アイズの独り言

6月30日~7月2日の3日間で総距離400kmを走るコンクールのレース。長い時間、乗り手がいかにストレスなく自転車に乗り続けられるかということにも気を遣わなければいけません。
 
 
そこで今回コンクールのためのサドルには、ライダーとなるチョコ君が愛用しているジルベルトゥのガリビエをそのまま使うことにしました。ガリビエは幅が細くてレーシーなモデルのサドルです。もともとの重量も376gと、グランボアの完成車の定番サドルであるアラヴィと比べて50gほど軽いのですが・・・

 
さらに20gの軽量化を実現!

サドル先端に使われているボルトをステンレス製のものからチタンに置き換えています。
 
 
さらに、軽量化の秘密がもう一つ。サドルの裏側を見るとよく分かりますよ。
親方の愛用サドル、ジルベルトゥのアラヴィ

 
一方、コンクール用に軽量化したチョコ君のガリビエ。

サドルの裏にある、丸い形をしたベースを固定する金具を外しました。
サドルの裏側のパーツは一体になっていることが多いですが、ジルベルトゥのサドルはお手入れしながら長く愛用できるように、パーツの一つ一つが分解できるように作られています。分解できる分、緩みが出ないようにこの金具でレールどうしを固定しています。
ただ、やはりこの金具が無いと裏側を支える2本のレールが乗っている最中に僅かに動いてしまうようです。チョコ君が乗った感覚としては、金具がない状態でサドルに乗ると、サドルの高さが低くなったように感じたり、乗っているとしなっているように感じると話していました。今回はコンクールの“3日間のレース”を走りきることだけを目的にこの金具を外しましたが、やはり“快適にツーリングをする”ためには必要なパーツであることが分かります。
 
 
 
サドルを支えるシートピラーにも大介店長の手が加えられています。
使ったのはイタリアのFRMというメーカーで作られていた、ひと昔前のアルミのピラー。オリジナルの重さはこちら。

 
 
軽量加工後のピラーがこちら。

余分なところを削り落として、50gの軽量化ができました!

デザインもこのほうがすっきりまとまり、完成車のなかに美しく収まります。

本当は、現在の主流となっているカーボンのピラーを使えばさらに軽くできるのですが、カーボンを使わずにどこまで軽くできるのかを試してみたいというグランボアのこだわりが詰まったポイントでもあります。
 
 
 
ランドナーでブルべを走っているチョコ君は、一日で長距離を走ることに関してはアイズバイシクルで一番の経験者。初めてのコンクール、初めてのフランスで、他のチームと競い合いながらレースに出ることに対する緊張もあるかと思いますが、休みの日もアイズの工房に顔を出してはコンクールの自転車の試走に出たりと着実に準備を進めていますよ!出国の日は25日。あと5日でフランスです!!
 
 
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なっぱ (2021年退職)


自転車の部品の中でカセットやチェーンは重い部品の代表ですが、今回、親方が選んだカセットは台湾メーカーのRECON(レーコン)

「ワンピース アロイ カセットスプロケット」という長い名前のこのカセット、名前がすべてを表すとおりトップ以外の本体がアルミの一体成型となっていて剛性がある上に軽いという今回の目的にピッタリな製品なのです。

裏から見ると良く分かりますね。

東京のライトサイクルさんとお取引があるとの事で浅草の展示会でご一緒したときに今回必要な歯数のものを取り寄せていただきました。表面はゴールドの窒化チタンでコーティングされていて見た目もゴージャス! これまた人目を集めそうです。

 

で、肝心の重さは、

184グラム!

昔ながらのフリーだと500グラム近くあるのもざらではないでしょうか。。。

 

ちなみに親方が使っている同じ歯数のシマノの物は。。

330.5グラム。倍近い重さですね。

 

 

では、シマノのチェーン。

 

 

今回選んだチェーン。

 

少し軽いです。アイズでは自転車の変速性能は変速機本体よりもチェーンが重要だと考えています。カセットとチェーンの相性は特に重要ですので今回はカセットに合わせて台湾メーカーのチェーンを選びました。それに色味も合いますね。これが全体の中でいい味出してるんですよ。

 

 

 

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さて、ご予約注文をお受けしてましたルイゾンボベ×グランボアジャージの締切日が近づいて参りました。大変たくさんの方にご注文いただきましたのでXLは完売となっていますが、後のサイズは未だ少し在庫がございます。30周年記念の30%オフもこの期間のみです。よろしくお願いします!

だけど、まだ出来上がってこないんですよね。。。間に合うのかな。。

つちやはるみ


アイズでは標準仕様の変速機、マイクロシフトのR47。シルバーで10段までカバーできる数少ない変速機のひとつです。

227グラム。

この変速機を今回のコンクールでも使うこととなったのですが、ちょっと重いですね。。。軽さも重要なポイントとなりますので軽量加工が必要です。

 

 

 

先日、少し加工途中の写真をお見せしましたが、

大介店長がカシメを外してバラバラにし、各パートに強度ギリギリと思われるところまで穴を開けたり、細く削ったりしていきます。もちろん、大介店長ともなると親方から「これ、削ろか。」と言われれば、独自で作業始めます。そして、加工しては親方と週末に来てくださる昔からのアイズの技術顧問のTさんと「次はここ、ここもいらんで。」「ここはもっと削ってええで。」などと話し合い慎重に作業を進めていきます。また、時には「大介、こんなとこまでバラシたんか。」ということもしばしば。もう、店長もアイズで仕事をするようになって10年。頼りになります。

 

それに、もちろん親方仕込みの美意識が雑な仕事はさせませんよ。

元々こんな風に作られていたかのような美しい仕上がりです。

 

そして、肝心の重さは。。。

155グラム。

カーボン製のカンパのスーパーレコードが166グラム、レコードが170グラム、コーラスで183グラム。シマノのデュラエースが158グラム、アルテグラは196グラム。

 

 

グッジョブでしょ。

つちやはるみ


今回、コンクールに向けてアイズの工房で製作したハブはこちら。


グランボアのスペシャルラージフランジハブ、カセット仕様です!

・・・?

フランジが大きい分、重くなるのではないかという疑問が湧いてきたので親方に尋ねてみました。すると、コンクールのルールのなかにこんな項目があるんだ、とのこと。

 
・パーツ100gの軽量化につき20ポイント加点
・ハンドメイドパーツは50ポイント加点、モディファイには20ポイント加点

 
つまり、パーツを軽量化したり新しく作りだしていくための技術力に対して、これらのポイントが与えられます。ハブは、この技術点で勝負しようという作戦を立てました。今までのアイズの工房の設備では、スペシャルラージフランジハブは36Hしか作ることができませんでした。それを今回のコンクールに向けて、32Hの、しかもカセット仕様とすることに力を注ぎました。

 

 

ハブの製作にあたったのはたくみ君です。

すでに何セットものビンテージ特製ラージハブを作ってきた彼も32Hのラージハブは初めてでした。元ネタになるグランボアのラージハブを加工することから始めます。


先日の生爪はこのために使ったのです。旋盤加工でフランジを削り落としてしまうのですが、フランジを削る途中で生爪がないと削ることができなくなってしまうのだそうです。

 

 

そうしてグランボアのラージハブを加工したものにジュラルミンの板に孔を空けたフランジをリベットで取り付けています。

 

 

 

じつは、このラージフランジハブは20年ほど前にフランスの老舗自転車店Alex SiNGERの当時の当主エルネストさんから作り方を教わったそうです。当時、お客様のぶんも含めた複数台の自転車をオーダーにフランスへ渡った親方に、「このハブは一つ作るのに8時間もかかるんだ。自分で作れ」とその場で図面を引いた紙を渡してくれたのだとか。その貴重な指示書は今もアイズの工房で大切に使われています。だけど、エルネストさんも最新のカセットハブでもこの指示書が使われているなんてビックリされるでしょうね。

今回のコンクールに搭載するハブは、エルネストさんが伝えてくれたスペシャルラージフランジハブをカセット仕様でも使えるようにしたものです。そのお披露目の舞台がフランスなのですから、なんだか不思議ですね。

 

 

歯数が大きくて金色の派手なカセットが付いたコンクール用のランドナー。その派手さに負けない存在感のあるハブが出来上がりました。

 

なっぱ (2021年退職)


先日の記事でたくさんの方からエールをいただきました。皆様ありがとうございます!また、グランボアの新しいオリジナルパーツ、葉っぱモチーフのチェンリングについても反響をいただきました。チェンリングは自転車の顔になる大事な部分。多くの方に関心を持っていただき、とても嬉しいです。

 

グランボアでオリジナルのチェンリングを作りたいという思いは、長い間ずっと温めてきたことでした。デザインを担当するのははるみさんです。グランボアのオリジナルパーツのほとんどは、杉・ブナ・鹿・フクロウなど自然のものの名前をフランス語で付けています。今回もグランボアらしいモチーフをと考え、木や花など自然のものからデザインを起こそうと考えていたところ、「一定の方向に回転する」というチェンリング特有の動き方に合うのでは!とひらめいたモチーフが葉っぱだったそうです。

風にのって揺れたり、飛んでいったりする葉っぱ。いつも遊んでいるみたいに見えますもんね。(イラストは3アーム用にと意識して書いたもので、大小の葉っぱ6枚で構成されています。)

はるみさんが起こしたデザインを専門家の方にお願いして型を抜いてもらいました。出来上がってきたものを見たときは、こんなチェンリング見たことない!とスタッフ全員でびっくりしました。

 

なぜなら・・・

・・・・・!!!


葉っぱがレリーフ(浮き彫り)になっていたからです・・・・!!!

 
これは、専門家の方が、平面だと網目のように見えてしまうので、こんなふうに立体にしてはどうでしょうか?と提案してくださったとのことです。素晴らしいアイデアを本当にありがとうございます!本当に惚れ惚れするチェンリングです。。

 

 

 

***

さて、コンクールに向けて自転車の構想を練っていた親方は当初からフロントシングルで自転車を作っていくという考えがありました。フロントシングルというとツーリングの世界では少し驚かれますが、親方は40年前(!)からすでに自分の自転車にフロントシングルを採用していて、実際にあちこちツーリングに出られていたそうです。そうした経験から、峠越えやダウンヒルを含むコンクールのレースを走るのにもフロントシングルというスペックで臨むことに決めました。

 

 

グランボアのTypeER、650B仕様の平均的な重さはおよそ11kg前後です。車体重量9kgを目指すには2kgの軽量化が必要です。これを実現するためには、あらゆるパーツでg単位での軽量化を追求していかねばなりません。ランドナーのチェンホィールは5vis仕様が一般的です。フロントシングルとしたことで、この5visを使わずに、クランクも根元の裏側をロックリングで留めるだけで固定ができるものを選びました。

ダイレクトマウントというこの方法は、現在フロントシングルが主流のMTB用のクランクではすでに一般的に使われているそうです。

 

 

また、BBもチタン製のものを取り寄せて搭載しました。

 
自転車の組立は大介店長が行います。パッと見た目には分かりませんが、BBのワンを削っています。このように、組立をしながらその都度いかに軽量化できるかを考え、実践しながら仕上げていきます。

左がもともとのワン、右が削って高さが低くなったワンです。いつも使っている鉄製のBBは234gなので、これで84gの軽量化です。

 

また、クランクボルトは25年前のMTB用クランクに付属していたチタン製ボルトを使うことで軽量化を図っています。このように、何グラムという単位の小さな軽量化ですが、一つ一つパーツを吟味して選び、その上でさらに耐久性とのバランスを保ちながら軽量化を図るにはどうすればよいかを親方と店長が研究し、車体全体で9キロを目指していきます。

 

 

ちなみに・・・
コンクールのための自転車にこの葉っぱのチェンリングを搭載するにあたり、デザイン段階ではクランクを何にするかということが全く決まっていませんでした。今回コンクールではロックリング仕様のクランクと組み合わせて使いますが、一般的な5vis仕様で使えるように、葉っぱのデザインを邪魔しない場所にピンの位置を確保することができるんですよ。

自転車に組んだときのさりげない華やかさが絶妙なんです。はやく皆様に全体像をお見せしたいです!

なっぱ (2021年退職)


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