コンクールに出場した自転車についてはconcours de machinesのHPやFacebookを通じて発信されているので、すでに多くをご覧になっていると思います。ここでは期間中に私が気になった自転車・モノを紹介させていただきます。
コンクールの初日、プレゼンのためにコンクール本部建物の前で待っていると審査員のひとりRaymond Henry氏がやってきました。まず彼の乗ってきたアルミフレームのランドナーに釘付けにされました。

シクロランドナーのついたアルミフレームのランドナーといえばBarraです。でもよくよく見るとフレームにはPitardのマークが残っています。

このアルミのランドナーは1949年のコンクール「Les 24 Heures d’Auvergne」に出場したPitardのコンクールマシンとのことでした。シートチューブを貫通する形のLe Chatのフロントメカやブレーキレバーへの変わった加工など特殊工作が満載です。

LE CHATの直付フロントメカ

MAFACのレバーは太鼓が抜けることのないように改造してある
帰国後に古いLE CYCLISTEを調べるとみるとこのオーベルニュのコンクールについての記事があり、まさしくこのPitard-Barraの写真とイラストが出ていました。

LE CYCLISTE 1949年10号より 8,9,10,11のイラストがそのまま

右の写真に写っているマシンそのものです。
もう一台ビンテージのすごい自転車がLe Chemineau

Le Chemineauはべロシオの弟子のひとりJoanny Panelの作ったブランドでスライド式外装変速機の原型となる変速機を装着しています。かのシクロランドナーがライバルとした画期的な変速機でした。

持ち主の方はこれをフリマで見つけたとのこと、フランスの田舎ではフリマがあちこちで開催されていて、80年前の自転車もこんな素晴らしいコンディションで出てくることがあるのですね。
もう一台、こちらもジャッジの一人であるDavid Agrechさんが乗って来ていた通勤用自転車とのこと、台湾でつくらせたというフレームにフロントシングルで気負いのない造りになっています。泥除けとフロントバッグがついていますがこのフロントバッグが独創的で仕事用のノートパソコンを運ぶために縦長にして、フロントキャリアは使わずフック式のホルダーでバッグ全体をホールドして路面振動を抑えて精密機器を保護しています。ジル・ベルトゥーでの特注品です。

さて実走2日目が終了すると各コンクールマシンは広場の展示台に飾られます。ここでゆっくり出走車を見ることができるのです。
今回Gilles Berthoudが持ち込んだのはこれ

中央の長髪の人物がGillesのフレームビルダーのVincent Crétin氏
クロスドシートステーにフロントパニアキャリアの一見普通のランドナーですが、実はフロントバッグの底にモバイルバッテリーを収めていてフロントハブダイナモで発電した電気をいったんためてライトやGPSに給電する仕かけになっています。これは実は今回のコンクールではなく、今現在まさに行われているtranscontinentalというベルギーからギリシャまで4000kmもの距離を8日間以上かけて走るレースのために作られた自転車とのことでした。GillesのパイロットVictorはこの自転車でコンクールのダートのコースを走って、いままたギリシャ目指して走り続けています。
今年多く目についたのは輪行に対応した仕掛けを取り入れたモデルです。

今年優勝したPechtregon。昨年3位で特徴的なフロントフォークと落ち着いたブルーのカラーリングは昨年同様ですが、大きく変わったのが分割式泥除けがついて、シートステーの上端がアーレンキ留めになっていて後三角がBBを中心にそのまま前へ廻って折りたためる輪行に対応したフレームになっています。

こちらは昨年優勝のVictore Cycles。今年は残念ながら結果がでなかったようですが、こちらはダウンチューブがS&Sのカップリグ、シートステーとトップチューブの接続はリッチーのBRAKE-AWAY方式でシートピラーを引き抜くと分解する仕掛けになっています。
そのほか目についたところでは
ジャッジ賞のVAGABONDE CYCLES。カンパ・ポテンザのシルバーパーツで纏められていてスッキリ。

総合3位でイノベーション賞を贈られたCYFAC。カーボンのオーダーフレームメーカーです。今回はなんとカーボン製のフロントキャリアを作ってきていました。
今年からいろいろな国から参加してます。
スェーデンから参加のPatrik Tegnérは日本的なランドナーの作り手。

オフセットの大きなフォークもきれいに曲がっています。
スェーデンでは Tegnérさんを含めて5人ほどで共同の工房で自転車を作っているとのことです。
スロバキアから参加のARKO BICI

そして今回のコンクールで事前から最大のライバルと考えていたのがアメリカのJPWegleでした。納期が数年待ちというアメリカ随一のランドナービルダーです。

とっても穏やかな職人らしい方で、自身のランドナーを駆って走る姿が今は亡きエルネスト・シューカにそっくりなのには驚きました。
申し訳ありません。JPWegleの出走車の写真を撮り忘れていました。今回彼の持ち込んだマシンの重量は9.7kgでグランボアより0.2kg重いだけでした。パーツスペックを考えますとグランボアとの差がたった200gとは信じがたい数字です。フレームチューブをよほど軽いものを使いませんとここまでの数字は出ないのではないでしょうか。フレームチューブのスペックは公表されておらず、フォークとステーはメッキ出しなのですが、赤味を帯びた色でプレス発表ではニッケルメッキとのことでした。ただニッケルメッキでは錆びやすくメッキ出しの意味がないように思います。今現在極薄パイプといえばステンレスチューブのレイノルズ953の0.5/0.3/0.5でしょうか。ステンレスで磨きだしであれば赤味掛かったフォーク&ステーも説明がつくのですが、エンドの差し込みにローの痕が見えません。今回の最大の謎はJPWegleのパイプです。
そして今回の収穫はイデアルサドルです。

イデアルのサドルがフランス人の手によって製作されています。かつてのイデアルの職人についてなめし方を習得して、イデアル90をかつての優美な姿そのままに復活させています。サドルトップのダニエル・ルブールのサインまでルブールの縁故者に了解を取り付けてしっかり入れられています。

年間生産が150個たらずだそうでとても供給が追い付きません。会場のブースでいっしょに話しているのはスゥーデンのビルダーで去年の11月にオーダーしたサドルはまだかいなと尋ねていました。
番外編
自転車ではないけど変わった車が路駐していました。かのメルセデスの万能自動車ウニモグです。
このウニモグは農業用の車両のようなのですが、線路も走れる仕様になっていました。
コンクール参加者にはこんな車に乗ってくる人も

とどめは初めて目にしたスーパーカー「ランボルギーニ」

宿泊した家の隣家のものだったのですが野太いエンジン音をあげていました。
FIN
グランボアは6月29日から7月2日までフランス南部のリゾートAmbertで開催されたConcours de machinesへ参加してきました。すでにスタッフによるレポートがこのブログやSNSを通じて出されていますので、多くの皆さんにその実際がお伝え出来たと思っています。グランボアの主宰者である私はそもそもの参加の経緯や準備について、また今後の展開についてお話したいと思います。
昨年のConcours de machinesは2016年の3月にフェイスブック上にその開催がアナウンスされました。それはかつてのフランスランドナー文化の黄金時代に開催されたいた「コンクール・デュラルミン」の復活を告げるものでした。17チームがフランス国内から参加して行われていました。当然その時も叶うならば参加はしたかったのですが、僅か3ヶ月でそのための自転車を作り上げて、さらには参加のための諸準備を完了させることは不可能でした。大会後、リヨン在住のフランス人の友人が参加車両の写真を多数送ってくれました。また実際の大会での走行シーンなどSNSを通じて流れてきて大いに興味をそそられると同時に、その出走車の多くがMTBのようなスタイルの自転車だったことに失望を覚えたのです。私はフランスの伝統的なランドナースタイルこそ彼の地で再び復活するべきであると常々思っていました。わずかにアレックス・サンジェとジルベルトゥーなどがそのスタイルを守りランドナーを作っていましたが、サンジェは早々に不参加を表明していて、ジルベルトゥの他わずかな参加者が現代的ランドナーを出走させていたにすぎなかったのです。
2016年ジルベルトゥーのコンクールマシン
そうしてその年の暮に2017年のConcours de machine開催のアナウンスが流れました。当然私は即座に申し込みました。それは主催するフランスの人たちにとっては全くの意外な申し込みだった様で、どうしてこのイベントを知ったのかを尋ねられる始末でした。年若いフランスの人たちは極東の果てからエントリーされるとは夢にも思ってなかったようです。かれらがこのイベントを起こした主たる目的はフランスの自転車製造技術の再興なのです。かつてのようにアルティザンと呼ばれる自転車を作る職人たちが己が技術とアイデアで作り上げた自転車を持ち寄って競い、交流することによってもう一度フランスの自転車文化を促進発展させようとするものなのです。
このイベントにはテーマがあります。それはかつてのイベントと同様に「軽量ランドナー」であり、その軽さと耐久性・オリジナリティを競うのです。そのためにみな知恵を絞って、オリジナリティあふれる、それでいて実際のハードな走行に耐える自転車を製作して集うものと私は考えました。私の手元には1946年のコンクール・デュラルミンで優勝した一台のサンジェがあります。それはフレーム状態で長らく残されていたもので、先代のエルネストが亡くなる直前に私の願いによって実際に使われていたパーツを捜しだして組み上げてくれたものです。パーツひとつ一つの隅々まで手を入れて、軽量化の極致を求めたこのコンクールモデルは、使われているパーツの形式や素材は多少異なりますが70年以上たっても自転車の基本的な構造は変わっていないのです。まさしく自転車製作者にとってはこれ以上ない目標でありお手本です。その造形の思想をふたたび蘇らせることを一つの柱として私はグランボアのあるべき軽量ランドナーの形を考えていきました。

エルネストと1946年のコンクールマシン
まずはフレーム作りから始めました。それまではグランボアの自転車は私の考えたフレームコンセプトを何社かのフレームメーカーにお願いして製作していました。しかしこのコンクールの主眼はオリジナルの自転車を作る者たちがフレームから製作して組み上げた自転車を持ち寄ることでした。
キャリアづくりはすでに10年以上行っていて、この間にフレームづくりのための冶具や旋盤は用意していました。私はこのイベント参加を目標にフレーム作りを一気に進め、まずは1月の半ばに科学館で行われる日本のビルダーの集まり「ハンドメイドバイシクル展」に出品すべくフレーム作りに取り掛かったのです。その一本目のフレームは12月の仕事納めの後、自宅の工房で始まりました。年末年始の大晦日・元旦の休日のほとんどは工房に籠っていました。そうしてできあがったのがグランボアのTypeIの一号車です。
グランボアTypeIの一号車
この時点ですでにコンクールのためのコンセプトはできていました。日本のツーリング文化のひとつの特徴である「輪行」を自転車のテーマとし、その輪行を簡易にする目的で開発したTypeERを基本形としました。この一号車ではカイセイ019のパイプでラグレス仕様、エンドやクラウンはこれまでTypeERのために用意したものを使い、ジオメトリーもTypeERの通りです。あとはコンクールのテーマに沿っていかに軽量化を図るかです。
最大の軽量化はフレームの素材をひたすら薄く軽いものにすることです。ただそれは当然強度の低下をもたらし、剛性不足のフレームになってしまいます。サンジェのコンクールマシンは0.3mmの極薄チューブで作られています。私はこれを受け取ったときに乗ってはならないとエルネストにきつく言い渡されました。当然またがったことは一度もありませんがフレームが損傷することは容易に想像できます。まだフレームづくりでは初心者のわたしがいきなり極薄パイプでフレーム作ることは無謀です。まずは定番的なパイプからです。6月開催のコンクールから逆算して、通常業務の間に製作できるのは月に1本程度で本番までに5本のフレームが製作可能とみて、冶具の調整を行いながら一本ずつ製作していったのです。今回使用したフレームは4本目で本来は予備用、使用パイプはカイセイ4130Rです。これは特段軽量はありませんでしたが以前よりイリベ製グランボアでは標準パイプとして使用していて、十分な剛性があり乗り味が素晴らしいと評価を得ていたパイプです。クラウンは新たに3mm厚で製作したグランボアの二枚肩クラウンです。それが出来上がったのが5月の中旬でした。そして本番用と製作した5本目のフレームではクラウンの他、前後のフレームエンドも特別に4mm厚の物を用意し、さらにはヘッドチューブとBBの内部を0.5mm程削り込んで軽量化を図ったのです。でも出来上がったフレームを比較してみると4本目と5本目の重量の差は15g程しかなくフレームとしての出来を比較するとすっきり作れた4本目を本番フレームとすることにしたのです。そして5本目は予備車として現地で私自身が乗る自転車としました。グランボアの新たなフレームは今回のコンクールのハードなコースで充分な耐久テストがなされたと思います。そして何よりもその乗り味について試乗いただいた方からは好評価をいただいています。

個別パーツの軽量化については6月の半ばよりのコンクール参加の予告ブログで紹介させていただいておりますので割愛させていただきまますが、通常では為しえないハンドルやステム、キャリアの軽量化では(株)日東様の協力を得ることができました。また今回本番用に採用には至りませんでしたがパナレーサー(株)様に超軽量の36Bタイヤも試作で用意していただいておりました。これを採用していれば自転車本体重量は8kg台に乗せることもできたのです。ただブラックサイドのモデルしか用意できなかったこと、ダート走行には全く不向きであることを考え30周年記念モデルで作った赤の36Bエキストラレジェを使用することにしました。結果としては今回のハードなコースでは試作の超軽量タイヤを使っていたら早々にリタイアすることになったと思われます。この超軽量タイヤは現在テスト中です。また次回のエキストラレジェの生産時には新しいグランボアのタイヤとしてデビューの予定です。
超軽量36Bタイヤを装着したコンクールマシン。8.98kg

1946年のコンクールマシンの変速機の軽量化
今回のコンクールマシンで最も注目を浴びていたのは何といってもリアディレイラーの極限まで突き詰めた肉抜き加工でした。結果としてはそれがDNFの原因になってしまいましたが、コンクールはトライする行為にこそ値打ちがあると思います。メカの軽量化は私からの指示ではなくそれを担当した店長の自発的な行為でした。毎日70年前のコンクール優勝車を眺めて仕事をしているグランボアではそれは自然なことです。可能な限りの軽量化の努力をせずしてはるばるフランスまででかける価値があるでしょうか。結果にかかわらず、そこで得られたことは今後のグランボアの自転車づくりに大いに貢献してくれるでしょう。

破損対策でCNC加工プーリーに変更しました
グランボアのスタッフは日々お客様の注文からの課題に取り組み、その答えを求めて努力し、解決策を得ています。それが今回のコンクールマシンには充分に発揮されているものと思います。来年もまたコンクールが開催されるのであれば状況が許す限り再び参加したいと思います。それは一つの定められた状況の中でなしうることを各自の中で伸ばすことのできる大きなチャンスであると考えるからです。しかしそれ以上に私が思うのはこんなイベントをこの日本でも開催したいということなのです。日本にも多くの自転車ビルダーがいます。そしてメカニズムとしての自転車を愛好する人たちがたくさんいます。私はビルダーによるワークスチームに限らず、プライベートチームを含めて開催すれば、自転車づくりというハードを楽しむ人が参加できる新しいイベントになりうると思います。今回のコンクールへの参加により、こうしたイベントでの運営面での難しさを知ることができました。できればこの経験を生かして日本で自転車ツーリングを楽しむ新たなステージを用意できれば、もっと自転車の楽しみが広がるのではないかと夢想しています。
Ⅰ.概要
コンクール本戦第一日目、約200km地点にてリア変速機が破損し、修復不可能な状態となりました。パイロットチョコ君はチェーンを切断し、シングルギアにさせることによって残りの18kmの行程を走破しました。
本項では変速機が破損した要因について究明すると共に、私の見解を申し上げたいと思います。
Ⅱ.変速機のモデファイについて
変速機はマイクロシフトR47をベースに当店で加工を施したスペシャルモデルを使用しました。
加工点について説明します。まず可能な限り分解して、肉抜き箇所はケガキを入れてから穴を空けました。更にボデーを削り込んで全体的に丸みを帯びたフォルムへ成形しました。成形することによっては軽量化だけでなく他のパーツとの(雰囲気を合わせるという意味での)釣り合いを取りました。


ケーブルのアジャスターボルトはボデーのネジを切り直すことによってダイアコンペのアルミ製に変更し、ストッパーボルトはチタン製のキャップボルトに交換しました。
最も大きな改造箇所はピポットです。肉抜きによって露出したスプリングはエンドに空けた穴に直接掛けています。これによりスプリングのテンション調整金具を省略しました。往年の変速機であるカンパニョ―ロスポルトも同様の機構を設けており、ここからヒントを得ました。

プーリーは、オリジナルをベースに加工しました。まずコンクールのみの使用を前提としてブッシュを軽合金製に交換しました。更に両サイドのプレートを省略し、代わりに防水対策としてプラスティックのシールを装着しました。
以上がモデファイした内容です。これを踏まえて破損した変速機を分析したいと思います。
Ⅲ.所見

先ず、破損した時の変速機の状態を確認しましょう。肉抜きしたピポット部分は破断し、本体は後輪ガードステーに巻き込まれていました。この状態から肉抜きに伴うピポットの強度不足による破断が原因のように見受けられますが、プーリーケージ(以下ケージ)を観察しますとケージは左右に広がっていることが確認できます。

パイロットの証言によりますと、第五チェックポイント(190km地点)で下車した際にケージが広がりチェーンがテンションプーリーから脱線していたようです。その為この地点でチェーンを掛けなおし、ケージを補修しています。
つまりプーリーとケージに何らかの異変が起こっていることが考えられます。
Ⅳ.考察
そこで持ち帰った変速機を確認しますと、プーリーにガタツキが確認できました。(元来多少のガタはあるものですが、破損後は大きくなっていました。)
ではプーリーガタツキの原因について究明したいと思います。
持ち帰ったプーリーを分解してみるとブッシュには異常が認められませんでしたが、プーリーの内径が僅かに広がっていました。
チェーンは変速によってローギヤに入れた時、内側によじれると同時にプーリーはチェーンによって外側に引き寄せられます。特に可動範囲の大きい10S 以上の場合、チェーンのよじれは大きくなるでしょう。今回のコンクール1日目のようなロー側のギヤの使用頻度が高いコースの場合、傾いた状態で回転するプーリーへ甚大なストレスがかかったと想像できます。またプーリーを安定させる為のサイドプレートを省略したことは、ガタツキを助長させる一因となったと考えられます。
Ⅴ.結論
以上より考えられる変速機の破損の要因は、プーリーのガタツキによって脱線したチェーンが、プーリーとケージの間に詰まり変速機を後方に巻き上げ、その結果ピポットに大きな負荷が生じ破断したことであるでしょう。
多段化した今日の変速機事情において、当問題の主たる解決策はプーリーとケージにあると思われます。例えばベアリングプーリー等、性能を重視した部品の採用や或いはプーリー自体の構造の研究が必要でしょう。またケージについても適性の寸法や、強度についての吟味、脱線等のトラブルが起きた際の二次的なトラブルを引き起こさないような構造等、変速機計量化において模索すべき課題を残しました。
コンクールマシンへの参戦で実戦的な軽量車を製作することにあたり、ほぼすべての部品にトライアル的な試みを採り入れました。その中でランドナーに必要とされる強度とそのバランスについてより深く考えさせられると同時に、ランドナーの新たな可能性が見えてきたように思います。このコンクールでの挑戦で得ることができた様々な課題を今後の自転車製作に繋げられるよう一層努力したいと思います。
Ⅰ.概要
コンクールに参加するにあたって、グランボアでは極限への軽量化に挑戦しました。帰国後出走車を分解し、各部品の状態について調査しましたので、ここでコンクールによって生じた各部品への影響について報告したいと思います。
Ⅱ.異常が生じた部品

表はコンクール出走後の各部品の状態についてまとめたものです。破損した変速機に関しましては、別項にて改めて考察を深めるものとして、その他の部品について報告いたします。
変速機以外では、カセットのセカンドギアに一ヶ所の欠けが発見されました。これはダート走行時での小石等の巻き込みが起因していると考えられます。
マッドガードにつきまして、今回試みました潰し加工によるステーのエンド固定方法には問題はありませんでしたが、ブリッチへの取付金具の固定ボルトが僅かに緩んでいました。
使用ボルトはチタン製M5の皿ネジで、緩み対策として菊座ワッシャーを挟みました。特に振動を受けやすいマッドガード周辺はボルトの選択を含めて緩み止め剤の塗布等、更なる対応が必要であります。
ホイールについては変速機破損時の巻き込みで後輪に多少の振れが生じましたが、その他でのダメージは無く問題はなかったと考えています。
また軽量タイヤ(リエール650×36B EL)と軽量チューブ(レール650×32-42AB)を採用しましたが、パンクは夜間走行での一回のみでした。つまりこのタイヤの組み合わせでは、ライン取り次第でパンクのリスクを減らせることが実証されました。
Ⅲ.グランボアパーツについて
既存のグランボアパーツを加工したものの一つにブレーキがあります。
ギロチン金具とシューを軽量化したシュエットモダンは、マハックブレーキレバーと共に過酷な状況下での使用に耐え抜群の制動力を発揮しました。
また唯一軽量化を無視して製作したスペシャルラージハブも自転車全体のバランスを確保しつつスムースな回転を得ました。カセットハブ仕様のスペシャルラージハブは、今回の研究によって製作技術が確立されましたので、グランボア製品の新たなラインナップに追加されました!注文製作にて受注を承っております。
コンクールの為に特別に製作されたキャリアやハンドル、ステムについても全く問題はありませんでした。
Ⅳ.新たに採用した部品について
フロントシングル構想によってTA CARMINAとチタンシャフトBBが採用されました。組み立て時はチタンBB が従来のスクエアシャフトであることから、チョコ君は剛性に不安があったようですが彼の脚力をもって使用しても問題はありませんでした。 葉っぱのチェーンリングも大好評でしたよ。
べロジカルダイナモと砲弾ライトは出国前に何度か試験走行はしたものの、途中で切れてしまわないか心配していました。幸いトラブルはありませんでしたが暗闇のダート道ではやや光量不足だったようです。最近は大変性能の良いランプが多く登場してますが、軽量でランドナーに似合うものが少なく悩まされた部品の一つでした。
使い慣れたはずの既存の部品であっても改めて吟味することで新しい発見があり、それぞれの部品の特性について考えさせられました。今回異常が生じた部品だけでなく、異常が無かった部品についても更なる研究が必要だと痛感しました。
最終日はレースではありません。
親睦を兼ねたサイクリングを参加者とそのメンバーで楽しみました。

金曜日の晩からグランボアのチームに合流していろいろ手伝ってくれたジャンフィリップ。
Thank you, Jean Phillipe!
フランス在住のSさん。一度お店に来てくださったことがあるとのことでグランボアがコンクールに出るのであればと、地元で懇意にされているショップさんの応援も兼ねてアンベールまでいらしてました。色々教えてくださってありがとうございました。
こちらはスウェーデンから参加のアンダース。グランボアとは実は長いお付き合いです。
若い方たちが多かったです。


途中のカフェで一休み。

カフェの中では今回の反省点と今後について話し合いがもたれていました。これだけのイベントの準備は大変だったでしょうね。また、きちんと運営し、続けていくことも大変です。それはもちろん運営側だけでなく、参加者側も。ですので2年に1度という案が出ていた事はとても理解できます。
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さて、本部近くのイベント会場は。。

土曜日曜と来場者のためにコンクール出場車の展示ブースが設けられました(青いテント)。また、様々な物産品などのスタンドのほか自転車関係のスタンドも立ち並び賑やかです。
グランボアのスタンド。
フランスでの取引先にお手伝いいただきました。
奥には元気に接客してくださってるUさんも写ってます。スタンドではコンクールの予備車とUさんのグランボア、それに大介のER700、私のeTapデモンターブルを展示。eTapデモンタは特に注目を集めていました。
eTapデモンターブルの実演に人だかり。eTapは5m離れていても電波が届く!
こちらはオリビエの奥様のカトリーヌですね。後ろにはオリビエも見えます。
Thank you for your help, Catherine and Olivier!
急遽、出発前にお願いした縁さんのキャップも好評でした。

Merci! INCREVABLE!

珍しくはしゃいでる親方に巻き込まれたチョコ。
チョコはAlex SiNGERの店主、オリビエから労いのプレゼントをいただき大感激。Arigato!
こちらはコンクールマシンコーナー。


投票箱。イベントへの一般参加の方と今回参加したチームに投票権があります。
夕方からは表彰式にと会場に呼ばれました。

生演奏つきで賑やかです。
総合の表彰式。
1位 PECHTREGON
2位 JP Weigle
3位 Cyfac
こちらはグランボアが頂いたBelle Finitionの表彰式。

おまけに地元の新聞にも紹介していただきました。
後から送られてきた成績表はこちら。

審査員 6位
プレゼン 12位
重量 1位
一般参加者の投票 8位 (228人中28票入っていました。1位に選んでくれた方が11人。)
ビルダーの投票 10位 (3位の1票は親方が間違えて書いてしまったものです。ですので1票のみ。誰か1位に選んでくれていますね。嬉しい。)
技術 3位
レース1日目 7位
レース2日目 棄権
総合順位 なし
参加者の中で一番軽く仕上げたのは我がチームだったのですが、レースが完走できず総合順位から外れてしまいました。そんな中、Belle Finitionは嬉しい賞でした。一番軽くて美しい自転車。光栄です。
4日間のイベントの流れとしてはこんな感じでした。
コンクールについては後は店長と親方からの報告もある予定。それらはまた後日。
まだまだ続く~。
****ここからは翌日のお話****
アンベール最後の日、やっと私たちもサイクリングを楽しむことができました。お天気も文句なしの晴れ。ご褒美を頂いたかのような一日でした。
大介店長が履いているのがCCPの ハーフパンツ。よく似合ってますよね。これからの暑い夏のツーリングにお勧めですよ。

この日のベール峠からの稜線はすっきりとクリアです。中央に見えるのがあの日チョコの行く手を阻んだ軍用無線基地。
峠に着いたのはちょうどお昼。前の日にチョコが暖をとった峠の茶屋を当てにしていたのですがこの日は閉まっていました。というわけで、皆お腹も空いてましたので早々に峠を後にし、麓の町のレストランへ。
チョコ君、リベンジはまた今度ね。
****入荷のお知らせ****
イタリアンフェンダーのモダンバージョンのご用意が整いました。大変お待たせしました。こちらのステーもアイズの工房内で曲げてるんですよ。
あと、そのヴィンテージバージョンを装着した親方秘蔵のフレームが蘇りましたよ。カンビオコルサ仕様のマラストーニ、サイズが合う方は是非ご検討ください。






