アイズの独り言>

こんにちは、前野です。

今年最初のブルべを走ってきたので紹介します。

参加したのはオダックス近畿主催のBRM312近畿200km守山
おなじみいつもお世話になっている滋賀ブルべです。

スタートは午前8時で自宅からスタート地点まで35km程なので自走で向かいました。この日はびわこマラソンがあったので交通規制が心配でしたが、早朝なので問題なく大津の市街地を通過。近江大橋を渡ってゆったりと走って守山のスタート地点に到着しました。

今回乗る自転車は1月のハンドメイド展で展示したブルべの為のグランボア650Bランドナーです。

 

コースはJR守山駅近くを発着する200km

守山をスタートして南東へ進み伊賀上野、名張を抜けて曾爾村、御杖村を通って三重県側から青山峠を登って守山に帰ります。前半の曽爾村や御杖村を走るのは久々ですが、後半の青山峠以降は昨年のBRM924茨木600kmと重複している区間が多々あります。がっつり登るのは青山峠のみ、獲得標高も200kmのブルべとしては平均的で難易度は高くありません。

 

 

3月12日 8:00 スタート 守山えんまどう公園

スタート地点に到着すると受付と車検を済ませてスタート前のブリーフィングが始まるのを待ちます。

一緒に走る同期のSと後輩のI君も到着して今日の予定などを話し合います。I君は前日に淡路島を1周してきて脚が残っていないとか。ブルべ前日に張り切りすぎでしょ…
3人とも今年最初のブルべなので10時間程度で守山に戻ってくるプランで走り始めました。

 

8:34 甲賀市 天気は曇り

一緒に走るSはカーボンのディスクロードに最低限の装備。夜間走行が無く天気を読みやすいコースの200kmブルべだと超軽装で走る人も珍しくありません。

 

9:21 伊賀の辺りで通り雨に合う

順調に走っていると顔に雨粒が当たり始めました。僕たちが通過する前に雨雲が通過したようです。本降りの雨にあたる前にやみましたが、予報になかったので驚きました。
雨が上がった後も名張に抜けるまでは路面が濡れていたので泥除けとマッドフラップが役立ちました。
雨の日に一番厄介なのは顔に向かって飛んでくる路面からの水しぶきです。

 

10:15 60km地点、名張の市街地で少し休憩

名張に入るころに路面は乾いて青空になりました。
スタートして2時間半くらいでしたがこの後しばらくコンビニが無いので小休憩を挟みます。
フロントバッグの中には多めの補給食を入れてきたので自分は特に買い物をする必要はないのですが、3人で走っていると休憩中の雑談が楽しいのです。

 

10:57 青蓮寺湖沿いを走る

名張の市街地を抜けると少し登って青蓮寺湖ダムを通ります。
この辺りまで来ると交通量が減り快適に走れます。

 

 

 

11:10 香落渓を走る

名張から曽爾村へは香落渓(かおちだに)を抜けます。紅葉の季節に走ってみたいです。

 

この日は3月上旬にしては気温が高く、早朝に自宅を走り始めたときで既に10度以上ありました。
標高の高い曽爾村でも最高気温は20℃近くあります。

朝から気温が高かったので服装はあまり迷わずに決めることが出来ました。
メリノウールの半袖ジャージ、半袖インナー、靴下に夏用のビブショーツを基本とし、気温に応じてアームウォーマーとレッグウォーマーを着用します。フロントバッグの中にはウインドブレーカーを兼ねたレインジャケットとベスト、長指の手袋もあるので幅広い気温に対応可能です。

曽爾村へ

香落渓を抜けると曽爾村に入っていきます。曽爾村と言えば曽爾高原が有名ですが今回のコースでは通りません。曽爾高原も久しく登っていないので今年の秋、ススキの季節に行きたくなりました。
香落渓と合わせて秋のツーリングコースが組めそうです。

 

11:42 フォトコントロール1 85.8km 掛公園

この日最初のチェックポイントに到着。このブルべのチェックポイントの配置は少し独特で、通過時間に制限のあるPCが1箇所のみで残り2か所は指定された看板や景色と一緒に自転車を撮影することで通過証明にするフォトコントロールになっています。
大量の花粉が舞う中走っているので花粉症のI君はしんどそうです。自分もくしゃみが多いような…

 

12:10 御杖村を通って津方面へ

この日は調子よく踏めていて登りでは自分が先行することが多くなりました。そういえば今日はインナーリングにチェーンを落としていません。

新しい自転車のアウターは小さめの44Tでリアスプロケットが11-28Tなので、緩やかな坂であればフロント変速無しで走り切れてしまうのです。

 

12:30 フォトコントロール2 104.0km 伊勢奥津駅

名松線(めいしょうせん)の終点、伊勢奥津駅が今日のコントロールポイントの2つ目です。
松坂駅からこの伊勢奥津駅までの約43kmの短いローカル鉄道です。ここからのんびりと輪行で帰るのも良さそうですが今日はブルべ。通過証明用に写真を撮って一息ついたら次のコントロールポイントに向けて出発します。

 

13:30 PC1 128.6km 花粉で黄色い時計

しばらく下り基調が続き、1時間ほどでPC1のコンビニに到着しました。時計や靴下を見ると花粉で薄っすら黄色くなっています。目安にしている10時間以内のゴールは充分間に合うので30分ほど昼食休憩。豚まんとコールスローサラダを食べました。

 

14:33 この日の山場、青山峠

コントロールのコンビニを出発するとすぐに登りが始まります。今日のブルべで唯一しっかり登る青山峠です。
チェーンをインナーリングに落とすか迷いましたが、峠の序盤から一緒に登っていたロードの方といいペースで峠まで行けそうだったのでフロント変速をせず踏み続けます。
テンポよく踏み続け、結局アウターのまま峠のトンネルまで登り切りました。短い時間でしたが一緒に登ってくれたロードの方ありがとうございました。

青山峠を越えると伊賀コリドールロードのアップダウンが続き、往路との重複区間に入ればあと少し。

 

17:24 202.3km フィニッシュ

9時間24分で完走となりました。
往路と重複する後半は交通量が多く、3人ばらけてしまいましたが全員無事にゴール。Sは残り6kmでパンクしてしまいましたが素早いリカバリーで戻ってきました

新しい自転車の走りは軽やかで快適。今回は200㎞なので明るい時間に終わってしまいましたが、前後のダイナモライトが活躍する400~600kmのブルべを走らせるのが楽しみです。

そうそう、今日のブルべではチェーンをインナーリングに入れずに走り切りました。後半は意地になって踏んだ場所もありましたが、実質フロントシングルで走れたのも小さめの44-28Tならではと言ったところでしょうか。ロードのコンパクトクランク50-34Tでは厳しかったでしょう。

 

 

毎年楽しみにしているオダックス近畿のピンバッジ

ゴール後に受付で買えるオダックス近畿のオリジナルピンバッジ。ACPのメダルは4年に1度の更新ですがオダ近ピンバッジは毎年デザインが変わります。オダックス近畿20周年になる今年のモチーフは道路標識だそうです。去年は200×1、300×1、600×2を走ってSRを取ったので400を持っていません。今年は4種類揃えたいところです。

 

 

次のブルべは4月8日の近江八幡300km。身体の調子を整えながら来月もブルべを楽しみたいです。

アイズバイシクルではブルべを走るためのランドナーのオーダーもお待ちしています。是非お気軽にご相談ください。

 

4月は3日と13日がアイズバイシクルの定休日になります。

まえの

こんにちは、前野です。
先月のハンドメイドバイシクル展で展示した650Bランドナーの1台は自分が使用することを前提に作られました。

今日はフルオーダーで作った新しい自転車と部品選択の理由を紹介します。

コンセプトは「速く快適に走れるシンプルなランドナー」

 

新しい1台を作るにあたり、まずは使用用途を決めました。

 

ブルべなどの夜間走行を含むハイペースな長距離サイクリング(PBPもまたいつか…)
未舗装林道サイクリング(担ぎは想定しない)

 

自分はのんびりと走ることも好きですが、それ以上に自分の限界に挑むようなブルべに参加したり過酷な山岳コースを走ることが大好きです。
長い峠道で疲れている時に少しでも楽に前へ進んでくれて、メカトラブルなどを起こさず、良い意味で自転車の存在を感じないような、人馬一体で走れる1台が理想です。そうそう、未舗装路を走ることも好きなので多少荒れた道であっても躊躇せず走れることも必要です。

 

なるべく楽に速く走れて道を選ばない。今使っているフロントシングルの650Bランドナーで実現できていることですが、新しい自転車は良い点はブラッシュアップして少し違った味付けの1台にしたいと思いました。

 

部品の構成はグランボアで採用している信頼性の高い現行品をメインに使おうと決めました。
手元変速は便利ですが、シンプルで変速が楽しいWレバーを使いたいです。
今使っているフロントシングルランドナーはシフトレバーの関係で、前後輪と前後泥除けを外して輪行袋に入れるロードバイクと同じ縦型輪行です。
新しい1台は方向性を変えて、よりコンパクトな荷姿になるフォーク抜き輪行に対応させます。これは縦型輪行に問題があるのではなく、単純にフォーク抜き輪行に対応した自転車にしたいという個人的な趣向です。

 

 

 

2017年から使用している通称 ” 4号車 ”

まずは今乗っている自転車の紹介を。

こちらは2017年にフランスのアンベールで開催されたハンドメイド自転車の競技会コンクールマシンにグランボアが参加するべく製作された2本の内、予備車となった軽量ラグレスフレームで組み上げたフロントシングルランドナーです。

SRAMフォース1をメインとした1×11s(前40T、後11-40T)のフロントシングル、前後ハブダイナモ給電のライト、快適なイデアルの革サドルなどを備えています。ロード/グラベル用としてフロントシングルが登場して間もないころだったので、フロントシングルコンポーネントの使用感を確かめるためのテスト車という側面もありました。

この自転車に2017年の秋ごろから乗り始めて今に至るまで、京都から岩手まで走る1000㎞ブルべから瀞川氷ノ山林道の砂利道まで様々な道を走ってきました。

殆ど不満はないのですが、得意分野があれば不得意分野があるのも事実です。

 

変えたい部分があるとすれば以下の項目になります。

 

・平坦な道を効率よく走るための、トップ寄りがクロスレシオなギア構成
・650×42Bタイヤに最適化した機敏なハンドリングと泥除けクリアランス
・ロードバイク寄りのポジションを出しやすくする為にリーチを長くする
・メンテナンスを容易にするためテールライトへの電装の簡易化
・Wレバー変速(もしくはeTap)でフォーク抜き輪行に対応させる

 

 

上記を満たしつつ、アイズバイシクルで提供可能な現行部品を使用して新しい自転車を製作しました。

 

 

 

 

新しい650Bランドナー。フレーム番号にちなんで通称 ” T1”

【スペック】

・フレーム:グランボアラグレス  カイセイ4130R (C-T 550mm、BB-サドルトップ 680mm)
・ヘッドセット:グランボアヘッドセット輪行用
・タイヤ、チューブ:650×42Bエートルエキストラレジェプリュ(試作品)、レール650
・ハブ:SON DeluxWideBody 28H、グランボアスモールフランジハブ28H
・リム:パセンティブルべ28H
・クランクセット、BB:サンエクシード、TA 44-28T、タンゲLN7922
・前後変速機、レバー:マイクロシフトFD-R42、同RD-R47S、ヨシガイシルバーWレバー
・チェーン、カセットスプロケット:シマノCN-HG93、同CS-HG400-9 11-28T
・ハンドル、ステム:グランボアフランス型ランドナーバー410mm溝付き、日東NPステム
・ブレーキ、レバー:グランボアシュエット3642、ヨシガイGC-07H
・サドル、ピラー:Berthoud アラヴィ、日東S65
・ペダル:シマノPD-M9100-S
・泥除け:グランボアGB650ML
・前後ライト:SON Edelux2、キャットアイVOLT400NEO、キムラTL-06D

重量:写真の状態で約10.9㎏

 

今回のフルオーダーフレーム製作はアトリエ長が担当

フルオーダーフレームなので従来通りなら親方が設計、製作を行います。
新しい試みとして、今回のフルオーダーラグレスフレームはセミオーダーモデルTypeERのフレーム製作を担当しているアトリエ長の伊藤が作りました。
自分はフレームのジオメトリや追加加工などについてリクエストし、最後の研磨仕上げと部品の組みつけを担当しました。伊藤が設計図を描いてパイプの加工やロウ付け、キャリアの製作を行っています。

 

 

フレーム製作を担当した伊藤より

「今回初めてのフルオーダー車作製にあたって、第一に優先したのが乗り手の求めるフレームの剛性です。オーダーといいましてもそれぞれ第一に求めるものが違うと思います。前野店長が求めたのは、ブルべに走る快適な自転車。つまりは”強い自転車”です。
フレームのジオメトリが乗り味に影響することはいうまでもないことですが、今回気をつかったことは材料のパイプの使い方です。バテット/テーパー パイプをどの位置でカットして剛性を出すか、親方も特に気をつかっているところです。
乗り手の体重、身長、乗り方で必要なフレームの剛性は変わってきます。フレーム製作をする親方を横で手伝いながら見て学んだことです。
フレームの剛性は健脚な前野店長が証明してくれるはずです。」

 

 

 

機敏に走るためのスケルトン

フレームは乗り慣れたカイセイ4130Rをメインとし、トップチューブは4号車より長めに設定してリーチを伸ばしています。その他の寸法も機敏な走りを実現するために少しずつ変更しています。

 

 

万能な650×42Bタイヤ

使用タイヤはここ数年愛用しているグランボアエートル650×42Bを想定しています。

ちなみに写真のタイヤはエートルですが、ケーシングが強化されたエキストラレジェの新型、”エキストラレジェプリュ”の試作品です。2019年頃から試作を重ね、ようやく今春に発売の見通しが立ちました。エキストラレジェタイヤより少し重くなりますが、しなやかなアンチパンク材を採用したことでサイドカットに強く、荒れた山道も安心して走れます。

 

インナーチューブはグランボアレールを使います。115gほどのしなやかで軽量な扱いやすい650B用チューブです。
さらに走りを追及するのであれば、PBP2019の時と同じようにプリュムラテックスチューブを使います。ラテックスなので空気圧管理はシビアになりますが、走りが格段に向上します。

軽量化を優先するなら少し細い38Bか36Bになりますが、自分の使い方で最も優れていると感じるのが650×42Bなのです。

 

ドロヨケ、ペダル

泥除けは650×42Bタイヤでクリアランスを大きく取ることが出来るGB650MLにしました。
4号車はもともと650×36Bを想定した設計なので、泥除けはひと回り細い本所H50CNを装着しています。36Bタイヤを想定した設計のフレームに42Bタイヤを入れると当然ですがクリアランスは狭く、林道を走ると泥除けに落ち葉などが詰まりやすかったのです。

 

クランクは4号車と同じですが、フロント シングル/ダブル という大きな違いがあります。

BBの軸長の関係でこのままではQファクターが4号車より広くなります。
そこで、ペダルを長年愛用してきたシマノPD-A600ではなく、XTRのショートシャフトモデルPD-M9100-Sにすることで解決しています。

 

 

快適なハンドルとシンプルなブレーキレバー

ハンドルはグランボア フランス型ランドナーバー410mm を選択しました。
ランドナーバーを選んだ理由はアップライトなポジションにするためではなく、握り心地が良いからです。中央からせり上がったハンドルの肩部分は手のひらへのフィット感が抜群に良く、長時間の走行も快適です。ブレーキレバーがエアロタイプのヨシガイGC-07Hなのでケーブルを添わせる為の溝付きモデルです。

 

エアロタイプのブレーキレバーGC-07Hを選んだのは、フォーク抜き輪行時にケーブルがレバーから外れないので作業の簡略化につながる事が理由です。ちなみにエアロタイプのレバーでも、ケーブル受けに割りが入っている製品は輪行時にケーブルが外れて大変なことになるので選んではいけません。

GC-07Hにはグランボアのランドナーで定番のGC202Qのようなクイックリリース機能は付いていません。クイックリリース機能があるとアーチワイヤーの着脱が簡単になるので、センタープルブレーキやカンチブレーキの扱いに慣れていない方にはGC202Qをおすすめします。

 

明るいライト、低抵抗ハブダイナモ、軽量リム

メインのライトは4号車と同じSON Edelux2を採用。
非常に優れた配光で遠くまで均一な明るさで照らしてくれるので夜間も自信を持って走ることが出来ます。

 

フロントのハブダイナモはPBPでも使用した低抵抗なSON Delux Wide Body の28Hを使用しています。4号車のSON28は低速時の発電能力が優秀なのですが、今回は高速走行を主眼に置いているのでダイナモの抵抗減を目的としてこちらにしました。

 

リムはおなじみグランボアパピヨンではなく、チューブレス対応のパセンティブルべを選びました。チューブレスとして使う予定はありませんが、軽量なので採用しました。4号車のグランボアパピヨンは5年間トラブルなく使えたのですが、このリムの耐久性はどうでしょうか?

 

 

ブルべ用にサブライトを装備

キャリア左側にはキャットアイ製のバッテリーライトを装着するためのブラケットを備えています。
ブルべに参加する際はキャットアイの吊下げ対応ライトをサブライトとして装着します。
メインライトのEdelux2で夜間走行は充分快適なので2灯付ける必要はあまりないのですが、日本のブルべを統括するオダックスジャパンの規定で400㎞以上のブルべでは2灯以上の装着が義務付けられています。ライト2灯はブルべの参加条件を満たす意味合いが強いです。
無いことを願いますが、万が一夜道でパンクなどトラブルが起きた際に自転車から外して懐中電灯として使うことも出来ます。

 

 

センタープルブレーキ、ダイナモ給電テールライト

ブレーキは4号車と同じくグランボアシュエット3642センタープルブレーキとしました。
カンチブレーキのグランボアミランと同じく強力な制動力に加え、コントロールがしやすいので気に入っています。峠道を走るのが好きなのでブレーキに妥協は出来ません。

 

テールライトも4号車と同じキムラTL-06Dを採用しました。
コンデンサー内蔵で停車後もしばらく点灯を続けます。Edelux2をオンにするとTL-06Dも連動して点灯するので、バッテリーライトのようにスイッチを何か所も操作する必要がありません。

 

 

2×9速、Wレバー

オーソドックスなフロント44-28T、リア9速 11-28Tの組み合わせです。

グランボアTypeERで最も多く採用している8速で充分なのですが、9速にした理由はトップから4枚目までが1T刻みになっていたからです。
自分の用途に合ったカセットが有り、歯数の選択肢が豊富なTAのチェーンリングで使用可能なので9速としました。

変速機はフロントがマイクロシフトFD-R42、リアがRD-R47Sを採用しました。シルバー仕上げでグランボアのランドナーでの採用も多い信頼性の高い変速機です。

 

変速レバーはヨシガイのシルバーWレバーを選びました。シンプルな形状で扱いやすく気に入っています。
Wレバーを採用したのはフォーク抜き輪行に対応させる為と、自分の趣味です。
変速速度とあらゆる状況で変速可能という点で手元変速の性能に敵いませんが、Wレバーを触る指先から感じる、チェーンが移動してスプロケットと噛み合うまでの過程が楽しいのです。

ただ、9速のフリクション変速は8速に比べて短いストロークで変速するのでシビアになることは否めません。TAのチェーンリングと組み合わせていますが、TAの推奨は8速までとなっています。以上2点からトップ側クロスレシオにこだわらなければ8速で充分とも言えます。

 

 

革サドル、シートポスト

サドルは2年ほど前に購入して少しずつ慣らしていたBerthoudのアラヴィを採用しました。約400gと革サドルとしては軽量で、チタンレールとコンポジット樹脂製のベースがしなるので快適な乗り心地です。革のテンション調整は5mmの六角レンチ1本で行えるのも便利です。

もしアラヴィを持っていなかったらさらに軽量なイデアル#90TiALにしたかもしれません。
アラヴィも本格的に乗り込んでどんな風に年月を重ねていくのか楽しみです。

 

シートポストを日東S65にしたのはアラヴィがイデアルやブルックスなどの革サドルに比べて厚みが少なく、ENEのシートピラーだとハードに乗っている時稀に革がヤグラに底付きすることが有りました。ヤグラと革の接触が起きる可能性が無く、軽量で信頼が置ける日東S65を選びました。
もしサドルがイデアル#90ならヤグラが隠れるENEを選びます。

 

 

こうして完成した自転車は太いタイヤと泥除け、フロントバッグとキャリア、統合されたライトに革サドルなどランドナーとしての様式を持ちながら、レーシングバイクのような機敏さも備えたロングライドの為の1台となりました。

 

 

PBPを走ったグランボアCDM2019

フレームのジオメトリや特殊工作に重きを置かないのであれば、同じような構成でセミオーダーモデルのTypeERを組むこともできます。

同じフルオーダーフレームでメインコンポーネントをSRAMのeTapにすれば、PBPを完走したグランボアコンクールマシン2019のような電動変速を備えたより現代的で変速性能が優れた1台に仕上げることもできます。フルオーダーはラグ付きも選べるのでより趣味性の高い1台に仕立てることも可能です。

それに軽量化の余地もまだまだ残されています。
7700デュラエースやレコードなどを使えば同等の機能、信頼性を備えつつ更に軽量な1台を作ることも出来るでしょう。

 

 

フルオーダーで作る1台

 

新しい自転車を構想するのは本当に楽しい時間でした。

 

今回はハンドメイドバイシクル展への展示が決まっていたので、製作が決まってから完成するまではフルオーダー車としてはかなり短い期間でした。
展示会までの期限こそありましたが、「速く快適に走れるシンプルなランドナー」という構想は1年ほど前から頭の中で殆ど決まっていたので、新しい自転車のスペックはここ数年考えてきた結果ともいえます。

 

オーダーメイドでランドナーというと、ヴィンテージの世界というイメージを抱かれるかもしれません。確かにヴィンテージパーツを使って趣味性を追及するという一面もありますが、今回のように用途をはっきり決めて走り心地や機能面での使い勝手と個人的な趣向を両立させるオーダーの仕方もあります。

 

 

ランドナーのオーダーについて迷われていることがありましたら、まずはアイズバイシクルまでご相談ください。

自分の理想の自転車を考えるのは楽しいですよ。

まえの

こんにちは、前野です。
今日は当店で新たに取り扱いを始めた新商品をご紹介します。

 

 

こちら、何だかお判りになりますか?

ぱっと見は黒いゴムチューブに半透明のレンズ…?

親指の第一関節くらいのサイズ感です。

 

これならわかりやすいでしょうか?

赤く点滅するライトです。後方に向けて取り付けるモノですね。でもどこに付けますか…?

 

答えはベルクロテープを使ってヘルメットの後部に取り付けます。

 

ライダーの頭部に取り付けることで自転車本体のテールライトよりも高い位置になり、後方から迫る車やトラックのドライバーに視認されやすくなって安全性が高まります。

高い位置に点滅灯があるとトンネルの通過や夜間走行の安全性が高まるはず。

アイズバイシクルのある京都だと、京北に行く国道162号線の笠トンネルをやむを得ず通過する際などに点けておくと安心ですね。

 

 

Linden BK-02 後方警告灯

今回ご紹介するLindenのBK-02はヘルメットなどに装着する超小型充電式自動点滅の後方警告灯です。

小さなテールライトならネットで検索すれば無限に出てきますが、こちらは光センサーとUSB type-C 充電ポートを備えた自動点滅かつ充電式のテールライトになります。重さはなんと5グラム…!

「こんな補助灯がほしかった!」という記事タイトルにしているのは訳があります。

自分が長年楽しんでいるサイクリングの一つに長距離を走るブルべが有ります。

ブルべのルールの1つとして400km以上ではヘルメット尾灯(点滅でも可)を装着することが定められています。自転車本体にはもちろんテールライトが必要なのですが、夜間走行時の安全性を少しでも高めるための処置として、日本のブルべを走る際はヘルメット後ろのテールライトはほぼ必須装備となっています。

ブルべに参加するためにヘルメットにテールライトを装着していたのですが、正直なところ理想的な製品を見つけられずにいました。

理想のヘルメット用テールライトを探して…

 

自分がヘルメットに装着するテールライトに求める要素

・頭、首への負担軽減の為なるべく軽量。
・夜間走行中はONにしたままになるので駆動時間は最低でも12時間以上。
・昼間もトンネル通過時などに点灯させたいのでスイッチはなるべく押しやすく。理想はランドナーに       付けているハブダイナモライトと同様に光センサー搭載で自動点灯してくれるもの。
・使い捨てのボタン電池でも良いが、充電式なら尚良い。
・長時間の走行、様々な気象条件に耐えうる耐久性。
・どんな形状のヘルメットにも取り付けられること。ヘルメット以外にも取り付けられたら尚良い。

全てを満たす製品は存在しない(少なくとも自分は見つけられませんでした)ので上記の要素をなるべく多く満たす物を選んで使ってきました。軽くてコンパクト、作動時間が長いものは存在しましたが、コンパクトかつ充電式で自動点滅機能付きの物はありませんでした。

トンネル通過の際に後頭部に着けたライトのスイッチを操作するのはとても面倒です。それに、後頭部のライトが点いているかどうかは単独行ならヘルメットを外さないと確認できません…

自動点灯の充電式テールライトは存在しますが、自転車に装着することを前提としたデザインなので重量は20g以上(ヘルメット重量250gの1割程度)ありますし、ヘルメットに着けると外観の異物感が半端ないのです。
しっかり光って夜目立つのはいいのですが、明るい場所でも外観で主張するのはイマイチです。あからさまに外観を主張する自転車取り付け用のテールライトをヘルメットに着けるのが嫌だったのです。

そんな感じでどうにか妥協できる製品を使って今までブルべに参加してきたわけですが、ようやく全てを満たす製品に出会えました。

2022年春にLindenの長さんとのやり取りがスタート。
自分は長さんが作った試作品をお借りして通勤やブルべ、日帰りサイクリングなどで使用してきました。

600kmブルべの夜間走行で視認性の良さを確認

最初の試作品は6月のBRM618米原600㎞で快調に動作してくれました。スイッチの操作感や点灯モードと点滅モードの切り替えには改善できる部分がありましたが、スタート時にスイッチをONにすれば走行中はテールライトの操作を考える必要が無くて快適でした。

 

豪雨の中走った200kmブルべで試作品は故障

続く7月のBRM709大津200kmでも継続して使用。ただ、このブルべの後半約2時間はゲリラ豪雨の中の走行となり、それ以降試作品の調子が悪くなってしまいました。
これをLindenの長さんに伝えたところ、既に同様の症状を把握されていて改良版の試作品を提供いただきました。回路定数を見直して、さらに防水シール処理もしっかり施し雨対策は万全に。スイッチの操作感も改善して点灯モードは無くし、点滅モードのみのシンプルな構成に。

こうして僕の手元に来た2個目の試作品はLindenのロゴがプリントされた製品版とほぼ同じものとなりました。

 

10月のBRM1015守山300kmで早速改良版を使用。未明のスタート地点までの自走からブルべ中盤の敦賀半島トンネル、日没後の交通量が多い湖岸道路まで快調に作動してくれました。

敦賀半島トンネルで一緒に走っていた友人が撮影してくれた動画をご覧ください。
どのように見えるか写真よりもわかりやすいと思います。

ちなみに自転車のテールライトはキムラTL-06D。ハブダイナモ給電のフレームに直付けされたテールライトです。

防水性が改善されたほか、使い勝手の面ではスイッチのクリック感なども改良されてオン・オフの切り替えがわかりやすくなりました。
本当に細かい部分ですが、とても使いやすくなりました。点滅パターンも丁度いい感じです。補助灯として割り切っているので点滅モードのみとしたのもシンプルで扱いやすいです。

300kmブルべ後に何度か雨の中も走りましたが問題なし。最近は仕事が終わって店を閉めると真っ暗になっているので帰り道の頼れる小さな相棒として活躍しています。

と、ここまで自分の使用感などを中心に書いてきましたが、Lindenを立ち上げた長さんから開発経緯などを伺っているので紹介していきます。

 

所有するアレックスサンジェにBK-02開発のきっかけが

Lindenの長さんがBK-02を作ったきっかけは愛車のサンジェとサイクリングをする環境にありました。

以下、長さんの文章そのままです。

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BK-02を作った経緯はというと~
事の発端はサンジェのリアライトにあります。
私のサンジェはリアライトが左側のチェーンステー下に付いてます。
フランスでは問題ないですが日本の道路を走るときは歩道側となり、走行中の
自動車の陰になっちゃいます。ワゴンとかトラックだと運転席が高いので
さらに見えにくいじゃん! となります。

静岡の梅ヶ島方面のサイクリングでは、トンネルが3か所ありますが、大型バイク、
自家用車のほかに、工事用ダンプやトラックも通ります。
そこを自転車で走る必要があり、後ろから走行音が聞こえるだけで…大丈夫とは
思っていてもかなり怖いもんです。
まして、サンジェのように反対側の下部のライトでは見えてない可能性が限りなく大
です。
まあ、そんな理由から生まれた警告灯なんです。

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「ヴィンテージのサンジェに乗っている人が何故ヘルメット用ライトを作ったのだろう?」と初めてお話を聞いたときは疑問に思いましたが、こんな理由があったのです。それに、BK-02はベルクロテープの貼り付けさえできればヘルメット以外の場所にも取り付け可能なので工夫次第ではサドル下への装着なども可能です。(付属するベルクロテープのシール面はとても強力です)
重いライトは首への負担が増えるのでとにかく軽い部品を使って最小限のサイズ、構造で作られたそう。極めてシンプルなBK-02の外観にも訳があるのです。

そしてヘルメットに取り付けるということで安全性にも配慮されています。
万が一転倒などでライトがつぶれたり変形したりしても発火しないように電源も小型のリチウムイオンキャパシタを選択。リチウムイオン電池などに比べて発火、発煙などに対してはとても安全になっています。

岐阜羽島サイクルフリーマーケットにて長さんと奥様

LindenのBK-02は長さんの手で1つずつ手作りされています。

Linden BK-02のスペックはこちら。

特徴
①小型軽量(本体5グラム、全長3.5㎝)
②充電時間約10分!(USB-C USB-PD使用可)
③動作時間約24時間(点滅時間)
④光センサーによる自動点滅オンオフ
⑤水没させても動く防水性

 

Linden BK-02はアイズバイシクル店頭、グランボアオンラインストアLiden the shopからご購入いただけます。

日照時間の短い季節だからこそ、Linden BK-02を身につけてサイクリングに出かけませんか!

まえの

こんにちは、前野です。

先月の茨木600㎞に続いてブルべに参加してきました。

今回走ったのはオダックス近畿主催のBRM1015近畿300㎞守山

 

滋賀県守山市発着の300kmブルべです。302㎞で獲得標高は2000m程の平坦基調なルート。

土地勘のある場所が殆どなので300㎞ブルべとしてはかなり優しい内容です。

下のマップには307.7kmと表示されていますが理由は後程…

 

 

一緒に走るのは今年のブルべを殆ど一緒に走っている友人のS。彼は先月の茨木600kmを一緒に走った2週間後、茨木から出雲大社に行く400㎞ブルべに単独参加して見事完走。自分と同様にSRまでリーチの状態です。

今回も二人で協力しながらゴールまで走る計画でスタートしました。全体の平均速度を21.5㎞/h以上で維持し、14時間以内にゴールする計画です。後半、白髭神社付近から道が混みそうなので、それによる速度低下も考えて走る必要があります。

 

自走でスタート地点の守山へ

自宅からスタート地点の守山駅までは35㎞ほど。5時スタートなのでスタート近くで前泊するか自走の2択でしたが、300kmの簡単なコースなのでホテル代が惜しくて自走で向かうことにしました。

午前1時半にアラームより早く目が覚めて起床。準備も時間がかからなかったので少し早い2時に自宅を出発しました。車の少ない夜の街をゆっくり走り抜けて午前4時に守山駅到着。

4時半ごろから車検が始まり、一緒に走るSとも合流して今日のプランを話し合います。Sは守山駅前のビジネスホテルに泊まっていたのでたっぷり睡眠がとれて調子がよさそうです。それに、前回走った茨木600㎞の後も高野山150kmサイクリング、茨木400kmブルべを走って抜群に仕上がっています。

それに対して僕は守山300の優しいコースに油断して3週間峠に行かず、おまけに自走で早起きしたので体力低下に寝不足気味。

それでもこの時は余裕で完走出来ると高を括っていました。今思えば茨木600kmを完走したことで僕の脳内は謎の自信(慢心?)に溢れていました。

 

 

5:00 スタート JR守山駅西口

ブリーフィングの後、名前を呼ばれた順に守山駅前をスタート。

実は1時間後の6時スタートに以前アイズでバイトをしていた井越君がエントリーしています。彼にとって初めての300kmブルべです。頑張れ~

 

冷えた体を温めるために踏み続ける

気温15℃でそんなに寒くなかったのですが、スタートまで1時間じっとしていたので走り始めて風を受けると寒く感じます。程々のペースで走っているとなかなか身体が温まらないので、下ハンを握り少し重めのギアを踏んで速いペースを維持しました。

数キロ続けるだけで少し汗ばんできたので身体を温めることには成功。ただ、3週間全く走っていなかった身体でゴールまで維持できるペースなのかはわかりません。

 

6:14 日野町ブルーメルの丘付近 明るくなってきた

1時間も走っていると太陽が昇り明るくなってきました。スタートからほとんどの時間を下ハンを握ってハイペースで踏み続けています。この先は登り基調になって軽めの峠を越え、下った先が本日最初のチェックポイントです。

 

6:43 42.1km フォトコントロール1  大河原温泉かもしか荘

峠を越えてフォトコントロールに到着。途中、サルの群れに威嚇されたりしましたが予定より速いペースで順調です。

ただ、鈍った身体は少し悲鳴を上げています。登りで踏み続けると脚を攣る兆しが。少しずつでも走り続ける日々の積み重ねが大切でした。何回も同じような苦しみ経験してるのにね。

フォトコントロールのかもしか荘と自転車を写真に収めてコースを折り返し、下ってきた峠を登り返します。登り返していると続々と参加者の方達とすれ違い始めました。お互い手を振ったりしてPBPのすれ違い区間みたいで楽しい時間でした。

 

7:17 最高のサイクリング日和

ブルーメルの丘近くで右折して東近江を抜け、彦根方面へ北上していきます。

途中、朝靄の中を気球が飛んでいたりしていい景色です。平坦コースで鍵となる風も弱く、快調に距離を刻んでいきます。

 

8:25  87.9km PC1 ファミリーマート 滋賀県立大学前店

彦根市街地の手前で湖岸道路に合流して、しばらくビワイチと同じルートを走ります。交通量が多い道ですが、訪れるたびに自転車レーンの拡張工事が進んでいるので年々走りやすくなっています。

コントロールポイントのコンビニに予定より早く到着して10分停車。一人で走る時は関係ありませんが、二人でペースを合わせて走る時は停車時間をお互いの疲労具合などに合わせて調整する必要があります。そして、予め時間を決めておかないとダラダラ過ごしてしまうのでコンビニに到着したら出発時刻を共有します。

今回は自宅からおにぎりを持ってきていたので食べ物は買わずドリンクのみ。結構汗をかいているのでスポーツドリンクにしました。

 

8:25 米原付近 Sのサドルバッグが固定できなくなる

波の無い琵琶湖を眺めながら快調に走っていると、突然前を走っているSのサドルバッグと後輪が接触してシューーーと大きな音を立てました。幸い安全に停車して歩道に移動できたのですが、サドルバッグの固定機構が壊れて安定して取り付けが出来ない状態になっていました。

このサドルバッグ、学生時代に僕が使っていた物をSに譲った物なので使用した距離、年数を考えると寿命だったのでしょう。とりあえず重たい物は僕のフロントバッグに移して、サドルバッグは元の位置に仮固定して走行を続けます。

 

9:13 長浜城近くのセブンイレブンからサドルバッグを自宅に送り返す

少し進んだ先の長浜城前のセブンイレブンからSの壊れたサドルバッグと中に入っていた輪行袋を自宅に送り返します。防寒用のベストとモバイルバッテリーは僕のフロントバッグに入れました。

輪行袋は僕も携帯しています。最悪の場合は貸すことも出来るので問題ないでしょう。

 

10:00 賤ケ岳隧道の定番撮影スポット

木ノ本まで行くと旧賤ケ岳トンネルまで登ってビワイチ定番の撮影ポイントを通過します。天気がいいのでもちろん停車して記念撮影。

調子のいいSに旧賤ケ岳トンネルまでの登りで遅れを取りました。サドルバッグを外してSの自転車が軽くなったのも要因ですが、乗り手に1番問題がありそうです。茨木600kmの時は登りで踏み続けられたギアが今日は踏めません。

 

11:03 敦賀のコンビニで早めの昼ごはん

塩津から敦賀まで国道303号線で峠越えをします。

この区間は緩い登りと向かい風で消耗しました。琵琶湖沿いは青空だったのが、日本海方面はどんよりとした重たい空模様。ペースを落としながら登りを終えて、下った先の敦賀で約20分の昼休憩を取ることにしました。

敦賀の市街地から小浜まで敦賀半島を回って70kmほど。昼食には少し早い時間でしたが距離的にちょうどいいのであらかじめ敦賀で食事をすることに決めていました。

 

自転車ログさんとコンビニで一緒になる

米原600km、茨木600kmをブログ記事にまとめられていた自転車ログさんと昼食を取ったコンビニで一緒になりました。

自分のブルべ完走後のささやかな楽しみが同じブルべを走った人が書いたブログ記事を読むこと。ケルビムの緑のロードを見て自転車ログさんとわかり、話しかけさせていただきました。休憩中の貴重なお時間ありがとうございました。茨木600kmは温見峠より2日目が辛かったというのは皆共通のようです(笑)

自転車ログさんは毎回とても分かりやすくブルべの様子をまとめられていて、同じブルべでも自分と違った視点から見れるのでとても楽しく読ませていただいています。

今回の守山300㎞も早速記事にされていました。ちなみにこのあと起きる僕らの”凡ミス”も第三者の目線から触れていただいています。トホホ…

 

敦賀半島の海岸線を走る

敦賀から小浜までは敦賀半島をぐるっと回ります。敦賀から小浜、そんなに離れていないと思っていましたが次に停車する小浜市街地のコントロールポイントまで70㎞以上あります。敦賀から小浜まで3時間~3時間半が目安の所要時間でしょうか。

 

12:03 敦賀半島トンネルに入る

敦賀半島の北端近くまで来ると、敦賀半島トンネルという長さ4km近いトンネルに入ります。海岸道路からトンネルまでは1kmの直線的な登り。距離を走って疲れてきているのでペースを落として登り切り、トンネルに入りました。

 

12:11 敦賀半島トンネルを引き返す

長いトンネルを淡々と走っている最中、フロントバッグのマップケースに入れたキューシートをちらっと見ると「162.6km フォトコントロール2 敦賀市立西浦小中学校」が目に入りました。あれれ、トンネルの入り口でGPSに表示されていたスタートからの走行距離は164kmを越えていたはず…

そもそも敦賀で昼食を摂っている時のSとの会話でもフォトコントロールは話題に上がらず、小浜のコントロールポイントのことだけでした。2人ともフォトコントロールの存在をすっかり忘れていたのです。フロントバッグのマップケースに入れたキューシートが役立った瞬間でした。もしキューシートをジャージのポケットに入れていたら小浜に到着するまで気がつかなかったかもしれません。

「あーーー!!」と声を上げて停車。敦賀半島トンネルを半分くらい進んだところでしたが、来た道を引き返します。トンネルを引き返す途中、敦賀で会話をした自転車ログさんとすれ違いました。なんとも奇妙な光景だったと思います。

 

12:15 フォトコントロールに向けてコースを戻る

トンネルを戻って先程登ってきた坂道を下り、海沿いの道路に戻りました。登りでは海が背中側だったのであまり見えませんでしたがいい景色です。

 

12:18 フォトコントロール2 敦賀市立西浦小中学校  162.6km(キューシート値)

トンネル内で気が付いてから10分ほど戻ってフォトコントロールに到着。今思えばこのミスもコースへの油断から生まれたものでしょう。

自転車と学校を写真に収めてもう一度敦賀半島トンネルへ向けて出発します。

 

12:24 敦賀半島トンネルへの登り(2回目)

1本目はすいすい登っていたSも足取り重く進んでいきます。少し良かったのは2回目の方が登りが短く感じたこと。

 

トンネルに再突入。ヘルメットのテールライトは新製品です

4kmのトンネルに再突入。

ちなみにヘルメットに着けている超小型のテールライトは新製品のLinden BK-02
米原600、大津200でもLindenさんから提供いただいた試作品を使わせていただきました。今回使用しているのは製品版とほぼ同じもので、初期の試作品に比べて防水性、スイッチの操作感が向上しています。(最初の試作品は大津200kmの豪雨で調子が悪くなりました)

超小型、超軽量ながら光センサーによる自動点滅を備え、駆動時間は24時間。USB-C対応で充電時間はたったの10分です。使い勝手の詳細等はまた紹介しようと思いますが、自信を持ってお勧めできる補助テールライトです。

 

12:49 水晶浜を見下ろす

子供の頃連れてきてもらった思い出の水晶浜海水浴場の横を通り、美浜町方面へ南下していきます。敦賀ではどんよりと重たい空模様でしたが、すこし青空が見えてきました。車も少なく走りやすいです。

 

 

14:02 田鳥の棚田

美浜から少し海を離れた道を走り、田鳥で再び海沿いへ。この道は前回の茨木600でも走ったはずですが、下りの途中にあったので棚田には気が付きませんでした。今回はゆっくり登っている最中だったので停車して棚田と海を眺めました。夕方には棚田のライトアップもあるようです。

 

小浜の市街地に到着

海が見える区間を抜けてもう少しで小浜のコントロールポイントという所で自転車ログさんに追いつきました。

小浜では橋の架け替え工事を行っていて、自転車押し歩きが指定されているところもあるので指示に従って歩きます。会話をしながら橋を歩くのは脚のリフレッシュと気分転換になりました。

 

14:37 218.3km PC2 ファミリーマート 小浜千種店

自転車ログさんは小浜港の方へ海鮮を探しに行かれたのでコントロールポイントのコンビニ直前でお別れ。ブルべ中の短い時間でしたがありがとうございました。

僕たちはコンビニで休憩です。ここからゴールまで80kmほどなので予定では最後の休憩。ソフトクリームとコーヒーでおやつにして、補給食と水を買い足しました。

 

鯖街道を登って今津方面へ。登りで千切れる。

小浜の市街地を出ると27号線ではなく、川を挟んで北を通る24号線で東へ進み、熊川宿の手前で303号線に合流して保坂の方へ登っていきます。この写真の後、Sが前に出るとすいすいとペースアップ。僕は疲れていたので現状維持のまま千切れてしまいました。無念。

保坂まで登り切ってもSはそのまま進んだようで今津まで下り基調の道を一人で踏み続けます。下り基調でSも踏み続けていれば速度差は少ないのでなかなか姿が見えません。湖西道路をくぐるあたりでようやく追いつきました。

合流後、Sが飲み物を補給するために今津のセブンイレブンに停車。ここは長居せず、すぐに出発しました。

 

夕方までいい天気

今津から新旭へ向かう途中、一旦湖岸道路から離れます。

 

白髭神社手前から渋滞

高島の市街地を抜けると161号線バイパスに合流します。予想通りの渋滞。幸い、自転車レーンが広めに確保されているので然程速度を落とさずに進むことが出来ました。湖側では道路の拡張工事を進めているようなので将来的にはより走りやすくなるかもしれません。

 

琵琶湖大橋を渡って守山へ

志賀の辺りで近江八幡ブルべを主催しているS野さんを含む2人が追いついてきて合流。堅田まで4人パックで飛ばしました。先頭を牽いたりしましたが明らかにオーバーワーク。走りこんでいない自分には負荷が高すぎて琵琶湖大橋手前で力尽きて失速。琵琶湖大橋の道の駅で寝て行こうと思ったほどでしたが、Sが待ってくれているので力を振り絞って琵琶湖大橋を渡り切ることが出来ました。

 

湖岸道路を離れて守山駅方面へ

湖東に渡ればあと少し。交通量が多いので注意を払いながら湖岸道路を走り守山駅を目指します。

色々ありましたが当初の計画より1時間近く早くゴール出来そうです。

 

 18:11 302.2km Finish ファミリーマート 守山金森町店

無事に2人ともゴールして13時間11分で認定となりました。

Sのサドルバッグの破損、フォトコントロールを忘れて余分に走る、最後のオーバーワークなどいろいろとやらかしましたが事故や怪我無く完走出来て良かったです。

来年の滋賀ブルべも楽しみにしています。ありがとうございました。

 

ACPの300kmメダルとオダックス近畿の300kmピンズ

メダルコレクションが増えました。そういえば、2020-2023デザインのACPメダルの400と1000をまだ持ってないのでチャンスが有れば来年…?

振り返ってみると300㎞ブルべを走ったのは2019年の守山300km以来でした。

 

今年はグランボア650Bランドナーで4本のブルべを完走、2019年ぶりにSR(Super Randonneur)を獲ることが出来ました。

装備的には6月の米原600kmから殆ど変えていませんが、茨木600kmからハンドルをグランボア平行マースバーからグランボアフランス型ランドナーバーに戻しています。ハンドルの肩を握るポジションの時に両肩がせり上がっている形状のランドナーバーが最も手のひらへの収まりが良く、快適に感じます。
ただ、平行マースバー、フランス型マースバーに比べてライディングポジション、ハンドルの角度が合っていないとそのメリットを感じずらいかもしれません。マースバー2種はハンドルリーチが長いのでポジションに変化をつけやすいです。この自転車で3種類全てを使いましたが、どのハンドルにも良さがあります。

そしてタイヤはエートル エキストラレジェ 650×42B、チューブはレール650をすべてのブルべで使用しました。ブルべ以外にも普段の通勤、日帰りサイクリングや推奨外ではありますが未舗装路を含む林道サイクリングにも使いましたがパンクやサイドカットは無し。2500km程使って後輪のトレッドの溝は少し薄くなっていますが、前後ローテーションすれば5000kmほど持ちそうです。

ただ、自分のタイヤはサイドウォールのケーシングが劣化してきているので年を越す前に交換です。今年は走行距離が少なかったのでトレッドより先にサイドウォールが痛んできていますが、年間通してたくさん走られる方はサイドのケーシングが元気なうちにトレッドの寿命まで乗っていただけると思います。

グランボアのエキストラレジェタイヤは超軽量でしなやかな素材から出来ているので乗り心地と転がりの軽さは最高です。ただ、デリケートな素材なので乗り手に配慮が求められるタイヤでもあります。

より丈夫なタイヤが必要な場合はエキストラレジェではなく、スタンダードモデルをご使用ください。こちらもグランボアこだわりの乗り心地のいいタイヤです。

700Cのロードバイクでブルべに参加されている方には700×28Cセールヴェルデ700×30Cシプレ700がおすすめです。

今年は6月から4本のブルべを完走。来年も国内でSRの獲得とSR600を走りたいと思っています。

2022年参加したブルべ

BRM618近畿600km米原

BRM709近畿200km大津

BRM924近畿600km茨木

・BRM1015近畿300km守山(今回)

まえの

こんにちは、前野です。
猛烈に暑かった気温も落ち着いて過ごしやすくなりました。
今回はオダックス近畿主催のブルべ、BRM924近畿600km茨木を走ってきたので紹介します。

スタートとゴールは茨木市。亀岡や美山、小浜など走り慣れた地域も含まれていますが、越前海岸や福井と岐阜の山奥へ行くのは久しぶりです。

ちなみにブルべのサブタイトルは「夢はでっかく琵琶湖一周」。
琵琶湖沿いは走りませんが一応ビワイチしてますね??

福井と岐阜の県境に位置する温見峠を夜間に越えることがこのブルべ最大の醍醐味でしょうか。
国道157号線の福井と岐阜の県境に位置する温見峠。特に岐阜県側は洗い越し区間が連続するほか、切り立った渓谷沿いに道を通しているのでハンドル操作を誤れば100m近い谷底に一直線…
酷い道、通称「酷道」として有名です。

2018年に初めて訪れたときは、道の険しさもさることながら大野市から本巣市まで約90㎞コンビニはおろか自動販売機も無く、補給できる場所が無いことが過酷さを際立たせていました。

その時の様子はこちらに書いています。

 

今年は600㎞と200㎞を1本ずつ完走しているので、この茨木600㎞と来月の守山300mを完走すれば2019年ぶりのSR(スーパーランドナー)を獲ることが出来ます。
そんな理由もあって何としても完走したいのです。

今回も友人のSと一緒に走ります。前回の米原600㎞は彼にとって初めての600㎞完走が懸かっていたので慎重にプランを練って走りましたが、今回は宿を取らずに仮眠のみで走る計画です。(前回は自分も久々の600㎞だったので夜間走行に自信がありませんでした…!)

 

茨木駅を8時スタート。制限時間は40時間ですが余裕を持って翌日の19時、35時間のゴールを目安に走ります。京都から茨木まで輪行なので、帰りの電車を考えると遅くても22時台に戻りたいところです。
ブリーフィングでは深夜の温見峠で主催者の方が待機してくれるという、頼もしいお知らせがありました。車検もクリアしていざスタートです。

 

8:00 スタート 茨木市中央公園

11:22 77km フォトコントロール1 美山かやぶきの里

8時スタートに集まった参加者は5人。2013年からブルべに参加してきましたが、これだけ少ない人数のスタートは初めてです。ちなみに1時間前の7時スタートは13人。
スタートすると茨木から亀岡、日吉ダムを経由して美山かやぶきの里へ。走り慣れた道と見慣れた景色なので僕たち二人は日帰りサイクリングに行くような感覚が抜けず緊張感がありません。亀岡は彼岸花が綺麗に咲いていました。

2時間ほど走って美山の山崎ショップで休憩。茨木のスタートから近い位置を走っていた方と僕たち二人で先頭を回して走ったので楽に距離を稼げました。3人で談笑しつつパンを1個食べて再スタート。
最初のチェックポイント美山かやぶきの里に着くと通過証明のために写真を撮ります。蕎麦の白い花が綺麗でした。

 

12:13 90km 五波峠

かやぶきの里を出て少し走ると林道に入り、福井県へ抜ける五波峠へ。この先まとまった登りは福井から岐阜に抜ける温見峠までありません。
登りも下りも落ち枝や落石があるいつもの五波峠でした。変わった事と言えば、峠に設置されている木製の看板が朽ちて倒れていました。数か月前に来たときはまだ立っていたんですけどね。
福井県側下りの途中では参加者の方がパンクしていました。以前にSと二人で五波峠に行ったときは彼の28Cタイヤが2回もパンクしていたので走り慣れているとはいえ油断できない区間でした。

 

14:05 134.4km フォトコントロール2 福井県海浜自然センター

五波峠から小浜までの道も京都からおにゅう峠を周回する時に使う道なのでこの時点ではまだ非日常感を感じられずにいました。小浜の古い町並みはなんだか地元に帰ってきたような安心感を覚えます。小浜の市街地でゆっくり昼食を摂ることも考えたのですが、決め手に欠けてそのまま通過しました。

小浜から敦賀までは海岸線を走ります。多少のアップダウンはありますが景色も良く順調です。この辺りまで来ると頻繁に走る場所では無いのでフレッシュな感覚が出てきました。三方五湖を通るのも2年ぶりくらい。

 

15:57 162km 敦賀で遅めの昼食

昼食か夕食なのか分からない時間ですが、敦賀の市街地で食事を摂ることにしました。

敦賀と言えばソースカツ丼のヨーロッパ軒。ルート沿いにあるので覗いてみましたが、ランチとディナー間の休憩時間でした。残念!!
ヨーロッパ軒のすぐ近くにとんかつ屋さんがあったので入店。僕はヨーロッパ軒を諦めきれずソースカツ丼を注文。ご飯大盛、キャベツとあさりの味噌汁はお代わりしました。この先の越前海岸も頑張れそうです。

 

17:10 180km 夕暮れの越前海岸を先頭交代しながら進む

新日本海フェリーの乗り場を通り過ぎると越前海岸を北上していきます。少し肌寒く感じてきたのでメリノウールのアームカバーを付けて早めの防寒対策。
スタート前の想定通り、越前海岸走行中に日没を迎えることになりました。夕暮れの日本海は美しく、日が沈んだ後は漁船の灯りが空を照らしていました。

 

18:51 212km トイレ休憩

越前海岸の道路は所々に公衆トイレがあるのでPC1までもう少しという所ですが休憩を挟みます。Sは膝が少し痛むと言っているので適度に休んで無理のないペースで進むことにしました。休憩を挟むと調子が戻るのでどうにかなりそうです。

 

20:07 236.4km PC1 ファミリーマート川尻店

スタートからちょうど12時間、PC1のファミリーマートに到着しました。ここで越前海岸と別れて大野市方面へ進んでいきます。
豚まんを食べた後、カップ焼きそばを追加しました。食べ過ぎな気もしますが、今回のような長いブルべ中はこれだけ食べても2、3時間経つとまたお腹が減ってきます。

 

22:17 約270km 徐々に気温が下がる

福井市を抜けると気温が下がり始め、標高が上がると霧も出てきました。
アームウォーマーだけでは寒くなってきたのでベストを着て、足にはレッグウォーマーを装着。少し暑いくらいの方が調子よく走れるので寒さ対策は早めに行います。

 

22:54 286km 越前大野駅

大野市の市街地に到着しました。さすがに時間が遅いので閑散としていますが、4年ぶりに訪れたので感慨深いものがあります。前回大野市に来たときは、冠山峠から降りてきた後に宿探しを始めてギリギリのところで見つけた古い旅館に素泊まりしました。
夕食は近くの居酒屋で。その時の思い出をSと話しながら市街地を抜けていきます。

大野の市街地を出ると約90㎞補給できる場所が有りません。主催者の方が峠の上で休憩できるスペースを用意してくれているはずですが、それだけを頼りにはできません。4年前と同じように大野市の市街地の端にあるローソンで温見峠前最後の補給。おにぎりとコーヒー、飲み物を買いました。甘い飲み物は飽きてきたのでボトルの片方にはお茶を入れます。フロントバッグにはスタートから携帯しているクリーム玄米ブランと途中で買ったパンが残っているので食べ物は充分でしょう。

ヘルメットにヘッドライトを装着してコンビニを出発。1キロくらい走ったところで、二人とも寒くてレインジャケットを着こみました。登りが始まれば身体が温まるのでそれまでの辛抱です。

 

23:51 大型車通行不能を警告する看板が何度も現れる

福県側から温見峠に向かうと、しばらく綺麗な2車線道路が続くので「酷道」を期待していると拍子抜けするかもしれません。でも、道沿いに時々現れる「大型車通行不能」の看板がこの先の険しさを物語っています。

 

日付は変わり9月25日

 

0:10 313km 温見峠区間はヘッドライトを装備

摩耶姫ダムを抜けるまでは綺麗な道が続き、トンネルもあるので人工物に守られている安心感があります。今まで600㎞ブルべでヘルメットに道を照らす為のヘッドライトを付けることはあまりなかったのですが、温見峠の下り対策でヘッドライトを新調しました。通常時は暖色LEDで手元を照らし、下りや曲がりくねった登坂では白色LEDの明るい光で遠くまで照らせます。ずっと古いものを使っていたので新しいライトの性能には驚きました。今後は夜間走行用装備としてスタメン入りするかもしれません。手元が明るいとキューシートを読むのに便利でオレンジ色の光はなんだか心が落ち着きます。

そういえば、大野市のコンビニを出た直後に羽織ったレインジャケットは身体が温まったので登りの序盤で脱ぎました。

 

0:27 他の参加者に会えると嬉しい

ダム沿いの道で他の参加者の方に追いつきました。今回のブルべは出走者が20名に満たないので誰かに会えると嬉しくなります。「こんばんは~」と声をかけて先へ進みます。

 

1:14 315km この先道幅狭し。酷道の本領発揮

2車線の快走路だったはずが急に林道のような狭い道に切り替わりました。これでも地図上は同じ国道です。
ここから先が酷道157号線温見峠越えの醍醐味が詰まった区間になります。わくわくしてきました。

ちなみに道路を照らしているのはSON Edelux2ヘッドライト。ハブダイナモ給電のライトですが配光が秀逸で写真の通り非常に遠くまで広く均一に照らしてくれます。
バッテリー残量を気にする必要もないので、今回のように徹夜で走る場合に最適です。

 

1:17 316km 背の低いおにぎり

前回訪れた時も写真を撮った背の低いおにぎり。4年経って劣化が進んでいますが健在でした。このおにぎりのところで道は左に曲がり、橋を渡って温見廃村跡を抜けていきます。

 

1:30 320km 温見ストレート

1km以上続くロングストレートが現れます。ヘルメットに着けたヘッドライトで林の中を照らすと無数の光る眼が。鹿がそこら中にいました。ふと左側を照らしたら大きな角を生やした鹿が近くいたときは悲鳴をあげてしまいました。暗闇に光る眼と大きな角。それが藪の中数メートル先にいたらびっくりしますよね?

 

1:42 324km 路面には砂利や枝葉が散らばっている

温見ストレートを抜けると勾配が厳しくなり、本格的な登り区間に入っていきます。この辺りに来ると鹿の気配は無くなりましたが、今度は坂との戦いです。時間を忘れ夢中で走っていますがこの時深夜2時前。こんな事普通のツーリングなら絶対やりません。深夜走行はブルべを走るうえで最高の贅沢です。

 

1:55 相変わらず福井県側の路面は荒れている

急勾配と石畳のように割れたコンクリート舗装。650×42Bタイヤでも快適と言い難い道の荒れ様です。

 

1:55 325km 戦略的押し歩き

脚に負荷をかけすぎないように路面が荒れて勾配が厳しい区間は二人とも押し歩きました。限界まで坂と戦って足を着くのではなく、明日に響かないように脚の限界が来る前に歩くのです。制限時間には充分余裕があり、まだゴールまで300㎞残っているので登りの数十秒のために頑張る必要はありません。

それに歩くとストレッチが出来て脚がスッキリします。

 

2:17 327.2km フォトコントロール3 温見峠(標高1020m)

無事に温見峠に到着。前回来た時もその秘境ぶりに驚きましたが、まさか深夜に来るとは思いもよりませんでした。峠は風の通り道になっていて途端に寒く感じたので、レインジャケットを羽織り急いで通過証明用の写真を撮影。
茨木のスタートから少しずつ積み重ねてここまで来ることが出来ました。温見峠を登り切ったので余程のことが無い限り完走出来そうです。

 

峠の簡易休憩所

峠の岐阜県側に主催者の方が車とブルーシートを使って休憩所を用意してくれていました。ブルーシートの中でコーラとチョコレート、クッキーをいただいてほっと一息。主催者の方曰くほとんどの参加者が深夜の内に温見峠を越えているようです。

暖かい簡易テントの中で一休みできたので僕たちも下り始めます。ネックウォーマーと長指のグローブを着けて最大限の防寒対策。Sはおなかにあたる風を防ぐためにジャージの中にビニール袋を入れていました。

 

2:46 333km 温見峠名物「洗い越し」

岐阜県側にしばらく下っていくと水が流れる音と共に洗い越しが出現しました。連続して洗い越しを通過できるのは近畿ではここだけではないでしょうか。

 

水しぶきを上げて通過するのが楽しい!

夜中の山奥なのであくまでも安全第一ですが、この洗い越しを豪快に横切るのが温見峠の岐阜県側に遊園地のアトラクション的な楽しさを加えています。水の勢いがあるので少し横に流される感覚が有りますが転びそうになるほどではありません。
それと、泥除けが無い自転車でスピードを出して通過するとびしょびしょになります。Sはここで濡らした足が下りで冷え、山を抜けた最初のコンビニで靴下を買って履き替えるほどでした。

 

3:16 344km 左側は断崖絶壁

洗い越し区間を通過すると次は転落事故多発区間になります。渓谷沿いの曲がりくねった狭路でガードレールの無い場所が殆ど。深夜なので左側を流れる川は道路から全く見えませんが、落ちたら闇に吸い込まれるような落差があります。

 

3:34 350km 例の看板はもう無い

無事に温見峠区間を抜けました。楽しみだけど怖い区間でもあったので通過してほっと一息。4年前に来たときはここに「落ちたら死ぬ!」という看板があったのですが現在は撤去されています。

この後、しばらく下って90㎞ぶりのコンビニで休憩。この時午前4:45。さすがに二人とも眠たくなってきたので食事を済ませた後、近くの道の駅に行って仮眠を取ることにしました。1時間ほどベンチに座って目を瞑り眠気を解消します。

 

 

6:24 385km 朝焼けの中海を目指して南下する

1時間の休憩でだいぶすっきりしたので走行を再開しました。肌寒かった気温も上がり始め、この日の最高気温は30℃の予報です。海までひたすら堤防沿いを走って南下していきます。暑くなってくるのでまずはレインジャケット、お次はベスト、さらにレッグウォーマーとアームウォーマーを外して昼間装備に戻していきます。そして日焼け止めも忘れずに。今回のブルべは念入りに日焼け止めを塗りなおしたので殆ど焼けず、疲労感の軽減につながりました。

 

9:09 439.8km PC2 湾岸長島PA

ひたすら堤防道路を走り続けて三重県の湾岸長島PAに到着。ブルべのコントロールポイントにパーキングエリアが選ばれているのは初めてです。裏手に一般お客様入口があって入ることが出来ます。

ジャージとビンディングシューズでパーキングエリアを歩くのは不思議な体験でした。フードコートでカツカレーを食べ、売店で通過証明の為のレシートを取得。グァバジュースなるものがあったので買ってみました。

 

9:19 PAの足湯で回復

湾岸長島PAには無料の足湯があるので食後に入らせてもらいます。いいリフレッシュになりました。

 

10:30 約460㎞ 四日市で交通量の多さに疲弊する

湾岸長島PAを出発すると交通量の多い道が続きます。特に四日市付近は信号も車も多くて疲れました。無事に温見峠を下りてきたのにこんなところで車に引っ掛けられるわけにはいきません。自転車歩道通行可の区間は歩道も積極的に利用します。

 

11:13 471km 堤防道路が続く

四日市を抜けると、亀山まで鈴鹿川沿いの堤防道路を走ります。ようやく交通量が減って少し安心して走れます。次のPC3まで距離があるので湾岸長島PAで買ったパンを食べてエネルギー補給。堤防道路は交通量は少ないのですが、補給場所が無いのでフロントバッグに入れた食べ物が役立ちます。

 

11:31 474km Sは睡眠不足でDNFがよぎる

堤防道路の途中でSが遅れがちになりました。眠気でしんどいと言うので堤防道路を少し外れてイートインの有るコンビニで長めの休憩を取ることにしました。自分も一人で夜通し走ると猛烈な睡魔に襲われることがあるので辛さはよくわかります。こういう時は10分でも目を閉じるだけでマシになるので休むことが一番です。それに僕もボトルの中身が少なくなっていたのでちょうどいいタイミングでした。

30分ほど休憩、Sはロックアイスを背中に入れたり色々と対策をして出発しました。

ちなみに彼はフルマラソンは数えきれないほど(僕は1度だけヘロヘロになって完走しました…)、100kmウルトラマラソンも完走している程の体力の持ち主ですが、このブルべが今までの中で一番過酷だったと語っています。

 

13:31 506.5km PC3セブン-イレブン 津市白山町店

堤防道路を離れてからは広域農道特有の直線的なアップダウンが続きました。Sはまだ眠気から完全に開放されていないようですが、走行距離は500kmを越えてPC3に無事到着しました。

おにぎりが売り切れていたのでいなり寿司を購入。甘い炭酸が飲みたくなったので飲み物はファンタグレープ。日差しが強く照り付けているのでコンビニの陰で休憩しました。

実はこの時、重大な出来事が起きていました…

 

 

14:28 514km 青山峠を登る

青山峠を越えると伊賀コリドールロードの強烈なアップダウンをこなします。伊賀コリドールロードは何度走っても好きになれません。バイクや車で走るにはいいのかもしれませんが、自転車だとひたすらアップダウンを繰り返すだけで景色は風情に欠けます…

伊賀コリドールロードへの文句を言いつつ伊賀上野に到着しました。駅の近くのコンビニで最終休憩の為停車。この時、Sが急に焦り始めました。

「レシート貰ってなかった…!」

先程のPC3でSも買い物をしたのですが、眠気のせいかレシートを貰わずそのまま出発してしまったのです。通過証明になるPCのレシートが無いとゴールまで走り切っても認定を貰えません。ここでSの心は折れかけてDNF宣言をしそうになりました。ただ、冷静に考えるとPC3では僕が一緒にいてSが写った写真も撮影しています。(写真には日時が記録されています)さらに、レジでの決済を電子マネーで行っていたのでレシートは無くても電子マネーの決済情報で店舗名と日時がわかります。この2点が有ったので、伊賀上野でDNFするのではなく、ゴールまで走り切って後は主催者の方に委ねることにしました。

17:47 581km ゴールが見えてきた

交通量が増えてきたのでかなり気を使いますがゴールは確実に近づいています。丘を越えて枚方に入ればあと少し!

 

18:44 598km 安全第一で残りの距離を消化

昨日の同時刻には越前海岸を走っていたことを思うと不思議な風景です。完走は確定しました。

 

19:30 603.5km この和室に入った時刻がゴールタイムになる

駐輪場所に迷いつつ、ゴールの茨木市福祉文化会館(オークシアター)和室に到着しました。入室した時刻は19:30。そして懸案事項だったSのPC3のレシートですが、僕が行動を共にしていたのでそれが証明になるのと、電子マネー決済の記録などもあったのであっさりとOKを貰えました。

無事に二人とも35時間30分で完走!目安のゴールタイムにしていた19時から大きく遅れなかったのも良かったです。

今回は久々に徹夜で走るブルべでしたが、一緒に走った友人Sのおかげで楽しく最後まで走り続けることが出来ました。これが一人だと深夜早朝の走行は眠気との戦いになるので本当に助かりました。

 

 


今回もグランボア650Bランドナーで完走

ランドナーはのんびりと走る自転車。スピードを求めない人が乗る自転車。ランドナーに対してそんなイメージを持たれている気がするのですが、僕が600㎞ブルべにランドナーを使うのはこの自転車で走る方がタイヤの細いロードバイクで走るより快適で速いからです。

ブルべ用に吟味されたフルオーダーフレーム、転がりの軽いエートルエキストラレジェ650×42Bタイヤ、ハブダイナモ給電の明るい前後ライト、手が痺れないグランボアフランス型ランドナーバーと身体に馴染んだイデアル#90サドル、荷物に簡単にアクセスできるフロントバッグ、足元が濡れることを防ぐマッドガード。

ランドナーに付いているこれらの部品はクラシックな雰囲気を出す為の飾りではなく、長距離を快適に速く走るための道具なのです。

 

フロントライトはキャリア右側にSON Edelux2、左側にサブライトとしてキャットアイVOLT800の2灯体制。VOLT800は温見峠の下りで念のため点灯しましたがそれ以外ではほぼ使わず、Edelux2のみで充分な視界を得ることが出来ます。
テールライトはシートチューブに直付けされたキムラTL-06D。こちらもSON28ハブダイナモからの給電で点灯し、フロントライトのEdelux2と連動しています。前後ライトは停車後も本体内蔵のコンデンサーに蓄えた電力で光り続けます。

荷物は全てグランボアフロントバッグに集約しています。サドルに跨ったままアクセスできる帆布のフロントバッグは古臭いようでとても合理的です。一緒に走ったSは現在主流の大型防水サドルバッグに荷物をまとめていましたが、荷物の出し入れをするのに時間がかかりブルべの後半はフロントバッグを使いたいと言うほどでした。もちろん完全防水のバイクパッキング用サドルバッグが活躍するシーンもあると思いますが、荷物の取り出しやすさではフロントバッグに敵いません。レインジャケットを取り出したりネックウォーマーやアームウォーマーをしまったり、ブルべ中にバッグを開け閉めする回数は意外と多いのです。
帆布もただのコットン生地ではありません。意外と防水性が高く、土砂降りを長時間走らなければ中の荷物が濡れることは稀です。
バッグの帆布にはグリーンランドワックスという蜜蝋とパラフィンを混ぜたものを年に一回、生地全体に塗布、浸透させるメンテナンスをしています。雨に降られても濡れるのは表面だけで、バッグの内側は殆ど浸水しません。風合いが味わい深く変化するのも帆布フロントバッグの良い所です。

 

前回の米原600と異なる装備としては、後ろ泥除けにマッドフラップを追加しています。フロントのマッドフラップは常時装着しているのですが、今回は友人と先頭交代しながら走る計画だったので後ろの人が快適に走れるよう装備しました。厚さ2mmのゴムシートからフロント用よりも長めに切り出しています。

この装備、親方にはちょっと不評でしたが(汗)、形状や取り付け方法などを改良して今後もブルべ専用装備として使おうと思います。

 

ランドナーでブルべを走ってみようという方、是非アイズバイシクルまでご相談ください。ランドナーのオーダーはもちろん、走り方や装備面などでもお力になれると思いますのでお気軽にお声がけください。

そしてブルべでお会いしたときはよろしくお願いします!

まえの

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