アイズの独り言>

急に寒くなり、山々も色づき始めた京都。サイクリングには良い季節になりました。

 

ですが、今週末は朝サイお休みです。スミマセン。
その代わり宝ヶ池自動車教習場で開催されるサイクルフェスタに初出店の予定です。物販もありますが、試乗メインのイベントでグランボアでも今年のカタログに掲載しているなっぱのピスタッシュ号大介店長のフレンチグリーンER700など試乗車としてお持ちします!ランドナー、特にグランボアの乗り味を多くの方に体感いただければと思っています。

試乗をご希望の方は事前の申し込みが必要で、イベントホームページを見ると既に完売の様子。。。ですが、各ブースで登録無で乗れるモデルの用意もあるようなので、是非遊びに来ていただければと思います。

 

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ご来場お待ちしています。

つちやはるみ

先日の週末に千葉の幕張メッセで開催されたサイクルモードのヴィンテージバイクコーナーに出展させていただきました。
連絡をいただいたのが開催のほぼ1か月前。初めての企画なうえ、急なお誘いで少々あたふたしましたが、沢山の方々にグランボアのお仕事を見ていただくことができて良かったです。かつての華やかな展示会とは少し違ってきているサイクルモードではありますが、やはり自転車好きばかりが集まる国内最大のイベントです。アイズラリーの翌日に新幹線で会場入りするという私たちにとっては過密スケジュールでしたが、参加させていいただいて本当によかった。ブログの予告をご覧になってわざわざ足を運んでくださった皆様、この企画を実現してくださった主催者の皆様、ありがとうございました。

 

会場西側一番奥が私たちのブース。

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アイズラリーを欠席してサイクルモード前日から自転車の搬入設営を担当してくれた大介店長となっぱと拓未くん。親方が同行できないうえ、高価な商品ばかりで大変な緊張だったと思います。でも、しっかりとやり遂げてくれましたよ!大任を終えた店長となっぱは早々に京都へ。今度は親方不在のアイズバイシクルを切り盛りしてもらいます。

 

1日目と2日目前半は拓未くんと。

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2日目、3日目は新幹線で会場入りしたチョコくんとブース内で接客にあたります。こうしてスタッフ全員がサイクルモードを経験し、京都のお店もお休みすることなく運営することができました。

 

さて、ブースを訪ねてくださった方々を少しご紹介しますと。。

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なんと、日本人のツール初出場を果たした今中大介さん!

目を上げるとケースの前にいらっしゃってびっくりしました。ガラスケースの中のタケノコ式の変速機が懐かしいとのことで更にびっくり。お父様の自転車に使われていたのを覚えているとのことでした。今中さんがご活躍のころは私たちもツールやジロの中継を熱心に見ていた時期で、フランスで生で応援したこともあります。ブースまで来てくださって嬉しかったです。

 

こちらは今も現役の大先輩の方々。

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ベレーがおしゃれな長谷川さんは東京で2番目に古いスポーツ自転車店、長谷川自転車商会のご主人です。(1番古いのは横尾双輪館さんだそう。長谷川さん談) 80歳を超えて今なお、サイクルモード会場をくまなく見て回り、カタログを集めて回っておられました。カタログって重いんですよ。。すごいです。

手前のサイクルキャップのご主人は愛知の老舗名店、カトーサイクルの加藤さん。こちらは出展者として参加されていました。近日ヴィンテージをメインにしたカトーサイクル2号店、「プラス+」をオープンされるとのこと。すごいです。。

 

こちらはケルビムの今野さん。

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同業の方に褒めていただくのはことさら嬉しいんですよね。。ありがとうございます。

 

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そして、今回、ヴィンテージバイクエリアでご一緒した方々。

おかげさまで居心地の良い空間でした。ありがとうございました。

 

 

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そして、持って行った完成車たちは。。。

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丸ごと全部アイズバイシクルに戻ってきています。

部品は結構ご購入いただけましたが、さすがに完成車は即決とはいきませんでした。ですので、そのうちショッピングサイトにも掲載していきますね。良いものばかりです。ぜひご検討くださいませ。

 

 

つちやはるみ

MARASTONI(マラストーニ)というブランドのイタリアンレーサーをご存じでしょうか。

70年代当時のイタリアで新進気鋭のロッシンの上を行くといわれた工房で、日本には好事家の手によつて10数台が持ち込まれたに過ぎなかった幻の名車です。今回出品車のなかで一番手間がかかり、また最新のレストア用ニューアイテムを組み込んだ一台となりました。

 

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【MARASTONI RoadRacer /Creative Restoration】

今から14、5年ほど前、イタリアでマラストーニの自転車を捜す旅をしたことがありました。

ミラノでレンタカーを借りてベルガモ・パドヴァ・ボローニャといった街を巡って旧い自転車を捜しながらの旅でした。そしてようやく探し当てたマラストーニはレッジオ・エミーリアという町にあったものの、すでに店は閉店していて、そのブランドを引き継いだ人物が郊外の工場で自転車づくりを続けていました。話を聞くと、まだマラストーニの自転車は製作することが可能だとのこと、ただラグ類は残っているものの、もはやイタリアでは材料となるチューブが手に入らないとのことでした。私は新しいフレームのオーダーのために日本からチューブを持ち込むことを約束しつつ、とりあえずその場で旧いマラストーニのフレームが残っていないかを訊ました。そして彼が持ち出してきたのが1本の旧いマラストーニのフレームだったのです。

 

 

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残念なことにフレームは事故で曲がっていましたが、まだ修理すれば使えそうな程度でした。早速その場で修理の上、再塗装して日本に送って欲しいと依頼し、帰国しました。半年ほどして送られてきたそのフレームは真新しいデカールとバッヂで飾られたものの、新しい青い塗装は厚ぼったく塗られ、イメージの中のイタリア車独特のシャープさが無くなってしまっていたのです。またフレームの修理も充分とは云いがたく、再度国内のビルダーさんに依頼して修理を行いました。そうしてボチボチパーツを集めてそのうちに組み上げようとして10年以上の年月が経ってしまいました。

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チネリスーパーコルサと同形のシートラグはこのフレームの最大の特徴で、この形を活かしたレストアを施すことを考えていました。そこでスーパーコルサ同様のメッキ出しに変更することをまず考えたのです。

 

問題は塗色でした。如何にこのフレームに似合う色を選ぶかはずっと考え続けたことでした。ある日イタリアのオークションサイトを見ていて一台のマラストーニのフレームが売りに出ているのを見かけたのです。

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それが今回の塗色の白に赤の胴抜きという、まるで日本のために作られたかのようなフレームカラーだったのです。(画像/イタリアオークションサイトより)

 

 

 

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レストア後。

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デカールについても今はあちこちで入手できるようになり、アメリカやイタリアでもリクエストに応えて製作してくれるところがあります。日本でも細かな注文にこたえて製作していただくことができ、今回はそうしたあちこちのデカールを組み合わせて活用しています。

 

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そうして塗り上がったのが今回のマラストーニ・ジャポネーゼです。1964年の東京オリンピックように作られたというチネリのイメージをそのまま写し取ったような姿になりました。

 

 

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そこにタイミングよく出来上がってきたのが、当店が5年越しで取り組んできたチネリのマッドガードの復刻版です。

60年代以前はイタリアのロードにも練習時のために泥除けを取り付けるのは普通の事でした。東京オリンピック当時輸入されたチネリにはマッドガードがついていたそうです。それを復刻するべく粘りづよくホンジョさんにお願いしてきたのでした。それがこの夏ようやく形になったのです。急遽チネリの泥除けステーを模したステーを用意して組み付けたのでした。

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おそらく今年一番の出来栄えとなったこのマラストーニは、是非ご来場していただいてその目で確認していただければと思います。

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親方

今日はプジョーとビアンキ、2台のレストア車をご紹介します。どちらも今でもよく耳にする名前ですが、さてどんな自転車なのでしょうか。
 
 
 
【Peugot roadracer 550mm 1960s】
1962年製のプジョーPX10。この自転車はサンプレ初のパンタ式変速機「エキスポール61」が組みこまれた当時の最高級モデルです。
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時が経つうちに、ちぐはぐになってしまった他のパーツを、エキスポール61にふさわしいパーツで再構成しました。





ストロングライト57のチェンホィールとLJ23のフロントメカはオリジナルのまま。
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ハブは初期ノルマンディのルックスコンペティション注口付きに。
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サドルはイデアル52プロフェショナルへ。
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また、フレームはフルタッチアップで塗装面をきれいに仕上げ直しました。
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再塗装としなかったのは、当時のままのオリジナルデカール(フレームに貼られたロゴ等のシール)がきれいな状態で残っていたので、それをそのまま活かしたかったからです。塗装をやり直すには、デカールを全部はがしてしまわないといけません。可能なかぎりオリジナルの状態を活かしてレストアした一台です。
 
 
 
 
【Bianchi Promenade】
フレームとヘッド小物が一体になった特徴的なこの造りから、これがビアンキのルパルトコルサで作ったものだとピンとくる方もいらっしゃるかもしれません。
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コルサというのは競技という意味。この自転車はもともとビアンキのロードレーサーでした。
イタリアでは、競技の世界から引退した選手たちが、選手時代の自分の愛車を街乗り仕様に組み換えて乗るということがよくあったそうです。今回はそれにならって、散歩が楽しくなりそうな自転車に組み直しました。





フラットハンドルにチェンケース。
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とくに面白いのがここです!
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シートステーに沿って伸びる2本の棒。これは、カンパ初期の変速機です。今回は、街乗り仕様なのでカンビオスポルトという棒が長いタイプの変速機を装着しました。最も一般的だった棒式変速機カンビオコルサと比べて棒の長さが長いので、上体をあまりかがめずに変速できます。これを街で操作しながら走っていたら自転車に乗っている本人はもちろん、偶然見かけた人もなんだか楽しい気分になりそうですね。
 
 
こんなところにも、親方や店長はおもしろがっていました。
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「カンビオコルサ用のエンドに外装の変速機のためのブラケットが後付けされてるなんて、前の持ち主が棒式変速機をはずしてカンパのグランスポルトなんかを組み付けていたんじゃないかな。」と親方。そんなふうに想像しながら自転車を見るとおもしろいですね。
 
 
 
 
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じつは、この2台の自転車には、レストアのための最新パーツが使われています。それがこのブレーキアウターです。
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日泉ケーブルさんと開発したこのブレーキアウターは見た目だけではもちろんありません。ライナー入りブレーキアウターなので、ブレーキの引きがぐんと軽いんですよ。
 
 
オリジナルを大切に考えレストアをするためにどうしても必要だったこのパーツ。それまでは国外でデットストックが出た際に買いためておかないといけませんでした。時間を経て、ちぐはぐな状態でアイズの工房へやってくる自転車たちを、可能なかぎりオリジナルに復元しようとするレストアの視点に立つと、こういう小さなところへの配慮が欠かせないのだなぁと感じます。
 
 
プジョーとビアンキ、完成車になった姿はぜひサイクルモードでご覧ください!

なっぱ (2021年退職)

開催まであと1週間を切りました!
どんなふうに展示する?ハイエース一台に収まるの!?とバタバタしながらも全員でサイクルモードに向けて準備に取り組んでいます。
この週末、アイズバイシクルは通常営業です。来週の土日はサイクルモードで親方不在。また、11月3日の祝日はアイズラリーでお店はお休みとなります。ですので、親方へのご相談ごとなどある方はぜひ”今日”お越しくださいね。

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今日はこちらの自転車の紹介です。

【Goeland Randonneur 650B 1962】
かつてパリ2区に工房を構えていたGoeland(ゴエラン)、今はもう、その工房もありません。
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アイズの工房へやってきたときはこんな状態でした。
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一見すると完成された自転車のように見えます。ですが、通常車体に入る工房のロゴが見当たりません。。普通でしたら一体どこの工房の自転車か判りません。

クランクとヘッドパーツには珍しいTAクリテリウムがついています。
1962年ごろ発売され、かつ発売期間の短かった当時最先端最高級の部品です。

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オリジナルと思われる個々のパーツ構成、工房の特徴を色濃く残すフレームの造り、完成車としてのまとめ方。

そういった細かな、だけど雄弁なその自転車本体から得られる情報から、親方はこの名前をなくした自転車がゴエランのものだと鑑定し、おおよその年式も特定します。今までにレストアして蓄積してきた知識や経験、資料がそれを可能にしているのです。

 

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これは、親方が見せてくれたゴエランのカタログです。

おそらくこの自転車の部品構成からこの自転車の製作年は1960年代初頭あたりで、その後再塗装され、リアキャリアも後から取付けたのでしょう、と話をしてもらいました。

 

こうして自分の手元に来るまでに、この自転車の持ち主がどんなふうに乗っていたのかを想像すると、ぐんと自転車の背景に奥行きが広がります。これがヴィンテージ自転車の楽しみのひとつなんですね。
さて、この自転車がどのようにレストアされたかというと、、、





当時の資料や、年式の合うオリジナル塗装を残した別のゴエランのフレームから手書きのダウンチューブのロゴマークを再現しました。
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後付けされていたリアキャリアもまた当時の資料を基にアイズの工房で一から製作。
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また、フロントバック用のバックサポーターはステム側金具のみがオリジナルのまま残っていました。ですので、欠品していたバック側金具ももちろんそれに合わせて再現しています。

 
あと、 この自転車は当時のままに戻すだけではなく、新しいオーナーの使い方に合わせて仕様変更したところもございます。

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新しいオーナーのコンセプトは「ヴィンテージパーツで作る長距離快走ランドナー」。

ゴエランでは標準仕様としてスティラップ付でマハックのブレーキが使われていましたが、直付け仕様にフレームを加工することで、実走指向の強い個性的な一台となっています。

 

そうそう。このゴエランというのはフランス語で「カモメ」という意味だそうです。自転車にも愛嬌のあるカモメが付いていますよ。ぜひ見にきてくださいね!

なっぱ (2021年退職)

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