています。より軽量な黒いクリアファイルや厚さ1mmのゴム板で作ったこともあるのですが、素材の特性上前者は割れやすく後者は下りでスピードを出すと風をはらんでバタついて泥水をまき散らすので現在の2mm厚に落ち着きました。

堀越峠 標高510m

砂利道を楽しみながら登っているうちに峠に到着。
京都府側は石垣で補強されています。堀越峠を示す看板はありません。

 

堀越峠福井県側から

尾根をくりぬくように道が通されています。国道の旧道というよりは林道の峠の雰囲気ですね。

 

峠に残る標識の支柱

堀越峠にある唯一(?)のオブジェクトは道路標識だったと思われる鉄柱が2本。

堀越峠旧道福井県側の下り

福井県側にはガードレールが無く、京都府側で辛うじて感じられた旧道感がほとんどありません。
ヘアピンコーナーもあれば長い直線もある走りごたえ抜群の下りダートです。

 

福井県側下りのストレート区間

 

福県側下りの中ほどにある分岐

峠からしばらく下っていくと1か所分岐があります。旧道の続きは右側。左の支線を進むと…

 

旧道から延びる支線は林業の作業道?

先程の分岐を左手に進むと道幅は徐々に狭くなり、勾配とガレ具合が増して乗車不可能になりました。地図で見ると国道162号線に繋がっていそうなのですが乗車できないので引き返しました。

 

福井県側路肩崩壊箇所

旧道に引き返してからまたしばらく下っていくと道が半分ほど崩落しています。これだと自動車が通るのは厳しいですね…
堀越峠旧道を走っている間に出会ったのはバイク2台、ハイカーの方1人と鹿3匹。

 

旧道堀越峠福井県側の入り口

無事にダートを下りきって国道162号線に合流。

ここから下れば道の駅名田庄があります。自然薯が特産のようで、道の駅のレストランでは自然薯を使った料理が提供されています。ここで一息ついて高浜や小浜に抜けて海を見てから輪行で帰るのもいいと思います。
この日は昼過ぎから用事があったので、国道を登り返して堀越トンネル経由で京都市内の自宅へ戻りました。
行きの所要時間は堀越峠旧道京都側入り口まで2時間40分、帰りは下り基調なので寄り道しなければ2時間半くらいで帰れそうです。

 

福井県側の旧道入り口の目印、おおい町のモニュメント。

福井県側の旧道入り口の目印はおおい町の青いモニュメントです。向かいに旧道の入り口があります。

 

福井県側を堀越トンネルまで登り返す

国道162号線の京都側は勾配緩やか、のんびりペダルを回していたら堀越トンネルに到着する具合です。写真の福井県側は堀越トンネルから道の駅名田庄までコーナーが連続するダイナミックな峠道です。

 

旧道入り口から登り返して堀越トンネルに到着。

1974年に開通した堀越トンネル。古いトンネルなので暗く路面は荒れています。
トンネル開通以前は自動車で峠越えをするのは大変だったでしょう。
今日走ってきた旧道から車が往来していたであろう半世紀近く前の情景を思い浮かべるのは難しいですが、錆びついたガードレールに峠に残っていた鉄柱、石垣など名残を感じることはできました。

 

堀越トンネル京都側、峠の標識

 

もう少し周辺を探索したいところですが京都に帰ります。

162号線を辿っていくと九鬼ヶ坂峠-道の駅美山―深見峠を通過しますが、府道12号-府道368号-府道19号を経由して京北まで行くと登りが減り距離も短くなります。

 

栗尾峠からの展望

こちら栗尾峠も数年前に京北トンネルが開通して旧道化し、現在は自転車歩行者専用道となっています。
車が来ないのでとても静か。京北を見渡せる展望台にはベンチがあるのでついついのんびりしてしまうお気に入りの場所です。
栗尾峠でひとやすみして昼過ぎに京都市内に帰ることが出来ました。

今回取り上げた堀越峠往復サイクリングの後に同じ自転車でもう1回、700Cロードで1回(未舗装の旧道は登らずトンネルを通過)行ってきました。

700Cロードと堀越トンネル

後に行った2回とも堀越峠を越えて小浜まで行って昼食。午後はおにゅう峠で滋賀県入りし国道367号線経由か久多峠-花背峠経由で京都市内へ帰る約200㎞のコースを楽しみました。


京都市内から堀越峠、小浜、おにゅう峠を巡るロングコース

 

 

堀越峠が何度も走りたくなる魅力を持っているのと、京北美山を含めた京都府内を走るよりも堀越峠以北の福井県嶺南地域を走る方が非日常感が増すので楽しいんですよね。
アイズバイシクルのある京都市内から堀越峠まで60㎞以上あるのでお気軽にどうぞとは言えませんが、帰りを輪行するプランにすれば京都から自走して楽しめますよ。

 

まずはアイズバイシクルスタートの100㎞プラン。

アイズバイシクル-堀越峠旧道-若狭高浜駅100㎞

 

序盤は交通量の多い国道162号線を極力避けつつ京見峠、栗尾峠、原峠などの峠を通って堀越峠へ向かいます。
距離は約100㎞、交通量の少ない早朝に出発して道中を楽しみ昼過ぎに高浜着、海の幸を味わって輪行して帰るのはいかがでしょうか。(JR小浜線は本数が少ないので注意!)
帰りは若狭高浜から京都まで約3時間の電車旅。心地よい疲労感であっという間に夢の中でしょうか。

 

 

もう一つ、約60㎞の輪行プランも考えてみました。

和知駅-堀越峠旧道-若狭高浜駅60㎞

京都駅から輪行で1時間20分の和知駅がスタート地点。美山の田園風景、由良川沿いの景色を楽しみながら国道162号線に向かいます。堀越峠旧道を通り石山坂峠を下るのは100㎞プランと同じですが、最後の登り区間をトンネルに差し替えたので登りが苦手な方でも楽しみながらゴールの若狭高浜駅まで走れるはずです。

.

.

.

 

陽が長いこの時期だからこそ少し遠くの峠を目指してサイクリングするのはいかがでしょうか。走行計画を建てて必要な装備をフロントバッグに詰めていく時間は楽しいものです。

7月は何処の峠へ行こうか。皆様のおすすめの峠がありましたら教えてください。

まえの

こんにちは前野です。

気が付けば近畿は梅雨入り。今年の梅雨入りは1951年以降最も早いそうです。
雨で休日も自宅にいることが増えるこの季節ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

私は京都市北部、鞍馬の奥に位置する旧花背峠へ行ってまいりました。
このぐずついた雨の中?
いえいえ、今日の記事はまだ山の中へ行けば桜が咲いていた時期の話になります。

 

 

4月のお休みにいつもの北山へランドナーでサイクリングに行ってきました。
この日は市内の自宅を出発して貴船口-鞍馬寺-花背峠の順に北上し、花背峠北側の分岐から旧花背峠へ向かいました。

旧花背峠というのは国道477号線の花背峠の西側にある未舗装の峠で、峠の三叉路には杉の大木と地蔵堂があります。
この地蔵堂が程よくヤレていい味を出していたのですが、今回訪れてみるとその地蔵堂が建て替えられていたのです。
京都在住のサイクリストにとって花背周辺は庭のような場所かもしれませんが、旧花背峠のシンボルでもある地蔵堂が建て替えられていたのはなかなかインパクトがありましたので今回記事にしてみました。

 

 

まずは鞍馬寺の前を通って花背峠の登りに入っていきます。
ちなみに鞍馬経由で北上する場合、市内から最後のコンビニはローソン静一市原店になります。鞍馬を過ぎると京都バスのバス停に自販機があるだけで補給は殆どできないので注意してください。

 

2018年秋の台風で沢山の木が倒れて景色が変わった花背峠南側。
台風以前の花背はもっと鬱蒼としていて展望も殆どありませんでした。


写真は峠の少し下にあるヘアピンコーナーの湧き水。暑い日はボトルに水を補給して一息つきます。

 

峠前ラストのヘアピンコーナーは市内まで見渡せる展望が広がっています。
花背を市内に向かって下る時もここだけは止まって写真を撮りたくなるポイントです。

 

花背峠(759m)を登り切り、北側へ下ってしばらくすると右コーナーに京都バスの「旧道入口」バス停と最近建てられた京都丹波高原国定公園のオブジェがあります。ここが旧花背峠への入り口です。
花背の北側は気持ちの良いワインディングが続くので下りすぎないように注意してください。

 

旧道入り口バス停からしばらく急勾配のコンクリート舗装。
峠の大杉と地蔵堂が見えてくる頃にダートとなります。
距離は短いので勢いでぐいぐい登ってしまうのもいいですが、静かな花背の森の雰囲気を味わいながら押し歩くのもいいものです。

 

旧花背峠(750m)に到着。

峠は広場のような三叉路になっています。1枚目の写真が今年2月、そして2枚目が4月中旬に撮った写真です。ひなびた地蔵堂が綺麗に建て替えられています。

2021年2月

2021年4月

 

以前と比べると新しい地蔵堂の方が少し骨太でしょうか。まだピカピカで木材の香りがしてきそうな地蔵堂ですが、峠で年月を重ねていくうち景色に馴染んでいくのでしょう。

2021年2月

2021年4月

 



峠から芹生の里までは下り基調のダートです。この区間を京見坂と呼んでいたと親方に聞きました。
調べてみると京見坂というのは旧花背から芹生に繋がる林道の支線に位置する峠のを指すようです。

ダート区間は700×30Cでも走れないことは無いですが楽しく走るなら650×36Bは欲しいところ。
写真は走りやすい区間で、もっとガレた下りもあります。ちなみに僕は650×42Bで走っています。

峠から芹生の里までダートの距離は3㎞程度と長くないので歩いてもそんなに時間はかかりません。
万が一パンクしても慌てずに。

程よい距離と路面、市内から比較的行きやすいので何度も訪れているお気に入りの道です。

 

 

今年は桜の開花が早く市内では葉桜になっていましたが芹生の里ではこのとおり。

芹生の里から先ですが、芹生峠(680m)を下れば貴船神社経由で市内へ帰れますし、走り足りない方は北へ向かい477号線に合流して京北、日吉ダム、保津峡経由で市内へ戻るのもおすすめです。

 

参考にローソン静一市原店を起点に花背-旧花背-芹生峠を回るコースを引いてみました。
距離は短いですがほぼ登りか下りなので走りごたえがあります。
未舗装路を含みますし野生動物も多いエリアです。市街地から近いとはいえ走りに行く際はくれぐれも慎重に。


今回のサイクリングで使った自転車はグランボア650Bランドナー。
フロントシングル11速に650×42Bタイヤを備え長距離ブルべから林道サイクリングまでこれ1台で楽しめます。

アイズバイシクルのある京都市は少し北へ行くだけで楽しく走れる場所がたくさんあります。
皆さんもランドナーでサイクリングしてみませんか?





今回は花背峠を取り上げましたが今後も「ランドナーで峠へ」シリーズとして私前野がランドナーで走った峠を紹介していければと思っております。
皆さんの地元でおすすめの峠などありましたら舗装路、未舗装路問わず教えていただけると嬉しいです!

まえの

2021.01.26

母娘旅

2019年、秋。

グランボアのツィッターやフェイスブックをフォローしてくださってる方はこの記事を覚えてらっしゃる方もいるかもしれません。

その時はこの二人の事はほとんど詳しくご紹介しませんでしたが、実はお母様は現役で”ニューサイ”を読まれていた世代の方にはきっとご存じの方もいらっしゃるマリークレールギョームさん。私たちがフランスに行くと必ず通訳として同行してくださるKさんの奥様でもある方です。この時は長女のエミさんと一緒に来日し、久しぶりに日本のツーリングを楽しまれたのでした。それにしても女性ただけで1か月近くもサイクルツーリングするだけでも珍しいのに、当時マリーさんは既に72歳。エミさんはほとんどロングツーリングの経験はありませんでした。

「これは絶対面白い旅になるよね~。」

で、自転車を無償でお貸しする代わりに旅のレポートをお願いしたんです。そしたら先日、忘れずにわざわざ日本語にして送ってくれました。Kさんがエミさんがフランス語で書いた記事を訳してくださっているのですが、フランス人らしい言い回しが随所に残っていて新鮮です。それにエミさんが撮影した日本の風景がどれも素敵。旅情を刺激しますよ~。

今から思えばコロナで世界中で人の行き来がストップしてしまう直前の事で、とても貴重なツーリングレポートになりました。

是非、多くの方に読んでいただければと思います。

 

 

エミ&マリの四国・紀伊半島を巡る自転車の旅 (part.1/2)

エミ&マリの四国・紀伊半島を巡る自転車の旅 (パート2/2)

 

 

 

***

アイズの店内で輪行講習を受ける2人。ここから旅が始まりました。

 

 

 

出発前日のエミさんとマリークレールさん。

Merci d’avoir partagé un très beau récit de voyage avec nous. Restons en bonne santé jusqu’au début du prochain voyage!

 

 

 

つちやはるみ

2020.10.26

秋の小旅行

こんにちは、スタッフの前野です。

今年はブルべに殆ど参加することなく10月を迎えました。昨年はPBP参加のために毎月何処かへ出かけていましたが、今年は新型コロナウィルスの影響でイベントに参加せず一人で走ることが多くなりました。 
京都北山を走るのはもちろん楽しいのですが、知らない土地へツーリングに行きたい…。
自分の中のツーリング欲が高まっていました。

コロナを取り巻く状況が少し落ち着いたように感じたので、1泊2日の小旅行に出かけてきました。もちろん感染症対策は怠らず。
.
.
.
行先は兵庫県の奥地にある瀞川氷ノ山林道。4年前の11月に京都から一人で走りに行った林道です。
日本海に面する兵庫県香美町と養父市にまたがり、関西では最長規模約50㎞の総延長と未舗装路では珍しい約1.2㎞の見通しのいいロングストレートがある林道です。

同行してくれたのはアイズバイシクルにアルバイトとして来てくれている井越君と、彼と同じサイクリングクラブのOBであるI君。I君と僕は集合地点であるJR八鹿駅まで自走し、輪行でやってくる井越君と合流します。

午前3:30に京都を出発して約130㎞、9:40分頃にJR八鹿駅に着きました。そしてその数分後、井越君の乗った電車が到着。

彼は20代前半ながら昭和のサイクリストの佇まい。ニューサイクリング誌を読み漁り、当時のサイクリストの服装の研究に余念がありません。

八鹿駅の駅舎は歴史を感じる趣ある造りになっています。このガラス窓なかなか見ない形ですね。

 

走り出す支度を整えて午前10時すぎ八鹿駅を出発!
市街地を離れると飲食店やコンビニは殆どないので、街中で明日の食料も買い出しを済ませます。

 

養父市関宮から香美町村岡までは国道9号線で峠(トンネル)を越えます。登りの途中にループ橋があるのは珍しいですね。

八鹿駅から約30㎞、13時半頃に瀞川氷ノ山林道の入り口に到着。途中で昼食を摂ったり道の駅ハチ北に寄っていたのでのんびりペース。僕とI君は朝が早かったのでこの時点でまあまあ消耗していました。

若干の眠気と疲労感があるものの、4年越しの再訪と前回は到達できなかったダートのロングストレート区間にわくわくが止まりません。

 

林道起点からしばらくは舗装路が続きます。ダートはまだかまだかと舗装路を登り続けていると県道に合流。少し走ればダートが始まると思っていたので拍子抜けしました。

林道起点から始まる北端の区間は全舗装で、89号線との交差以南からダートが始まります。なのでダート区間を走るのが目的なら北端の林道起点には行かずに道の駅ハチ北から89号線で林道にアクセスした方が楽しいと思います。

北端の林道起点から89号線までの区間はひたすら登りで展望もあまりないので、もし再訪するなら北端の区間はカットします!

89号線との交差から少し登るとダートが始まりました。待ちに待ったダートに歓喜の声が上がります。砂利の上を泳ぐような感覚が堪りません。

少し走って空気圧を調整。プシュッ!プシュッ!とバルブを数回押して空気圧を下げます。

下げすぎるとリム打ちパンクのリスクが上がるので注意!

 

ダートと舗装の登りを繰り返して最初の展望ポイント、はちまき展望台に到着。
これから向かう林道南側は灰色の厚い雲に覆われていました。

 

林道を南下するにつれて霧に包まれ幻想的な雰囲気に。
ロングストレートまでの区間は砂利の粒が大きく、登り勾配が厳しいので脚を削られます。楽しいけど苦しい!

この林道は太いタイヤと砂利の上を駆け上がるテクニック、パワーがものを言います。650×32Bや700×30Cでも走れないことはないですがしんどいかも。

 

念願叶ってロングストレートに到着!これが見たかった…!
この区間は砂利が少なく、路面も締まっているのでとても走りやすいです。北側からは緩く下って登り返します。登り返しは斜度が厳しく、粒の大きい砂利に覆われているので気を抜いているとあっという間に失速します。

楽しくスピードを出せるのは一瞬。

 

 

名物のロングストレート区間の後も基本的に登り基調。疲労が蓄積して思うように前へ進めません。砂利道の勾配がきつくなると漕ぐのをあきらめて押し歩きすることも。

林道の途中で休憩。霧に包まれて景色は見えませんが普段味わえないシンドイけど楽しい感覚。 
辛いけど楽しい!辛いけど楽しい!


最初は大喜びで走っていた砂利道も後半になってくると苦行の道に… 今度は舗装路が現れると歓喜の声があがります。

霧の間から見える景色が開けてきました。ハチ北スキー場が近づいてきた証です。

スキー場の施設が見えてくれば後はもう少し。舗装路を一気に下って日没前に東鉢伏の宿に到着することが出来ました。

 

今回のように霧の中や予定よりも走行時間が伸びて日没を迎えてしまうような場合でも、バッテリー残量を気にすることなく使えるSONのダイナモシステムが心強いです。
こんな林道でも車やバイクが走ってくることがあるので、フォグランプ代わりに常時点灯させておくと安心です。
僕が使っているのは定番モデルSON28ハブダイナモとEDELUXヘッドライト。ライトの方はより明るくワイドな配光になったEDELUX2にバージョンアップして販売されています。
 

 

1日目は京都から八鹿駅まで130㎞と下のルートを走って全行程186㎞。疲れた……。
余裕をもって林道を楽しむなら輪行しましょう!
 

.
.
.

2日目

翌日はメンバー全員疲労困憊。予定していた瀞川氷ノ山林道南半分の走破を諦めて最短ルートで砥峰高原を目指します。

I君は調子が優れないので養父駅から輪行で帰ることに。井越君と2人で砥峰高原を目指します。

養父市出合から大屋まで舗装林道で峠越え。

県道6号線で砥峰高原の入り口まで南下します。冨士野トンネルまでは長い登り坂。

冨士野トンネル入り口で小休止。前日がハードだったので二人とも疲れ気味。

 

今回のツーリングに使用した自転車はいつもと同じくコンクールマシン2017の際に制作された親方製フレームの1本。メインコンポーネントはSRAMフォース1、1×11スピードのフロントシングルです。

今までと違うのは先日発売されたサンクフィーユ・ナローワイド40T。この自転車では約2年間サンクフィーユ・ナローワイド試作版42Tを使っていたので少しだけ小さくなっています。

リアスプロケットが従来のまま11速11-42Tなので最小ギア比は1以下。舗装路でギア比1以下になると歩くのと同じかそれ以下の速度になってしまうので必要性を感じないギア比ですが、今回のような砂利道の厳しい登り坂などではトラクションを維持しながらクランクを回すことができるので効果的です。砂利道を走らないのであればフロントはサンクフィーユナローワイド40T、リア11-40Tの方が使いやすいでしょう。
ちなみに変速機はSRAMフォース1ですがチェーンとスプロケットはシマノXT(M8000 系)を使っています。変速はとてもスムーズ、消耗部品のコストも抑えられます。

走りの要となるタイヤは650×42B。舗装路、ダートどちらも走る場合は2.5BARくらい。舗装路に重きを置くなら少し高めに、未舗装路をスムーズに走りたいならもう少し低めに。
外ではエアゲージを使うことはないので、状況に応じてちょうどよく感じられるように空気を抜きます。空気圧を大まかに把握しておくならタイヤゲージが便利です。ちょうどいいと感じられた空気圧で走った日にタイヤゲージで空気圧を測定してメモに残せば気持ちのいい空気圧の再現は簡単になります。

 
 

さて、砥峰高原への登りも自転車乗りに優しくありません。終盤は花背、百井峠並みの勾配が続きます。

急勾配の坂道を上っていると木々の間からひらけた景色が見えてきました。

 

すすきが眩しい砥峰高原に到着!砥峰高原はすすきが見ごろで素晴らしい景色でした。
高原を少しだけ散歩して帰りの電車の時間が気になるので早めに出発しました。電車を逃すと次がなかなかありません…

 

砥峰高原から神河町方面へは豪快なダウンヒル。下りの途中に見えた長谷ダムが立派でした。下りながら見える景色も爽快。写真に残したい景色は下り途中のような止まれない、止まりたくない時に突然現れたりしますね。

 

砥峰高原から下りきると長谷から川沿いの道を北上して生野駅で輪行して帰路につきました。

 
そうそう、輪行の時にサッと広げられるグランボアサコッシュが便利です。
僕はスマホや飲み物、軽食など輪行時にすぐに取り出したいものをまとめるのに使っています。
サコッシュは今回使用している輪行袋オーストリッチSL-100と同素材で出来ていて、超軽量ながら安心感のある丈夫なレオナWリップ65ナイロンが使われています。輪行以外にも買い出しをして一時的に荷物が増えた場合や、着替えの仕分けなど用途は様々。一枚持っているといろいろ使えますよ。

 

 

2日目は充実の80㎞。距離にしてみると短いですが内容の濃い80㎞でした。
旅の〆は生野駅からのんびり普通電車の旅。3時間半かけて京都まで帰りました。

 
今回のツーリングの主な目的は瀞川氷ノ山林道のロングストレートを走ることでした。二日目に通った舗装林道や砥峰高原など自分の知らない兵庫県を知ることができた楽しいツーリングでした。
特に瀞川氷ノ山林道周辺には他にも面白そうな道があります。また来年行こうと思います。
 

 
11月は久々のブルべでSR600紀伊山地の世界遺産を走る予定です。
紅葉の紀伊山地を楽しもうと思います!

まえの

2020.09.11

RIDE & HIKE

「ツーリングに行きたい!」

春からずっとまともなツーリングに出かけておらず、とうとう親方のフラストレーションが爆発しました。というとちょっと大げさかもしれませんが、あの台風10号の翌日だというのに、まだ暑いというのに、もう少し待てば紅葉が始まるというのに、我慢できずに徳島は剣山まで1泊2日で出かけてまいりました。

もう、ずっと旅に出たいと思っていたのです。

 

【1日目ルート】

道の駅貞光ゆうゆう館(標高50m)→国道438(貞光川沿)→ラ・フォーレつるぎ山(標高1500m)

 

 

 

台風一過。だけど暑い!この日の天気は晴れ。最高気温は33.5℃。この日も京都から徳島まで移動して午後からのスタートです。

水分はもちろん、首には保冷剤を巻き、塩飴やエナジードリンクも忘れずに。この間の高山村のことがあるので周到に暑さ対策をして臨みました。

往路はずっと貞光川沿いを緩やかに登っていきます。距離は40km弱ですが、なんといっても目指すお宿は標高1500m。出発地が標高50m地点なので1450mアップです。久しぶりのツーリングなのでなまった体を確認しつつゆっくり上がっていきました。

 

 

序盤から川は谷深くを流れ、山は連なり、景色はとてもダイナミックです。

 

 

そして、行けども行けども人家がその山々に張り付くように点在していて驚かされました。毎日の生活はどうされているんだろう、そんな素朴な疑問が頭から離れません。車が入れる道が通っていれば何とかなるのかな。

 

 

 

と、もやもやしていると謎を明かすかのように現れたモノレールの駅。

ここから使える交通手段はこのモノレールだけとのこと。

へぇ。すごい。日本にもこんな所があったんだ。

戻ってきてから少し調べてみたところ、このモノレールはすでに動かすことはできないようですが、今もこの十家地区にはお一人の方が生活されているようです。徒歩でここから1時間、山道を歩いて辿り着く我が家。

おぉ、美山での生活なんて便利そのものですね!

 

 

 

 

 

そして、この日はルート上にたくさん見所がありました。

つるぎ町一宇の「土釜」。

土釜ってなんだろ、と思って道を少し外れて観光してきました。流れる水の勢いで岩が削られて猛々しくも美しい滝を形成していました。この日は台風の影響もあってか水量もあり迫力満点でしたよ。きっと紅葉の頃はさぞかし人気のスポットなんでしょうね。

 

 

 

滝といえば、この日は本当にたくさんの滝!

ルート上には数えればきりがないくらい様々な滝が出現していて、いくつも息をのむような美しい姿を見せてもらえました。

きっとその多くは日頃は姿を消している「幻の滝」で、台風後のこの日に限り、しかも自転車のスピードだから目に留まる、そんな景色だったのかもしれません。

 

 

 

 

あちこち寄り道しつつ、休憩しつつ、ゆっくり上り、お宿まで2キロ手前のスキー場にたどり着いた頃には影も随分長くなっていました。

ここからお宿までは勾配もきつくありません。

今回のお宿はラフォーレ剣山。夫婦池の畔に立つ町営のお宿でお手頃です。

 

 

 

 

 

*****

【2日目】自転車→ハイキング→自転車

ラ・フォーレつるぎ山→自転車→剣山観光登山リフト起点の見ノ越駅(標高1420m)→リフト→西島駅(標高1750m)→歩き→剣山山頂(標高1995m)→歩き→西島駅→リフト→見ノ越駅→自転車→国道438(穴吹川沿)→中尾山高原→国道438(穴吹川沿)→国道492(穴吹川沿)→美馬→道の駅藍ランドうだつ→吉野川沿自転車道→道の駅貞光ゆうゆう館

 

 

 

 

朝9時始発の剣山観光登山リフトに乗るべく8時30分頃スタート。天気は少しどんよりしていますが、暑くなく、寒くなく、気持ちの良い朝です。

 

 

 

 

始発の見ノ越駅から西島駅まで約20分。

こんな剥き身のリフトに乗るのはホント久しぶりでちょっとドキドキしましたが、鳥のさえずりや、景色や気温の変化が直接伝わり、何とも言えない気持ちの良い時間でした。

振り返ると自転車で走ってきた道がずーっと見えています。

 

 

目指すは剣山頂、矢印のところ。

うーん、いやな雲が近くにあります。。。

 

 

 

雲はありましたが、幸いなことに周りの景色はしっかりと見えました。

これから下る道が見えています。

 

 

うーん、あれって小豆島?

 

 

 

 

夏の剣山はキレンゲショウマの群生が見られるとのことで有名なようですが、この日はすでに花は終わっていました。でもまだ夏色の草木の葉は美しくみずみずしい。夏と秋の間のこの数日は、きっと一般的にはオフシーズンなのでしょうね。でも、私的には大満足。

自然の移ろいにオフなんて無い。いっつも完全に圧倒されてしまう。

 

 

山頂付近はきれいに板が張られていて整備が行き届いています。

足元はハイキング用の靴に履き替えていますので歩くのも快適です。

ところが、山頂に立った途端に雨が降り出し、山頂近くのヒュッテで30分ほど雨宿りする事となりました。ただ、これから先の道中を考えるとゆっくりもしていられません。雨雲の動きを見ながらまだ雨が降る中下山を開始しました。

 

 

御塔石(おとうせき)

この石の下にある大劔神社のご神体で、その形は剣に似ていることから山の名前の由来にもなっているとのことです。

神社には先客が雨宿りされていて立ち寄らず。また今度お参りしよう。

 

 

 

 

帰りのリフトに乗る頃には雨が上がり、次の雨雲が到着するまで2-3時間は持ちそうです。

さぁ、一気に下るぞ!

さっきまで立っていた山の頂がもうあんなに遠い。

 

 

 

雲のかけらの向こうに人家の屋根。

昨日とは違うルートで下ってきているのですが、やはりこの地域の特徴なのか、人家が山にへばりつくように点在しています。まだまだ知らないことがたくさん身近にありそうです。

 

 

 

リフト乗り場からの65キロほどの内、後半の30キロくらいは概ね平坦路です。雨にあたらないようにと昼食もとらずに下ってきたので結構しんどかった。やっとこさ辿り着いた美馬の「道の駅藍ランドうだつ」で遅めの昼食を食べたのは2時を回っていました。。

「うだつ」のある家々が今も見れる美馬の町。

 

美馬の道の駅から車をデポした貞光ゆうゆう館までは日本三大河川の一つ四国三郎こと、吉野川沿いを行く自転車道があります。ただ、自転車道と言っても交通量の多い国道の歩道を利用したような道なのであまり趣はありませんが。

 

いろいろと見どころ満載のツーリングとなりました。

ツーリング後の親方の第一声は「あー、すっきりした!」でしたよ。

皆さまもそろそろいかがですか?

 

 

 

*****

【おまけ】

私の自転車。

親方フレームER仕様650x38B(エキュルイユ)、フロントシングル(ナローワイドサンクフィーユ試作)、クランク(サンエクシード)ブレーキ(シュエットモダン)、ブレーキレバー(東京サンエス)、サドル(イデアルスタンダード)、フロントバッグ(ランブイエ2019試作)、ペダル(ウェルゴー輪行ペダルグランボアSP)

フロントバッグにはタオルにティッシュはもちろん、携帯にipad-mini、工具やチューブ1本のほか、救急セット+コロナ対策セット、おやつ各種、保冷剤3つ、エナジードリンク2つ、雨具上下にウィンドブレーカー、あと小さめのお化粧ポーチ。少し大きめのカメラも入ります。

 

 

親方の自転車。

親方フレームER仕様、650x38B(エキュルイユ試作)、フロントシングル(秘密)、ブレーキ(ミラン)、ブレーキレバー(東京サンエス)、サドル(イデアルチタン)、フロントバッグ(アンベール2017特別サイズ)、パニアバッグ(グランボアバコーズ製)、ペダル(ウェルゴー輪行ペダルグランボアSP)

パニアバックには2人分の着替え一式とハイキングシューズ、駐輪用の鍵2本が入っています。

 

 

【今回撮影できた鳥たち】

ゴジュウカラ

 

 

 

ヒガラ

どちらも小さくてすばしっこい。宿の近くの池の畔にたくさんいました。

 

 

 

トリカブト

登山中にたくさん見かけました。今が旬なんですね。

 

 

そして、こちら。

ヤツガシラ

2日目の朝一番に道先を案内してくれた鳥を撮影したものだったのですが、帰ってから画像を明るくしてみたらビックリ!とても珍しい鳥が映っていたのです。だけど一番特徴的な冠羽が電線に隠れてしまっていてかなり残念。それでもこの出会いは嬉しかったなぁ。

 

鳥の話は興味ない方が多いのはわかっているんですけど、ちょっと誰かに見てもらいたい。たぶんね、ポケモンゴーとかされていた方には、この撮影できた時の喜びをわかってもらえそうな気がするんだけど。。。

つちやはるみ

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 49

blog

最新記事

Archives

Back Pagetop