アイズの独り言>

1月末に壱岐対馬に行ってまいりました。

壱岐対馬は古くから大陸との交易の拠点とされた一方、その地理的位置から軍事的に大きな影響を受けてきた地でもあります。地図で対馬を見ると韓国との近さを実感します。釜山まで50km程しか離れていません。対馬と釜山間には高速船の定期航路が存在し、多くの韓国人観光客が対馬に訪れています。

壱岐対馬へは博多からも定期便が出ていますが、今回は大陸から文化が入ってきた頃と同じように釜山から博多へ目指すプランを計画しました。

 

【使用五万図】

佐須奈、三根、仁位、厳原、勝本

*五万図とは国土地理院発行の1:50000地形図のことです。

 

1日目行程】 

釜山→JR九州ビートル→比田勝(対馬)→自転車→厳原

 

 


1月27日、輪行袋を担いだ私は釜山港にいました。

予約しておいた比田勝行き〈ビートル〉はJR九州が運航する定期便ですが、他に韓国資本の〈未来高速〉と〈大亜高速〉も対馬・博多行きの航路があり、国際ターミナルは日本へ渡航する韓国人旅行者であふれていました。

午前9時、ビートルが出航しました。定員200人のジェットホイルはほぼ満席でしたが、日本人は一人だけだったようです。テレビに映る対馬の観光PRビデオを見て約1時間。比田勝港に入港しました。

ターミナルで税関の方とお話ししましたが、やはり日本人の利用者は少ないそうです。

 

ターミナルでランドナーを組み立て出発します。日本の島では奄美大島に次いで面積が広い対馬は山がちな地形です。小ぢんまりとした漁村は峠で繋いであり、長崎県道39号はアップダウンが続きます。

漁村から海を眺めると入り江の先に離れ小島がぽつぽつと浮かび、穏やかな風景にペダルを漕ぐ脚も軽くなります。

 

 

 

舟志川から東に入り、静かな林道を超えると茂木の集落に入ります。

ここの浜辺は1905年に茂木浜沖で繰り広げられた日本海海戦で撃沈されたバルティック艦隊のロシア兵が上陸した地であります。ロシア兵を発見した島民は救助にあたり食事や焼酎でもてなしたそうです。

誰もいない海水浴場の脇には記念碑と、後に引き上げられた巡洋艦ナヒモフの主砲が鎮座しています。美しい海水浴場に不釣合いなその大砲は、ここに据えられた理由を知る由も無いでしょう。

 

 

 

 

昼食に志多賀の商店で買った弁当を食べ、万関瀬戸へ向けて南下します。対馬は元々一つの島でしたが、軍事目的で山が開削され南北に二分されました。

橋の上から明治33年(1900年)に開削された運河を見渡すとその規模の大きさに驚かされます。

 

 

 

国道から東へ逸れて、緒方の集落を抜けます。かつては軍道だった険しい山道を登ると天空の要塞と称される砲台跡が現れました。姫神山砲台跡です。

日本と大陸の中間に位置する対馬は国防の最前線として明治20年(1887年)より30ヶ所を超える砲台が建設され、島の要塞化が進められました。

明治34年(1901年)竣工の重厚感のある赤煉瓦がもの寂しく残され、不気味な雰囲気が漂っています。観測所に登ると見事な展望で、対馬海峡の美しい景色が一望できます。

 

 

日暮れが近づき急ぎ足でペダルを回します。厳原のホテルに到着しました。宿の方のご厚意でシャッタ付の倉庫にランドナーを置かせてもらいました。

 

 

*****

2日目行程】 

厳原→九州郵船フェリー→芦辺(壱岐)→自転車→郷ノ浦→九州郵船フェリー→博多

翌日はフェリーで対馬を離れ壱岐島に上陸しました。博多行きフェリーの出航まで壱岐ツーリングを楽しみます。

 

 

 

 

 

 

 

 

「寒かけんポッケに入れていけ」宿のご主人に頂いた缶コーヒーでポッケを膨らませ厳原港へ。8時50分発の〈九州郵船フェリーちくし〉は壱岐島の芦辺港を目指します。

対馬海峡にはイルカやクジラが多く生息していると聞いたので、コーヒーを飲みながらデッキで海を眺めていましたが見つけることはできませんでした。芦辺港に入港し車両甲板で上陸を待ちます。

 

 

 

 

芦部から西へ進み鬼の窟呼ばれる古墳に寄りました。一帯は6世紀後半の大規模な古墳群をなしています。遺跡からは新羅産の遺物が多数出土されるなど、かつて壱岐がアジアとの交流の要所であったことがうかがえます。

さらに西へ進み昼頃には湯本温泉に到着しました。土産屋の壱岐娘に勧められた平山旅館で入浴することにしました。ここの温泉は神功皇后が産湯に使ったとの伝説が残された歴史のある温泉だそうです。褐色の熱いお湯に旅の疲れも癒されます。

潮風が爽やかな海岸線を走り抜け、次に訪れたのが猿岩。全国各地にこの類の岩が存在しますが、今まで見た中で一番リアルでした。岬の草原からは岩を間近で見ることができます。

 

 

 

 

猿岩の近くには黒崎砲台跡があります。黒崎砲台は壱岐要塞の一つとして対馬要塞とともに対馬海峡防衛を目的として昭和8年(1933年)に竣工しました。

ここに据えられた砲台は、巡洋戦艦赤城の主砲が砲台砲塔に転用されたものであり(諸説あるようです)、35kmという射程距離から東洋一の砲台と呼ばれたそうです。一度だけ試射されましたが実戦で使用されることはなかったそうです。

 

 

 

海岸沿いのアップダウンを南下しフェリーの出航まで時間があるので牧崎に寄ることにしました。牧崎は海岸浸食によってできた大穴が岬の草原の中にあり観光スポットになっています。解放感のある草原は穏やかな空気が流れています。

 

郷ノ浦港へ一気に下ります。午後5時45分〈九州郵船フェリーきずな〉は博多へ向けて出航しました。風が吹き付けるデッキで缶コーヒーを握りしめ、うす暗い海を眺めます。旅が終わります。

大介店長 (2018年退職)

2月も残りわずかですね、拓未です。1月、2月と朝サイができない日が続いていますが、2月4日に昨年卒業しましたサイクリング同好会の4回生の追い出しランがあるということで、参加してきました!追い出しランとは、卒業を間近に控えた4回生と最後に走ろうという趣旨のもと行われているのですが、現役生だけでなく、会のOB・OGも数多く参加します。もちろん同好会の大御所である親方は参加していないのがごく数回というほど追い出しランに参加しています。親方、大介店長とOB枠では参加が初めてな自分と同期であるチョコ君の4人で参加の予定でしたが、親方は仕事の都合がつかず、断念。なので、3人で参加させていただきました。

 

 

 

 

 

仕事終わりに初日の宿へ。到着したときは、暗くて見えませんでしたが、朝になり、駐車場には無数の自転車が姿を現しました。部員の多くがランドナーに乗っています。4月、5月のアイズには多くの一回生が自分の自転車を自分の手で組んでいる姿が見られます。

 

 

 

 

行程は三重県鳥羽市から志摩市を結ぶパールロードをメインとした約44㎞。

行先は同好会の4回生が好きなようにルートを組むところからも、4回生のためのランであるということがわかります。

 

 

宿→県道514号線→県道61号線→県道128号線(パールロード)→県道750号線→国道42号線→宿

 

 

朝の9時過ぎ、宿を出発します。

 

 

パールロードに合流するまでは、なるべく車が通らないような道を進みます。

 

 

 

肝心のパールロード。少し車通りが多い気もしましたが、天気が良く、気温も自転車を漕ぐには最適と、大変気持ち良く走れました。

パールロードは平成18年までは有料道路でした。現在は無料化されています。

 

大介店長もご満悦。

 

初日の宿まで自走してきたチョコ君は少しお疲れ気味!?

 

 

 

全体的に急な上りや下りがあるというわけではなく、緩やかな上り下りが繰り返しやってくるという印象でした。今回は志摩市から鳥羽市と、南から北へ海岸線を走ったため、海が向かって右側に見えたので、北から南へ走るルートを組まれると、より海を傍に感じながら走ることができるかもしれません。ですが、今回のルートでも、海に飛び込んでいくような迫力ある下りがあったりと、見所は多々ありました。

 

 

 

 

昼食は鳥羽展望台にて。食堂スペースもあります。

 

 

 

学生たちは12月、1月とオフの期間があるため、この追い出しランは久しぶりの大勢で走る行事。皆楽しそうに走っていました。先頭より先廻りして皆の写真を撮りたかったのですが、先頭集団が早すぎて、追いつけませんでした。もっと走らねば・・・と痛感しました。

 

 

 

 

服装もそうなのですが、学生たちの自転車はすごくカラフルです。アイズバイシクルでは、自分の好みの色でフレームを染めることができるので、より自転車に個性が出やすいのです。個性が強すぎて、自転車の色で誰の自転車かわかってしまうのはここだけの話です(笑い)

 

 

 

現役生の皆さん、運営お疲れ様でした。天気にも恵まれ、大変心地の良い時間を過ごせました。大勢で走るのはやっぱり楽しいですね。

懐かしい顔ぶれに会うことができましたし、OB・OGにとっても大事な行事だと思いました。来年がまた楽しみですね。

4回生の皆さん、おめでとう!

takumi

10月に入り、グッと秋らしくなってまいりました。サイクリングには良い季節ですね。

2週間前のお休みに、お天気良いのを確認して、大分県は久住高原まで1泊ツーリングしてまいりました。流石に九州は車で弾丸するのはツライ。。だけど九州にもいってみたい。。そこで、新幹線と九州の鉄道網を駆使して、カーサイと変わらない「良いとこ取りツーリング」してきましたよ!

 

【往路】
JR京都駅(発7:20)→新幹線ひかり491号→小倉駅(着9:56/発10:09)→特急ソニック11号→大分駅(着11:38/発11:58)→九州横断特急64号→豊後竹田(着13:01)→自転車→宿(標高853m地点)

 

 

自宅からの電車移動、概ね6時間を経て、昼過ぎに豊後竹田の駅に降り立ちました。

駅の到着メロディとして流されている「荒城の月」を背に、すぐ右に折れ、飛田川沿いを緩やかに上って行きます。4-5%勾配の2車線道路は走りやすいのですが、その分、 スピードを出した車も結構走っていて、油断できない道でもありました。 天気は良く、日差しはまだ夏を感じさせるほど。季節は京都と比べるとちょうど1ヶ月遅れといった感じで、田畑を見れば黄金色の稲穂は収穫直前で美しい盛りでした。緩やかに上る、見晴らしの良い高原道路はハイシーズンの週末などはさぞかし賑わっているのでしょう。ですが、この日は阿蘇山の噴火が報道されてちょうど3日目。直前まで行くかどうか悩んでいましたが、勢いで決めました。

噴火だけではなく、今年の4月におきた熊本地震の影響をそこかしこに残すやまなみハイウェイを1泊2日で大人旅してまいりました。

 

 

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自宅を出発したのは朝の5時半。電車4本乗り継いでの輪行三昧スタートです。親方、未だ眠そうです。

 

 

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大分駅。九州に入ると車両の色が本州とは違っていて新鮮です。

 

次の列車は真っ赤な車両の九州横断特急64号。

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「かあちゃんの幕弁」。ワンコインのこのお弁当、とっても美味しかったです。

 

 

豊後竹田の駅にも予定通り到着。

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「はーるーこーろーのー。。」に見送られていよいよツーリング開始です。

 

 

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残念ながらこの日は久住山は雲の中。

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スピードを出した車が時折走る2車線道路をできるだけ避けて旧道を走ります。そのほうが遠回りでも良い景色と出会える確立は格段に上がります。

ですが、緩やかですが、走り始めてからずっと上り坂。30キロ弱の距離でしたが、終盤かなり堪えました。。。

 

 

 

 

それでも、ようやく、この日のお宿があそこに!

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なんとか夕暮れまでに辿り着けました。

 

【STRAVAデータ】

走行距離 26.9km

獲得標高 880m

走行時間 2時間34分 (寄り道含まず)

 

 

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【複路】

宿(標高853m地点)→自転車→湯布院駅(発16:06)→JR久大本線→大分駅(着17:01/発17:10)→特急ソニック50号→小倉駅(着18:37/発18:49)→新幹線のぞみ62号→京都(着21:16)

 


2日目の朝。高原に面したバルコニーから賑やかな鳥の声が聞こえてきます。そっと外に出てみると鳥の姿はいくつも見つけられませんでしたが、朝霧に包まれた広大な景色に息をのみました。これまで訪れたことのある南仏にも、イタリアはトスカーナにも決して劣らない、堂々としたすばらしい景色!

「あー、思い切って来て良かった」

いつもより高めの交通費や宿泊代も大目に見れるほどのものでした。

 

 

大きなリゾートホテルの宿泊客はこの日はたったの5組との事で、お部屋がバルコニー付にアップグレードされていました。

そのバルコニーからの景色がこれです。

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祖母連山でしょうか。

 

 

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レゾネイト久住

今回のコースで駅からの距離がちょうど良かった。健脚の方なら5キロ先にももう一軒、更に10キロほど行くと国民宿舎もありましたよ。

 

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この日はお天気も良く、久住山もバッチリ姿が見れました。

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そして、しばらく行くとこちらも朝もやに浮かぶ阿蘇山が!

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うっとり。

 

引くとこんな感じ。

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阿蘇五岳。左手の根子岳をお顔にお釈迦様に見立てて、涅槃像とも言われるそうです。

 

 

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標高を上げてもずっと見えていますよ。

 

そして本日の最高点。

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牧ノ戸峠。

 

 

それにしても自衛隊の車両の多かったこと。

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追い越しは紳士的でしたが、やはり大きな車両が横を通るときはちょっとドキドキ。。

 

 

やまなみハイウェイは親方が18歳のときに訪れた事があるんですって。

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その頃はもう少し見晴らしよかったと思ったけどな。。(親方)

そりゃそうですよ。もう、40年近く経つんですから、その頃植えた小さな木の苗も大木になっている年月ですよ!

 

 

 

途中、南由布院に抜ける脇道を下り、帰途に着きました。

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由布岳もきれいでした。

 

【STRAVAデータ】

走行距離 57.6km

獲得標高 1354m

走行時間 4時間 (寄り道含まず)

つちやはるみ

【国際航路にあこがれて】

一昨年のサハリンツアーで稚内―コルサコフ航路に乗船し、サハリンツーリングを経験しました。それ以降フェリーを利用したツーリングに旅情を感じ、旅の計画を模索するうちにウラジオストク航路の存在を知りました。

その名もイースタンドリーム号。

韓国のDBSクルーズフェリー社が運航する、境港を出港し韓国の東海(トンヘ)に一時寄港し、2泊掛けてウラジオストクを目指す国際フェリーであります。

このレポートは鉄道とフェリーでランドナーを運び、シベリアの大平原を走ろうとした男の話です。

 

 

 

【輪行して境港へ】

出発の朝、自宅より千本通りを下り、二条駅から輪行します。朝のラッシュ時間と重なりそうなので特急券を購入し、きのさき一号に乗り込みました。

 

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輪行袋は最後尾の座席の後ろに置くと邪魔になりません。

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10時頃城崎温泉に到着。時間に余裕があったので城崎温泉で途中下車し、一の湯に入浴することにしました。これも輪行旅行の楽しみの一つです。炎天下の中、大阪へビザを取りに行った事など旅の準備のことを思い出しながら湯につかり、旅が始まっている事を実感します。

 

12時頃真っ赤なキハ48は山陰本線を西に向かって出発しました。空はどんよりとしていて雨も降りだします。スプリングの利いた座席が気持ちよくて、うとうとしていると、気づいたら鳥取に着いていました。鳥取駅で下車し、今度は境港行のリムジンバスに乗ります。29人掛けの中型バスでしたが乗車したのは同行の友人と私の二人だけでした。

 

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境港国際旅客ターミナルに到着したのは日暮れ前。フェリーに乗船する人もさぞ少なかろうと思っていましたが、ターミナルは韓国人の団体であふれていました。定員480人の船に400人乗るそうです。韓国では有名な航路なのかもしれません。

 

受付で運賃2万4千円(内自転車運賃2千円)を支払い、船内に自転車を持ち込めるよう交渉しました。通常は預け手荷物扱いでコンテナに積まれるそうです。輪行袋を担いでイミグレーションを通り、桟橋からタラップを上がって乗船します。

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そして、定刻前に船は静かに出港しました。

 

 

 

【東海ポタリング】

船の受付嬢が部屋にやって来て点呼を取っています。時間は朝8時半頃。どうやら他の日本人を探しているようです。デッキに出ると東海の港町が見えていました。

 

やがて東海港に入港し韓国人から順番に下船します。我々も韓国に入国し、ターミナルで自転車を組み立て、出港までポタリングを楽しむことにしました。海沿いを北上し、東海市街へ向かいます。東海は東海岸の田舎町だけあって交通量も多くなく、右側通行であること以外は日本と同じように走れました。自転車道がある場所もあります。

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スーパーで刺身やカップ麺を購入してターミナルに引き返しました。市内には鍾乳洞があるそうですが時間がなく断念しました。今回は2時間ほどでしたが韓国の雰囲気を楽しめました。東海から上陸して韓国ツーリングをするのも面白いかもしれません。

 

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東海からは完成車のままフェリーに持ち込むことにしました。ランドナーをひいてイミグレーションを通過するのは緊張しましたが、特に問題はありませんでした。タラップからランドナーを担いで乗船すると車両甲板に案内してもらいました。中には中古のプリウスが沢山停めてあります。これからロシアで活躍するのでしょう。

 

晴天の中、船は東海港を離れていきます。東海は韓国海軍が置かれる軍港で、軍艦も多数みられました。船内を見わたすと乗客数は前日の半分以下になっていました。

明日はいよいよロシアに上陸です。

 

 

 

 

【ウラジオストクへ上陸】

デッキで大陸を眺めながら韓国カップ麺を食べているとウラジオストクが近づいてきました。「東方征服」という厳つい名のその街は、ボートで釣りを楽しむ人や海辺でくつろぐ人も見え、1958年から1991年まで軍事的な重要港として外国人は立ち入ることができなかったことなど想像がつかないほど穏やかで美しく見えます。着岸から1時間半程経ちようやく下船の指示が出ました。タラップから桟橋へランドナーをひいて下ります。ついにロシアに上陸しました。

 

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ウラジオストク港

 

東海の時と同じようにイミグレーションへ進みます。ガタイの良いお姉さんが灰色の大型動物を連れてきて、ランドナーと体の匂いを嗅がれます。お姉さんによるとおとなしそうに見えるそれはウルフだったそうです。

 

駅前のキオスク(ロシアでは小型商店を指します)で地図を手に入れ、ピロシキも買って食べました。ロシアのピロシキは具材が多様でひき肉のものやホウレンソウ、卵、ジャガイモ、サラダ入りなど、どれもおいしくいただけました。

 

ウラジオストクは長崎の様に坂の多い港町で、交通量もかなり多く自転車では走りにくいです。ひやひやしながらホテルにたどり着きチェックインをします。英語はほとんど通じなかったので苦労しましたが自転車を建物の中に入れてもらえるようにお願いしました。今回はアイロン部屋に置かせてもらいましたが輪行袋にいれて部屋に持ち込むという手段もあります。安い部屋でしたがテレビが2つもある立派な部屋で、設備は日本のホテルと変わりませんでした。街を散策し、夕食にレストランでポトフと5cmほど厚みのある焼鮭を食べました。豪快なロシア料理でスタミナをつけます。

 

 

 

【シベリア鉄道輪行】

朝食付きだったのでホテルのカフェで食事し、駅へ向かいます。国土の広いロシアは国内で時差がありモスクワとウラジオストクでは7時間の時差があります。鉄道の時間はモスクワ時間で統一されており、駅構内の時計もモスクワ時間を指していました。我々が乗る001番ロシア号は11時2分発でしたが切符には4時2分と記載されていました。

 

赤いベレー帽の車掌さんに切符を見せ乗車します。1等室のコンパートメントは輪行袋2つを入れても問題ない広さで特に気を使うことはありませんでした。定刻に列車が走りだすとパンやチョコレート、ジュースなど次々に出してもらい、更には立派な食事まで用意してもらいました。車窓からは海やシベリアの大平原がゆっくりと流れ大変優雅です。あっという間にウスリースクに到着し、車掌さんが呼びに来てくれます。わずか2時間だけでしたが夢のような時間でした。

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【ウスリースク】

水色が爽やかな駅舎のウスリースク駅に降りました。列車を見送り駅前で自転車を組み立てます。人慣れた犬がその様子を不思議そうに眺めていました。キオスクでウスリースクの地図を手に入れてホテルに向かいます。道も広くウラジオストクよりは走りやすいです。

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ウスリースクは中国、北朝鮮方面からの鉄道の合流点で交通の要所であり、またロシア陸軍の基地がある軍事都市でもあります。街をまわってみましたが調べていたとおり観光するような場所はなく、観光客の姿も見えませんでした。しかし、観光地化されていないリアルな街の様子がうかがえて私はその街並みに好感を持てました。

 

 

 

【シベリア大平原】

 

時計の針が10時40分を指しているのに気づき飛び起きる。到着が遅れることを覚悟しましたが、その時計の針は止まっていました。実際は7時前でした。ゆっくり仕度をして8時前には出発。玄関前にはホテルに泊まっていた高校生の団体が整列しており、彼らに見送られます。

 

街はまるで冷蔵庫のようにひんやりとしていて霧もかかっていました。これが大陸かと身をもって感じながら市街地を抜けます。交通量は極端に減り、路面もダート道(未舗装路)になりました。戦車でも走ったのではないかと思うようなガタガタ道や、ダイナミックな砂利道の丘を超えます。でもショックの吸収性がよいエートルタイヤが路面を捉えてくれるので大丈夫。ウテスノエの集落を抜けるころには霧も晴れてきました。

 

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更に丘を越え目指していた大平原に辿り着きます。思い描いていた果てしなく続く草原に感激します。開放感のある景色を眺めながら昼食にしました。心配していた野生動物も気配すら感じらません。いつまでも眺めていたかったです。

 

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草原を抜けるとシベリア鉄道の線路沿いに南下し、ラズドリノエで主要道路に合流しました。ウラジオストクからハバロフスクを通りモスクワまで続くその道は、まさに高速道路そのものでその脇を走ることになります。路肩は広くありますが舗装されているのは車道の白線までで自転車が走るのはダート道です。大型車の轟音が鳴り響く中ダイナミックなアップダウンが続きそれは過酷な道でした。アルチョームに入るころには慣れてきましたが、決しておすすめできる道ではありません。他に道の選択肢が無いので近郊列車で輪行したほうが良いと思います。

 

アルチョームの街は、花壇が多く綺麗な街でした。公園では子供たちが遊んでいて平和な空気に癒されます。ホテルの場所が分かりにくく迷いましたが、数人の街の人に尋ねてようやく辿り着きました。ロシア人は親切な方ばかりです。

 

 

【アルチョームからウラジオストクへ】

 

 

朝食にホテルのカフェでパンやオムレツを出してもらいました。出発の準備をしていると仲間の後輪がパンクしています。玄関の前でパンク修理をしていると、珍しいのか4,5人その様子を見に集まってきました。受付のお姉さんも煙草を吸いながら眺めています。チューブを交換して出発です。

 

脇にパイプラインが続く道を南に入り、ラズルナヤ方面に向かいます。ほとんど車が通らない道で、アスファルトの上を走ることができました。うっそうとした森の中を進みます。

 

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斜度8%の丘を2度3度越え、海が見えてきました。リゾート地ラズルナヤです。夏場はウラジオストクから海水浴やキャンプをしに多くの人が訪れるそうですが、平日だったせいかビーチは閑散としていました。丁度昼時だったので浜辺でパンを食べ、せっかくなので泳ぐことにしました。どこまでも遠浅の海は地中海のようで日本海とは思えません。クールダウンした所でラズルナヤを出発しウラジオストクを目指します。

 

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交通量がどっと増え道も悪くなってきました。薬品でもこぼしたのかアスファルトに沢山穴があいています。街に入ると車だけでなく歩行者も増え、時には自転車を押さなければなりません。大きな交差点では歩行者と同じように歩道橋か地下道を通りました。やはり自転車で走る街ではありません。街の中心にある中央広場で休憩してホテルに向かいました。

 

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入国した日には気づきませんでしたが中国人団体客や日本人観光客が目立ちます。現在ウラジオストクへは成田から直行便が出ていますので2時間で行くことができますし、気軽にヨーロッパの雰囲気を楽しむことが出来ます。ソ連崩壊から四半世紀経ち、観光地としての一面を見せるようになったウラジオストクは活気にあふれています。自転車には厳しい街でしたが鉄道輪行で郊外や地方に出たらまだまだ可能性のある国だと思います。

 

 

 

【旅の準備】

今回のシベリアツアーで必要とされた準備について紹介します。

1、ビザ申請

現在日本人がロシアへ渡航する為にはパスポートだけでなくビザが必要になります。ビザを取得するにはロシア領事館のオンラインフォームで事前申請し、バウチャーとパスポート、写真、申請フォームを領事館に持っていけば2週間で発行してもらえます。申請・引き取りは代理人でも可能だそうです。

 

2、バウチャー

バウチャーとは予約確認書のようなもので、現地での旅程(特に宿泊先)が記載された書類です。日本の旅行代理店でお願いするかロシアのバウチャー会社、或いはホテルのビザサポート(ホテル予約後メールで紹介があります)で取得できます。今回はホテルのサポートで取得しましたが、とても簡単でした。インターネットで宿泊先の情報を入力し、手数料をクレジットカードで振り込むとPDFファイルがメールに送信されてきます。料金は2千円程度でした。

 

3、ホテル

予約サイトBooking.comとホテルのホームページから予約しました。ホテルの場所やランクも自分で決めることができるので安心です。

 

4、鉄道、飛行機、フェリーの予約

シベリア鉄道はロシア鉄道のホームページから会員登録して予約することが出来ますが、今回はtutu.ruというロシアの旅行会社から予約しました。座席の指定も可能です。航空券は航空会社のホームページから、フェリーはフェリー会社に電話して予約しました。

 

5、地図

プランニング用に事前に東京のロシア書籍専門店から通販で購入しました。現地では駅前キオスクで最新のものが安く手に入ります。

 

6、装備

キャンプの予定がなっかたので最小限の着替えと、最低限の工具を準備しました。さらに路面状況を考慮して予備タイヤを持っていきました。グランボアタイヤは折りたためるのでかばんのそこに入れておくと安心です。*国内でしたらアイズから局止めかご宿泊先にお送りすることも可能です。

 

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ウスリースク駅にて

 

今回のツアーは輪行無しでは実現できませんでした。旅の可能性を広げてくれる輪行ツーリングに貴方も出かけてみませんか?

 

 

 

 

大介店長 (2018年退職)

今回のツーリングレポートでお客様から感想のほかにいろいろとご質問もいただいたのでちょっと旅のコツ的なものをまとめてみます。

 

【旅の装備】

5泊6日の荷物をフロントバッグとパニアバッグだけで運ぶとなると結構慎重に持っていくものを選ぶ必要があります。きっと、人それぞれ違うところではありますが、今回の私の荷物の中身を少しご紹介しますと。。。

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~フロントバッグ~ 試作品(グランボアフロントバッグ中サイズ相当)

工具一式、応急処置用医薬品、チューブ2本、ウィンドブレーカー長袖、極薄ウィンドブレーカーベストタイプ、タオル、日焼止めクリーム、リップクリーム、予備のサコッシュ、お財布、携帯電話、アイパッドミニ、補給食など。

 

~パニアバッグ~ ER用試作品(グランボアセパレートトパニアより少し小さめ)

雨具上下、3回分着替え、寝巻き兼寒い時用のアンダーウエア上下、化粧品、常備薬など。

ウェア類は半袖、薄手の長袖、長袖とし、なるべく薄くて軽い、速乾性のあるもの、寒いときには重ね着である程度対応できるものを選びました。そして、それらは下着や靴下などもまとめて、1日分づつジップロックに入れて圧縮。基礎化粧品はボトルではなく、試供品で溜まっていた物を日数分持っていきました。あと、インスタントのドリップコーヒーのパックや自分の好みのティーバッグなども少し。お湯を沸かす道具が無くても、お宿で自分の好きなものがあるとホッとします。それに、辺鄙なお宿ほど湧き水を使っていたりするので、コンビニで買ったドリップコーヒーが驚くほど美味しく入ったりするのです。

 

持ち運ぶときはこのようになります。

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ちなみに親方の装備はこれだけ。

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まとめるとこの形。

 

で、行きは私のパニアバッグと親方のパニアバッグとパニアキャリアは最初のお宿に宅配便で送っておきました。

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1日目はフロンドバッグと輪行袋のみでツーリング開始。身軽が一番。

バッグや装備品には宅配便を使うことはありますが、自転車本体を輪行袋に入れた状態で宅配することはお薦めしません。宅配便を利用する場合は箱でシッカリと梱包してお送りください。そうしないと傷や破損など、トラブルが付き物なのです。

 

 

 

 

*****

【飛行機輪行】

今回は2人ともERモデルでしたので、親方はロード320簡単輪行。私はカッチリ纏まるほうが好みなので昔から使っているホィール用ポケットの無いEMUで出かけました。

電車での輪行は慣れている方はたくさんおられますが、いざ、飛行機で輪行となると躊躇される方もいらっしゃいます。ですが、旅のプランに飛行機も加える事ができればグッとその幅は広がります。

 

EMUでの輪行姿。

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今回の航空会社は全日空、直行便でしたので輪行方法は列車時とほとんど同じ方法で行いました。少し多めに保護したのは泥除けの先端ぐらいでしょうか。ただし、写真ではフロントのエンド金具が嵌められていませんが、前後のエンド金具は必須です。

 

飛行機輪行で気を付けている点は次の通り。

1. 預け荷物のチェックの際は必ず係員さんに目視でチェックしてもらいます。エックス線のボックスに無理やり通そうとする係りの方もおられますので、その場合は「壊れる恐れがある」と伝えて、ファスナーを開けて中を見てもらいます。

2. 15センチ以上の細長い金属は機内持ち込みできません。必ずアーレンキーなど工具類は輪行袋などの預け荷物の中に入れて預けるようにします。うっかり持込荷物に紛れていると手荷物チェックの時に止められてしまい、最悪の場合それらの工具をその場で捨てていかなくてはなりません。

3. タイヤの圧は低めにして置かないと気圧の変化でパンクしてしまう恐れがあります。

4. 実際にカウンターで預けるときには必ず天地を変えないよう伝え、天地無用もしくは壊れ物のシールも貼ってもらいます。

 

 

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【宿情報】

今回利用したお宿は、石場旅館さん以外は親方がネットで探し出したたもの。結果的にどれも個性的ですが、また行きたい所ばかりとなりました。おススメです!

 

1日目 石場旅館

ご主人はサイクリストで近隣の林道などにも精通しておられます。また、英語だけでなく、フランス語も堪能で海外の方にもおすすめです。 1泊5,000円程度。朝食800円。夕食は私たちが泊まった時は人手不足とかで提供されていませんでした。でも、近くに繁華街などもあって不自由はありません。それに、登録有形文化財にこのお値段で泊まれるなんて!

 

2日目 竜泊温泉青岩荘 営業:4月中旬~11月上旬 竜泊ライン通行止めの冬季間閉鎖

1泊2食8,000円から。地元の日本海の魚介に拘ったお料理を出してくださる。調理に利用されている湧き水は食事だけでなく、コンビニで買った一杯分のドリップコーヒーですら美味しくしてしまう魔法のお水。是非、もう一度訪れたいお宿。

 

3日目 知内温泉ユートピア和楽園 北海道内最古の温泉

1泊2食5,000円台から。お宿としてはごく普通ですが、お風呂場の雰囲気や泉質は他を圧倒している。料金も良心的で家族的なおもてなしも好印象でした。

 

4日目 民宿宮寿司/上ノ国原歌

1泊2食10,000円弱(税別)。今流行りの民泊といってもよいほどの規模の民宿。夕飯にお寿司かアワビ飯か選べたのですが、私たちはお寿司屋さんを意識しすぎて「お寿司」を選択。今思えばそこは「アワビ飯」だったんだろうな。。。ウニ入り卵焼きや朝ごはんに出されたガゴメ昆布とイクラと和えたものなども大変おいしかったです。お食事も良かったですが、何よりその景色が最高に心に残りました。

 

5日目 函館グランドホテル

1泊朝食のみ5,000円弱(税別) 函館駅からおよそ2キロ、駅からは少し離れた場所にあるせいか、設備やサービスのわりにお安く泊まれるお宿。朝食はバイキング式ですが、新鮮なお刺身だけでなくウニやイクラなども惜しみなく並べられており、朝から海鮮丼が食べ放題。無料のドリップコーヒーや朝の新聞、レンタサイクルもたくさん用意されていました。

 

 

 

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【試作のERパニア枠付フロントキャリアってどんな感じ?】

こんなかんじです。

IMG_3968

試作なのであえて不明瞭な画像でお許しください。でも、大体お分かりいただけると思います。

フロントキャリアはグランボアのバッグサポーターとヴェロドレーヴェさんのEB金具を使うことを前提に背もたれ部分は省かれています。ER輪行に邪魔にならない小ぶりなデザイン、脱着可能なパニア枠はフォークに沿って美しく曲線を描いています。シンプルで機能的で美しい。親方が出発直前で起こしたデザインですのでまだ変更の可能性があります。形が決まるまでしばらくはグランボアの工房内で製作しますのである程度のご要望に応じて変更も可能ですよ。

背もたれのないフロントキャリアがあれほど使いやすいとは。。。お薦めです!

つちやはるみ

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