ブルべレポートの最中ですが、セールのお知らせです。
今年は二つの大きなイベントがあり、準備や開催期間ではお客様には大変ご協力をいただくとともに、ご不便をおかけしました。お陰様で今年初めてのイベント、ジャパンバイクテクニーク(JBT)もグランボア2回目の挑戦となるフランスでのコンクールマシン(CdM)も大変満足できる自転車を作ることができ、大会自体も大変実りのあるものとなりました。ありがとうございました。
そこで、ささやかではございますが「感謝セール」を開催したいと思います。
日時 9月21日(土)10時 ~9月29日(日)18時
期間中はアイズバイシクル店頭と通信販売でのお買い物のいずれも商品代金を5%オフとさせていただきます。セールにオーダー車は含みませんが、PBP完走記念としまして、フルオーダーでグランボアのブルべ用ランドナーをご注文頂いた方にはお見積もり総額から5%引きにてお作りさせていただきます。2017年から受注を開始しました親方フレームも今回のコンクールモデルでちょうど20本目となりました。只今の納期はおおよそ半年ほどです。今回初めての特別企画です。ご利用お待ちしています!
あと、お支払方法にペイペイ(PayPay)がご利用いただけるようになりました。通信販売でもお支払方法としてご選択いただけますのでよろしければご利用ください。
こんにちは、スタッフの前野です。8月18〜22日にフランスで開催されたパリブレストパリ1200km(以下PBP)に参加してきました。
PBPと言えば、ブルべをやっていれば一度は耳にしたことがある言葉でしょう。PBPとはParis-Brest-Parisの略語で、パリと大西洋沿いの港町ブレストを往復する1200㎞ブルべです。その歴史はツールドフランスより古く、現在は4年に1度開催の世界中からランドヌールが集うブルべの祭典です。
今回、自分はビルダーの競技会CONCOURS DE MACHINES 2019(以下CDM)にエントリーしたグランボアのライダーとしてPBPを走りました。PBP出場の経緯に関しては少し特殊ですが、普段は普通に働きながら休日を使ってブルべやサイクリングを楽しむ一般的なランドヌールです。そんな自分が見たPBPを紹介します。
【コース】
現代のPBPのスタートはパリではなく、パリから少し西に位置するランブイエです。ランブイエと大西洋に面する港町ブレストを往復する1219kmです。(下のマップは実際に走ったGPSのログです。)
【出走時間について】
普通のブルベは制限時間が一律に決められていますがPBPの場合は80、84、90時間から参加者が選択します。制限時間が短い80時間は18日午後16時から順番にスタートし、その後に90時間組がスタート、84時間組は翌朝のスタートとなります。
今回、自分もこの写真の特別車両枠(CDM参加車両、タンデム、リカンベント、ベロモービル等)90時間F組で17時15分にスタートするはずでした。しかし、事前に日本で本登録する際にCDM主催者側からCDM参加チーム出走時刻変更がこちらに伝わっておらず、80時間E組17:00スタートになりました。1200㎞の制限時間が80時間と90時間では時間の使い方が大きく変わってきますが、CDMで得点を稼ごうと思うと80時間以内のフィニッシュは必須だったので走行計画に影響はありません。(CDMは80時間を境に15分刻みで速い場合は加点、遅い場合は減点)
【現地での試走 8月15、16日】
フランスにはスタートの4日前に到着。15,16日は時差ボケ解消と身体を慣らすために計200kmほどランブイエ近郊を走りました。
ランブイエに到着した15日は18~20時過ぎまで70㎞程走行。写真のように見通しの良い道路が続き、往路は西からの向かい風であまり速く走れませんでしたが、復路は追い風となり、ものすごい速さで帰ってくることが出来ました。実際にPBPのコースを走ってみると風向きは大きな要素であることを実感した次第です。試走以降、18日からの風向き予報から目が離せなくなりました。
16日は前回2105年までのスタート地点サンカンタンのナショナルヴェロドロームへ。今回のスタート地点は牧歌的な雰囲気のランブイエですが、パリに近いサンカンタンは高規格道路が通り、ショッピングモールがあったりして街の雰囲気が異なります。実はヴェルサイユ宮殿もこの近くにあるので行きたかったのですが時間の都合で諦めました。
【PBPの路面状況】
路面の状態は比較的良好ですが街中には石畳や舗装の割れが散見され、細いタイヤで走るには少しリスキーな場所もあります。CDM号も予備車もエアボリュームに富んだ650×38Bタイヤを履いているので試走もPBP1200㎞もパンクとは無縁でした。
実はタイヤの選択は直前まで親方と悩んだ部分で、今年完走したブルべのほとんどをチューブレスで走った自分は試作品の650×38or42BチューブレスレディタイヤでPBPを走ることを希望していました。しかし、飛行機でチューブレスレディタイヤを空輸することで生じるリスク(空気を抜くことでビードが落ちる可能性、ビードが落ちなくてもシーラントの気密保持層が壊れることで空気圧が安定しなくなる可能性がある、チューブレス空輪の経験が無いのでトラブルの予測がつかない)とCDMの得点で重要な重量面で試作チューブレスレディタイヤ+シーラントの組み合わせと超軽量タイヤ650×38Bグランボアエキュルイユ、SOYO製試作650B用ラテックスチューブ、パンク対策シーラント少量の組み合わせに重量面で大きな差がなかったことから信頼性を重視して試作チューブレスレディタイヤ+シーラントではなく、超軽量650×38Bタイヤ+シーラント入りラテックスチューブの組み合わせに決まりました。
同時にリムも他社製品のチューブレスレディ対応のものからグランボアパピヨンWアイレット28Hに組み替えています。ホイール単体での重量はパピヨンWアイレット28Hに組み替えたことで増加しましたが剛性感に優れ、荒れた路面でも安心して突き進める信頼性の高いパピヨンリムに、前述の超軽量タイヤシステムを組み合わせたことで信頼性と乗り心地、軽やかさを併せ持った足回りが出来上がりました。特に乗り心地と転がり抵抗はチューブレスレディタイヤと同等かそれ以上に好感触で、パンクに対してはラテックスチューブ内に注入したシーラントが対応してくれるのでパンクに対する不安も少ないです。万が一シーラントで防ぎきれないパンクが発生した場合は普通のチューブと同様にパッチで修理するかチューブの交換で済むのでチューブレスのトラブルに比べたら煩わしさも少ないです。
【PBP走行計画】
8月18日17時ランブイエをスタート、翌朝到着するPC2まではサポート無しで走行。ブレスト手前のタンティアックからサポートを受けつつ走り、21日午前5時までにゴールする計画でした。尚、睡眠に関してはどこで取るかは決めておらず、眠くなったら1~2時間程度寝ることにしました。
トータルの目標は60時間。60時間に目標タイムを設定した理由はGWに走ったBRM502京都1000kmのタイムが59時間台でこれは補給や休憩に多めに時間を割いた上でのタイムでした。高い峠が無く、参加者が多いPBPでは他者と協力し合うことで巡航速度が上がり、PCではサポートを受けられることが決まっていたので自分にとって無謀でない目標時間だと考え60時間としました。
【17日】
前日はPBPの車検と事前受付、CDMの車検と展示。
車検と事前受付は混雑が予想されたので早目に受けられるように午前8時過ぎに会場に到着。この時はまだ列も短く、殆ど待つことなく車検とフレームバッジ等の受け取りを済ませることができました。30分も経つと列は3倍近くに伸びていました。
詳細はこちらの記事で。
【18日】1200㎞ブルべが始まる
午前中は宿でリラックスして過ごす。昼頃まで眠りたかったがベッドで横になっても興奮からか深い眠りにつくことは出来なかった。昼食は稲荷寿司とちらし寿司。やっぱりお米を食べるとホッとするし元気が出る。
こちらはスタート時に携行する補給食。計画では400㎞弱約18時間をサポート無しで走るため、そこまでの食事は日本から持ってきた補給食で補う予定だった。そのため1本200kcal前後のバーを多めに携帯した。今回使用するフロントバッグは6月のJBTで使用した試作モデルの進化版。BRM622紋別600㎞での雨中走行などを経てバッグの生地は防水仕様に変更されている。そしてJBT版で既に使いやすかった上蓋の補給食ポケットは、ジッパーの開け閉めがより簡単なものに改良されており今回も補給食の管理に役立った。メインの荷室にウェアや手袋と一緒に補給食を入れると走行時の振動や衝撃で小さい補給食が底の方へ移動してほしい時に見つからなくなることが多々ある。このバッグの補給食ポケットはそういったストレスから解放してくれる。
昼食後15時過ぎに車で会場入りし自転車を組み立てて最終チェック。何せこれから1200㎞を共に走る相棒だ。スタート前から不安要素があっては困るので念入りにチェックした。前日のCDM展示の際にチェーンオイルをふき取っていたので念入りに塗布する。今回も使用するチェーンオイルはフィニッシュラインセラミックウェットルーブ。今年に入ってからすべてのブルべで使用していて滑らかにチェーンが回り、雨に当たらなければ600㎞差し直す必要がないところが気に入っている。
スタート待機場所に到着。たくさんのランドヌールと自転車で埋め尽くされている。そこで2月のBRM216小倉300㎞でお世話になったAJ福岡のBさん(いちごオレの方)と会うことが出来た。お話を聞けばなんとモンサンミッシェルに寄り道するそうだ。コースを外れてモンサンミッシェルまで往復80㎞の追加!やっぱりこの会場に来てる人たちは普通じゃない。スタート時刻が近づくとE組の待機列に並び、出発を待った。
最初のテントでブルべカードにランブイエのスタンプを貰う。
スタートゲートの前で17時にを待つ。
17時、E組のスタート時刻だ。1200㎞の旅が始まる。
スタートすると大集団が形成され周囲の流れに乗って進んでいく。1車線をフルに使って走る集団でブルベを進めるというのは国内ではあり得ない状況だ。まるでTVのツール・ド・フランスで見るプロトン。参加者間の間隔がかなり近いので周囲の動きに同調して走り続ける。今ここで変な動きをして前輪をハスったり追突されれば自分だけでなく後ろを走っている大勢の参加者を落車に巻き込みかねない。
スタート直後は緊張してかなりナーバスになっていたが、徐々にリラックスして走れるようになり集団での走行を楽しむ余裕が出てきた。ただ、集団のペースは速く、とても1200km保つとは思えないスピードだ。流れに乗っていれば付いていけるスピードなのと集団から離れて一人になった場合、この日は西風が強く吹いていたのでスピードがかなり落ちることは確実だった。なのでこの時は多少速くても集団の中で過ごすことを選んだ。
118km地点のMORTAGNE-au-PERCHEに到着。グロスアベレージは29kmhを超えていた。
ここはスタンプを貰う必要があるPCではなく、補給食や水などが調達できるサービスポイントだ。ここまでオーバーペース気味の集団についてきたので自転車を降りると体が悲鳴を上げた。乗車中は気が付かなかったが無理をしていたようで屈むことすらままならない。ここで必要な動きは水の補給だけだったが強い疲労感から10分以上動けなかった。15分後にスタートしたF組のタンデムや弾丸のようなベロモービル、そしてコンクールマシンに参加しているRossmanCyclesのハーンさんが早くも追いついてきた。自分も水を汲んでようやく再スタート。こんな所でのんきに休憩していられない。まだ100㎞しか走っていないのだ。
118㎞地点MORTAGNE-au-PERCHEから217㎞地点VILLAINES-la-JUHELまでの約100kmもノンストップで走行するつもりだったが、眠気覚ましのためバーでコーヒーを飲んだ。まだ一晩目だが前走者のテールライトを見ていると吸い込まれるように眠くなる。自分は完走することが最優先事項なので多少のタイムロスはあってもリスクは消していかなければならない。そんな訳でバーの灯りに寄せられたのだ。
結局ここではコーヒーのオーダーや地元の人と話したりして10分ほど使ったが価値のある時間だった。
【19日】
約8時間で217㎞地点のPC1VILLAINES-la-JUHELに到着。時刻は深夜1時過ぎといったところだ。ハイペースで走り続けてきたのと眠気で既に疲労感がにじみ始めている。夜は本当に辛い。
まだ残り1000㎞。とんでもないブルべに参加してしまったと思いながら椅子に座って缶ジュースを飲んだ。
②に続く…
【コンクール走行会=パリブレストパリ】
7月18日(日)
7000人近い人数のライダーたちをスムーズにスタートさせるのはなかなか大変です。どのようにしているかというと実績と完走目標タイムと申し込み順で細かくグループに分けられて時間差でスタートしていくのです。ですが、7,000人ともなると200-300人づつに分けたとしても20-30以上のグループになります。実績のあるライダーたちが集まるAチームが最初で午後4時スタート。それから15分おきにアルファベット順のグループに分けられて流れるようにスタートして行きます。夜間は無いとしてもそのスタートは翌日まで続きます。
グランボアのスタート時間はEグループで午後5時。これは事前に打合せがあって「コンクール参加チームは5時スタートで一緒にしましょう」と聞いていたのですが、実際は5時15分スタートに変更になっていました。私たちは既に5時で登録を済ませていたのでそのまま一足早くスタートすることとしました。
Eチームの集合場所。
そこにはすでにGPSをスタートさせるためにコンクールのスタッフが待機していました。
JBTで使ったものに比べると少し大きいですが、フレームに固定してしまえば邪魔にはなりません。これがあったおかげでサポートもライダーの位置を常に把握できるので大変助かりました。JBTの時は回線が早々にパンクしてしまいましたが、今回のコンクールではそういったことはありませんでした。ただ、やはりそれぞれの更新時期がまちまちで順位を正確に把握するのは難しかったです。グランボアではこのGPSとグーグルの位置情報サービスをライダーと共有して2重で位置確認をしながらサポートしていました。
スタート
【サポート】
事前に打ち合わせた予定では前野の目標タイムは60時間。だとすると18日午後5時にスタートすると予想ゴール時間は21日の未明ということになる。これは大変!それにペッタリくっついてサポートしていたのではこちらが参ってしまう。ライダーが疲れる後半のサポートに重点を置くためにも、私たちは午後5時のスタートを見送ってからいったん宿泊地に戻って仮眠をとってから約360キロ地点にあるコントロールポイント(Tinteniac)で最初のサポートをすることとしました。その次はドライバーをもう一人確保するべくルートをそれてサポートに合流してくれるJPを迎えになんと160キロ先のAnjouへ南下。それから300キロ先の次のサポート予定地(CARHAIX-PLOUGUER)へ向かったのでした。今回のサポートで車は恐らくトータルで2000キロ近く走りましたよ。。。
-360km TINTENIAC- 19日の未明から朝にかけて待機したタンテニアックコントロール。
日本ではほとんど見かけることのないベロモービルが結構PBPを走っていました。しかも速いんですよ。ビックリしました。
-521km CARHAIX-PLOUGUER- 19日の夕方、カレ・プルージェコントロール。
車を飛ばして何とか一足先にコントロールに到着していた前野に会うことができました。
そて、次はいよいよ折り返し地点のブレストですが、町が大きく複雑なこともあり、フランス人の友人のアドバイスからブレストでのサポートはせず、次のサポートは再びこのカレ・プルージェですることとしていました。ですが、一応念のためブレストでもホテルを確保していたのでサポートもブレストに向かい、夕食と3時間ほどの仮眠をとることとしました。
車でもこの海が見えたときは感動です。自転車ならなおさらでしょうね。
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-693.5km CARHAIX-PLOUGUER- 復路のカレ・プルージェコントロール。
夜明け前の4時前から前野の到着を待っていましたが、予定より少し遅れ始めていました。ブレストへ向かう人、パリへ戻る人、いろんな自転車、様々な国籍の方、老若男女、絶え間なく行きかう交差点に立っているとちょっと不思議な感覚。あれ?ここってどこだっけ。。
-783km LOUDEAC- ルディアック、町が動き出す前。
カレ・プルージェからルディアックまで90キロほど。自転車だと4-5時間ほどかかりますが、車だと1時間で移動できます。ですのでルディアックには早めに入って車で仮眠をとりながら前野を待っていました。ブレストへ向かう人、パリへ戻る人、ここでリタイアしてしまう人。ずっと、夜明け前の街を眺めていると自転車だけでなくこのような2台ペアのバイクを時々見かけるのに気が付きました。自転車の小さなグループを見つけてはそれらを守るように追走するそうです。他にも間違いやすい交差点などにも始終ボランティアが立って道案内しています。参加人数も桁外れですが、このボランティアの数もすごい数なんでしょうね。
-869.5km TINTENIAC- ライダーと会えなかった復路のタンテニアック。
明るくなって調子が上がった前野はサポートが昼食をとっている間に先に行ってしまいました。
-923.5km FOUGERES- 美しい古都、フージェール。
ALOUETA(FR)
ROSSEMAN CYCLES(USA)
CYCLES GRANDBOIS(JP)
昼間は前野の走りはとても良い。夜間に先んじていた他チームに追い付く勢いです。食欲もあり、トラブルもなく順調に距離を伸ばしていました。
-1012km- VILLAINES-LA-JUHEL ここから先は未知の領域。ヴィラネラジュエル。
ROSSEMAN CYCLES(USA)とCYCLES GRANDBOIS(JP)一緒にコントロールにやってきました。
18日にランブイエを発ち、1000キロを51時間ほどで走ってきました。ここから先は前野にとっても初めての距離になります。しかも3回目の夜が迫っていました。あと200キロ。これまでのペースだとほぼ目標通りの61時間でゴールできるはず!一緒にコントロールにやって来たロッスマンサイクルのハーンが早々にこのコントロールをスタートするのを見送りながら、夜に向けて少し長めの休憩(1時間ほど)を取り、日が沈んだころ次のコントロールに向けてスタートして行きました。ただ、スタートする前にトイレに行った前野が30分経っても戻ってこない、アタフタと戻ってきた彼に聞くとトイレで寝てしまったとの事。後から思えばここでもう少し、数時間でも仮眠をとるべきでした。目標タイムに届く走りができていただけにライダーもサポートも無理を選んでしまいました。よーく考えれば3日間も寝ずに走りとおせるわけが無いのですから。
***
このコントロールではAグループでスタートしたCYCLES VICTORにも会うことができました。今回はそれほど飛ばしてはいないようでしたが、2015年のPBPでは1200キロを50時間以内で走り切った実績を持っています。今回、彼からサポートのコツなどをイロイロ教えてもらいました。彼らはまだまだ元気でまだ明るいうちに次のコントロールに向けてスタートして行きました。
目を引く華やかなウェアと自転車のコーディネイトがとても素敵でした。
ウェアといえば。。。
Rossman Cycles のハーンが着ているこのウェアのモチーフは自国のアメリカの国旗とパリブレストパリが開かれるブルターニュ地方の紋章のミックスになっているパリブレストパリの特別デザインです。そして、その一部に来日した時の日本の思い出が盛り込まれているというとても複雑で面白いデザインになってるんですよ。写真?その部分撮れてないんだよね。。。答えは熊。ブルターニュの紋章とアメリカ国旗、そして熊。あー、、ますます見たいよね。スミマセン。
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-1097km- MORTAGNE-AU-PERCHE 待ち続けた10時間。モンタンオーペシェ。
ヴィラネラジュエルからモンタンオーペシェまで85キロ。普通だったら5時間もかからないはずなのですが、サポートにとってもライダーにとってもこの区間が最も辛い区間となりました。車での移動は1時間ほどですのでずっと車内やコントロールの中の休憩所で待っていたのですが、GPSを見ていると40-50キロほど進んだところでパッタリと動かなくなってしまったのです。夜中の気温は数字は確認していませんが、持っていたダウンのジャケットを着ていてもまだ寒いくらい。「まずいなぁ。」と親方と話してリタイア覚悟で迎えに行ってみるか、と思った矢先にGPSが動き出す。そして、また止まる。そうかと思えば、「あ、道が違う。間違ってる。」と親方。なかなか近づいてこないその点をただただ祈るような気持ちで夜通し見つめていました。先にも少し書きましたが、サポートカーとして登録した車はコントロールポイント周囲5キロまでしかコース上に入ることはできません。やっとその点がコントロールまで2.4キロとなった時、また動きを止めたので車で見に行きました。ですが、草むらや人家の庭先などをのぞいてみましたが姿はなく、そうこうしている内に夜明けを迎え、前野は私たちが探しに出ている間にコントロールにたどり着いていました。ホッとしました。やっと会えた時、ちょっとボーとした様子でしたが、怪我も無く、しっかり食事もとれました。ですが、この区間のことはほとんど覚えていない、断片的なシーンしか覚えていないと彼は言いました。
-1174.5km- DREUX ここを過ぎればゴールまで45キロ!
前の区間で意図せず眠ることができたおかげですっかり調子を取り戻しました。それ以上にこれまでで一番足が回ったとのこと。驚きます。26歳の回復力はすごいですよね。。あとはゴールのランブイエ迄45キロ。油断せずに走るだけです。
-1219km- Rambouillet ゴール 69時間16分
やったー。
【走行後車検】
ゴールして間髪いれずにコンクールの最後の課題です。1200キロ走り終えて、手がしびれたりしていないかをチェックするために新品のピクルスの蓋を開けるよう指示されます。
問題なし。
さらに硬いサラミを薄ーく切るよう命じられます。
もちろん問題なし。しかも、前野は手がしびれないことをアピールするためにゴール100キロ手前から手袋を外していたそうです。グランボアに乗っていて「手なんかしびれた事は無い」ですって。フランスならではのチェックで楽しかったです。
そして、車検。
まずは、GPSをはずして。。。
ちゃんと変速するか、ライトはつくか、ブレーキは利くか、各所にガタはないか、タイヤに問題は無いか、ひやひやするほど念入りにチェックしていただきました。
結果はペダルに少しガタがある程度との事で問題無しでした。すごいですよね。走行中も自転車はパンクも無ければトラブル無し。全くノーメンテナンスで走りきったのですから。
ところで、この車検係の方たちも各チームが走っている間は同じようにコースに出て、撮影したりして、同じように大変だったはず。お疲れさま!
さて、翌日に発表されたそのコンクール結果は。。。
1位 VICTOIRE CYCLES(FR)
2位 PECHTRAGON(FR)
3位 ROSSEMAN CYCLES(USA)/CYCLES GRANDBOIS(JP)
めでたくロッスマンサイクルとシェアする形で総合3位を頂きました。ただ、得点などは公表されませんので詳細は不明です。親方が後ほど解説してくれるはずですのでそちらをお楽しみに!
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こちらはコンクール終了後に製作されたショートムービーです。残念ながらグランボアは最後の0.1秒くらいのカットに入ってるか入ってないかというくらいしか登場していませんが、6分ほどでとても良くできていますのでぜひご覧下さい。
8月14日(水)
夕方フランス着。
レンタカーを借りて早速サンジェのお店へ。そしてそのままオリビエと夕食を共にしてからㇾバロワで一泊しました。翌朝はエルネストのお墓参り。お盆だしねぇ、なんて言いつつ朝のお散歩。
8月15日(木)
午後、スタート地近くの連泊予定のレンタルハウスへ移動しました。早速コンクール本戦車の組み立てを済ませ試走へ。前野は5時ごろから走りはじめて2時間半で70キロほど走って帰ってきましたよ。この時期フランスは夜8時くらいまで明るいので助かりました。
本番と同じように試作のバッグをつけて走るのはこの日が初めてでした。ようやく形になった本戦車に嬉しそうです。試走から帰ってきた前野は「今までで一番いいです。すごく走ります。」と。
よしよし、後は本番を待つだけだね。
8月16日(金)
この日からコンクールのプレゼンがフランスチームから始まりました。予定では30チームが参加する予定でしたが、リストには29チームしかありません。8/16は15チーム、8/17は14チーム、8時30分から30分おきに順次行われました。呼び出しは特にありません。決められた時間の少し前に指定された場所に出向くだけです。プレゼンが公開されるようならぜひ見てみたいと思っていましたが、審判へのプレゼンは非公開でした。
ですので、前野は朝から予備車の用意を整え終日コースの下見へ。
どんなコースを走ったんだろうね。あとで本人にレポートしてもらいましょう。
グランボアではこのようにコンクール本戦用と予備車の2台を用意していきました。万が一、コンクール用の自転車にトラブルがあったとしても、せめてパリブレストパリには出走できるようにと考えていました。親方はこんな時はとても用心深いんですよ。
そして、サポート隊は買出しと会場の下見、そして取引先へのご挨拶。
おなじみサンジェ。
オリビエも元気です。
こちらはイデアルのスタンド。
JBT用にすでにチタンレールの軽量モデルは送ってくれていたのですが、色がより合うようにと黒のバージョンも作ってくれていたのです!この日出来立てのスペシャルサドルを渡されて、前野はなんと新品の革サドルでパリブレストパリを走破しました。前野のお尻がすごいのか、イデアルがすごいのか。。。革サドルはなじむまでが大変でと思う方もいらっしゃるでしようが、いくつものイデアルのサンプルサドルを使わせてもらっている前野にとってイデアルの新品サドルは特に警戒するものではありません。革はしっかりと厚いのに本当になじみが良く快適に体を支えてくれます。しかも、このチタンレール、アルミのクロワッサン、アルミリベットのスペシャルモデルの重さはなんと350グラム! Good job! IDEALE!
【懇親会】
その日の夕方はコンクールマシンを運営するAAC(Association des Artisan du Cycle)主催の懇親会がありました。
AACは日本語に訳すと自転車製作者協会でしょうか。このコンクールは最初1ショップがけん引する形で始まりましたが、今回から本格的にこの協会を発足させ、ハンドメイドの自転車を製作するビルダーやショップなどかが会員となり、フランスの自転車産業の発展を目的にコンクールを運営するようになりました。今年でこのコンクールも4回目。グランボアはそのうちの2回に参加したわけですが、自分たちに置き換えると自分たちの技術やアイデアをさらに深く考えて磨き上げる良い場になっている事に間違いありません。いろんな考え方があり、いろんな思惑もうごめいている中、勝ち負けにこだわりすぎず、ただ真剣に正直に取り組むことがコンクールを面白くするカギだと信じています。
地元のサラミやチーズ、手作りのお惣菜、パン、ワインなどが並びました。楽しかった。この手作り感がイベントを優しくしているように思います。因みに私たちはあられなどが入った小袋の所謂「酒のアテ」をお持ちしました。このパーティ、全てのチームが参加していたわけではありません。やはりまだ本番を迎えていない中、私たちも小一時間ほどで退席しました。
8月17日(土)PBP前日
【PBP車検+サポート登録】
PBPの車検と出走登録はスタートが始まる前日から始まって2日間にわたります。雨の中自転車を押す人たちの長い列ができました。混雑する前にと考えて早くから出かけましたが既にいっぱいです。
日本からの参加者は400名ほどとの事。1200キロ走るだけでもすごいのに、ほとんどの方がお仕事をされながら、機材も、SR獲得までの費用や時間の調整も、フランスまでの旅行の段取りも、会場までのアクセスも、ぜーんぶ自分でされてここまでこられているわけですから本当にすごいなぁと思います。しかもこちらの方たち、パリブレスパリのコース以外にモンサンミッシェルにも足を延ばしたいんだと意気込んでいらっしゃいました。行けたのかな。。
「賞味期限じゃないよ!期限はまだ切れてないから!」
真剣過ぎない、この抜けた感じにスタート前にいっぱい笑わせていただきました。ありがとうございました。
さて、車検会場はコンクールマシンの展示スペースと併設する形となっています。奥に見える水色のTシャツを着た方々が車検のスタッフの方たちです。
これならPBP参加者は目にしやすいようですが、残念なことに車検会場の入り口とコンクールマシンの展示スペースとは別の入り口になっていて、多くのPBP参加者は横目で見るだけで車検会場を後にしていたように思います。特にこの日は雨でコンクール用のスペースにはこの建物の裏側の雨でぬかるんだところを通らなくては入れないようになっていました。ただ、PBPの参加者がみーんなこのスペースになだれ込んできたらそれはそれでパニックですけどね。
車検が通れば出走登録をして記念品とともにGPSつきのリストバンドとブルベカードが渡されます。
それにしてもすごい数です。
車でサポートする場合はその後ライダーの登録番号とともにサポートカーも登録する手順となっています。
サポートカーの証のステッカー。このステッカーをつけた車はコントロールポイントの周囲5キロの範囲であればコース上でサポートする事が可能です。ただし、それ以外の場所でコースに入れば1回につき2時間のペナルティがライダーに課せられます。2回だと4時間。なかなか厄介なルールです。
【CdM車検+審判へのプレゼンテーション】
グランボアのコンクールの車検とプレゼンテーションはこの日の11時からでした。こちらは更に奥まった場所でしたので通りがかりの人はほとんどいません。だけど、熱心な方々が何人か見に来てくださっていましたよ。
今回の課題に対するグランボアのアプローチを説明し、重量をチェック。ギャラリーはスタッフ3人+10人ほどですが、オープンで行われました。
次は審判に対してのプレゼンです。雨の中順番待ち。
ここはクローズの状態ですが、写真の撮影などは制限されませんでした。事前に審判には日本の方が入ると聞いていたのですが、実際にはいらっしゃいませんでした。7人の方が審判としていらっしゃったように思います。
ライトの説明時には皆さん前に出てこられて熱心に聴いてくださいました。
なかなかの好感触。
【撮影-展示-一般投票】
プレゼンが終わればそのまま展示スペースへ移動してその一角で写真撮影。
そして、ようやく展示。
展示は朝からでしたが、上記の理由からグランボアが展示できたのはCdMのプレゼンが終わった正午ごろからでした。この展示会で一般投票を募り順位が発表されています。何台か抜粋して展示車両アップしますね。
ALEX SINGER(FR)
GILLES BERTHOUD(FR)
CYFAC INTERNATIONAL(FR)
VICTOIRE CYCLES(FR)
CYCLES VICTOR(FR)
ROSSEMAN CYCLES(USA)
TAILLEFER(FR)
THOMPSON CUSTOM BICYCLES
PECHTRAGON
ATELIER DES VELOS(FR)
ALOUETA(FR)
ASCENSION CATTIN(FR)
VAGABONDE(FR)
ERNEST CYCLES(FR)
ISEN WORKSHOP(GB)
MARTIGNAC(FR)
SEREN BICYCLES(DE)
PETIT BRETON(FR)
CYCLES ITINERANCES(FR)
GUILBAUD(FR)
RMAN CYCLES
CYCLES PIERRE PERRIN
CYCLES GRANDBOIS(JP)
投票は一人3チーム選ぶことになっていて、1位3ポイント、2位2ポイント、3位1ポイントとポイントが与えられ、順位が決まりました。その結果が以下のとおり。
1er – ERNEST Cycle
2e – Victoire Cycles
3e – PechTregon cycles
4e – Jean-Sébastien Guilbaud
5e – Cyfac Bicycles
6e – Thompson custom bicycles
7e – Berthoud Cycles
8e – Rossman
9e – ADV Paris
10e – Taillefer
さて、いよいよ明日はPBP。午後5時スタートです。
長らく留守にしていてすみませんでした。帰国して山積みの仕事を何とかかたずけて少し落ち着きました。
あの台風10号が上陸する前日に渡仏して、「一日ずれてなくて良かった。ラッキー!」なんて思っていたら、フランスに着いてからもPBP出走前日までは雨だったのに、スタート時には雨は上がったりして、今回はお天気が見方をしてくれました。おかげで初参加したPBPも途中DNFが頭をよぎる時間もありましたが無事に完走することができ、そして、グランボア2度目のコンクールマシンではエントリー29チーム中、見事総合3位をいただくことができました!!!
たくさんの応援とご協力に心から感謝申し上げます。日本とフランスとの時差は7時間、ちょうど現地での夜間や明け方のつらい時間帯にSNSを通して応援メッセージが届くのでとても励みになりました。ありがとうございました!
2019年は年明けからこの日を目標にライダーの前野とメカニックの伊藤と共に取り組んでまいりました。特に前野は4年に1度しかないPBPの出場資格を得るために年明けからブルべのスケジュールを組み、気の休まらない日を過ごしてきたことと思います。また、伊藤につきましては昨年の夏に退職した野田店長の代わりを務めるべく製作に携わり、私たちが留守にする間は一人で店を切り盛りしてくれました。この2人がいてくれたおかげで私たちはこんな大きな挑戦を果たすことができましたし、結果も残すことができました。あらためて2人にも心からお礼を伝えたいと思います。ありがとう。また、今は育休中の店長代理のなっちゃんこと、古市も大いに応援し、留守を守る伊藤を助けてくれました。ありがとうね。
今回のコンクールはフランスのスポーツ新聞、そう、あのレキップでも記事になり、グランボアのことも紹介してもらっています。もちろん、フランス語ですが、嬉しいコメントをもらえましたのでぜひご覧下さい。レキップベロマガジン
グランボア OYAKATA 2019CdM/PBPモデル
6月のJBTが終わってから約2ヶ月でコンクール用の自転車を仕上げたわけですが、親方はお客様からの仕事もこなしながら時間外でフレームを仕上げ、オールメッキの下処理、キャリアやオリジナルパーツや小物の製作、軽量化、漠然としたそれぞれのアイデアを一つ一つ形にしながら試走ができる段階までに組みあがったのは渡仏一週間前でした。前野がその仮組状態のコンクール車を140kmほど試走して問題がないことを確認してからフレームと泥除けに仕上の線引きを施し、本組をしています。この過密なスケジュールに臨機応変に対応してくれた鍍金屋さんやグランボア専属で塗装を引き受けてくださっているEDO、毎週土曜日におしゃべりがてら来店くださるTさんにも様々な加工でお世話になりました。ありがとうございました。
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【パリブレストパリ】
フランスのパリからブレストまで往復する1,200キロを決められた時間内で走りきるといもの。1891年に最初に開催され、現在でも継続されている世界最古の自転車イベントで今年は19回目です。計算が合わないのは開催期間が一定ではなかったため。初期のころは10年前後で1度開催される不定期のプロのレースだったようです。7回のプロのレースを経て、1951年から一般のサイクリストが参加できるラリー形式となり、5年に一度の期間もあったりしながら今の4年に一度に定着したようです。スタート地点も昨年まではパリ郊外のサンカンタンイヴリーヌでしたが、今年からパリから西に30キロほど離れたランブイエとなりました。33年前に第1回先進国首脳会議、ランブイエサミットが開かれた場所で、大きすぎない素敵なお城があり、それに付属する牧場があり、森があり、庭があり、池があり、自然豊かなとても美しい所でした。今年の参加者は公式ホームページによると6,673人。スタッフやボランティア、サポートや観戦に来られる方も入れるとすごい数の人が世界中から集まります。それがレースではなく、最長で4泊5日間にも及ぶサイクリングイベントだというところが面白いですね。
ちょっと、また長くなりそうです。
今日はここまでにしてコンクールの流れについてはまた後日アップいたします。その他、グランボアのコンクールマシンの細かな解説や他のコンクール出走車両については後日親方が、パリブレストパリとコンクールマシンのインプレッションについては前野がこれから記事にしてくれると思いますのでそちらをお待ちください。
それでは、続く~。