ランドナーで走るPBP2019 ②
スタートからPC1まではこちら
PC1 VILLAINES-la-JUHEL217㎞ 19日1:29
PC1での休憩はジュースを飲むことにとどめ、再びバイクにまたがって出発した。まだ自分の周りを走っているのはA~E組のライダーとタンデムやベロモービルだけだ。後ろの90時間組に追いつかれていないことから全体の中でもいいペースで走れている。当初の計画よりも僅かに遅れていたが、太陽が昇ればパワーが出るので焦る必要はない。夜明けまでは不意に眠くなったりするのでペースを上げることよりも無理のないペースを維持することを意識して走り続ける。
PC2 FOUGERES306㎞ 19日5:46
ここではコーラとアップルパイを食べた。出走前の計画ではブルべ中の補給食の大半を日本から持ってきた補給食で補う予定だった。しかし、持参した補給食のみだと飽きてくるので眠気覚ましも兼ねて軽食コーナーを利用した。
日本の8月なら4時半頃には明るくなるが、フランスの場合は2時間ほどそれが遅くなる。日の入りが遅いのと同様に日の出もゆっくりだ。この写真を撮影したのは8月19日午前7時。日本なら5時前くらいといわれても違和感がない。街の人々の動きも同様で、フランスの午前7時は日本の午前5時頃と同じような空気が流れている。
PC3 TINTENIAC360㎞ 19日8:18
この時間になると太陽が昇り始め気温も上昇するのでペダリングに力が戻ってくる。下の写真のようにPBPでブルべカードに押されるスタンプは個性豊か。PCに着くたびにどんなスタンプがもらえるのかが楽しみになっていた。
そしてここTINTENIACでは最初のサポートを受ける。PCから5㎞圏内であればサポートカーとのコンタクトが許されているのでPCと同じ街中でサポートカーに待機してもらった。サポートしてもらうのはここまで消費した補給食、飲み物の補充、そして昼間は不要な防寒具関係を預ける。補給食と飲み物がサポートで補充できるのでPCではブルべカードのスタンプとトイレを済ませるだけでよくなった。ただ、先頭を争うような走りをしているわけではないので結局のところPCでは腰を下ろして休憩するし、朝、昼、晩の3食はレストランの食事を使った。レストランは90時間組の場合、行列が出来て並ぶだけで時間を取られるということだが、80時間組の場合は待っても5分程度なので日本のブルべでコンビニに入るのと大差がない。なので自分のような時間帯で走っている場合、サポートカーが付いても大幅な時間の短縮にはあまりつながらなかった。それよりも、長い道のりでPCで待ってくれているサポート隊の存在自体が心の支えになったし、スピードを維持するモチベーションにつながった。今回、1200㎞のあいだ知り合いはおろか日本人参加者にほとんど会うことが無かったので、PC到着後サポートに合流し食事をしながら会話が出来たのは本当に助かった。
【ウェアの話】
PBPは昼夜問わず走り続ける。昼間は20~25℃で日本に比べて湿度が低く、サイクリングをするには快適な気候。宿に泊まっておいしい時間だけ走るなら日本の初夏と変わらない服装で事足りるが、ブルべで時間制限がある以上そうはいかない。PBPは標高500m以上の峠を越えることはないので凍り付くような寒さはないが、それでも夜間や早朝は5℃以下まで気温が下がる場所もある。8月だからと油断して軽装で出走するとDNFになりかねない。寒さ、暑さへの耐性は人それぞれなので一概には言えないが夜間の寒さ対策はPBPを完走するうえで重要なポイントになると思う。
自分の場合は半袖ジャージ、半袖インナー、半指グローブ、ビブショーツ、薄手のウールソックスを基本の服装にして、気温に応じて長指グローブ、アームウォーマー、レッグウォーマー、ネックウォーマー、レインジャケットを重ね着して気温差に対応した。想定したのは最高気温25℃、最低5℃程度。6月に参加したBRM622紋別600㎞と同じ組み合わせを使った。ウェアはスタートからゴールまで同じものを使用し、途中で着替えはしていない。自分の好みだが、肌に触れる衣類はビブショーツを除きメリノウール製のものを使用した。防臭効果に優れているのと、汗や霧などで濡れても冷えにくいので長距離サイクリングに適した素材だと感じる。
①基本の組み合わせ
②日没前や明け方
①にアームウォーマー、レッグウォーマー、反射ベストを加える。暑くなったら写真のようにベストのジッパーを開け、アームウォーマーをまくって温度調整。
③夜間、早朝
長指グローブ、レッグウォーマー、アームウォーマー、ネックウォーマー、反射ベストのフル装備。
これでも寒い場合は反射ベストの下にレインジャケットを加える。レインパンツも持参したが使う機会がなかったのでサポートカーに預けた。
冬用のウェアを持っていくほどでは無かったが、寒さは眠気や低体温症を誘発するので防寒具に関してケチってはいけない。暖かいウェアで走っていて暑くなればジッパーを開けたりインナーを脱いで体温調節ができるが、寒さは着込むことでしか根本的な解決はできない。日本であれば夜間でもコンビニが開いていて、レインコートなどを入手できるがPBPの場合それは期待できない。夜中に広大な畑の一本道で寒さに震えないためにも防寒対策は重要だ。
TINTENIAC出発後、気温とともに自分の調子も上がってきた。ペースの合う参加者同士でグループができるのでそれを利用しエネルギーを節約しながら距離を稼げる。交通量は少なく、見渡す限りの畑と牧草地の中を進んでいく。
PC4 LOUDEAC445㎞ 19日12:12
全体の3分の1を消化。補給食は十分に持っているのでブルべカードにスタンプを貰い、長居せずに出発。
Saint-Nicolas-du-Pélem488㎞
ここはPCではないので止まる必要はないが、トイレと気分転換がしたかったので10分ほど休憩。
ジュースを飲み干し、バナナはポケットに入れて出発。あと40㎞弱で次のPCだ。
緩やかに登り、緩やかに下る道が続く。時折ダンシングを織り交ぜるが、これは加速の為ではなく休むために腰を上げている。
CARHAIX-PLOUGUER521㎞ 19日16:17
ブレスト前最後のPCに到着。サポートカーはまだ到着していなかったので80㎞先のブレストに備えてミートソースパスタを食べた。食べ終わるころにサポート隊が到着。今後の予定について話し合い、ブレストPC5㎞圏内にホテルを確保してあるので場合によってはホテルでの仮眠をとることも視野に入れて走ることにした。ブレストの市街地は複雑なのでサポートカーによる補給は無し、ホテルでの仮眠をしなければサポート隊と会うのはまたこの場所になる。
PCのすぐそばにサポートカーが止めてあったのでPCを出た後、車内で休憩。。ここまでほとんど仮眠をとっていないので車のシートが心地よかった。
サポートカーでの休憩はしっかりと眠れた感覚はなかったが、疲労は軽減された気がしたのでブレストまでの約90㎞もペースを落とさずに走ることができた。この区間もトレインに加わって省エネ運転。人の後ろにつきっぱなしだとボンヤリしてくるので時折前を牽いたりもした。
ブレスト手前のRoc Travezelが本コースの最高標高地点。電波塔のようなものが見えてくる。360度遠くまで見渡すことができてまるで地の果てのような場所だった。
Roc Travezelを過ぎるとブレスト市内まで下りる。どうにか真っ暗になる前にブレストと大西洋を拝むことができた。
PBPの折り返し地点であり、僕自身初めての大西洋だったのでこの景色には感動した。まるでゴールしたかのような写真を撮影して暫し感傷に浸る。
PC手前では私設のエイドステーションが出ていた。ほかの参加者の流れに乗って自分も一休みしそうになったが、PCまであとわずかなので先に進んだ。
ブレスト市内をPCに向かって走る。ブレストの市内は坂が多く、海岸からPCまで登りっぱなしだった。日本で例えるなら長崎だろうか。
BREST610㎞ 19日22:10
ようやく折り返し地点のPCに到着。昨日のスタートから29時間が経過している。60時間以内に完走するならば後半のペースダウンも加味して25時間程度での到着を計画していたが、向かい風の影響か時間がかかっている。ブレストではスタンプを貰ってトイレを済ませ、時間は惜しいがレストランでしっかりと夕飯を摂った。
バイクスタンドに並ぶ自転車のメインは80時間組だが、90時間組のプレートを付けた自転車も増えてきた。
これで往路のページがスタンプで埋まった。
手前のCARHAIX-PLOUGUERでもパスタを食べたが既に4時間近くが経過しているのでレストランで食事。バゲット、マカロニ、蒸し鶏、サラミ、ニンジンサラダのセット。疲れているとなんでも美味い。
ブレストには1時間ほど滞在し、眠気も感じていたがパリに向かうべく暖かいレストランを後にした。
③に続く…
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