アイズの独り言

自転車の部品の中でカセットやチェーンは重い部品の代表ですが、今回、親方が選んだカセットは台湾メーカーのRECON(レーコン)

「ワンピース アロイ カセットスプロケット」という長い名前のこのカセット、名前がすべてを表すとおりトップ以外の本体がアルミの一体成型となっていて剛性がある上に軽いという今回の目的にピッタリな製品なのです。

裏から見ると良く分かりますね。

東京のライトサイクルさんとお取引があるとの事で浅草の展示会でご一緒したときに今回必要な歯数のものを取り寄せていただきました。表面はゴールドの窒化チタンでコーティングされていて見た目もゴージャス! これまた人目を集めそうです。

 

で、肝心の重さは、

184グラム!

昔ながらのフリーだと500グラム近くあるのもざらではないでしょうか。。。

 

ちなみに親方が使っている同じ歯数のシマノの物は。。

330.5グラム。倍近い重さですね。

 

 

では、シマノのチェーン。

 

 

今回選んだチェーン。

 

少し軽いです。アイズでは自転車の変速性能は変速機本体よりもチェーンが重要だと考えています。カセットとチェーンの相性は特に重要ですので今回はカセットに合わせて台湾メーカーのチェーンを選びました。それに色味も合いますね。これが全体の中でいい味出してるんですよ。

 

 

 

*****

さて、ご予約注文をお受けしてましたルイゾンボベ×グランボアジャージの締切日が近づいて参りました。大変たくさんの方にご注文いただきましたのでXLは完売となっていますが、後のサイズは未だ少し在庫がございます。30周年記念の30%オフもこの期間のみです。よろしくお願いします!

だけど、まだ出来上がってこないんですよね。。。間に合うのかな。。

つちやはるみ


アイズでは標準仕様の変速機、マイクロシフトのR47。シルバーで10段までカバーできる数少ない変速機のひとつです。

227グラム。

この変速機を今回のコンクールでも使うこととなったのですが、ちょっと重いですね。。。軽さも重要なポイントとなりますので軽量加工が必要です。

 

 

 

先日、少し加工途中の写真をお見せしましたが、

大介店長がカシメを外してバラバラにし、各パートに強度ギリギリと思われるところまで穴を開けたり、細く削ったりしていきます。もちろん、大介店長ともなると親方から「これ、削ろか。」と言われれば、独自で作業始めます。そして、加工しては親方と週末に来てくださる昔からのアイズの技術顧問のTさんと「次はここ、ここもいらんで。」「ここはもっと削ってええで。」などと話し合い慎重に作業を進めていきます。また、時には「大介、こんなとこまでバラシたんか。」ということもしばしば。もう、店長もアイズで仕事をするようになって10年。頼りになります。

 

それに、もちろん親方仕込みの美意識が雑な仕事はさせませんよ。

元々こんな風に作られていたかのような美しい仕上がりです。

 

そして、肝心の重さは。。。

155グラム。

カーボン製のカンパのスーパーレコードが166グラム、レコードが170グラム、コーラスで183グラム。シマノのデュラエースが158グラム、アルテグラは196グラム。

 

 

グッジョブでしょ。

つちやはるみ


今回、コンクールに向けてアイズの工房で製作したハブはこちら。


グランボアのスペシャルラージフランジハブ、カセット仕様です!

・・・?

フランジが大きい分、重くなるのではないかという疑問が湧いてきたので親方に尋ねてみました。すると、コンクールのルールのなかにこんな項目があるんだ、とのこと。

 
・パーツ100gの軽量化につき20ポイント加点
・ハンドメイドパーツは50ポイント加点、モディファイには20ポイント加点

 
つまり、パーツを軽量化したり新しく作りだしていくための技術力に対して、これらのポイントが与えられます。ハブは、この技術点で勝負しようという作戦を立てました。今までのアイズの工房の設備では、スペシャルラージフランジハブは36Hしか作ることができませんでした。それを今回のコンクールに向けて、32Hの、しかもカセット仕様とすることに力を注ぎました。

 

 

ハブの製作にあたったのはたくみ君です。

すでに何セットものビンテージ特製ラージハブを作ってきた彼も32Hのラージハブは初めてでした。元ネタになるグランボアのラージハブを加工することから始めます。


先日の生爪はこのために使ったのです。旋盤加工でフランジを削り落としてしまうのですが、フランジを削る途中で生爪がないと削ることができなくなってしまうのだそうです。

 

 

そうしてグランボアのラージハブを加工したものにジュラルミンの板に孔を空けたフランジをリベットで取り付けています。

 

 

 

じつは、このラージフランジハブは20年ほど前にフランスの老舗自転車店Alex SiNGERの当時の当主エルネストさんから作り方を教わったそうです。当時、お客様のぶんも含めた複数台の自転車をオーダーにフランスへ渡った親方に、「このハブは一つ作るのに8時間もかかるんだ。自分で作れ」とその場で図面を引いた紙を渡してくれたのだとか。その貴重な指示書は今もアイズの工房で大切に使われています。だけど、エルネストさんも最新のカセットハブでもこの指示書が使われているなんてビックリされるでしょうね。

今回のコンクールに搭載するハブは、エルネストさんが伝えてくれたスペシャルラージフランジハブをカセット仕様でも使えるようにしたものです。そのお披露目の舞台がフランスなのですから、なんだか不思議ですね。

 

 

歯数が大きくて金色の派手なカセットが付いたコンクール用のランドナー。その派手さに負けない存在感のあるハブが出来上がりました。

 

なっぱ (2021年退職)


先日の記事でたくさんの方からエールをいただきました。皆様ありがとうございます!また、グランボアの新しいオリジナルパーツ、葉っぱモチーフのチェンリングについても反響をいただきました。チェンリングは自転車の顔になる大事な部分。多くの方に関心を持っていただき、とても嬉しいです。

 

グランボアでオリジナルのチェンリングを作りたいという思いは、長い間ずっと温めてきたことでした。デザインを担当するのははるみさんです。グランボアのオリジナルパーツのほとんどは、杉・ブナ・鹿・フクロウなど自然のものの名前をフランス語で付けています。今回もグランボアらしいモチーフをと考え、木や花など自然のものからデザインを起こそうと考えていたところ、「一定の方向に回転する」というチェンリング特有の動き方に合うのでは!とひらめいたモチーフが葉っぱだったそうです。

風にのって揺れたり、飛んでいったりする葉っぱ。いつも遊んでいるみたいに見えますもんね。(イラストは3アーム用にと意識して書いたもので、大小の葉っぱ6枚で構成されています。)

はるみさんが起こしたデザインを専門家の方にお願いして型を抜いてもらいました。出来上がってきたものを見たときは、こんなチェンリング見たことない!とスタッフ全員でびっくりしました。

 

なぜなら・・・

・・・・・!!!


葉っぱがレリーフ(浮き彫り)になっていたからです・・・・!!!

 
これは、専門家の方が、平面だと網目のように見えてしまうので、こんなふうに立体にしてはどうでしょうか?と提案してくださったとのことです。素晴らしいアイデアを本当にありがとうございます!本当に惚れ惚れするチェンリングです。。

 

 

 

***

さて、コンクールに向けて自転車の構想を練っていた親方は当初からフロントシングルで自転車を作っていくという考えがありました。フロントシングルというとツーリングの世界では少し驚かれますが、親方は40年前(!)からすでに自分の自転車にフロントシングルを採用していて、実際にあちこちツーリングに出られていたそうです。そうした経験から、峠越えやダウンヒルを含むコンクールのレースを走るのにもフロントシングルというスペックで臨むことに決めました。

 

 

グランボアのTypeER、650B仕様の平均的な重さはおよそ11kg前後です。車体重量9kgを目指すには2kgの軽量化が必要です。これを実現するためには、あらゆるパーツでg単位での軽量化を追求していかねばなりません。ランドナーのチェンホィールは5vis仕様が一般的です。フロントシングルとしたことで、この5visを使わずに、クランクも根元の裏側をロックリングで留めるだけで固定ができるものを選びました。

ダイレクトマウントというこの方法は、現在フロントシングルが主流のMTB用のクランクではすでに一般的に使われているそうです。

 

 

また、BBもチタン製のものを取り寄せて搭載しました。

 
自転車の組立は大介店長が行います。パッと見た目には分かりませんが、BBのワンを削っています。このように、組立をしながらその都度いかに軽量化できるかを考え、実践しながら仕上げていきます。

左がもともとのワン、右が削って高さが低くなったワンです。いつも使っている鉄製のBBは234gなので、これで84gの軽量化です。

 

また、クランクボルトは25年前のMTB用クランクに付属していたチタン製ボルトを使うことで軽量化を図っています。このように、何グラムという単位の小さな軽量化ですが、一つ一つパーツを吟味して選び、その上でさらに耐久性とのバランスを保ちながら軽量化を図るにはどうすればよいかを親方と店長が研究し、車体全体で9キロを目指していきます。

 

 

ちなみに・・・
コンクールのための自転車にこの葉っぱのチェンリングを搭載するにあたり、デザイン段階ではクランクを何にするかということが全く決まっていませんでした。今回コンクールではロックリング仕様のクランクと組み合わせて使いますが、一般的な5vis仕様で使えるように、葉っぱのデザインを邪魔しない場所にピンの位置を確保することができるんですよ。

自転車に組んだときのさりげない華やかさが絶妙なんです。はやく皆様に全体像をお見せしたいです!

なっぱ (2021年退職)


いよいよConcours de Machines(コンクールマシン)まで14日となりました。「今年の夏はコンクールに出るぞ、フランスに行くぞ」と親方が私たちに告げたのはちょうど春ごろだったと思います。フランスに行く?世界の舞台でグランボアの自転車を競わせる?なんだかよく分からなくて、その話を聞いたときにはまだ夢見心地でした。
 
 
 
以前にも少しご紹介しましたが、グランボアはこの夏、フランスはクレモンフェラン近郊の街アンベールで開催されるコンクールマシンという自転車のレースに出場します!

2016年が第一回目のこのレースは、まだ始まったばかりの新しい大会です。そこにはフランスをはじめ世界各国の自転車ビルダーが集まり、6月30日~7月2日の3日間にわたり、合計400kmをひとりのライダーと一台の自転車で走り切ります。400kmの行程には舗装路やダート、峠道も含まれたヴァリエーションに富んだコースとなります。そして、レースの3日間が終わったときに最も優秀だった自転車が賞されます。そう、このレースの本質は、自転車そのものの性能を競い合うことなのです。

現在、スポーツ自転車のレースというのは乗り手が競い合って勝敗が決まるレースを差します。もちろん勝てば表彰されるのは選手ですので、いかに強い選手を育てるかというところに一番力が注がれています。一方、コンクールマシンで競われるのは自転車そのものの性能です。いかに軽量で、なおかつ3日間のハードなレースを走りきることができる耐久力のある自転車を作れるかということが、このレースで競われるポイントです。
 
 
「かつてのサンジェやエルスがそうだったように、世界のビルダーたちと競い合いながら、ありとあらゆる工夫を凝らして自転車を作っていくことが今後の自転車業界全体の技術の向上につながっていくだろう」と親方は話してくれました。そしてこれが、グランボアがこのレースに挑戦する目的です。
 
 

サンジェ本の表紙にもなっている、1947年のコンクールマシン優勝車。実は、かつて自転車の性能を競うコンクールがフランスで開催されたことがありました。それは、第二次世界大戦を挟んで開催され、たった5回で終わってしまったそうですが、今なおハンドメイド自転車の最高峰とされるサンジェやエルスもしのぎを削り、フランスの自転車産業における技術の革新をもたらした伝説のコンクールだったそうです。当時のコンクールで優勝した自転車をよく研究すると随所に軽量化のヒントが隠されていて、そこからアイデアを思いつくことがあると店長が話していました。
 
 
*****
 
 
2017年のコンクールは6月29日から始まります。レースを前日に控えたこの日は各チームがそれぞれ自転車のプレゼンをします。審査員のほかに参加者とオーディエンスもこのプレゼンの聴衆となります。そして翌日6月30日から3日間のレースが始まります。採点はポイント制で、レースが終わった時点で、自転車の車体重量+レースでの平均速度+レース中のマシントラブル+審判・参加者・オーディエンスによる投票の総合得点でポイントが加点・減点され、その年のコンクール優勝車が決まります。

具体的には、

①自転車の車体重量・・・10.5kgを基準とし、それより重いか・軽いか。
②レースでの平均速度・・・レースでの平均時速を22.5kmとし、それより速いか・遅いか。
④レース中のマシントラブル・・・マシントラブルが起こると減点。
③審判・参加者・オーディエンスの投票・・・プレゼンとレースを総合判断し、優れた自転車へ投票。

という点が評価の基準となり、最終的に最も高いポイントを持っている自転車が優勝となります。
 
 
ほかにも、コンクールにはいくつかの規定があります。たとえば、①で述べた車体重量とは電装・キャリア・泥除け・バック・中身の荷物も含めた総重量のことを指します。また、レース開催中の3日間、自転車のメンテナンスはライダー本人がしなければならならず、故障によるメカの交換はできないというルールがあります。

そのため、軽量化と耐久性のバランスをいかにとっていくかということが、コンクールで良い結果を出すために必要な鍵になります。軽量化していくことの基本は、いらないものを削り、いるものを最小限だけ残すということですが、この「いるものの最小限」を見極めていくことができないと、耐久性のない自転車になってしまい3日間のレースを世界と競い合いながら走りきることは困難です。また、自転車そのものの軽量化を考えるとともに、バックのみならず携行する荷物の最低限もよく考えて準備をする必要があります。オーダーメイドで軽いバックを作ってもらったり、軽量工具を作ってもらったりと、お店を越えて様々な方に協力していただきながら準備を進めています。

 

 

コンクールまであと14日。アイズの工房では通常業務と平行してコンクールのための自転車作りも大詰めを迎えようとしています。去年の優勝車の車体重量は9.3kg。グランボアは9kgに目標を定めて自転車を作ってます。そして昨日、コンクールの予備車となる親方フレーム3号車が完成しました!!!

しかも、グランボアの新しいオリジナルパーツ、葉っぱモチーフのチェンリングも搭載しているんです!

 

 

こちらの予備車でまずはテスト走行を繰り返し、ブラッシュアップしながら本戦用の自転車を作っていく予定です。

軽さ、耐久性、そしてグランボアがずっと大事にしてきた自転車の美しさ、すべてを兼ね備えた自転車を作って本戦に臨みたいと思います。これからコンクールまでの間、少しづつ自転車の詳細をご紹介していきますね。チームグランボアの挑戦、応援よろしくお願いします!

なっぱ (2021年退職)


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