留萌から宗谷 ~利尻島~
礼文島から利尻島まではフェリーで50分ほどです。
2等自由乗船券1,030円 自転車920円(輪行時は無料)
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9月13日 利尻島
午後2時前に鴛泊港に到着。
当初の予定では沓形港に着いてからまずは宿にチェックインし、それからサイクリングロードを適当に走って往復する予定でした。でも、お天気も下り坂でしたし、風も強かったので結果的にはこれが正解でした。利尻島のサイクリングロードは想像以上に素晴らしく、宿のある沓形まで走行距離は20km足らずでしたが余裕をもって楽しめました。
この日に走った道はほとんどが島の北側のサイクリングロードです。地図は「りしぷら」の地図が分かりやすいと思います。リンクを開いていただくと他にもサイクリストの力量に応じて3種類のコースを紹介されていますよ。「りしぷら」は利尻島の観光ポータルサイトとして利尻の魅力を細かく紹介しています。利尻富士町ホームページの案内も親切です。
利尻北麓野営場へと向かう道の利尻山神社の前あたりからサイクリングロードに入れました。これがとても素晴らしい道でしたよ。なんか、ある意味、サロベツよりも野性味があって感動しました。それに、何より歩行者と自転車のためだけにこの道があるなんてすごいですよね。
映画のロケ地にもなっています。
サイクリングロードは完全に車が入れないようにしてあります。ところどころ寸断されて道道105を横断しなければならないところや交差路がありますが注意喚起がしっかりされています。
夕暮前にお宿にチェックインして間もなく雨が降り出しました。
だんだん風も強くなって翌日の稚内行きも心配になってきました。でも、旅はあと2日。万が一、船が欠航してここに足止めされたとしても、もう、何とかなるスケジュールです。お風呂に入って、コインランドリーで洗濯して、夕飯いただいて、お風呂に入って、「そろそろ帰るんだなぁ。」とか思いながら窓の外の風の音を聞きながら寝たのでした。
この日のお宿は沓形のホテル利尻。
礼文・利尻で唯一の源泉かけ流し温泉とのことでとても良いお湯。でもね、褐色のお湯は湯船の底を隠すほどで、中に段差が2ヵ所あるのに気づかず踵をすりむいてしまいました。。足元要注意ですよ~。売店ではサロベツの有名牧場のアイスがあります。
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9月14日 利尻~稚内
案の定、心配していた船は午前中はすべて欠航になりました。でも、私たちが乗る予定にしていた17時40分発だけ出航することに。1日3便ある船が1便に集約されることになります。そこで親方、「きっと混むから1等にしようか」とか言い出す。なるほどなるほど、名案です。2等自由席はシート席もありますが、多くが雑魚寝ができる座敷席です。どれほどの方が乗られるのか分かりませんが、人混みを避ける意味でもちょっと奮発することにして、朝の内にネットで購入しておきました。
利尻~稚内迄 1等指定席 5,400円。2等自由席が2,660円なのでほぼ倍ですね。
これで安心してギリギリまで遊ぶことができます。自転車は一台1,800円、輪行時は無料です。
地図は姫沼までになっていますが、そのあとまたサイクリングロードへ入り鴛泊のフェリーターミナルでゴールです。これで利尻一周約60km完走。コースは北側と違ってアップダウンが結構あるので風があるとちょっと難儀です。途中であきらめてバスに乗っちゃう人も結構いるのだとか。でも、見どころもいろいろありましたよ。
宿を出発した直ぐはこんな感じ。
気温も低く利尻山も厚い雲に覆われています。でも夜中に吹き荒れていた風は少し治まっていて雨もほぼ止んでいました。
そして1時間もしないうちにこの青空。
今回はホントお天気に恵まれました。
サイクリングロードとして整備されているのは島の北側のみですので、この日はホテルを出て道道108、利尻ファンタスティックロードを走ります。
【寝熊の岩】
確かに、熊が寝そべってるように見えます。でも、泳いでる風にも見えますね。
この後、利尻町立博物館にもよったのですが、明治45年に本道から利尻島まで泳いで渡ってきたと云われる熊を退治した話が写真付きで伝えられています。でも、ちょっと調べてみると2018年にもそんな話が浮上してたり、最近では2022年の6月に無人カメラに写っていたそう。今はその熊の痕跡は無くなったようですが、クマって結構な距離を泳ぐんですね。
【霊峰湧水】
このお水、本当に美味しかった。
で、水を汲んで楽しんでいる私たちに声をかけてこられた方がこの方。
町おこしで2017年に結成された「リーシリボーイズ」の主要メンバー、コンブアッペカッチャさん!
???でしょ。
私たちもお話していてほとんど解っていなかったんですが、「おら、有名人だども知らねぇの?」なんて言うので、稚内についてからネットで調べてみてビックリ。是非、@pressさんのページも覗いてみてください。そんな方と小一時間も立ち話して、お別れする時には利尻昆布を二束もいただいてしまいました。
話した内容は利尻町の話かというとそれはほんの一部、ほとんどがご自身が経験されたシベリア抑留のお話と、私財を使ってここに慰霊碑を建てるんだという熱いお話でした。私も親方も実際にシベリアに抑留された方のお話を聞いたのは初めてでしたし、直に聞くこの地の言葉がとても新鮮で、とても刺激的な時間を過ごさせてもらえました。御年97歳。またお会いしたいです。
天気もどんどん良くなってきましたよ。
利尻島の中では利尻山を文字通り四方八方から眺めることになるので山の形が劇的に変わります。こんな利尻もこの旅で初めてです。
【利尻町立博物館】
入館料200円
トドのはく製や利尻町の鰊番屋の様子が再現され展示されています。囲炉裏を囲むヤン衆の人形がすごいリアルでちょっとビックリしました。この後で利尻郷土資料館もありますが内容的にかぶるものもあります。
この魚、礼文荘で出していただいた煮魚。「ハッカク」って初めて。美味しかったんですよ。
【仙法志御崎公園】
ちょうど利尻島の南に位置し、利尻山を南側から眺めることができます。
礼文島とは全く異なる海原ですね。
お昼ご飯は走ってきた道中で見つけた「まるヰ食堂」まで戻ることにしました。
地元の方々が通う食堂が美味しい確率は高いです。ここも独特なセルフサービスでしたが、美味しかったですよ。親方は塩ラーメン、私はタコ天うどんをいただきました。
島の南側は海岸線らしい大き目のアップダウンが続きます。
向こうに見える島影は本道。
【南原湿原】
ここまでくると利尻山にかかっていた雲はすべて晴れていました。山頂近くのローソク岩もはっきり見えています。
メヌウショロ沼の周りは木道が整備されていて散歩をしても良いですよ。1kmほどです。トイレ有。
【オタトマリ沼】
メヌウショロ沼と同じくらいの遊歩道があります。食堂と土産物屋を兼ねたお店が2軒あり一息つけます。
【白い恋人の丘】
オタトマリ沼の売店の方に薦められて寄ることにしました。道道から外れて展望台まで上りです。
利尻山ばっちり。
恋人たちへの演出の為か、その利尻を眺めるために二人掛けのベンチが置かれていました。
そして、海側は本道が望めます。
なんと、対岸のオトンルイがはっきり見えていました。
これほどになると人工物とはいえすごいランドマークですね。無くなってしまうのはちょっと惜しいくらいです。
【利尻郷土資料館】
鬼脇の集落内の赤い屋根のかわいらしい建物です。後で調べると昔の町役場だったそう。展示品は町の博物館と被るものもあるし規模も小さいですが建屋を見に訪れるのも良いかも。入館料200円。
【二ツ石海岸公園】
何かの芯材を再利用したと思われるテーブルとベンチがおかれています。天気が良くここでも対岸の風車が良く見えました。
南東側からの利尻山。
島の東側も交通量も少なくひたすら気持ちの良い道が続きます。
あの向こうに見える島影は礼文島。
【野塚駐輪駐車公園】
利尻島サイクリングロードの起点。
ここからサイクリングロードに入り、鴛泊港まで走りました。
自転車専用道なのに渓谷にちゃんとした橋がいくつもかかっていてとても立派なサイクリングロードです。全長24.9km。全部走った体感として富士野園地の西側と東側でちょっと趣が違います。前の日に走った西側は概ね平坦で開放的な景色が多く望めます。一方、この日走った東側は木立の中を大小さまざまな橋を使って走り、姫沼、湾内大橋とアップダウンがいくつかあります。どっちのコースも良いですね。オフシーズンなのもあるかもしれませんが、こんなに安心して走れるサイクリングロードも珍しい気がします。
すばしっこく動き回るキビタキを写真に収めることができました。
あちこちから鳥のさえずりが聞こえてきて楽しかった。
【姫沼】
サイクリングロードから外れて少し上ったところにあります。距離は800mほどですので行ってみました。
とてもやさしいシルエットの利尻山を見ることができました。
姫沼からサイクリングロードに戻ると湾内大橋まで再び上り返します。でも、これで最後。あとは港まで下っていけます。
【鴛泊港フェリーターミナル】
港でチェックインを済ませた後、出港時間の17時40分まで1時間ほどありました。
で、親方がササッとネットで見つけたカフェに入ることに。フェリーターミナル真ん前に何軒かある商店の一つ、PORTO COFFEEさん。矢印の下あたりです。
時間調整のためでしたが、コーヒーをいただいてビックリしました。大きな街中の有名店よりもずっと美味しくていい香り。近くにこんなお店があると良いのにな。でも、利尻のお水のおかげかもしれないですね。
予定通りに船は出港。
乗船客は確かにたくさんおられましたが、1等席はガラガラ。(笑)
1等席から見た利尻山。
鴛泊港から稚内港まで1時間40分です。
稚内のホテルは港にほど近いビジネスホテルでしたので夜の8時前のチェックインでしたが問題なくスムーズでした。自転車をフロントに預けて、荷物を置いたら歩いて街へ。夕食は地元で人気のスープカレーをいただきました。
今やネットのおかげでどこにいても旅の苦労は激減できますね。ある意味、旅の面白さも少し減ってしまうのかもしれませんが、ネット以前の旅とは大違いです。20年以上前が青春だった人たちにとって、かつて自分が地図や時刻表を頼りに旅した道を「今」旅するとちょっと物足りないかも!?
でも、やっぱり旅は楽しい。
平和であればこれはどんな時代になっても変わらない気がします。
留萌から宗谷 ~礼文島~
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9月11日
前夜は抜海のばっかすさんでお世話になりました。
礼文行きの港がある稚内迄は納沙布岬経由だと23キロ、丘越えになる最短路だと16キロ、「どっちで行こうか。。」と直前まで悩んでいたのですが、宿のご主人の勧めで最短ルートを行くことにしました。最初から稚内で宿をとればいいものですが、親方が探したところ稚内はほとんどがビジネスホテルで面白そうなお宿が無かったとのこと。とほ宿に名前を連ねるこの「ばっかす」さんも「あしたの城」さん同様、旅好き人好きのご主人がオーナーのユニークなお宿で、旅の情報もいくつか教えてもらえました。夕食後、9時から11時ごろまで座談会的なものがあって話し声がしていましたが、ちょうどいい感じの人懐っこさとちょうどいい量の家庭料理にとてもほっこりしましたよ。
というわけで、朝8時30分に盛大に見送られながら出発。
海沿いの宗谷サンセットロードから道道106へ入るとしばらく上りですがすぐに展望の良い駐車場が見えてきます。
この日は利尻島も礼文島もとてもきれいに見えました。
【稚内フェリーターミナル】
稚内から礼文島まで2等自由席で3,070円。自転車は輪行せずに載せてもらうと1,800円。(輪行すると無料)
この日は車も少なく、自転車は私たちだけだったみたい。。。宿のご主人から「朝一の船は混んでるけど、10時台は空いてるから少々遅れても大丈夫」と聞いてはいましたが、これほどとは思っていませんでした。
海もとても穏やかです。
2時間の船旅の間に稚内のフェリーターミナルで買っておいたサンドイッチでお昼ご飯を済ませておきました。
【礼文1日目】
香深港に着いたのは12時半くらい。結構な向かい風。礼文町町郷土資料館や海原で寝そべるアザラシなんかを眺めて久種湖畔の礼文荘さんまで26kmほど走りました。
礼文町郷土資料館は香深港を北へ向かうとすぐです。特にリサーチしていたわけではありませんが、立派な建物でこの地域独特のオホーツク文化の遺跡の展示などもあって面白かったですよ。北海道開拓期の鰊が果たした役割の大きさも改めて感じました。入場料300円。
あとはもう、きれいな海を眺めながら走っては眺め、走っては眺めの繰り返し。
ウニを食べるオオセグロカモメ。
若鳥もたくさん見かけました。この子は懸命に飛ぶ練習をしていました。
さて、私は何を撮影しているでしょう。
岩礁?
いえいえ、アザラシの群れです。
いい顔して寝てるんですよ。
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9月12日 礼文2日目
久種湖畔展望台~トド島展望台~スコトン岬~澄海岬~双葉食堂~礼文高山植物園~宿(花れぶん)~北のカナリアパーク 約50km
朝食前の散歩で久種湖畔展望台へ。
期待満々で上りましたが、上からの景色の印象がほとんど無いんですよ。。しかも写真も浜に降りた後に見たアザラシの写真ばかり。
朝のアザラシ。
漁師さんがこんなに近くにいても平然としています。
普通に撮影するとこんな距離感。
一頭だけ浜の近くで寝そべっていました。
群れはたいてい浜から肉眼でははっきりわからないくらいの距離にいます。なので普通だと見逃してしまう方がほとんどだそう。荷物の隙間に望遠カメラか小さな双眼鏡があると良いですよ。
【トド島展望台】
宿を出てからまっすぐスコトン岬を目指さず、まずは小高い丘を上り「トド島展望台」へ。花は盛りを終えて華やかさはありませんが、とても開放的で気持ちの良い道でした。2人とももう1週間以上自転車に乗り続けていますので体の調子も上がってきています。この程度の坂道ならスイスイ、楽しくて仕方ありません。
展望台の反対側。
親方、小さいですが写っていますよ。探してみて。
ただ、この道はこの時期でもちょいちょい車とすれ違いました。花の時期ならもっとでしょうね。
【スコトン岬】
礼文島最北端は観光バスも来る観光名所です。
土産物屋はもちろん、併設しておしゃれなカフェもありました。
【澄海岬】
岬へ向かう途中に礼文を代表する花、礼文アツモリソウの群生地があります。花は咲いていませんでしたが、地元の方が数人で手入れをされていました。手付かずの自然のようできちんと手入れされているんですね。
緩やかに上る道はとても開放的。
ただ、岬の写真は良いのがありませんでした。ホームページで検索するともっと素敵ですよ。
【礼文高山植物園】
久種湖畔から「れぶんアツモリロード」を行くと峠を越えたところに高山植物園があります。入場無料。それほど広くはありませんが、手入れが行き届いていますし、そこから見える利尻も素敵です。
時期外れでしたが、礼文草が一凛咲いていました。
園のフロントにはこれらの種が小分けされ、無料で配布されています。うまく育つかどうかわかりませんが、私たちもいくつかいただいてきました。良いお土産です。
宿までの道中。
この日の利尻もとても美しく印象的でした。
【北のカナリアパーク】
島の南側に有名観光地は集中しています。この日の宿には15時過ぎにチェックインできたのでカナリアパークまで行ってみることにしました。
宿から3kmほどのところですが、最後の500mはグイッと上っています。
上りきると利尻山を愛でるには絶好の場所に小学校があります。
でも、実際は映画のロケ地でこの小学校も平屋の木造校舎というイメージに合うものを撮影用に建てられたものなんですって。中のセットも手が込んでいて本当にここで小学生が学んでいたかのようでしたよ。前の日の晩にipadで「北のカナリアたち」のビデオを見ておいてより楽しめました。
今はホント便利ですね。
利尻山は半分隠れてしまいましたが、併設されているカナリアカフェの営業にも間に合ったのでゆっくりお茶もできました。
ただ、この日は近づいてくる台風の影響で午後から雲も多く風が出ていました。利尻山を見るために奮発したお宿「花れぶん」もなんと大きな窓から見えるはずの利尻山は全く見えず。。。翌日の船まで欠航になるんじゃないかと心配したのでした。
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9月13日 礼文3日目 礼文島~利尻島
心配していた通り、いくつかの船が欠航する中、利尻島行きの船は南へ向かう沓掛行から東へ向かう鴛泊行に行き先を変えて出港するとのこと。よかった、よかった。船の運航状況は当日の朝5時30分には決定してくれます。すべてオンラインで確認できますし、チケットの予約も可能なので便利ですね。
風は少しありましたがお天気は良いので午前中は予定通り走るにしました。
【桃岩展望台】
まずは桃岩展望台までピストン。
片道3km、標高は200mほどかな。短いけど結構きつい登りです。
赤い屋根の建物がトイレでそこまでは自転車で上ることが可能です。そこから先は歩くことに。とってもいいお天気なんですが、残念ながらこの日は展望台から利尻山は見ることができませんでした。
展望台。
結構人がいたのでマスクをしています。
猫岩が見えます。
確かに猫の後ろ姿に見えるね。
【桃台猫台】
展望台からいったん降りてきて今度はトンネルを通って対岸へ行きます。
新桃岩トンネルは2016年開通ですので結構新しいですね。
トンネルを抜けて海岸線を南下するとすぐ見えてきます。
おお、確かに桃みたい。
展望デッキまで上がると更にいい景色が開けます。
左手の赤い屋根が伝説のユースホテル。猫岩もすぐそこです。懐かしい方もおられるんじゃないでしょうか。
【地蔵岩】
トンネルまで戻って今度は北上すると地蔵岩に出ます。
赤い矢印が地蔵岩。なんで地蔵? って思うよね。
高さ50m。拝むときの手を合わせた仕草に似てるから、なんですって。
このプチ情報、抜海で泊まったばっかすの女将が出発間際にさり気ない会話の中で教えてくれました。
確かにね~。
それと、これはあとから調べていて知ったんですが、この辺の浜は「メノウ浜」と名前が付くほど「瑪瑙」が採れたそう。
反対側は砂浜なのにこっち側は小石の浜なんだ、と思って写真に収めてました。珍しいですよね。
さあ、この後お昼ご飯を食べて港へ向かう予定ですが、この時点でまだ10時30分。この近所のdining cafe 海さんでランチと決めていた、というかここ以外だと港で探すしかありません。でも、オープン時間は11時。仕方ないので30分ほど浜をプラブラして時間をつぶしました。でもね、待ったかいありましたよ。ここのウニバターソースオムライス、とっても美味しかった。宿での料理はやはり海鮮懐石が多いので長旅ではこうゆうのが新鮮で嬉しい時ありますね。
いやー、長い!
本当は利尻まで書きたいところですがまた次にしますね。
読んでくださってありがとう!
留萌から宗谷 ~サロベツ原野~
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9月8日
羽幌から天売島へ渡るつもりが船の欠航で渡ることができず、急遽、遠別に宿をとったわけですが、次の目的地の天塩の宿までほんの20kmしかありません。いくら熟年夫婦ののんびりツーリングと言ってもさすがに時間を持て余します。で、今回のプランから外していた「オトンルイ風力発電所」へ足を延ばしてみることにしました。本来なら通り過ぎるだけの場所でしたが、周回することによってまた違ったオトンルイを見ることができましたよ。
遠別~天塩~オトンルイ~下サロベツ~天塩 約78km
まず、この日は国道を行かず、親方が5万図を眺めていて見つけた海沿いの農道を行くことにしました。すると、これが大正解。
車も少ないうえ、海も近く、まさしく自転車の為の道が12kmほど続きます。
電柱もしばらくは視界から消え、遠くにうっすら利尻も見えました!
ただ、12kmなんてあっという間。お昼前には天塩の宿についてしまいそう。そこで、またもや親方が近くに宇野牧場という牧場が営むカフェがあることを発見。
向かい風の中ソフトクリーム目指して方向転換。
ところが、開店時間前で泣く泣くホテルへ。。。
でも、その先に立ち寄った道の駅てしおでも宇野牧場の乳製品は買えたので焦らなくても大丈夫! もっと言えば、利尻島のホテルの売店でもここのアイスは売ってたりしますよ。
有名なんですね。
さて、ホテルでパニアバッグなどの余分な荷物を預かってもらって再出発。
昼食をとれる食堂なども無さそうなのでセイコーマートでおにぎりなどを補充してから道道106稚内天塩線(日本海オロロンライン)へ。
お、見えてきました。左に利尻、右にオトンルイ。
利尻山もようやくはっきりと見えました。
この道はやはり車やバイクが多い。
でも、確かにこれだけ並んでいると壮観ですね。
目立つものがほとんどない原野の地で利尻山と並ぶランドマークになるのも頷けます。ただ、このオトンルイ風力発電所も稼働から20年がたち、来年春から順次取り壊し、新しい大きなものへと建て替えていくのだそう。この景観を楽しめるのもあとわずかだと考えると良いタイミングでした。
お昼はサロベツ原野駐車公園で食べて、せっかくだから幌延ビジターセンターにも立ち寄って、国道232へと戻るわけですが、途中またもや農道を発見。
私たちはこっちのオトンルイの方が好みかな。
※私たちが走ったルートはサイクルグランボアのRideWithGPSでも公開しています。
良かったらご覧ください。
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9月9日
前日にこの地を旅する人たちのメインルートをすでに走っていたのでこの日は内陸へと向かうことにしました。そして選んだ道は前の日に目星をつけておいた天塩川左岸堤防のダート道。これがまた素晴らしかった。ランドナーだからいける道。それに、なだらかなアップダウンが連なる大規模草地育成牧場もホント気持ちの良い場所でした。
寄り道はトナカイ牧場、幌延深地層研究センター、工房レティエ、宮の台展望台など。
下サロベツ(幌延)~豊富町大規模草地育成牧場~上サロベツ(豊富) 約73km
このコース、おススメです!
まずは天塩川を渡る「天塩河口大橋」の手前の道を入ります。
この日の利尻は雲が全くかかってなく美しかった。オトンルイもその先にすっきり見えています。
このダートは天塩川に沿って14kmほど。
釧路湿原の新釧路川右岸堤防を思い出しますが、オトンルイが常に見えているのでまだ人間界とのつながりを感じることができます。
今なら新旧の風車を見渡せますね。
ご存じですか。トビは背中が美しいんですよ。
ダートを離れて国道232から国道40号へ。そのあと、道道256から道道121をを進みトナカイ牧場へ。これもオロロンルートと呼ぶそうな。
トナカイの餌200円。柔らかいお口でした。
お昼ご飯もここでいただいたのですが、まあ、ラーメンが驚くほど美味しかった。
合鴨100%で出汁を取るという白湯塩ラーメン。チャーシューもアイガモなんです。絶品でした。また食べたい。
そして、この施設のお隣には幌延深地層研究センターがあって、施設の一部が見学可とのことで見学させていただきました。こんなところでこんな社会見学ができるとは思っていませんでしたが、日本が抱えている大きな問題の一つの研究がこんなところでされているんですね。核廃棄物の処理の大変さをあらためて感じることができました。
時間に余裕があれば是非寄ってみるのも良いですよ。
オロロンルートからサロベツリフレッシュロードへと進むと広大な大規模草地育成牧場へと誘われます。
今回の旅の最中、ここだけ雨に降られました。雨具も要らない少しだけですけど。
それでもこの景色は素晴らしかった。
余談ですが、この牧場は吉永小百合が主演を務めた映画「北の・・・」シリーズのひとつ、「北の桜守」の空襲の場面や「坂の上の雲」のロケ地だったとのこと。
牧場を降りて今度は上り返しがありましたが、その途中に牧場が営むアイスクリームとチーズのお店があるのを親方がリサーチ済みでした。ただし、営業時間が15時までとのことでいつになくハイペースで走ることに。
親方、こんな時、めっちゃ速いんですよ。。
最後は宮の台展望台へと上り返し。
ここも上り返しになるので悩むところですが、とっても良い展望台でした。
で、サロベツ原野を突っ切るように走り、ようやくお宿にチェックイン。
17:30。
そして月も美しく。この日の翌日が十五夜でした。
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9月10日
この日でサロベツ原野は最後。もういちど上サロベツから下サロベツへ回りながらパンケ沼にも立ち寄りました。そのあと再び海沿いの道を北上し抜海を目指しました。
寄り道は豊富町のアイスクリーム屋「フェルム」、こうほねの家など。
天塩~抜海 サロベツ湿原センター、パンケ沼、幌延ビジターセンター経由 約76km
朝、4時に目が覚め、そっと宿のリビングへ。
夜明け前でしたが空は明るくなり始めていて湿原はすっぽりと霧でおおわれていました。宿の窓からこれが見れるのですから「あしたの城」素晴らしいです。
宿のお庭。
望遠で撮影するとこんな感じ。
さて、のんびりとスタート。
サロベツ湿原センターの木道散策。すっかり秋。
すばしっこい小鳥。産毛フワフワの幼鳥のようですが何かな。。。ベニマシコ?
パンケ沼
幌延ビジターセンター展望台
で、あっという間に再び道道106オロロンラインへ。
北緯45度のモニュメント。
振り返れば道はまっすぐ。
行く道もまっすぐ。。。海と空に消えていくよう。
お山もキレイ。
でも、こーゆー道はちょっと苦手かも。。。
次はいよいよ島に渡ります。
旅の準備
また大きな台風が来ていますが、今日の京都は良いお天気に恵まれています。気温は30度を超え、風は微風、なんとなく秋を感じる日差しです。
あれだけ大きな台風ですので直撃されれば大変ですが、昼のニュースだと台風はなんとなく逸れていきそう。
でも、どこかで被害を受ける方がいるんだろうな。
山火事、洪水、台風、戦争。
世界中が大きな力に翻弄されていて、毎朝のように誰かの泣いている姿がニュースになっている。
今朝はパキスタンの洪水のニュースに言葉を失いました。
防ぎようのない悲劇があちこちにあって、誰もがいつその只中に放り込まれてもおかしくない時代。
平穏な日常を過ごせていることにただただ感謝です。
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明日から親方とまた旅に出ます。
今度はなんと10泊!
2019年のランブイエでのコンクールで製作したバッグに、今年はJBTでパニアバッグを新たに追加して、それらをこの1か月前からいろいろ修理しておりました。そして、親方の分も新たに製作。
縫ってはほどき、縫ってはほどき。
ようやく昨日すべてが完成!
パニアバック一個78グラム。
お、2個でほぼ倍!
適当にサイズを決めている割に概ね正確ですよ。
生地はリップストップと撥水性のある布を組み合わせて作っています。着替えはすべてジップロックに小分けして圧縮して入れていきます。
全部そろうとこんな感じ。
カメラは雨具やウインドブレーカーが入っているフロントバッグにピッタリ収まります。サドルバッグには輪行バッグと工具。
今回はヴィンディングシューズをあきらめてオンオフ両用の靴で行くことにしたので靴を持っていく必要がありません。なので10日も行く割に荷物が少ない気がします。。。
今夜もう一度再チェックですね。
パニアバッグの中にはリュックも入っています。
これはいつものように輪行時にはパニアバッグ2個分を収める用です。
旅先のトレッキングにも使えるので便利ですよ。
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【入荷のご案内】
しばらく欠品扱いとしていました輪行用のヘッド小物が諸事整って再販開始しています。
そして、大物。
良いサイズのエルスのタンデム。
2008年にお納めしてからずっと大切にされてきたのがわかる素敵なコンディションですよ。
店頭に置いていますので是非ご覧になってご検討いただければと思います。
秋の小旅行
こんにちは、スタッフの前野です。
今年はブルべに殆ど参加することなく10月を迎えました。昨年はPBP参加のために毎月何処かへ出かけていましたが、今年は新型コロナウィルスの影響でイベントに参加せず一人で走ることが多くなりました。
京都北山を走るのはもちろん楽しいのですが、知らない土地へツーリングに行きたい…。
自分の中のツーリング欲が高まっていました。
コロナを取り巻く状況が少し落ち着いたように感じたので、1泊2日の小旅行に出かけてきました。もちろん感染症対策は怠らず。
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行先は兵庫県の奥地にある瀞川氷ノ山林道。4年前の11月に京都から一人で走りに行った林道です。
日本海に面する兵庫県香美町と養父市にまたがり、関西では最長規模約50㎞の総延長と未舗装路では珍しい約1.2㎞の見通しのいいロングストレートがある林道です。
同行してくれたのはアイズバイシクルにアルバイトとして来てくれている井越君と、彼と同じサイクリングクラブのOBであるI君。I君と僕は集合地点であるJR八鹿駅まで自走し、輪行でやってくる井越君と合流します。
午前3:30に京都を出発して約130㎞、9:40分頃にJR八鹿駅に着きました。そしてその数分後、井越君の乗った電車が到着。
彼は20代前半ながら昭和のサイクリストの佇まい。ニューサイクリング誌を読み漁り、当時のサイクリストの服装の研究に余念がありません。
八鹿駅の駅舎は歴史を感じる趣ある造りになっています。このガラス窓なかなか見ない形ですね。
走り出す支度を整えて午前10時すぎ八鹿駅を出発!
市街地を離れると飲食店やコンビニは殆どないので、街中で明日の食料も買い出しを済ませます。
養父市関宮から香美町村岡までは国道9号線で峠(トンネル)を越えます。登りの途中にループ橋があるのは珍しいですね。
八鹿駅から約30㎞、13時半頃に瀞川氷ノ山林道の入り口に到着。途中で昼食を摂ったり道の駅ハチ北に寄っていたのでのんびりペース。僕とI君は朝が早かったのでこの時点でまあまあ消耗していました。
若干の眠気と疲労感があるものの、4年越しの再訪と前回は到達できなかったダートのロングストレート区間にわくわくが止まりません。
林道起点からしばらくは舗装路が続きます。ダートはまだかまだかと舗装路を登り続けていると県道に合流。少し走ればダートが始まると思っていたので拍子抜けしました。
林道起点から始まる北端の区間は全舗装で、89号線との交差以南からダートが始まります。なのでダート区間を走るのが目的なら北端の林道起点には行かずに道の駅ハチ北から89号線で林道にアクセスした方が楽しいと思います。
北端の林道起点から89号線までの区間はひたすら登りで展望もあまりないので、もし再訪するなら北端の区間はカットします!
89号線との交差から少し登るとダートが始まりました。待ちに待ったダートに歓喜の声が上がります。砂利の上を泳ぐような感覚が堪りません。
少し走って空気圧を調整。プシュッ!プシュッ!とバルブを数回押して空気圧を下げます。
下げすぎるとリム打ちパンクのリスクが上がるので注意!
ダートと舗装の登りを繰り返して最初の展望ポイント、はちまき展望台に到着。
これから向かう林道南側は灰色の厚い雲に覆われていました。
林道を南下するにつれて霧に包まれ幻想的な雰囲気に。
ロングストレートまでの区間は砂利の粒が大きく、登り勾配が厳しいので脚を削られます。楽しいけど苦しい!
この林道は太いタイヤと砂利の上を駆け上がるテクニック、パワーがものを言います。650×32Bや700×30Cでも走れないことはないですがしんどいかも。
念願叶ってロングストレートに到着!これが見たかった…!
この区間は砂利が少なく、路面も締まっているのでとても走りやすいです。北側からは緩く下って登り返します。登り返しは斜度が厳しく、粒の大きい砂利に覆われているので気を抜いているとあっという間に失速します。
楽しくスピードを出せるのは一瞬。
名物のロングストレート区間の後も基本的に登り基調。疲労が蓄積して思うように前へ進めません。砂利道の勾配がきつくなると漕ぐのをあきらめて押し歩きすることも。
林道の途中で休憩。霧に包まれて景色は見えませんが普段味わえないシンドイけど楽しい感覚。
辛いけど楽しい!辛いけど楽しい!
最初は大喜びで走っていた砂利道も後半になってくると苦行の道に… 今度は舗装路が現れると歓喜の声があがります。
霧の間から見える景色が開けてきました。ハチ北スキー場が近づいてきた証です。
スキー場の施設が見えてくれば後はもう少し。舗装路を一気に下って日没前に東鉢伏の宿に到着することが出来ました。
今回のように霧の中や予定よりも走行時間が伸びて日没を迎えてしまうような場合でも、バッテリー残量を気にすることなく使えるSONのダイナモシステムが心強いです。
こんな林道でも車やバイクが走ってくることがあるので、フォグランプ代わりに常時点灯させておくと安心です。
僕が使っているのは定番モデルSON28ハブダイナモとEDELUXヘッドライト。ライトの方はより明るくワイドな配光になったEDELUX2にバージョンアップして販売されています。
1日目は京都から八鹿駅まで130㎞と下のルートを走って全行程186㎞。疲れた……。
余裕をもって林道を楽しむなら輪行しましょう!
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2日目
翌日はメンバー全員疲労困憊。予定していた瀞川氷ノ山林道南半分の走破を諦めて最短ルートで砥峰高原を目指します。
I君は調子が優れないので養父駅から輪行で帰ることに。井越君と2人で砥峰高原を目指します。
養父市出合から大屋まで舗装林道で峠越え。
県道6号線で砥峰高原の入り口まで南下します。冨士野トンネルまでは長い登り坂。
冨士野トンネル入り口で小休止。前日がハードだったので二人とも疲れ気味。
今回のツーリングに使用した自転車はいつもと同じくコンクールマシン2017の際に制作された親方製フレームの1本。メインコンポーネントはSRAMフォース1、1×11スピードのフロントシングルです。
今までと違うのは先日発売されたサンクフィーユ・ナローワイド40T。この自転車では約2年間サンクフィーユ・ナローワイド試作版42Tを使っていたので少しだけ小さくなっています。
リアスプロケットが従来のまま11速11-42Tなので最小ギア比は1以下。舗装路でギア比1以下になると歩くのと同じかそれ以下の速度になってしまうので必要性を感じないギア比ですが、今回のような砂利道の厳しい登り坂などではトラクションを維持しながらクランクを回すことができるので効果的です。砂利道を走らないのであればフロントはサンクフィーユナローワイド40T、リア11-40Tの方が使いやすいでしょう。
ちなみに変速機はSRAMフォース1ですがチェーンとスプロケットはシマノXT(M8000 系)を使っています。変速はとてもスムーズ、消耗部品のコストも抑えられます。
走りの要となるタイヤは650×42B。舗装路、ダートどちらも走る場合は2.5BARくらい。舗装路に重きを置くなら少し高めに、未舗装路をスムーズに走りたいならもう少し低めに。
外ではエアゲージを使うことはないので、状況に応じてちょうどよく感じられるように空気を抜きます。空気圧を大まかに把握しておくならタイヤゲージが便利です。ちょうどいいと感じられた空気圧で走った日にタイヤゲージで空気圧を測定してメモに残せば気持ちのいい空気圧の再現は簡単になります。
さて、砥峰高原への登りも自転車乗りに優しくありません。終盤は花背、百井峠並みの勾配が続きます。
急勾配の坂道を上っていると木々の間からひらけた景色が見えてきました。
すすきが眩しい砥峰高原に到着!砥峰高原はすすきが見ごろで素晴らしい景色でした。
高原を少しだけ散歩して帰りの電車の時間が気になるので早めに出発しました。電車を逃すと次がなかなかありません…
砥峰高原から神河町方面へは豪快なダウンヒル。下りの途中に見えた長谷ダムが立派でした。下りながら見える景色も爽快。写真に残したい景色は下り途中のような止まれない、止まりたくない時に突然現れたりしますね。
砥峰高原から下りきると長谷から川沿いの道を北上して生野駅で輪行して帰路につきました。
そうそう、輪行の時にサッと広げられるグランボアサコッシュが便利です。
僕はスマホや飲み物、軽食など輪行時にすぐに取り出したいものをまとめるのに使っています。
サコッシュは今回使用している輪行袋オーストリッチSL-100と同素材で出来ていて、超軽量ながら安心感のある丈夫なレオナWリップ65ナイロンが使われています。輪行以外にも買い出しをして一時的に荷物が増えた場合や、着替えの仕分けなど用途は様々。一枚持っているといろいろ使えますよ。
2日目は充実の80㎞。距離にしてみると短いですが内容の濃い80㎞でした。
旅の〆は生野駅からのんびり普通電車の旅。3時間半かけて京都まで帰りました。
今回のツーリングの主な目的は瀞川氷ノ山林道のロングストレートを走ることでした。二日目に通った舗装林道や砥峰高原など自分の知らない兵庫県を知ることができた楽しいツーリングでした。
特に瀞川氷ノ山林道周辺には他にも面白そうな道があります。また来年行こうと思います。
11月は久々のブルべでSR600紀伊山地の世界遺産を走る予定です。
紅葉の紀伊山地を楽しもうと思います!