今年最後のブルべ BRM1015近畿300km守山
こんにちは、前野です。
先月の茨木600㎞に続いてブルべに参加してきました。
今回走ったのはオダックス近畿主催のBRM1015近畿300㎞守山
滋賀県守山市発着の300kmブルべです。302㎞で獲得標高は2000m程の平坦基調なルート。
土地勘のある場所が殆どなので300㎞ブルべとしてはかなり優しい内容です。
下のマップには307.7kmと表示されていますが理由は後程…
一緒に走るのは今年のブルべを殆ど一緒に走っている友人のS。彼は先月の茨木600kmを一緒に走った2週間後、茨木から出雲大社に行く400㎞ブルべに単独参加して見事完走。自分と同様にSRまでリーチの状態です。
今回も二人で協力しながらゴールまで走る計画でスタートしました。全体の平均速度を21.5㎞/h以上で維持し、14時間以内にゴールする計画です。後半、白髭神社付近から道が混みそうなので、それによる速度低下も考えて走る必要があります。
自走でスタート地点の守山へ
自宅からスタート地点の守山駅までは35㎞ほど。5時スタートなのでスタート近くで前泊するか自走の2択でしたが、300kmの簡単なコースなのでホテル代が惜しくて自走で向かうことにしました。
午前1時半にアラームより早く目が覚めて起床。準備も時間がかからなかったので少し早い2時に自宅を出発しました。車の少ない夜の街をゆっくり走り抜けて午前4時に守山駅到着。
4時半ごろから車検が始まり、一緒に走るSとも合流して今日のプランを話し合います。Sは守山駅前のビジネスホテルに泊まっていたのでたっぷり睡眠がとれて調子がよさそうです。それに、前回走った茨木600㎞の後も高野山150kmサイクリング、茨木400kmブルべを走って抜群に仕上がっています。
それに対して僕は守山300の優しいコースに油断して3週間峠に行かず、おまけに自走で早起きしたので体力低下に寝不足気味。
それでもこの時は余裕で完走出来ると高を括っていました。今思えば茨木600kmを完走したことで僕の脳内は謎の自信(慢心?)に溢れていました。
・
・
・
5:00 スタート JR守山駅西口
ブリーフィングの後、名前を呼ばれた順に守山駅前をスタート。
実は1時間後の6時スタートに以前アイズでバイトをしていた井越君がエントリーしています。彼にとって初めての300kmブルべです。頑張れ~
冷えた体を温めるために踏み続ける
気温15℃でそんなに寒くなかったのですが、スタートまで1時間じっとしていたので走り始めて風を受けると寒く感じます。程々のペースで走っているとなかなか身体が温まらないので、下ハンを握り少し重めのギアを踏んで速いペースを維持しました。
数キロ続けるだけで少し汗ばんできたので身体を温めることには成功。ただ、3週間全く走っていなかった身体でゴールまで維持できるペースなのかはわかりません。
6:14 日野町ブルーメルの丘付近 明るくなってきた
1時間も走っていると太陽が昇り明るくなってきました。スタートからほとんどの時間を下ハンを握ってハイペースで踏み続けています。この先は登り基調になって軽めの峠を越え、下った先が本日最初のチェックポイントです。
6:43 42.1km フォトコントロール1 大河原温泉かもしか荘
峠を越えてフォトコントロールに到着。途中、サルの群れに威嚇されたりしましたが予定より速いペースで順調です。
ただ、鈍った身体は少し悲鳴を上げています。登りで踏み続けると脚を攣る兆しが。少しずつでも走り続ける日々の積み重ねが大切でした。何回も同じような苦しみ経験してるのにね。
フォトコントロールのかもしか荘と自転車を写真に収めてコースを折り返し、下ってきた峠を登り返します。登り返していると続々と参加者の方達とすれ違い始めました。お互い手を振ったりしてPBPのすれ違い区間みたいで楽しい時間でした。
7:17 最高のサイクリング日和
ブルーメルの丘近くで右折して東近江を抜け、彦根方面へ北上していきます。
途中、朝靄の中を気球が飛んでいたりしていい景色です。平坦コースで鍵となる風も弱く、快調に距離を刻んでいきます。
8:25 87.9km PC1 ファミリーマート 滋賀県立大学前店
彦根市街地の手前で湖岸道路に合流して、しばらくビワイチと同じルートを走ります。交通量が多い道ですが、訪れるたびに自転車レーンの拡張工事が進んでいるので年々走りやすくなっています。
コントロールポイントのコンビニに予定より早く到着して10分停車。一人で走る時は関係ありませんが、二人でペースを合わせて走る時は停車時間をお互いの疲労具合などに合わせて調整する必要があります。そして、予め時間を決めておかないとダラダラ過ごしてしまうのでコンビニに到着したら出発時刻を共有します。
今回は自宅からおにぎりを持ってきていたので食べ物は買わずドリンクのみ。結構汗をかいているのでスポーツドリンクにしました。
8:25 米原付近 Sのサドルバッグが固定できなくなる
波の無い琵琶湖を眺めながら快調に走っていると、突然前を走っているSのサドルバッグと後輪が接触してシューーーと大きな音を立てました。幸い安全に停車して歩道に移動できたのですが、サドルバッグの固定機構が壊れて安定して取り付けが出来ない状態になっていました。
このサドルバッグ、学生時代に僕が使っていた物をSに譲った物なので使用した距離、年数を考えると寿命だったのでしょう。とりあえず重たい物は僕のフロントバッグに移して、サドルバッグは元の位置に仮固定して走行を続けます。
9:13 長浜城近くのセブンイレブンからサドルバッグを自宅に送り返す
少し進んだ先の長浜城前のセブンイレブンからSの壊れたサドルバッグと中に入っていた輪行袋を自宅に送り返します。防寒用のベストとモバイルバッテリーは僕のフロントバッグに入れました。
輪行袋は僕も携帯しています。最悪の場合は貸すことも出来るので問題ないでしょう。
10:00 賤ケ岳隧道の定番撮影スポット
木ノ本まで行くと旧賤ケ岳トンネルまで登ってビワイチ定番の撮影ポイントを通過します。天気がいいのでもちろん停車して記念撮影。
調子のいいSに旧賤ケ岳トンネルまでの登りで遅れを取りました。サドルバッグを外してSの自転車が軽くなったのも要因ですが、乗り手に1番問題がありそうです。茨木600kmの時は登りで踏み続けられたギアが今日は踏めません。
11:03 敦賀のコンビニで早めの昼ごはん
塩津から敦賀まで国道303号線で峠越えをします。
この区間は緩い登りと向かい風で消耗しました。琵琶湖沿いは青空だったのが、日本海方面はどんよりとした重たい空模様。ペースを落としながら登りを終えて、下った先の敦賀で約20分の昼休憩を取ることにしました。
敦賀の市街地から小浜まで敦賀半島を回って70kmほど。昼食には少し早い時間でしたが距離的にちょうどいいのであらかじめ敦賀で食事をすることに決めていました。
自転車ログさんとコンビニで一緒になる
米原600km、茨木600kmをブログ記事にまとめられていた自転車ログさんと昼食を取ったコンビニで一緒になりました。
自分のブルべ完走後のささやかな楽しみが同じブルべを走った人が書いたブログ記事を読むこと。ケルビムの緑のロードを見て自転車ログさんとわかり、話しかけさせていただきました。休憩中の貴重なお時間ありがとうございました。茨木600kmは温見峠より2日目が辛かったというのは皆共通のようです(笑)
自転車ログさんは毎回とても分かりやすくブルべの様子をまとめられていて、同じブルべでも自分と違った視点から見れるのでとても楽しく読ませていただいています。
今回の守山300㎞も早速記事にされていました。ちなみにこのあと起きる僕らの”凡ミス”も第三者の目線から触れていただいています。トホホ…
敦賀半島の海岸線を走る
敦賀から小浜までは敦賀半島をぐるっと回ります。敦賀から小浜、そんなに離れていないと思っていましたが次に停車する小浜市街地のコントロールポイントまで70㎞以上あります。敦賀から小浜まで3時間~3時間半が目安の所要時間でしょうか。
12:03 敦賀半島トンネルに入る
敦賀半島の北端近くまで来ると、敦賀半島トンネルという長さ4km近いトンネルに入ります。海岸道路からトンネルまでは1kmの直線的な登り。距離を走って疲れてきているのでペースを落として登り切り、トンネルに入りました。
12:11 敦賀半島トンネルを引き返す
長いトンネルを淡々と走っている最中、フロントバッグのマップケースに入れたキューシートをちらっと見ると「162.6km フォトコントロール2 敦賀市立西浦小中学校」が目に入りました。あれれ、トンネルの入り口でGPSに表示されていたスタートからの走行距離は164kmを越えていたはず…
そもそも敦賀で昼食を摂っている時のSとの会話でもフォトコントロールは話題に上がらず、小浜のコントロールポイントのことだけでした。2人ともフォトコントロールの存在をすっかり忘れていたのです。フロントバッグのマップケースに入れたキューシートが役立った瞬間でした。もしキューシートをジャージのポケットに入れていたら小浜に到着するまで気がつかなかったかもしれません。
「あーーー!!」と声を上げて停車。敦賀半島トンネルを半分くらい進んだところでしたが、来た道を引き返します。トンネルを引き返す途中、敦賀で会話をした自転車ログさんとすれ違いました。なんとも奇妙な光景だったと思います。
12:15 フォトコントロールに向けてコースを戻る
トンネルを戻って先程登ってきた坂道を下り、海沿いの道路に戻りました。登りでは海が背中側だったのであまり見えませんでしたがいい景色です。
12:18 フォトコントロール2 敦賀市立西浦小中学校 162.6km(キューシート値)
トンネル内で気が付いてから10分ほど戻ってフォトコントロールに到着。今思えばこのミスもコースへの油断から生まれたものでしょう。
自転車と学校を写真に収めてもう一度敦賀半島トンネルへ向けて出発します。
12:24 敦賀半島トンネルへの登り(2回目)
1本目はすいすい登っていたSも足取り重く進んでいきます。少し良かったのは2回目の方が登りが短く感じたこと。
トンネルに再突入。ヘルメットのテールライトは新製品です
4kmのトンネルに再突入。
ちなみにヘルメットに着けている超小型のテールライトは新製品のLinden BK-02。
米原600、大津200でもLindenさんから提供いただいた試作品を使わせていただきました。今回使用しているのは製品版とほぼ同じもので、初期の試作品に比べて防水性、スイッチの操作感が向上しています。(最初の試作品は大津200kmの豪雨で調子が悪くなりました)
超小型、超軽量ながら光センサーによる自動点滅を備え、駆動時間は24時間。USB-C対応で充電時間はたったの10分です。使い勝手の詳細等はまた紹介しようと思いますが、自信を持ってお勧めできる補助テールライトです。
12:49 水晶浜を見下ろす
子供の頃連れてきてもらった思い出の水晶浜海水浴場の横を通り、美浜町方面へ南下していきます。敦賀ではどんよりと重たい空模様でしたが、すこし青空が見えてきました。車も少なく走りやすいです。
14:02 田鳥の棚田
美浜から少し海を離れた道を走り、田鳥で再び海沿いへ。この道は前回の茨木600でも走ったはずですが、下りの途中にあったので棚田には気が付きませんでした。今回はゆっくり登っている最中だったので停車して棚田と海を眺めました。夕方には棚田のライトアップもあるようです。
小浜の市街地に到着
海が見える区間を抜けてもう少しで小浜のコントロールポイントという所で自転車ログさんに追いつきました。
小浜では橋の架け替え工事を行っていて、自転車押し歩きが指定されているところもあるので指示に従って歩きます。会話をしながら橋を歩くのは脚のリフレッシュと気分転換になりました。
14:37 218.3km PC2 ファミリーマート 小浜千種店
自転車ログさんは小浜港の方へ海鮮を探しに行かれたのでコントロールポイントのコンビニ直前でお別れ。ブルべ中の短い時間でしたがありがとうございました。
僕たちはコンビニで休憩です。ここからゴールまで80kmほどなので予定では最後の休憩。ソフトクリームとコーヒーでおやつにして、補給食と水を買い足しました。
鯖街道を登って今津方面へ。登りで千切れる。
小浜の市街地を出ると27号線ではなく、川を挟んで北を通る24号線で東へ進み、熊川宿の手前で303号線に合流して保坂の方へ登っていきます。この写真の後、Sが前に出るとすいすいとペースアップ。僕は疲れていたので現状維持のまま千切れてしまいました。無念。
保坂まで登り切ってもSはそのまま進んだようで今津まで下り基調の道を一人で踏み続けます。下り基調でSも踏み続けていれば速度差は少ないのでなかなか姿が見えません。湖西道路をくぐるあたりでようやく追いつきました。
合流後、Sが飲み物を補給するために今津のセブンイレブンに停車。ここは長居せず、すぐに出発しました。
夕方までいい天気
今津から新旭へ向かう途中、一旦湖岸道路から離れます。
白髭神社手前から渋滞
高島の市街地を抜けると161号線バイパスに合流します。予想通りの渋滞。幸い、自転車レーンが広めに確保されているので然程速度を落とさずに進むことが出来ました。湖側では道路の拡張工事を進めているようなので将来的にはより走りやすくなるかもしれません。
琵琶湖大橋を渡って守山へ
志賀の辺りで近江八幡ブルべを主催しているS野さんを含む2人が追いついてきて合流。堅田まで4人パックで飛ばしました。先頭を牽いたりしましたが明らかにオーバーワーク。走りこんでいない自分には負荷が高すぎて琵琶湖大橋手前で力尽きて失速。琵琶湖大橋の道の駅で寝て行こうと思ったほどでしたが、Sが待ってくれているので力を振り絞って琵琶湖大橋を渡り切ることが出来ました。
湖岸道路を離れて守山駅方面へ
湖東に渡ればあと少し。交通量が多いので注意を払いながら湖岸道路を走り守山駅を目指します。
色々ありましたが当初の計画より1時間近く早くゴール出来そうです。
18:11 302.2km Finish ファミリーマート 守山金森町店
無事に2人ともゴールして13時間11分で認定となりました。
Sのサドルバッグの破損、フォトコントロールを忘れて余分に走る、最後のオーバーワークなどいろいろとやらかしましたが事故や怪我無く完走出来て良かったです。
来年の滋賀ブルべも楽しみにしています。ありがとうございました。
・
・
・
ACPの300kmメダルとオダックス近畿の300kmピンズ
メダルコレクションが増えました。そういえば、2020-2023デザインのACPメダルの400と1000をまだ持ってないのでチャンスが有れば来年…?
振り返ってみると300㎞ブルべを走ったのは2019年の守山300km以来でした。
・
・
・
今年はグランボア650Bランドナーで4本のブルべを完走、2019年ぶりにSR(Super Randonneur)を獲ることが出来ました。
装備的には6月の米原600kmから殆ど変えていませんが、茨木600kmからハンドルをグランボア平行マースバーからグランボアフランス型ランドナーバーに戻しています。ハンドルの肩を握るポジションの時に両肩がせり上がっている形状のランドナーバーが最も手のひらへの収まりが良く、快適に感じます。
ただ、平行マースバー、フランス型マースバーに比べてライディングポジション、ハンドルの角度が合っていないとそのメリットを感じずらいかもしれません。マースバー2種はハンドルリーチが長いのでポジションに変化をつけやすいです。この自転車で3種類全てを使いましたが、どのハンドルにも良さがあります。
そしてタイヤはエートル エキストラレジェ 650×42B、チューブはレール650をすべてのブルべで使用しました。ブルべ以外にも普段の通勤、日帰りサイクリングや推奨外ではありますが未舗装路を含む林道サイクリングにも使いましたがパンクやサイドカットは無し。2500km程使って後輪のトレッドの溝は少し薄くなっていますが、前後ローテーションすれば5000kmほど持ちそうです。
ただ、自分のタイヤはサイドウォールのケーシングが劣化してきているので年を越す前に交換です。今年は走行距離が少なかったのでトレッドより先にサイドウォールが痛んできていますが、年間通してたくさん走られる方はサイドのケーシングが元気なうちにトレッドの寿命まで乗っていただけると思います。
グランボアのエキストラレジェタイヤは超軽量でしなやかな素材から出来ているので乗り心地と転がりの軽さは最高です。ただ、デリケートな素材なので乗り手に配慮が求められるタイヤでもあります。
より丈夫なタイヤが必要な場合はエキストラレジェではなく、スタンダードモデルをご使用ください。こちらもグランボアこだわりの乗り心地のいいタイヤです。
700Cのロードバイクでブルべに参加されている方には700×28Cセールヴェルデか700×30Cシプレ700がおすすめです。
・
・
・
今年は6月から4本のブルべを完走。来年も国内でSRの獲得とSR600を走りたいと思っています。
2022年参加したブルべ
・BRM1015近畿300km守山(今回)
留萌から宗谷 ~稚内・宗谷~
朝食前の散歩。
日が昇り始めたところでしたが、すでに良いお天気。
港では島への往復時に乗った2艘の船が停泊しています。
【稚内港北防波堤ドーム】
ホテルは稚内の歴史的建造物のすぐ近くでした。
この半ドーム状の建造物は、かつて樺太が日本だったころ、宗谷本線から樺太行の連絡船へと乗り継ぐ人たちにとっての発着場となっており、その鉄道や道路を雨風から守っていた防波堤でもありました。実際に使用されていた期間は短かったようですが、当時の賑わいが想像できるモダンで立派な作りです。
<画像=wow50より>
**********
9月15日 稚内~宗谷岬
いよいよ旅の最終目的地の宗谷岬まで走る日です。距離は寄り道しても60kmほど、見所は最北端の宗谷岬くらい?
実は2人ともサロベツ・礼文・利尻と走り終えて「もう、旅のクライマックスは終えた」と思っていました。もっと白状すると、「最北端」というワードに興味が薄い私は「もう帰ってもいいんじゃないの?」とすら思っていました。稚内空港はもうすぐそこです。ですが、なんの、なんの、この日のコース上も心震える見どころがいくつもありました。帰りの飛行機を翌日に控えて、旅の余韻を楽しむどころか大はしゃぎの一日となったのでした。
寄り道は宗谷ふれあい公園展望台、大沼、宗谷岬、宗谷丘陵、白い道など。
昼食と宿泊はペンション亜留芽利亜。
出発前。
今回の旅は全く自転車のトラブルはありませんでした。パンクすらしなかったのですが、10日も海沿いを走るとペダリングに違和感が出てきました。コツコツ当たるような感じがしたり、実際にペダルを回すたびに音がして気になります。
そんな時はこれ。軽く汚れを拭きとって数滴チェーンに差すだけです。旅先では特に携帯用の19mlが便利ですよ。自転車も全体的にうっすら白く汚れていたのでサッとお掃除。手指消毒用のウェットティッシュはこんな時にも役立ちます。
宗谷湾の向こうには宗谷岬、反対側は大沼の向こうに利尻山が見渡せます。丘の上の展望広場は思っていたより広くてとても気持ちの良い場所でした。
この日の利尻もきれいでした。
大沼の畔の野鳥観察小屋。
野鳥はカモすらおらず。。。
渡り鳥が来る頃だと壮観でしょうね。。
いろんな利尻山の宗谷バージョン。
水鳥が立てるくらいの遠浅の海と利尻山のコラボレーション。秋の午前中の柔らかい光が反射する水面の向こうの利尻山は神々しいほどです。実は私は今回の旅でここから見た利尻山に一番感動しました。めっちゃ好みです。
そして、ここにもアザラシの群れ!
海の色が変わる手前のところでたくさん寝転んでいました。宿の方によると日によってはトドも見られるそうですよ。
【宗谷岬】
お馴染みのモニュメントの前はやはり人気です。
でもそこから宗谷岬平和公園まで上がるとまた違った景色が広がりますよ。
海側には北海道での酪農の発展を記念するあけぼの像。海の向こうにはうっすらサハリン(樺太)も見えています。
丘側にすっくと立つ塔は祈りの塔。
トイレや売店、食堂などの他に広場にはこういったいくつかの記念碑が設置されています。そして、その中をなぜか野生のシカが闊歩してました。
平和公園からは最北端のモニュメントも見えました。更に最北端度が増しますね~。
ここには平和の象徴としてアルメリアという花が植えられています。
稚内市内の至るところでみられるようになったアルメリアの花は、ここ宗谷岬平和公園に植えたのがはじまりで、毎年、夏には美しいピンクの花がこの公園を埋め尽くすとのこと。
また、この日の宿は「ペンションアルメリア」と言ってこの花に因んでいるそうです。
【宗谷丘陵】
平和公園から更に内陸へ進むと広大な丘陵地帯を利用した牧場が広がります。結構アップダウンがありますが、開放的でスケールの大きな景色が楽しめます。最北端に来られた方はぜひ少し寄り道をして牧場まで足を延ばすと良いですよ。この先の「白い道」も含めて周回しても30kmほどです。
【白い道】
町の名産品でもあるホタテの貝殻を敷き詰めた、文字通り白い道。ダイナミックな牧草地の丘陵地帯に突如として現れます。もうすでに知る人ぞ知る観光名所となっていますので車やバイクで訪れる人も結構おられました。自転車だとアップダウンがそこそこあるのと、貝殻を敷き詰めたダート道という事でロードバイクやママチャリではちょっと厳しい。まさしくランドナーが得意とする道ですね。自転車できていたのは私たちだけでした。
ツーリングに来てここを走らずに通り過ぎるなんてかなりもったいないかも。
11泊したお宿の中でホームページから一番イメージが掴みづらかったのはこのお宿でした。
宗谷湾に面する立地でロケーションは最高。でも、洋風なの? 和風なの? 宿の名前が意味することは? ペンションだけど大衆食堂もやってるの? と謎がいっぱいでした。でも、実際に行ってみると居心地の良い、とても良心的な宿、兼レストランでした。おそらくこのお宿の名前の意味が謎を解くカギだったのかな。この地で平和を願う花として植えられてきたアルメリアが由来となっています。私たちはスペインの都市名と勘違いしていましたからさらに混乱しました。
宿泊だけでなく、お昼は食堂もされているのでとてもありがたい。私たちは稚内から走り出して途中お昼をここでいただき、荷物も置かせていただきました。で、走り終えて戻ってきたら喫茶でコーヒーをいただいてくつろげました。(本当はレストランの時間は14時までだったようですが気持ちよく対応してくれました。)
で、全部の旅程を無事に走り終えて感慨に浸っている私たちのところに女将が話しかけてきたんです。
女将 「五右衛門風呂いかがですか?」
親方+専務 「・・・??」
女将 「今日はお湯も入れ替えたし是非どうぞ。」
親方+専務 「いやいやいやいや。」
お宿の湾側に確かに五右衛門風呂があるのはお昼ご飯の時にも目にしていました。ようするに宿の食堂の大きな窓から海原が見渡せるのですが、その浜の一角というか、一番いい場所にそのお風呂はありました。
女将 「大人3人くらいだと余裕で入れますよ。お二人でどうぞ。」
親方+専務 「いやいやいやいや!! 」
女将 「皆さん、そう言いつつも入るととても喜ばれるんです。水着も無料でお貸しします。」
専務 「いやいやいやいやいやいやいやいや!! とんでもない!!!」
親方 「・・・。」
女将 「大丈夫です。皆さん、慣れたら何度も入りたくなるんです。女性用もありますよ。」
専務 「いやいやいやいやいやいやいや。。。」
というやり取りを10分くらいして親方が五右衛門風呂をいただくことになったのでした。
寒くなく、暑くなく、確かに露天風呂日和。海も利尻山も湯船から独り占めです。
しかも、夕暮が近づくにつれ太陽の周りに「ハロ」が現れました。
近づいてきている台風の影響で北海道のお天気もこの日を境に下り坂。そんな旅の最終日にこんな貴重な体験をさせていただいたのでした。
ペンション亜留芽利亜さん、サービス満点! おススメです。
************
9月16日 ペンション亜留芽利亜~稚内空港
ANA羽田経由伊丹行きは13:15発。
空港には11時30分に着けば、輪行したとしても余裕です。空港の近所の北の桜守パークに立ち寄る予定にしてあったので前の晩に「北の桜守」の映画を見ておきましたが、あえて立寄る必要は無かったかな。映画は良い映画でしたよ。
それより、メグマ沼に向かう道が良かった。例によって親方が地図を眺めていて決めたルートですが、牧場内を突っ切る農道(ダート)です。
いきなり牛の朝の横断に出会いました。すべての牛が牧場に出るまで10分くらいかな。
そして、その出てきた牛たちが興味津々で私の近くに集まってきました。
丈のある草と小さな溝で隔てられているとはいえちょっとソワソワします。。しかも、私が走り出すと彼らも一緒にドッドッドッと後を追って一緒に走り出したんです。親方、後ろで見ていて大喜び。牛も自転車が珍しかったんですね。
牧場らしい景色が広がります。
牧場の管理者さんが右下に写ってますよ。(^^)
このダートはたぶん2-3kmほど。楽しい道でした。
【メグマ沼自然公園】
メグマ沼は海跡湖で、海だったところが地形の変動によって切り離されてできた湖。その湖の周りには日本最北の湿原が広がっています。木道が整備されていて、湖畔を歩くことができるようになっていたので自転車を置いてお散歩してきました。
我ながらとても楽しそうです。後ろは宗谷岬が写っています。
そして、これがこの旅で撮影した最後の利尻山。
お天気は今一つでしたがしっかりその姿を見せてくれていました。
***
実は、親方には見たい利尻山の姿がもうひとつありました。
それは飛行機から見る利尻山。
その日、台風が近づいていたものの山に雲はかかっておらずチャンスでした。
飛行機に乗るまでウキウキ、ワクワク。
でも、なんと、座ったシートは機体の左側!!!
座席の予約の時に左右を間違えてしまいせっかくのチャンスを逃してしまったのです。。。
チーン。。
それまでウキウキしていた親方は見れないと分かったとたん意気消沈したのでした。(笑)
********
いよいよ日本も行動制限が解除され、自由に旅ができるようになりつつありますね。
ほんと、嬉しいです。
振り返れば3年もの間、世界中で人の往来が制限されてしまい、世の中が大きく変わりました。ネットの発達によって簡単に情報は得られるし、会わなくても人と人がつながることができる時代です。ですが、でもね、やっぱり、ちゃんと現地に立ち、人と会うことが大切だとしみじみ感じます。会うだけで、その場に立つだけで、言葉だけでは伝えられない、伝わらないことが、一瞬にして理解できることがたくさんあります。自分の足で立ち、自分の目で見、自分の心で感じることがやっぱり大切です。
旅に出ましょう。
そして、旅の相棒にはランドナーがぴったりです。今回、礼文島で泊まった花れぶんの女将が私たちの旅姿を見て「なんてシンプルな旅」と絶賛してくれました。ずっとランドナーに乗ってこられた方にとっては当たり前のことですが、自転車にスマートに荷物を負わせ、自分たちは身軽に旅ができるランドナーは誰が見ても機能美に溢れているのです。
京都にお越しの際はアイズバイシクルにもお立ち寄りください。
イベントもいろいろ予定しています。
10月22日 京王閣フリーマーケット
10月30日 岐阜羽島サイクルフリーマーケット
11月3日 コンセントラリー「おにゅう峠」(アイズバイシクル主催)
11月23日 タンデム学会(アイズバイシクル主催)
皆様に直接お会いできるのをスタッフ一同楽しみにしています。
留萌から宗谷 ~利尻島~
礼文島から利尻島まではフェリーで50分ほどです。
2等自由乗船券1,030円 自転車920円(輪行時は無料)
*********
9月13日 利尻島
午後2時前に鴛泊港に到着。
当初の予定では沓形港に着いてからまずは宿にチェックインし、それからサイクリングロードを適当に走って往復する予定でした。でも、お天気も下り坂でしたし、風も強かったので結果的にはこれが正解でした。利尻島のサイクリングロードは想像以上に素晴らしく、宿のある沓形まで走行距離は20km足らずでしたが余裕をもって楽しめました。
この日に走った道はほとんどが島の北側のサイクリングロードです。地図は「りしぷら」の地図が分かりやすいと思います。リンクを開いていただくと他にもサイクリストの力量に応じて3種類のコースを紹介されていますよ。「りしぷら」は利尻島の観光ポータルサイトとして利尻の魅力を細かく紹介しています。利尻富士町ホームページの案内も親切です。
利尻北麓野営場へと向かう道の利尻山神社の前あたりからサイクリングロードに入れました。これがとても素晴らしい道でしたよ。なんか、ある意味、サロベツよりも野性味があって感動しました。それに、何より歩行者と自転車のためだけにこの道があるなんてすごいですよね。
映画のロケ地にもなっています。
サイクリングロードは完全に車が入れないようにしてあります。ところどころ寸断されて道道105を横断しなければならないところや交差路がありますが注意喚起がしっかりされています。
夕暮前にお宿にチェックインして間もなく雨が降り出しました。
だんだん風も強くなって翌日の稚内行きも心配になってきました。でも、旅はあと2日。万が一、船が欠航してここに足止めされたとしても、もう、何とかなるスケジュールです。お風呂に入って、コインランドリーで洗濯して、夕飯いただいて、お風呂に入って、「そろそろ帰るんだなぁ。」とか思いながら窓の外の風の音を聞きながら寝たのでした。
この日のお宿は沓形のホテル利尻。
礼文・利尻で唯一の源泉かけ流し温泉とのことでとても良いお湯。でもね、褐色のお湯は湯船の底を隠すほどで、中に段差が2ヵ所あるのに気づかず踵をすりむいてしまいました。。足元要注意ですよ~。売店ではサロベツの有名牧場のアイスがあります。
**********
9月14日 利尻~稚内
案の定、心配していた船は午前中はすべて欠航になりました。でも、私たちが乗る予定にしていた17時40分発だけ出航することに。1日3便ある船が1便に集約されることになります。そこで親方、「きっと混むから1等にしようか」とか言い出す。なるほどなるほど、名案です。2等自由席はシート席もありますが、多くが雑魚寝ができる座敷席です。どれほどの方が乗られるのか分かりませんが、人混みを避ける意味でもちょっと奮発することにして、朝の内にネットで購入しておきました。
利尻~稚内迄 1等指定席 5,400円。2等自由席が2,660円なのでほぼ倍ですね。
これで安心してギリギリまで遊ぶことができます。自転車は一台1,800円、輪行時は無料です。
地図は姫沼までになっていますが、そのあとまたサイクリングロードへ入り鴛泊のフェリーターミナルでゴールです。これで利尻一周約60km完走。コースは北側と違ってアップダウンが結構あるので風があるとちょっと難儀です。途中であきらめてバスに乗っちゃう人も結構いるのだとか。でも、見どころもいろいろありましたよ。
宿を出発した直ぐはこんな感じ。
気温も低く利尻山も厚い雲に覆われています。でも夜中に吹き荒れていた風は少し治まっていて雨もほぼ止んでいました。
そして1時間もしないうちにこの青空。
今回はホントお天気に恵まれました。
サイクリングロードとして整備されているのは島の北側のみですので、この日はホテルを出て道道108、利尻ファンタスティックロードを走ります。
【寝熊の岩】
確かに、熊が寝そべってるように見えます。でも、泳いでる風にも見えますね。
この後、利尻町立博物館にもよったのですが、明治45年に本道から利尻島まで泳いで渡ってきたと云われる熊を退治した話が写真付きで伝えられています。でも、ちょっと調べてみると2018年にもそんな話が浮上してたり、最近では2022年の6月に無人カメラに写っていたそう。今はその熊の痕跡は無くなったようですが、クマって結構な距離を泳ぐんですね。
【霊峰湧水】
このお水、本当に美味しかった。
で、水を汲んで楽しんでいる私たちに声をかけてこられた方がこの方。
町おこしで2017年に結成された「リーシリボーイズ」の主要メンバー、コンブアッペカッチャさん!
???でしょ。
私たちもお話していてほとんど解っていなかったんですが、「おら、有名人だども知らねぇの?」なんて言うので、稚内についてからネットで調べてみてビックリ。是非、@pressさんのページも覗いてみてください。そんな方と小一時間も立ち話して、お別れする時には利尻昆布を二束もいただいてしまいました。
話した内容は利尻町の話かというとそれはほんの一部、ほとんどがご自身が経験されたシベリア抑留のお話と、私財を使ってここに慰霊碑を建てるんだという熱いお話でした。私も親方も実際にシベリアに抑留された方のお話を聞いたのは初めてでしたし、直に聞くこの地の言葉がとても新鮮で、とても刺激的な時間を過ごさせてもらえました。御年97歳。またお会いしたいです。
天気もどんどん良くなってきましたよ。
利尻島の中では利尻山を文字通り四方八方から眺めることになるので山の形が劇的に変わります。こんな利尻もこの旅で初めてです。
【利尻町立博物館】
入館料200円
トドのはく製や利尻町の鰊番屋の様子が再現され展示されています。囲炉裏を囲むヤン衆の人形がすごいリアルでちょっとビックリしました。この後で利尻郷土資料館もありますが内容的にかぶるものもあります。
この魚、礼文荘で出していただいた煮魚。「ハッカク」って初めて。美味しかったんですよ。
【仙法志御崎公園】
ちょうど利尻島の南に位置し、利尻山を南側から眺めることができます。
礼文島とは全く異なる海原ですね。
お昼ご飯は走ってきた道中で見つけた「まるヰ食堂」まで戻ることにしました。
地元の方々が通う食堂が美味しい確率は高いです。ここも独特なセルフサービスでしたが、美味しかったですよ。親方は塩ラーメン、私はタコ天うどんをいただきました。
島の南側は海岸線らしい大き目のアップダウンが続きます。
向こうに見える島影は本道。
【南原湿原】
ここまでくると利尻山にかかっていた雲はすべて晴れていました。山頂近くのローソク岩もはっきり見えています。
メヌウショロ沼の周りは木道が整備されていて散歩をしても良いですよ。1kmほどです。トイレ有。
【オタトマリ沼】
メヌウショロ沼と同じくらいの遊歩道があります。食堂と土産物屋を兼ねたお店が2軒あり一息つけます。
【白い恋人の丘】
オタトマリ沼の売店の方に薦められて寄ることにしました。道道から外れて展望台まで上りです。
利尻山ばっちり。
恋人たちへの演出の為か、その利尻を眺めるために二人掛けのベンチが置かれていました。
そして、海側は本道が望めます。
なんと、対岸のオトンルイがはっきり見えていました。
これほどになると人工物とはいえすごいランドマークですね。無くなってしまうのはちょっと惜しいくらいです。
【利尻郷土資料館】
鬼脇の集落内の赤い屋根のかわいらしい建物です。後で調べると昔の町役場だったそう。展示品は町の博物館と被るものもあるし規模も小さいですが建屋を見に訪れるのも良いかも。入館料200円。
【二ツ石海岸公園】
何かの芯材を再利用したと思われるテーブルとベンチがおかれています。天気が良くここでも対岸の風車が良く見えました。
南東側からの利尻山。
島の東側も交通量も少なくひたすら気持ちの良い道が続きます。
あの向こうに見える島影は礼文島。
【野塚駐輪駐車公園】
利尻島サイクリングロードの起点。
ここからサイクリングロードに入り、鴛泊港まで走りました。
自転車専用道なのに渓谷にちゃんとした橋がいくつもかかっていてとても立派なサイクリングロードです。全長24.9km。全部走った体感として富士野園地の西側と東側でちょっと趣が違います。前の日に走った西側は概ね平坦で開放的な景色が多く望めます。一方、この日走った東側は木立の中を大小さまざまな橋を使って走り、姫沼、湾内大橋とアップダウンがいくつかあります。どっちのコースも良いですね。オフシーズンなのもあるかもしれませんが、こんなに安心して走れるサイクリングロードも珍しい気がします。
すばしっこく動き回るキビタキを写真に収めることができました。
あちこちから鳥のさえずりが聞こえてきて楽しかった。
【姫沼】
サイクリングロードから外れて少し上ったところにあります。距離は800mほどですので行ってみました。
とてもやさしいシルエットの利尻山を見ることができました。
姫沼からサイクリングロードに戻ると湾内大橋まで再び上り返します。でも、これで最後。あとは港まで下っていけます。
【鴛泊港フェリーターミナル】
港でチェックインを済ませた後、出港時間の17時40分まで1時間ほどありました。
で、親方がササッとネットで見つけたカフェに入ることに。フェリーターミナル真ん前に何軒かある商店の一つ、PORTO COFFEEさん。矢印の下あたりです。
時間調整のためでしたが、コーヒーをいただいてビックリしました。大きな街中の有名店よりもずっと美味しくていい香り。近くにこんなお店があると良いのにな。でも、利尻のお水のおかげかもしれないですね。
予定通りに船は出港。
乗船客は確かにたくさんおられましたが、1等席はガラガラ。(笑)
1等席から見た利尻山。
鴛泊港から稚内港まで1時間40分です。
稚内のホテルは港にほど近いビジネスホテルでしたので夜の8時前のチェックインでしたが問題なくスムーズでした。自転車をフロントに預けて、荷物を置いたら歩いて街へ。夕食は地元で人気のスープカレーをいただきました。
今やネットのおかげでどこにいても旅の苦労は激減できますね。ある意味、旅の面白さも少し減ってしまうのかもしれませんが、ネット以前の旅とは大違いです。20年以上前が青春だった人たちにとって、かつて自分が地図や時刻表を頼りに旅した道を「今」旅するとちょっと物足りないかも!?
でも、やっぱり旅は楽しい。
平和であればこれはどんな時代になっても変わらない気がします。
留萌から宗谷 ~礼文島~
******
9月11日
前夜は抜海のばっかすさんでお世話になりました。
礼文行きの港がある稚内迄は納沙布岬経由だと23キロ、丘越えになる最短路だと16キロ、「どっちで行こうか。。」と直前まで悩んでいたのですが、宿のご主人の勧めで最短ルートを行くことにしました。最初から稚内で宿をとればいいものですが、親方が探したところ稚内はほとんどがビジネスホテルで面白そうなお宿が無かったとのこと。とほ宿に名前を連ねるこの「ばっかす」さんも「あしたの城」さん同様、旅好き人好きのご主人がオーナーのユニークなお宿で、旅の情報もいくつか教えてもらえました。夕食後、9時から11時ごろまで座談会的なものがあって話し声がしていましたが、ちょうどいい感じの人懐っこさとちょうどいい量の家庭料理にとてもほっこりしましたよ。
というわけで、朝8時30分に盛大に見送られながら出発。
海沿いの宗谷サンセットロードから道道106へ入るとしばらく上りですがすぐに展望の良い駐車場が見えてきます。
この日は利尻島も礼文島もとてもきれいに見えました。
【稚内フェリーターミナル】
稚内から礼文島まで2等自由席で3,070円。自転車は輪行せずに載せてもらうと1,800円。(輪行すると無料)
この日は車も少なく、自転車は私たちだけだったみたい。。。宿のご主人から「朝一の船は混んでるけど、10時台は空いてるから少々遅れても大丈夫」と聞いてはいましたが、これほどとは思っていませんでした。
海もとても穏やかです。
2時間の船旅の間に稚内のフェリーターミナルで買っておいたサンドイッチでお昼ご飯を済ませておきました。
【礼文1日目】
香深港に着いたのは12時半くらい。結構な向かい風。礼文町町郷土資料館や海原で寝そべるアザラシなんかを眺めて久種湖畔の礼文荘さんまで26kmほど走りました。
礼文町郷土資料館は香深港を北へ向かうとすぐです。特にリサーチしていたわけではありませんが、立派な建物でこの地域独特のオホーツク文化の遺跡の展示などもあって面白かったですよ。北海道開拓期の鰊が果たした役割の大きさも改めて感じました。入場料300円。
あとはもう、きれいな海を眺めながら走っては眺め、走っては眺めの繰り返し。
ウニを食べるオオセグロカモメ。
若鳥もたくさん見かけました。この子は懸命に飛ぶ練習をしていました。
さて、私は何を撮影しているでしょう。
岩礁?
いえいえ、アザラシの群れです。
いい顔して寝てるんですよ。
********
9月12日 礼文2日目
久種湖畔展望台~トド島展望台~スコトン岬~澄海岬~双葉食堂~礼文高山植物園~宿(花れぶん)~北のカナリアパーク 約50km
朝食前の散歩で久種湖畔展望台へ。
期待満々で上りましたが、上からの景色の印象がほとんど無いんですよ。。しかも写真も浜に降りた後に見たアザラシの写真ばかり。
朝のアザラシ。
漁師さんがこんなに近くにいても平然としています。
普通に撮影するとこんな距離感。
一頭だけ浜の近くで寝そべっていました。
群れはたいてい浜から肉眼でははっきりわからないくらいの距離にいます。なので普通だと見逃してしまう方がほとんどだそう。荷物の隙間に望遠カメラか小さな双眼鏡があると良いですよ。
【トド島展望台】
宿を出てからまっすぐスコトン岬を目指さず、まずは小高い丘を上り「トド島展望台」へ。花は盛りを終えて華やかさはありませんが、とても開放的で気持ちの良い道でした。2人とももう1週間以上自転車に乗り続けていますので体の調子も上がってきています。この程度の坂道ならスイスイ、楽しくて仕方ありません。
展望台の反対側。
親方、小さいですが写っていますよ。探してみて。
ただ、この道はこの時期でもちょいちょい車とすれ違いました。花の時期ならもっとでしょうね。
【スコトン岬】
礼文島最北端は観光バスも来る観光名所です。
土産物屋はもちろん、併設しておしゃれなカフェもありました。
【澄海岬】
岬へ向かう途中に礼文を代表する花、礼文アツモリソウの群生地があります。花は咲いていませんでしたが、地元の方が数人で手入れをされていました。手付かずの自然のようできちんと手入れされているんですね。
緩やかに上る道はとても開放的。
ただ、岬の写真は良いのがありませんでした。ホームページで検索するともっと素敵ですよ。
【礼文高山植物園】
久種湖畔から「れぶんアツモリロード」を行くと峠を越えたところに高山植物園があります。入場無料。それほど広くはありませんが、手入れが行き届いていますし、そこから見える利尻も素敵です。
時期外れでしたが、礼文草が一凛咲いていました。
園のフロントにはこれらの種が小分けされ、無料で配布されています。うまく育つかどうかわかりませんが、私たちもいくつかいただいてきました。良いお土産です。
宿までの道中。
この日の利尻もとても美しく印象的でした。
【北のカナリアパーク】
島の南側に有名観光地は集中しています。この日の宿には15時過ぎにチェックインできたのでカナリアパークまで行ってみることにしました。
宿から3kmほどのところですが、最後の500mはグイッと上っています。
上りきると利尻山を愛でるには絶好の場所に小学校があります。
でも、実際は映画のロケ地でこの小学校も平屋の木造校舎というイメージに合うものを撮影用に建てられたものなんですって。中のセットも手が込んでいて本当にここで小学生が学んでいたかのようでしたよ。前の日の晩にipadで「北のカナリアたち」のビデオを見ておいてより楽しめました。
今はホント便利ですね。
利尻山は半分隠れてしまいましたが、併設されているカナリアカフェの営業にも間に合ったのでゆっくりお茶もできました。
ただ、この日は近づいてくる台風の影響で午後から雲も多く風が出ていました。利尻山を見るために奮発したお宿「花れぶん」もなんと大きな窓から見えるはずの利尻山は全く見えず。。。翌日の船まで欠航になるんじゃないかと心配したのでした。
********
9月13日 礼文3日目 礼文島~利尻島
心配していた通り、いくつかの船が欠航する中、利尻島行きの船は南へ向かう沓掛行から東へ向かう鴛泊行に行き先を変えて出港するとのこと。よかった、よかった。船の運航状況は当日の朝5時30分には決定してくれます。すべてオンラインで確認できますし、チケットの予約も可能なので便利ですね。
風は少しありましたがお天気は良いので午前中は予定通り走るにしました。
【桃岩展望台】
まずは桃岩展望台までピストン。
片道3km、標高は200mほどかな。短いけど結構きつい登りです。
赤い屋根の建物がトイレでそこまでは自転車で上ることが可能です。そこから先は歩くことに。とってもいいお天気なんですが、残念ながらこの日は展望台から利尻山は見ることができませんでした。
展望台。
結構人がいたのでマスクをしています。
猫岩が見えます。
確かに猫の後ろ姿に見えるね。
【桃台猫台】
展望台からいったん降りてきて今度はトンネルを通って対岸へ行きます。
新桃岩トンネルは2016年開通ですので結構新しいですね。
トンネルを抜けて海岸線を南下するとすぐ見えてきます。
おお、確かに桃みたい。
展望デッキまで上がると更にいい景色が開けます。
左手の赤い屋根が伝説のユースホテル。猫岩もすぐそこです。懐かしい方もおられるんじゃないでしょうか。
【地蔵岩】
トンネルまで戻って今度は北上すると地蔵岩に出ます。
赤い矢印が地蔵岩。なんで地蔵? って思うよね。
高さ50m。拝むときの手を合わせた仕草に似てるから、なんですって。
このプチ情報、抜海で泊まったばっかすの女将が出発間際にさり気ない会話の中で教えてくれました。
確かにね~。
それと、これはあとから調べていて知ったんですが、この辺の浜は「メノウ浜」と名前が付くほど「瑪瑙」が採れたそう。
反対側は砂浜なのにこっち側は小石の浜なんだ、と思って写真に収めてました。珍しいですよね。
さあ、この後お昼ご飯を食べて港へ向かう予定ですが、この時点でまだ10時30分。この近所のdining cafe 海さんでランチと決めていた、というかここ以外だと港で探すしかありません。でも、オープン時間は11時。仕方ないので30分ほど浜をプラブラして時間をつぶしました。でもね、待ったかいありましたよ。ここのウニバターソースオムライス、とっても美味しかった。宿での料理はやはり海鮮懐石が多いので長旅ではこうゆうのが新鮮で嬉しい時ありますね。
いやー、長い!
本当は利尻まで書きたいところですがまた次にしますね。
読んでくださってありがとう!
深夜の温見峠を越える~BRM924近畿600㎞茨木~
こんにちは、前野です。
猛烈に暑かった気温も落ち着いて過ごしやすくなりました。
今回はオダックス近畿主催のブルべ、BRM924近畿600km茨木を走ってきたので紹介します。
スタートとゴールは茨木市。亀岡や美山、小浜など走り慣れた地域も含まれていますが、越前海岸や福井と岐阜の山奥へ行くのは久しぶりです。
ちなみにブルべのサブタイトルは「夢はでっかく琵琶湖一周」。
琵琶湖沿いは走りませんが一応ビワイチしてますね??
福井と岐阜の県境に位置する温見峠を夜間に越えることがこのブルべ最大の醍醐味でしょうか。
国道157号線の福井と岐阜の県境に位置する温見峠。特に岐阜県側は洗い越し区間が連続するほか、切り立った渓谷沿いに道を通しているのでハンドル操作を誤れば100m近い谷底に一直線…
酷い道、通称「酷道」として有名です。
2018年に初めて訪れたときは、道の険しさもさることながら大野市から本巣市まで約90㎞コンビニはおろか自動販売機も無く、補給できる場所が無いことが過酷さを際立たせていました。
その時の様子はこちらに書いています。
今年は600㎞と200㎞を1本ずつ完走しているので、この茨木600㎞と来月の守山300mを完走すれば2019年ぶりのSR(スーパーランドナー)を獲ることが出来ます。
そんな理由もあって何としても完走したいのです。
今回も友人のSと一緒に走ります。前回の米原600㎞は彼にとって初めての600㎞完走が懸かっていたので慎重にプランを練って走りましたが、今回は宿を取らずに仮眠のみで走る計画です。(前回は自分も久々の600㎞だったので夜間走行に自信がありませんでした…!)
茨木駅を8時スタート。制限時間は40時間ですが余裕を持って翌日の19時、35時間のゴールを目安に走ります。京都から茨木まで輪行なので、帰りの電車を考えると遅くても22時台に戻りたいところです。
ブリーフィングでは深夜の温見峠で主催者の方が待機してくれるという、頼もしいお知らせがありました。車検もクリアしていざスタートです。
8:00 スタート 茨木市中央公園
・
・
・
11:22 77km フォトコントロール1 美山かやぶきの里
8時スタートに集まった参加者は5人。2013年からブルべに参加してきましたが、これだけ少ない人数のスタートは初めてです。ちなみに1時間前の7時スタートは13人。
スタートすると茨木から亀岡、日吉ダムを経由して美山かやぶきの里へ。走り慣れた道と見慣れた景色なので僕たち二人は日帰りサイクリングに行くような感覚が抜けず緊張感がありません。亀岡は彼岸花が綺麗に咲いていました。
2時間ほど走って美山の山崎ショップで休憩。茨木のスタートから近い位置を走っていた方と僕たち二人で先頭を回して走ったので楽に距離を稼げました。3人で談笑しつつパンを1個食べて再スタート。
最初のチェックポイント美山かやぶきの里に着くと通過証明のために写真を撮ります。蕎麦の白い花が綺麗でした。
12:13 90km 五波峠
かやぶきの里を出て少し走ると林道に入り、福井県へ抜ける五波峠へ。この先まとまった登りは福井から岐阜に抜ける温見峠までありません。
登りも下りも落ち枝や落石があるいつもの五波峠でした。変わった事と言えば、峠に設置されている木製の看板が朽ちて倒れていました。数か月前に来たときはまだ立っていたんですけどね。
福井県側下りの途中では参加者の方がパンクしていました。以前にSと二人で五波峠に行ったときは彼の28Cタイヤが2回もパンクしていたので走り慣れているとはいえ油断できない区間でした。
14:05 134.4km フォトコントロール2 福井県海浜自然センター
五波峠から小浜までの道も京都からおにゅう峠を周回する時に使う道なのでこの時点ではまだ非日常感を感じられずにいました。小浜の古い町並みはなんだか地元に帰ってきたような安心感を覚えます。小浜の市街地でゆっくり昼食を摂ることも考えたのですが、決め手に欠けてそのまま通過しました。
小浜から敦賀までは海岸線を走ります。多少のアップダウンはありますが景色も良く順調です。この辺りまで来ると頻繁に走る場所では無いのでフレッシュな感覚が出てきました。三方五湖を通るのも2年ぶりくらい。
15:57 162km 敦賀で遅めの昼食
昼食か夕食なのか分からない時間ですが、敦賀の市街地で食事を摂ることにしました。
敦賀と言えばソースカツ丼のヨーロッパ軒。ルート沿いにあるので覗いてみましたが、ランチとディナー間の休憩時間でした。残念!!
ヨーロッパ軒のすぐ近くにとんかつ屋さんがあったので入店。僕はヨーロッパ軒を諦めきれずソースカツ丼を注文。ご飯大盛、キャベツとあさりの味噌汁はお代わりしました。この先の越前海岸も頑張れそうです。
17:10 180km 夕暮れの越前海岸を先頭交代しながら進む
新日本海フェリーの乗り場を通り過ぎると越前海岸を北上していきます。少し肌寒く感じてきたのでメリノウールのアームカバーを付けて早めの防寒対策。
スタート前の想定通り、越前海岸走行中に日没を迎えることになりました。夕暮れの日本海は美しく、日が沈んだ後は漁船の灯りが空を照らしていました。
18:51 212km トイレ休憩
越前海岸の道路は所々に公衆トイレがあるのでPC1までもう少しという所ですが休憩を挟みます。Sは膝が少し痛むと言っているので適度に休んで無理のないペースで進むことにしました。休憩を挟むと調子が戻るのでどうにかなりそうです。
20:07 236.4km PC1 ファミリーマート川尻店
スタートからちょうど12時間、PC1のファミリーマートに到着しました。ここで越前海岸と別れて大野市方面へ進んでいきます。
豚まんを食べた後、カップ焼きそばを追加しました。食べ過ぎな気もしますが、今回のような長いブルべ中はこれだけ食べても2、3時間経つとまたお腹が減ってきます。
22:17 約270km 徐々に気温が下がる
福井市を抜けると気温が下がり始め、標高が上がると霧も出てきました。
アームウォーマーだけでは寒くなってきたのでベストを着て、足にはレッグウォーマーを装着。少し暑いくらいの方が調子よく走れるので寒さ対策は早めに行います。
22:54 286km 越前大野駅
大野市の市街地に到着しました。さすがに時間が遅いので閑散としていますが、4年ぶりに訪れたので感慨深いものがあります。前回大野市に来たときは、冠山峠から降りてきた後に宿探しを始めてギリギリのところで見つけた古い旅館に素泊まりしました。
夕食は近くの居酒屋で。その時の思い出をSと話しながら市街地を抜けていきます。
大野の市街地を出ると約90㎞補給できる場所が有りません。主催者の方が峠の上で休憩できるスペースを用意してくれているはずですが、それだけを頼りにはできません。4年前と同じように大野市の市街地の端にあるローソンで温見峠前最後の補給。おにぎりとコーヒー、飲み物を買いました。甘い飲み物は飽きてきたのでボトルの片方にはお茶を入れます。フロントバッグにはスタートから携帯しているクリーム玄米ブランと途中で買ったパンが残っているので食べ物は充分でしょう。
ヘルメットにヘッドライトを装着してコンビニを出発。1キロくらい走ったところで、二人とも寒くてレインジャケットを着こみました。登りが始まれば身体が温まるのでそれまでの辛抱です。
23:51 大型車通行不能を警告する看板が何度も現れる
福県側から温見峠に向かうと、しばらく綺麗な2車線道路が続くので「酷道」を期待していると拍子抜けするかもしれません。でも、道沿いに時々現れる「大型車通行不能」の看板がこの先の険しさを物語っています。
・
・
・
日付は変わり9月25日
0:10 313km 温見峠区間はヘッドライトを装備
摩耶姫ダムを抜けるまでは綺麗な道が続き、トンネルもあるので人工物に守られている安心感があります。今まで600㎞ブルべでヘルメットに道を照らす為のヘッドライトを付けることはあまりなかったのですが、温見峠の下り対策でヘッドライトを新調しました。通常時は暖色LEDで手元を照らし、下りや曲がりくねった登坂では白色LEDの明るい光で遠くまで照らせます。ずっと古いものを使っていたので新しいライトの性能には驚きました。今後は夜間走行用装備としてスタメン入りするかもしれません。手元が明るいとキューシートを読むのに便利でオレンジ色の光はなんだか心が落ち着きます。
そういえば、大野市のコンビニを出た直後に羽織ったレインジャケットは身体が温まったので登りの序盤で脱ぎました。
0:27 他の参加者に会えると嬉しい
ダム沿いの道で他の参加者の方に追いつきました。今回のブルべは出走者が20名に満たないので誰かに会えると嬉しくなります。「こんばんは~」と声をかけて先へ進みます。
1:14 315km この先道幅狭し。酷道の本領発揮
2車線の快走路だったはずが急に林道のような狭い道に切り替わりました。これでも地図上は同じ国道です。
ここから先が酷道157号線温見峠越えの醍醐味が詰まった区間になります。わくわくしてきました。
ちなみに道路を照らしているのはSON Edelux2ヘッドライト。ハブダイナモ給電のライトですが配光が秀逸で写真の通り非常に遠くまで広く均一に照らしてくれます。
バッテリー残量を気にする必要もないので、今回のように徹夜で走る場合に最適です。
1:17 316km 背の低いおにぎり
前回訪れた時も写真を撮った背の低いおにぎり。4年経って劣化が進んでいますが健在でした。このおにぎりのところで道は左に曲がり、橋を渡って温見廃村跡を抜けていきます。
1:30 320km 温見ストレート
1km以上続くロングストレートが現れます。ヘルメットに着けたヘッドライトで林の中を照らすと無数の光る眼が。鹿がそこら中にいました。ふと左側を照らしたら大きな角を生やした鹿が近くいたときは悲鳴をあげてしまいました。暗闇に光る眼と大きな角。それが藪の中数メートル先にいたらびっくりしますよね?
1:42 324km 路面には砂利や枝葉が散らばっている
温見ストレートを抜けると勾配が厳しくなり、本格的な登り区間に入っていきます。この辺りに来ると鹿の気配は無くなりましたが、今度は坂との戦いです。時間を忘れ夢中で走っていますがこの時深夜2時前。こんな事普通のツーリングなら絶対やりません。深夜走行はブルべを走るうえで最高の贅沢です。
1:55 相変わらず福井県側の路面は荒れている
急勾配と石畳のように割れたコンクリート舗装。650×42Bタイヤでも快適と言い難い道の荒れ様です。
1:55 325km 戦略的押し歩き
脚に負荷をかけすぎないように路面が荒れて勾配が厳しい区間は二人とも押し歩きました。限界まで坂と戦って足を着くのではなく、明日に響かないように脚の限界が来る前に歩くのです。制限時間には充分余裕があり、まだゴールまで300㎞残っているので登りの数十秒のために頑張る必要はありません。
それに歩くとストレッチが出来て脚がスッキリします。
2:17 327.2km フォトコントロール3 温見峠(標高1020m)
無事に温見峠に到着。前回来た時もその秘境ぶりに驚きましたが、まさか深夜に来るとは思いもよりませんでした。峠は風の通り道になっていて途端に寒く感じたので、レインジャケットを羽織り急いで通過証明用の写真を撮影。
茨木のスタートから少しずつ積み重ねてここまで来ることが出来ました。温見峠を登り切ったので余程のことが無い限り完走出来そうです。
峠の簡易休憩所
峠の岐阜県側に主催者の方が車とブルーシートを使って休憩所を用意してくれていました。ブルーシートの中でコーラとチョコレート、クッキーをいただいてほっと一息。主催者の方曰くほとんどの参加者が深夜の内に温見峠を越えているようです。
暖かい簡易テントの中で一休みできたので僕たちも下り始めます。ネックウォーマーと長指のグローブを着けて最大限の防寒対策。Sはおなかにあたる風を防ぐためにジャージの中にビニール袋を入れていました。
2:46 333km 温見峠名物「洗い越し」
岐阜県側にしばらく下っていくと水が流れる音と共に洗い越しが出現しました。連続して洗い越しを通過できるのは近畿ではここだけではないでしょうか。
水しぶきを上げて通過するのが楽しい!
夜中の山奥なのであくまでも安全第一ですが、この洗い越しを豪快に横切るのが温見峠の岐阜県側に遊園地のアトラクション的な楽しさを加えています。水の勢いがあるので少し横に流される感覚が有りますが転びそうになるほどではありません。
それと、泥除けが無い自転車でスピードを出して通過するとびしょびしょになります。Sはここで濡らした足が下りで冷え、山を抜けた最初のコンビニで靴下を買って履き替えるほどでした。
3:16 344km 左側は断崖絶壁
洗い越し区間を通過すると次は転落事故多発区間になります。渓谷沿いの曲がりくねった狭路でガードレールの無い場所が殆ど。深夜なので左側を流れる川は道路から全く見えませんが、落ちたら闇に吸い込まれるような落差があります。
3:34 350km 例の看板はもう無い
無事に温見峠区間を抜けました。楽しみだけど怖い区間でもあったので通過してほっと一息。4年前に来たときはここに「落ちたら死ぬ!」という看板があったのですが現在は撤去されています。
この後、しばらく下って90㎞ぶりのコンビニで休憩。この時午前4:45。さすがに二人とも眠たくなってきたので食事を済ませた後、近くの道の駅に行って仮眠を取ることにしました。1時間ほどベンチに座って目を瞑り眠気を解消します。
6:24 385km 朝焼けの中海を目指して南下する
1時間の休憩でだいぶすっきりしたので走行を再開しました。肌寒かった気温も上がり始め、この日の最高気温は30℃の予報です。海までひたすら堤防沿いを走って南下していきます。暑くなってくるのでまずはレインジャケット、お次はベスト、さらにレッグウォーマーとアームウォーマーを外して昼間装備に戻していきます。そして日焼け止めも忘れずに。今回のブルべは念入りに日焼け止めを塗りなおしたので殆ど焼けず、疲労感の軽減につながりました。
9:09 439.8km PC2 湾岸長島PA
ひたすら堤防道路を走り続けて三重県の湾岸長島PAに到着。ブルべのコントロールポイントにパーキングエリアが選ばれているのは初めてです。裏手に一般お客様入口があって入ることが出来ます。
ジャージとビンディングシューズでパーキングエリアを歩くのは不思議な体験でした。フードコートでカツカレーを食べ、売店で通過証明の為のレシートを取得。グァバジュースなるものがあったので買ってみました。
9:19 PAの足湯で回復
湾岸長島PAには無料の足湯があるので食後に入らせてもらいます。いいリフレッシュになりました。
10:30 約460㎞ 四日市で交通量の多さに疲弊する
湾岸長島PAを出発すると交通量の多い道が続きます。特に四日市付近は信号も車も多くて疲れました。無事に温見峠を下りてきたのにこんなところで車に引っ掛けられるわけにはいきません。自転車歩道通行可の区間は歩道も積極的に利用します。
11:13 471km 堤防道路が続く
四日市を抜けると、亀山まで鈴鹿川沿いの堤防道路を走ります。ようやく交通量が減って少し安心して走れます。次のPC3まで距離があるので湾岸長島PAで買ったパンを食べてエネルギー補給。堤防道路は交通量は少ないのですが、補給場所が無いのでフロントバッグに入れた食べ物が役立ちます。
11:31 474km Sは睡眠不足でDNFがよぎる
堤防道路の途中でSが遅れがちになりました。眠気でしんどいと言うので堤防道路を少し外れてイートインの有るコンビニで長めの休憩を取ることにしました。自分も一人で夜通し走ると猛烈な睡魔に襲われることがあるので辛さはよくわかります。こういう時は10分でも目を閉じるだけでマシになるので休むことが一番です。それに僕もボトルの中身が少なくなっていたのでちょうどいいタイミングでした。
30分ほど休憩、Sはロックアイスを背中に入れたり色々と対策をして出発しました。
ちなみに彼はフルマラソンは数えきれないほど(僕は1度だけヘロヘロになって完走しました…)、100kmウルトラマラソンも完走している程の体力の持ち主ですが、このブルべが今までの中で一番過酷だったと語っています。
13:31 506.5km PC3セブン-イレブン 津市白山町店
堤防道路を離れてからは広域農道特有の直線的なアップダウンが続きました。Sはまだ眠気から完全に開放されていないようですが、走行距離は500kmを越えてPC3に無事到着しました。
おにぎりが売り切れていたのでいなり寿司を購入。甘い炭酸が飲みたくなったので飲み物はファンタグレープ。日差しが強く照り付けているのでコンビニの陰で休憩しました。
実はこの時、重大な出来事が起きていました…
14:28 514km 青山峠を登る
青山峠を越えると伊賀コリドールロードの強烈なアップダウンをこなします。伊賀コリドールロードは何度走っても好きになれません。バイクや車で走るにはいいのかもしれませんが、自転車だとひたすらアップダウンを繰り返すだけで景色は風情に欠けます…
伊賀コリドールロードへの文句を言いつつ伊賀上野に到着しました。駅の近くのコンビニで最終休憩の為停車。この時、Sが急に焦り始めました。
「レシート貰ってなかった…!」
先程のPC3でSも買い物をしたのですが、眠気のせいかレシートを貰わずそのまま出発してしまったのです。通過証明になるPCのレシートが無いとゴールまで走り切っても認定を貰えません。ここでSの心は折れかけてDNF宣言をしそうになりました。ただ、冷静に考えるとPC3では僕が一緒にいてSが写った写真も撮影しています。(写真には日時が記録されています)さらに、レジでの決済を電子マネーで行っていたのでレシートは無くても電子マネーの決済情報で店舗名と日時がわかります。この2点が有ったので、伊賀上野でDNFするのではなく、ゴールまで走り切って後は主催者の方に委ねることにしました。
17:47 581km ゴールが見えてきた
交通量が増えてきたのでかなり気を使いますがゴールは確実に近づいています。丘を越えて枚方に入ればあと少し!
18:44 598km 安全第一で残りの距離を消化
昨日の同時刻には越前海岸を走っていたことを思うと不思議な風景です。完走は確定しました。
19:30 603.5km この和室に入った時刻がゴールタイムになる
駐輪場所に迷いつつ、ゴールの茨木市福祉文化会館(オークシアター)和室に到着しました。入室した時刻は19:30。そして懸案事項だったSのPC3のレシートですが、僕が行動を共にしていたのでそれが証明になるのと、電子マネー決済の記録などもあったのであっさりとOKを貰えました。
無事に二人とも35時間30分で完走!目安のゴールタイムにしていた19時から大きく遅れなかったのも良かったです。
今回は久々に徹夜で走るブルべでしたが、一緒に走った友人Sのおかげで楽しく最後まで走り続けることが出来ました。これが一人だと深夜早朝の走行は眠気との戦いになるので本当に助かりました。
・
・
・
今回もグランボア650Bランドナーで完走
ランドナーはのんびりと走る自転車。スピードを求めない人が乗る自転車。ランドナーに対してそんなイメージを持たれている気がするのですが、僕が600㎞ブルべにランドナーを使うのはこの自転車で走る方がタイヤの細いロードバイクで走るより快適で速いからです。
ブルべ用に吟味されたフルオーダーフレーム、転がりの軽いエートルエキストラレジェ650×42Bタイヤ、ハブダイナモ給電の明るい前後ライト、手が痺れないグランボアフランス型ランドナーバーと身体に馴染んだイデアル#90サドル、荷物に簡単にアクセスできるフロントバッグ、足元が濡れることを防ぐマッドガード。
ランドナーに付いているこれらの部品はクラシックな雰囲気を出す為の飾りではなく、長距離を快適に速く走るための道具なのです。
フロントライトはキャリア右側にSON Edelux2、左側にサブライトとしてキャットアイVOLT800の2灯体制。VOLT800は温見峠の下りで念のため点灯しましたがそれ以外ではほぼ使わず、Edelux2のみで充分な視界を得ることが出来ます。
テールライトはシートチューブに直付けされたキムラTL-06D。こちらもSON28ハブダイナモからの給電で点灯し、フロントライトのEdelux2と連動しています。前後ライトは停車後も本体内蔵のコンデンサーに蓄えた電力で光り続けます。
荷物は全てグランボアフロントバッグに集約しています。サドルに跨ったままアクセスできる帆布のフロントバッグは古臭いようでとても合理的です。一緒に走ったSは現在主流の大型防水サドルバッグに荷物をまとめていましたが、荷物の出し入れをするのに時間がかかりブルべの後半はフロントバッグを使いたいと言うほどでした。もちろん完全防水のバイクパッキング用サドルバッグが活躍するシーンもあると思いますが、荷物の取り出しやすさではフロントバッグに敵いません。レインジャケットを取り出したりネックウォーマーやアームウォーマーをしまったり、ブルべ中にバッグを開け閉めする回数は意外と多いのです。
帆布もただのコットン生地ではありません。意外と防水性が高く、土砂降りを長時間走らなければ中の荷物が濡れることは稀です。
バッグの帆布にはグリーンランドワックスという蜜蝋とパラフィンを混ぜたものを年に一回、生地全体に塗布、浸透させるメンテナンスをしています。雨に降られても濡れるのは表面だけで、バッグの内側は殆ど浸水しません。風合いが味わい深く変化するのも帆布フロントバッグの良い所です。
前回の米原600と異なる装備としては、後ろ泥除けにマッドフラップを追加しています。フロントのマッドフラップは常時装着しているのですが、今回は友人と先頭交代しながら走る計画だったので後ろの人が快適に走れるよう装備しました。厚さ2mmのゴムシートからフロント用よりも長めに切り出しています。
この装備、親方にはちょっと不評でしたが(汗)、形状や取り付け方法などを改良して今後もブルべ専用装備として使おうと思います。
・
・
・
ランドナーでブルべを走ってみようという方、是非アイズバイシクルまでご相談ください。ランドナーのオーダーはもちろん、走り方や装備面などでもお力になれると思いますのでお気軽にお声がけください。
そしてブルべでお会いしたときはよろしくお願いします!