アイズの独り言>

さて、気負って準備した翌日、スケジュールは8時から組まれています。

参加チームは30チーム。サイクルグランボアは午前中の部に名前があります。

ですが。。。なんと、すでにイタリアやスペイン、ドイツからの6チームがすでにキャンセルになっていました。。。

 

 

 

 

さて、プレゼン会場は??

ですが、会場近くに止められていた自転車にくぎ付け。

1949年のコンクール出品車だそうです。

やはりこんなすごい自転車が母国フランスには残っています。審査員の一人、フランスのシクロツーリズムの生き字引Raymond HenryさんのBARRA製のPITARDでした。すごいですね。。アンリさんとは何度かお目にかかり、お宅までお邪魔したこともあるので良く覚えていてくださいました。お元気そうで何よりです。

親方の隣で一緒に話を聞いているのが今回のコンクールの目玉であり、最有力候補のウィーグルさんです。小柄で優しそうな方でした。

 

 

小雨が降り出す中、自転車も人も続々と集まってきました。

さて、そろそろ私たちの番。ですが、会場は倉庫のようですね。。。ちょっと想像していたのと大きく違いました。

 

 

呼ばれるまま屋内に入ると、若いスタッフでいっぱいです。

まずは計量から。

「サンク、サンク、サンク!!」 数字を読み上げる声に室内全体がどよめきました。

アイズの工房内では9.57kgでしたが、こちらのデジタル計では9.555kg。一瞬何か入れ忘れてないか心配になりました。

 

そして、オリジナルパーツの確認もここでするのですが、”オリジナル”の基準があくまでも自身の工房内で加工、もしくは製作したもの、とのことで、私たちのように道具を持たない小さな店がアイデアをもとに外注したものは含まれないとのこと。ですのでタイヤもリムもチェンリングも認めてもらえませんでした。

 

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今回のコンクール用にグランボアでは同じスペックで2台用意しました。フレーム作りは何といってもスタートしたばかりでしたので、思い切ったことをするためには予備が必要でした。コンクール用に作ったフレームは3号車と4号車。まったく同じ内容で作っていたのですが、親方的に気持ちよく芯が決まった3号車を本戦用としました。

今回用意した英語版パンフレットに掲載した3号車での仮組み完成車重量は9.2kg、本戦用は9.07kgまで絞れていました。

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そして、その建屋の2階でプレゼンです。

て、あれ?

こんな感じですか???

審査員のすぐ目の前。いきなり質疑応答風に始まってしまいました。

親方とKさんが夜中までかかって用意したものはほとんど必要ありませんでした。。。フランス語の挨拶も練習していたのにね。でも、熱心に隅々まで見てくださいましたよ。

 

プレゼンの後は撮影。

カメラマンの方が「軽い!」 とびっくりされてました。

 

 

そして、プレゼン用に急遽用意した資料はこちら。

6月22日の0時が資料提出の締め切りなのに、やっと自転車が完成したのがその2日前。親方がスペック表を私に渡してくれたのがほぼ1日前でした。もっと技術的な資料を添付したり、フランス語で書き上げることができればポイントも高かったんですけどね。。。

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良かれ悪かれ、初日が終わり、緊張がほぐれてサッサと自転車積んで帰ろうとしたところ、スタッフの一人が慌てて追いかけてきます。そうです。車検が終わった自転車は本部に預けておかなくてはならなかったのです。もう、パイロットであるチョコしかあの自転車には触る事はできません。。

 

コンクール2日目は4時スタート。2時には起きて準備をしなければ。。

つちやはるみ

6月29日から4日間、機材としての自転車そのものを競うコンクール、”Concours de Machines”に参加してまいりました。

 

開催地はフランス中央より少し南、クレモンフェランとサンテチェンヌの間に位置するリヴラドワ=フォレ自然公園内の小さな町アンベールです。

アンベールにはフランス国内で唯一の円形の市庁舎があります。そして、その市庁舎はフランス人なら誰もが知っているといわれるLes Copainsという旧い映画の舞台となったことでも有名なのだとか。自転車が印象的に扱われるその映画の影響もあって、この町でこうした自転車のイベントが開催されています。

 

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さて、まずはコンクールのスケジュールと内容について。

【6月29日 車検+プレゼンテーション】

審判とオーディエンスの前で自転車について説明する時間が設けられます。様々な内容において加点減点があります。(詳細はこちら) これはもちろん親方担当です。

【6月30日 1日目走行テスト】

コースはダートを含む224km。6月26日に一斉配布されたコースがこちら。

基準速度を22.5kmとし、そこから早いと加点、遅いと減点されます。2日間にわたる走行テスト中はパイロットが自らすべて対応しなければなりません。使える工具やスペアパーツもフロントバックに入れて車検のときに申告した物に限られます。そして、1日目のスタートは朝4時から2分おきでタイムトライアル方式。暗い中のスタートはライトの性能テストも兼ねています。

グランボアのパイロットは日頃から長距離ライドが好きなチョコ君です。そして、グランボアの仕事を見届けたいとこのツアーの同行を強く希望されたUさんがチームメイトととして、できたばかりの新車で参加されます。

【7月1日 2日目走行テスト】

翌朝は8時から20kmほどの走行。

その後、同時開催されているイベントと合流する形でベール峠の麓まで皆で行き、9時45分から前日に渡されるマップのみで120kmの競技が始まります。更に、そのルート上で同じく前日に指定されるチェックポイントを回らなくてはなりません。そして、知らされていない1区間で重さ3キロ程度の荷物を運ぶのです。その荷物は予告されません。去年は3キロのA4サイズの雑誌でしたが今年は何が渡されるかわかりません。自転車と装備はそれらを加味して作り上げる必要があるのです。マップですのでこのコースのGPSデーターはありません。

【7月2日 ツーリング】

同時開催されているイベントの指定コース、80kmのグラベルをイベント参加者と一緒に走ります。

最終日はもう競技ではありません。戦い終えて親睦会のようなツーリングです。

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結構シビアな条件なのは伝わったでしょうか。。恐らく、一度読んだくらいではコンクールの全体を把握はむつかしいと思います。私たちも実際に参加するまで解らないことがたくさんありました。ですので少し早めに現地入りし、体を慣らすとともにコースの試走をしたいと考えていました。

 

 

 

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6月26日

1台のミニバンでパリからアンベールまで自転車5台と大人6人が大移動です。

夕方アンベール着

日本から持参した自転車の準備。食料をはじめ身の回りの準備。そして、日本からでは入手できなかった地図を手に入れ、コースのチェックです。これから8泊9日ここで過ごすこととなります。炊飯器とお米はフランス在住のKさんが用意してくださいました。イタリアで作られている日本米だそうですがとてもおいしかったですよ。

 

 

6月27日28日

雨の予報が外れ、チョコとUさんは早速試走へ。

その結果予想以上にダートが多く、一部コースが分らないほど荒れていることが判明。急遽、コースの責任者に問い合わせると当日スタッフがチェックするとの返事。

「え、当日ですか?」

チョコとUさんが不安に陥るのも無理はありません。皆さんも今一度上の地図に戻り、38-39キロ地点を見てください。15%以上の勾配のダートの下りが組まれていたのです。。。

*

そしてその夜、翌日に控えた親方のプレゼンテーションの準備も必要でした。もちろん日本から原稿を書いてきていたのですが、通訳が間に入ると時間がかかりすぎるとのことで修正と練習が繰り返されました。長年渡仏の際はお世話になっていて私たちがしてきたことをよくご存じの通訳のKさんも大学で教鞭をとられているUさんもグランボアをいかに伝えるか、この自転車をいかに伝えるか、私たちスタッフも加わり皆で考えるとても熱い夜となりました。

さあ、いよいよ本番です。

 

つちやはるみ

2017.05.29

夏の予定

今年の夏、久しぶりにフランスへ出かける予定です。

もちろん仕事です。(ほんとうです!)

昨年末から「親方フレーム工房(仮称)」が本格稼動し始めてまる5ヶ月、ようやく4本目が完成しようとしています。最初ですのでいろいろ模索しながら、作っては修正し、足りないジグや道具を補い、「感」や「熟練の技」に頼らずとも良いものが作れる環境を整えながらの作業を一人繰り返しています。そして、本数を重ねるにつれ、当然ながら出来上がるのも早くなり、芯のシッカリ出た良いものができるようになってきています。

実際にはこの4本目フレームはフランスはアンベールで開催される”Conours de Machines“でチョコが乗る予備車となります。次の5本目は当然本戦用としてこれから作るわけです。出発まであと27日。店長は軽量化を進めるためのパーツの吟味と加工、チョコは昨日も300キロブルベに参加するなどしながら、パイロットとしての体の調整を進めています。店一体となってのアイズのチャレンジは日々の仕事をこなしながら進んでいますよ!

 

手の内を今明かすわけにはいかないのですが、いろいろしているうちのほんの少しお見せしますと。。。穴を開けるのは軽量化の基本。元が何か分かりますか?

「それは生爪がいるなぁ。」

「生爪を締め上げてやるんや。」

「!!!」

物騒な会話を耳にした後、納品された道具が上の写真。

「三角もあれば四角もあんねんで。」と更に教えてもらいました。

実際に何をしているんでしょうね。。私たちも出来上がりが楽しみです。

 

【コンクールマシーン~Concours de Machines~】

第2次世界大戦前後、フランスでたった5回のみ開催された自転車そのものを競うコンクール。あのサンジェやエルスも参加し、フランスの自転車産業における技術の革新をもたらした伝説のコンクールです。

 

 

*****

そして、ラリーグランボアにご参加くださった方々は既にご存知ですが、グランボアのジャージがあのルイゾンボベとのコラボで実現します。今回のコンクールに間に合わせるべく作業を進めてもらっていますのでもう間も無く出来上がる予定です。そこで本日より30周年特別価格にてご予約を承ります。ラリーにご参加下さった方々もご希望の方はサイズと枚数をこの期間にお知らせください。当然ながら枚数には限りがございます。また特別価格はご予約のみとさせていただきますのでよろしくお願いします。ご予約はこちらから。

 

 

あと、長らく欠品していました23Cタイヤ、コルデマドレーヌが入荷しています。お待たせしました。

 

つちやはるみ

おかげさまで私がアイズバイシクルを開店してから30年の月日が経ちました。これも多くのお客様に支えられてのことと深く感謝しております。そのめでたい記念としてグランボアの650Bの超軽量モデル、エキストラレジェを全種類とも赤くして出すことにしました。

 

この独特な赤色は2007年にグランボアの42Bタイヤ、エートルを発売したときにその標準色として作ったものです。かつてのウォルバーやユッチンソンの42Bタイヤには黒アメの標準的な色のタイヤの他に真っ白とレンガ色に近いオール赤の3種のカラーが存在していました。独特の渋みのあるカラータイヤと地味目に塗られたツーリングのためのランドナーの色はマッチしていて、当時のサイクリストの感性にあっていたのです。

 

グランボアのタイヤを生産いただいているパナレーサーさんにはすでにカラータイヤで赤色はありましたが、それは私のイメージよりも赤味が強く、ちょっとランドナーのタイヤとしてそぐわない色と感じていました。タイヤの色はタイヤのトレッドのコンパウンドの製作をするときに顔料を混ぜて変えることができます。そこで私はオリジナルの赤色を作ってもらうことにしたのです。ところが試作されたいくつかのタイヤはどれも少し明るく華やかな印象のものばかりでなかなか思う色にたどり着きません。粘り強く生産ラインに入る前での調色を繰り返していただき、やっと納得できる独特の渋みのある今の赤色を再現できたのです。

その後もパナレーサーさんの生産体制の変更等でこの赤の生産ができなくなるかもしれないという危機がおとずれたこともありましたが、社内のツーリング愛好家の社員の方の助言もあり今日までグランボアの定番色として作っていただいております。

 

 

 

今回はそうした皆様のご協力とともにあるグランボアの製品のこだわりの部分の表現としてエキストラレジェの650Bタイヤをグランボアの赤で作らさせていただきました。これからも皆様のサイクリングライフを豊かにする一助となれば幸いです。

 

 

*****

【専務より追記】

エートル製作当時、650B規格のタイヤはもとより、42mm幅の高性能タイヤなんて、聞いたことありませんでした。そのうえ、親方がデフォルトで選んだ色は見るからにパッとしない色。

「こんなくすんだ色で良いの?」

パナの担当者さんと一緒に「もう少し明るい赤のほうが良いんじゃない?」と本気で進言したのを覚えています。オリジナルの色の場合、生産最小ロットは通常の倍の数量です。しかも、当時、シプレを喜んで使ってくれていた海外の友人たちも42Bというサイズ、しかも赤タイヤという事でほとんど無関心だったからです。売れないと大変です。

 

ですが、「やっぱりこの色が良かったんだ。」と実感し、各方面から評価をいただくようになったのは実際に完成車に組み付けるようになってからでした。また、太目の高性能タイヤがもたらす乗り心地の良さも革新的だったのです。私を含めて、多くの方がこのタイヤの良さを評価したのはその「結果」を見てからでした。そして、それは最初にアンチパンク材を抜いた時も、後に軽量モデルの実現にチューブラー用のケージングを採用した時も同じなのです。

 

 

エートル(Hetre)とはフランス語でブナ。グランボア最初のオリジナルタイヤ、シプレ(Cypres)に続いて製作されたモデルです。赤を標準色に決めたので日本を代表する落葉樹の名前を付けました。親方のぶれない信念で実現できた奇跡のモデル。こちらも発売から10年目を迎える事となりました。

 

小さな店の夢の実現に長年にわたりご協力下さっているパナレーサー様、そしてグランボアのタイヤをご愛用いただいてます皆様、ありがとうございます。これからもブレずに貫いてまいります。どうぞよろしくお願いします。

 

今回の赤タイヤ、実際に完成車に組み込まれるのがとても楽しみです。

 

親方

あともう一台、ハンドメイドバイシクル展でお披露目した自転車。満を持して親方が自らフレームから製作した一号車。

 

 

 

ホィール組はチョコ、フレームの仕上げは拓未、組立は大介店長と。親方が年末年始のお休みのすべてを費やして一人で作ったフレームをスタッフ総出で仕上げます。

 

フレームでは形にはなったものの、実際に組んでみないと細かな点はうまくできているかわかりません。皆ドキドキワクワクしながらその工程を見守りました。案の定、組み始めてみるとアウター受けの高さが間違っていたようで、フォークをフレームにセットするのに数時間。。。ですが、結果的に苦戦したのはその点のみ、ホィールも真直ぐ装着でき、泥除けもキャリアもピッタリ美しく狙ったとおり。ひとつだけ親方があとから「あーっ、しまった。。」と言った事はチェーンフックをシートステーに付けておくのを忘れていたこと。

最初の一本にしては上出来でした。

 

しかも、最初からラグレス、ブレーキワイヤー内臓。IRIBEさんには「神業やな。」とひやかされたり。。

シートステーの先端やフレームエンドなどの部材はグランボアではオリジナルのものをすでに用意していました。

 

 

細かな仕様やクリアランスもピッタリ。

 

フォークはERでお馴染みの二枚肩のタイプで輪行簡単仕様となっています。

普通のクラウンを使ってのフォーク単体はもう既に何本か製作し、実装テストも済んでいますが、この板から作成するERフォークは初めてでした。そのためにプレス機まで導入したんですよ。

 

それに、見てください。

フォークの曲げにこだわりのある親方は2本同時に曲げる道具まで独自に作ってしまったんです。。。

 

 

*****

 

全体像

MTB用変速機を使ったフロントシングル38T×リア10速11-36T。前後には実は少し違う試作のカンティブレーキ。

パーツのセレクトは好き嫌いの分かれるところですが、軽量で無駄の無い、今後のツーリング車を模索したひとつのチャレンジです。この形はまだまだグランボアモデルとしてブラッシュアップしてゆく予定です。お楽しみに!

 

つちやはるみ

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